サキュバス騒動の翌朝、カズマは屋敷の中のベッドで寝ていた
そしてある程度昇ってきた陽の光で目を覚ますと
「激しいのね…」ポッ
「うわああああああああ!!!!」
なぜか一緒に布団の中にいる頰を染めた首領パッチの存在と言葉で悲鳴をあげた
悪夢的光景に混乱していると、首領パッチはカズマに言った
「なあカズマ。なんか街の方が騒がしいぞ」
「え、そうなのか?」
落ち着いたカズマはそう問い返して
『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!機動要塞デストロイヤーが、現在この街へ接近中です!冒険者の皆様は装備を整えて冒険者ギルドへ!そして街の住民の皆様は、ただちに避難してくださーい!!!!』
街に響くアナウンスを最後まで聞いたカズマはイヤそうな顔でがっくりうなだれる
「またなんか来たのかよ…」
お父さん、お母さん、元気ですか?オレは異世界でそれなりに楽しんで、元気にしています。……でも、代わりに心労の負担が凄まじいです……
もう会えない両親に対して、カズマは己の苦労を愚痴った
移動中…
カズマと首領パッチが冒険者ギルドに着くと、中にたくさんの冒険者が作戦会議をしていた
「カズマくん、首領パッチくん!」
「遅かったなカズマ。他の冒険者はすでに集まっているぞ」
「わ、わりぃ」
ダクネスにそう言われて謝るカズマ。ギルド内を見渡すとダストたちのパーティにあのミツルギなどもいて、多くの冒険者が集まっていた
「それでは、これより機動要塞デストロイヤー撃退のための作戦会議を始めます」
「な、なあ、そのデストロイヤーって一体なんなんだ?」
カズマが小さく手を上げて聞く。それに答えたのはボーボボだった
「デストロイヤーとは………巨大な田畑耕し機だ」
「いや、名前からしてそれはないだろ!!?」
どう考えてもボーボボの答えは間違っていた
「草木と大地をデストローイ!!みたいな♡」
(((うまくねーーーー!!!!しかもウザイ)))
全員の心が一致した瞬間だった
「具体的にはこんなの」
そしてボーボボはデフォルメされたスズメの絵を見せながら言う
「ただのスズメだからそれ!!」
「バカヤロー!デストロイヤーってのはな…」
首領パッチがスズメの絵に新しく描き込んでみんなに見せる。アンバランスなむきむきのゴリラ脚が生えていた
「こうだ!」
「キモ!ゴリラの脚が増えただけじゃん!!!」
「ここはオレの出番だ!!!」
さらに天の助が描き込む。完成した絵にはゴリラ脚が生えたスズメがサングラスをかけてハワイから帰国していた
「これが正解だ!!」
「ワケわからん!!!」
ビュティのツッコミは今日もキレキレだった
「カズマ、デストロイヤーってのは大昔の人が作った歩く大型兵器のことよ。名前の通り進路上にあるものを破壊して、例え大きな街でも問答無用で破壊していくわ。破壊しようにも装甲は硬くてものすごく大きいから生身で近づくのは自殺行為だし、魔法も超強力な対魔法結界で全部弾かれちゃうの」
「それ逃げた方がいいんじゃね?」
アクアの説明を聞いたカズマはそそくさと逃げる用意を始めた
「おいカズマ、本当に逃げていいのか?」
「この街にはオレたちの夢があるんだぞ。何物にも代え難い大切な
「ハッ!!!」
ダストとキースに言われて気づく。この街でしか成り立たない素晴らしい
「そうだな…オレたちが戦わなくちゃな!!」
「「「おう!!!」」
「よし!やるぞ!みんなでこの街を守るぞー!!!!」
カズマの言葉に一部を除いた野郎どもが一斉に声を上げる。今ここに男の熱い友情が結ばれた!
