「この暗く冷たいダンジョンで彷徨い続ける魂たちよ。さあ、安らかに眠りなさい。『ターン・アンデッド』!!」
アクアの浄化魔法が寄ってきたたくさんのアンデッドを次々に浄化していった
「すごいな、あの数のアンデッドを一瞬で倒すなんて」
「ご苦労さん。いや助かったよ、アクアが来てなかったら危ないところだった」
「あら?私の評価がやっと真っ当になってきた?それにしても、お宝ないわねえ」
キョロキョロするアクアを無視してダンジョンを進んでいくと、ある部屋の前に着いた。その入り口にはおびただしい数の白骨死体が転がっていた
「うっわ、なんじゃこりゃ」
「カズマ、もしかしたら罠が仕掛けられてるんじゃないか?」
「ふーむ……」
カズマは《罠発見》を使って確認すると罠の反応を確認した
「本当だな。じゃあどんな罠か確認するか」ポイッ
そう言ってカズマは天の助を投げた
「ぎゃああああああ!!!」グサッグサッグサッ
「なにやってんのお前!!?」
上下左右から伸びた槍に全身穴だらけにされた天の助を見てヘッポコ丸がカズマに突っ込んだ。カズマは意に介さず罠の分析をしていた
「なるほど、壁か床か天井かを警戒したところに全方向からの罠にやられたってとこか……よし、《罠解除》して進むか」
「オレの意味は!!?」
そんなものはない
「よし入れた……って別の入り口があったのかよ。どーりで罠が放置されてたわけだ」
そのままカズマたちは部屋のタンスの中などを物色し始めた
「……ちっ、ろくな物がないな」
「ねえカズマ、この探索方法といいそのセリフといい、私コソ泥の気分なんだけど」
「オレも」
「言うなよ、俺もちょっとそんな気分なんだよ」
「………ん?」
ふと天の助は部屋の隅にある何かを見つけた。それは立派な装飾品が煌めく宝箱だった
「おお、見ろよカズマ、宝箱だぜ!!大当たりだ!!!」
「あ、天の助!」
「おい待て天の助!!こんな調べ尽くされた部屋に堂々と宝箱が置いてあるなんて不自然…」
カズマは制止の声をあげるが、時すでに遅し
バクンッ
「ぎゃあああああ!!!!」
「天の助ーーー!!!!」
床から大きな口が出てきて半分ほど天の助を喰った
「き、気持ち悪!なんだあれ!?」
「ダンジョンもどきね。名前の通り宝箱やお金に擬態して捕食するモンスターよ。中には冒険者に化けてモンスターを襲うダンジョンもどきもいるわ」
「マジかよ…」
喰われた部分がすぐに再生した天の助はキメ顔で言う
「フッ、オレは分かってたさ。お前たちが真っ先に行きそうだったものでついな…」
「嘘つけ」
カズマたちは部屋を出て再び歩き始めた。アンデッドを浄化しながらもある程度奥に進んだところでカズマがアクアに問う
「なあ、いくらなんでもアンデッド多過ぎないか?アークプリーストがいないととても攻略できないぞこんなの」
「確かに、いくらなんでも多過ぎるよな…」
「んー、でもちょっと待って。まだその辺にアンデッド臭がするわね」
アクアの言葉を信じて進むとただの行き止まりだったが、アクアはこの辺からアンデッド臭がするとのこと。壁などを調べてもなんの反応もなく、天の助は行き止まりの壁に落書きしていた
「しかく〜まるまるところてん〜♪」
「なんの歌だよ」
「なあアクア。もう何もなさそうだしそろそろ帰ら…」
ガコンッ
「ぎゃあ!」
ふと天の助の方を見ると天の助が遊んでいた壁が回転扉のようにくるりと動いていた。そしてその奥からくぐもった低い声が聞こえてきた
「そこに、プリーストがいるのか?」
カズマたちが隠し部屋の中に入ると、そこにはイスに腰掛けるローブを被った皮が張り付いた骸骨がランプで照らされていた
「私はキール。このダンジョンを作り、貴族の令嬢をさらっていった悪い魔法使いさ」
キールは、ある1つの話をした。貴族の令嬢に一目惚れしたこと、国一番のアークウィザードになって王にどんな願いでも叶えてやると言われたこと、キールは虐げられている愛する人を幸せにしたいと言い貴族の令嬢をさらったこと…
「……つまりなんだ。あんたは、悪い魔法使いじゃなくて良い魔法使いだったってことか?」
「そう言うことだな」
「ううう、いい話だ……!」
涙を流しながら天の助はぬの文字がいっぱい書かれたハンカチで涙を拭く
「何そのハンカチ」
「オレの愛用、ぬのハンカチだ…使うか?」
「いらねえよ」
ぬのハンカチを捨てながらキールを見ていると、キールはアクアを見ながら頼み出した
「私を浄化してくれないか?彼女は、それができるほどの力を持ったプリーストだろう?」
「…ええ、分かったわ」
その言葉を聞いたアクアが二つ返事で了承すると、呪文を唱えながら取り出したチョークで部屋を覆い尽くすほどの魔法陣を描き始めた
「いや、助かるよ。じっとここで朽ち果てるのを待っていたらとてつもない神聖な力を感じたものだからね。それにものすごい生命力も2つ感じたし、思わず私も長い眠りから覚めたってものさ」
魔法陣から柔らかい光が溢れる中、キールはカタカタ笑いながら言う
やがて、アクアが唱え続けていた詠唱が終わる
「神の理を捨て、自らリッチーとなったアークウィザード、キール。水の女神アクアの名においてあなたの罪を許します。……眼が覚めると、目の前にはエリスという不自然に胸の膨らんだ女神がいるでしょう。たとえどんな形でも良いと言うのなら彼女に頼みなさい。再びお嬢様に会いたいと。彼女はきっとその望みを叶えてくれるわ」
(おい、誰だこいつ。本当にアクアか?)
(気持ちは分かるから黙っておいてやれ)
2人がヒソヒソと話す間に部屋をまるまる使った魔法陣が光り出して、キールの体を浄化していく
「私は、たとえ別人になったとしても、彼女にもう1度会うことができるのだろうか…」
「できますとも」
キールの呟きを天の助が答える
「あなたと彼女は確かに愛し合っていたのです。あなたたちの愛は女神に届き、必ず再会することができるでしょう…」
「おお、本当ですか……」
「ですから、安らかに眠りなさい」
キールは目を閉じ、最後に感謝の言葉を伝えた
「ありがとうございます、慈悲深く優しき方々よ。あなたたちのこれからに祝福があらんことを……」
その言葉を最後に、キールは完全に浄化されこの世界からいなくなった
天の助は頭に手を当てて一息
「これにて一件落着ですね…」
(((なぜか天の助が締めたーーー!!!!)))
3人の心はこの時1つになった
30分後…
お礼としてキールに渡された金銀財宝をそれぞれ背負いながら、カズマたちは入り口を目指す
「なあアクア」
「なに?」
ダンジョンの帰り道、カズマはあることをアクアに聞いた
「あの人さ。とてつもない神聖な力を感じて目覚めたって言ってたけど、お前がいるからアンデッドにやたら出会うってわけじゃないよな?」
「ッ!?そそそ、そんなー、そんなことはない……と、思うわ……?」
アクアの返事はあまりに曖昧だった
「あと、ものすごい生命力も2つってあのリッチー言ってたよな」
言うまでもなく天の助とヘッポコ丸のことだった。カズマは3人からジリジリと距離を取る
「ちょ、ちょっとカズマ、どうして私たちから距離を取るの?まさか私たちを置いていく気なわけないわよね?女神の私を置いてくなんて、罰当たりもいいところよ!!!」
「そうだぜカズマ!!お前がオレたちを連れてくって決めたんだからちゃんと最後まで……!!!」
その時、ダンジョンの奥から何かの遠吠えが聞こえた。敵感知で確認すると、モンスター、アンデッドと思わしき軍勢が奥から一斉にやってきてた
「やっぱりかーーーーーーー!!!!天の助、脱出プランA!!」
「プルプル真拳奥義「プルっとボート」!!!」
もはや見つかっては黙る意味もないとカズマはめいっぱい叫び、浮き輪ボートに変身した天の助に乗り込む。便乗するようにアクアたちも乗り込む
『オナラ&プルプル真拳奥義「こき逃げジェット」!!!』
大音量とともにプルっとボートは加速し、泣き叫ぶ駄女神の悲鳴とオナラのニオイを置き去りにしながらカズマたちは入り口に向かって逃走した
ドラクエ11がストーリー好みなんで買おうかどうか迷ってる最中