一方女性陣は暑苦しいテンションについていけてなかった
「さっきまで逃げるって言ってたのにすごいやる気」
「どういった理由でカズマたちがここまでやる気になったのでしょうか……」
そんなこんな言ってる間に作戦会議が始まった。最初にメガネをかけた天の助が手を上げる
「はいテンノスケさん」
「では、ところてん関所でデストロイヤーを止めるという方向で」くいっ
「いや絶対ダメだよその方向!!」
次の首領パッチがキラキラ目を光らせて
「じゃあ、たくさんちくわを植えよう」
「なんで!?意味わからん!」
ボーボボがテレビを持ってくる。そこに写っていたのは蜘蛛のように動く噂のデストロイヤーとその先にあるちくわだらけの大地とところてん関所
「その2つの案なら、すでに採用されている」
「手遅れだーーーーーーー!!!」
ビュティの叫びが木霊した
「見れば見るほど良い作戦だ」
「大成功間違いなしですな」
「あ!待って!!」
30分後
「「「ダメでした」」」ズ〜〜〜〜〜ン…
「でしょうね」
テレビに映るところてん関所とちくわは容赦なく踏み躙られた
「クソ!あの3バカ役に立たねえ!!」
「諦めるな!俺たちも何か作戦を考えるんだ!」
カズマをなだめる冒険者の言葉を皮切りに落とし穴、内部から壊すなどの様々な案が出すが、そのどれもがボツとなる
「なあめぐみん、お前の爆裂魔法ならデストロイヤーでも破壊できるんじゃないのか?」
「あれほどを巨体を一撃で破壊するのは流石に我が爆裂魔法でも無理ですよ。そもそも魔法障壁がありますから魔法が通りません。…でも、爆裂魔法が連発できればあるいは」
「よーし他の作戦考えるぞ!!!」
また「
が、ここでカズマに電撃走る
「なあアクア」
アクアの方をカズマが向く
アクアは水の女神のチカラを無駄にフル活用して、コップの水でボーボボの漫画を描いていた
「何ィィーーーー!!!?」
「あらカズマ、私に一体なんのよう?」バシャ
「ああ!!なんてもったいない!」
傑作なそれをコップの水で上書きされたことをカズマは嘆いた
「…ってそうじゃなくてアクア!お前確か以前魔王城の結界が弱まっていれば破壊できるって言われてたよな!もしかしてデストロイヤーの魔法障壁も破れるんじゃないのか!?」
以前ウィズの店に訪れた時にウィズ本人に言われたことを思い出しながら言う。ちなみにその時聞かされたのだが、ウィズはなんと魔王軍の幹部の1人だったらしい(ただし結界の維持だけ任されているだけ。立場は中立のなんちゃって幹部)
「う〜ん……できると思うわよ」
「ノリ軽っ!!!」
「けど、これならいけるかもしれないぞ!あとはめぐみんの爆裂魔法が何発も撃てれば…」
「す、すみません!遅れてしまいました!」
そう言ってギルドに入ってきたのはウィズだった。アクアが露骨に嫌そうな顔をする
「おお、ウィズ!!」
「来た!貧乏店主さん来た!これで勝つる!!」
「え?え?」
湧き上がる喝采にウィズはただただ困惑する。そこにボーボボが話しかける
「ウィズ!!デストロイヤーを破壊するために、お前のアークウィザードとしてのチカラを貸してくれ!!爆裂魔法は撃てるか!?」
「あ、ハイ!任せてください!」
快く返事をしてくれたウィズ
「聞いたなカズマ?」
「ああ。作戦は決まった!みんな!!!作戦はアクアが対魔法結界を剥がしてめぐみんとウィズの爆裂魔法で脚を破壊する。そして動けないところを狙って内部に侵入してデストロイヤーを止める!!とりあえずこれでいくぞ!!!」
「「「オーーーーー!!!!!」」」
「そしてところてん教をこの世に広めるのだ!!」
「「「オーーーーー!!!!!」」」
「どさくさに紛れて何言ってんだオマエ!!?」
この街は絶対に破壊させない!男たちは熱い誓いを胸に、戦いの狼煙を上げた
いよいよデストロイヤー戦!実はデストロイヤー戦よりもその後の裁判をどう書けばいいか迷ってるの…