ボーボボ、カズマたちはデストロイヤー深部に近づいていた。ビュティはデストロイヤー内部を見渡しながら呟く
「この世界でこんなに科学を発展させてるなんて、すごい技術力。なんで昔の人はこんなのを作ったんだろう…」
物思いにふけていると、通路の奥から多くのゴーレムが現れた
「あ、またゴーレム!!」
「ザコに構ってるヒマはねえー!!」
ボーボボは背中のバスケットゴールからバスケットボールを首領パッチやソフトンに渡し、自分はバスケットボールのように丸まったカズマを持って地面に何度も叩きつける
「鼻毛真拳奥義「アフロの青春バスケ」!!!」
「カズマくーーーーん!!!!」
ドリブルテクでゴーレムを次々抜いていく。ドリブルのたびに血ヘドを吐くカズマを見てビュティは絶叫した
ちなみに首領パッチはボールを頭のトゲに貫通させて爆走し、ソフトンは華麗なドリブルで突破していた
「トドメのスラムダンク!!!」
「ゴパァ!!!!」
最後の巨大ゴーレムの顔面めがけてボーボボはカズマボールを叩き込み、その衝撃でカズマは断末魔をあげた。そのままボーボボたちはデストロイヤーの奥に進む
「道がひらけたぞ!!」ダダダダダッ
「大丈夫カズマくん!?」
「あのヤロウ…いつか絶対殺す…」
ズタボロのカズマは心にそう誓った
移動中…
ボーボボたちがたどり着いたある部屋にアクアとヘッポコ丸と天の助、そして他の冒険者たちがいた
「あ、みんな!これ見てください」
そう言ってヘッポコ丸が指差した先には、部屋の中央の椅子に腰掛けて力尽きていた白骨死体だった
「すでに成仏してるわね。アンデッド化どころか未練のカケラもないぐらいにそれはもうスッキリと」
「え、そうなの?」
「いや未練ぐらいあるだろ。これ、どう見ても1人寂しく死んでった感じだぞ」
そんなことをカズマが言っているとアクアがある物を見つけた。それは白骨死体となった研究員の手記だった
アクアが静かに読み上げる…
「ーー『○月×日。国のお偉いさんがムチャを言い出した。こんな低予算で機動兵器を作れと言う。ムチャだ。動力源をどうこう言われたけど知るか。伝説級の超レア鉱石、コロナタイトでも持って来いと言ってやった』」
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「ーー『○月×日。本当に持ってきちゃった。どうしよう、マジでどうしよう。これで動かなかったら俺死刑じゃないの?動いてくださいお願いします!!』」
アクアはページをめくる…
「ーー『○月×日。終わった。現在只今暴走中。国滅んだヤベー!滅んじゃったよヤベー!国民とかお偉いさんとか人はみんな逃げたみたいだけど、俺国滅ぼしちゃった。ヤバイ、何かスカッとした!よし決めた、もうここで余生を暮らすとしよう。だって降りられないしな、止められないしな。これ作った奴絶対バカだろ。……おっと!これを作った責任者、俺でした!!』……お、終わり」
震える声でアクアが手記を読み終えるとともにカズマは短刀を、ボーボボは棍棒を手に白骨死体の前に立って
「「なめんなぁーーーー!!!!!」」ガシャーン
「きゃあああああああ!!!!」
容赦なく攻撃を開始した
「何やってんだテメーー!!!!」
「これはゴーレムにやられた分!!!これは魚雷にやられた分!!!これはマッスルドッキングの分ーー!!!」
「もはややつ当たりだこれ!!!!」
怒りで白骨にゲシゲシと踏みつけるボーボボとカズマをビュティとアクアは長い時間をかけて止めた
気持ちが落ち着いたボーボボとカズマたちはコアのコロナタイトがあるデストロイヤーの中枢部への到達した
「これがエネルギー元のコロナタイトか!」
「見ろボーボボ!今にも爆発しそうだぞ!!」
首領パッチが幾重にも重ねられた鉄格子の中で赤々と輝くコロナタイトを指差して言う
ガチャガチャ!
「くっ!!鉄格子がジャマでコロナタイトが取り出せない!このままじゃ間に合わない!」
「安心しろヘッポコ丸!俺なら中のコロナタイトを取り出すことができる!」
「あ!ま、待ってくださいカズマさん!」
「スティィィーールッ!!!」
ウィズが止めるもカズマは《窃盗》を発動し、見事《窃盗》を成功させた
……その手に赤く燃えるコロナタイトを持って
「アツイーーーー!!?手が燃えるーーー!!!」
「アホだ!!!」
あまりの熱さに悶絶するカズマは近くのヒンヤリしたものにコロナタイトを持った手を突っ込んだ
「ぎゃあああああ!!!オレの体がーー!!!」
「天の助くんーーーー!!!!」
コロナタイトを体に突っ込まれた天の助はカズマを呪いながらドロドロに溶けていった。カズマはアクアとウィズにそれぞれ《ヒール》と《フリーズ》で治療してもらっていた
床には天の助だったドロドロの何かと今にも爆発しそうなコロナタイト
「この短い時間じゃあ、完全に人気のないところにコロナタイトを捨てられない!!」
「そんな!!」
ボーボボの悔しそうな顔を見て青ざめるビュティ。しかしそこに希望が舞い降りる!
「みなさん!私ならコロナタイトをどうにかすることができます!」
「ウィズさん本当!?」
「しかしそのための魔力が足りません!カズマさん…」
ウィズは真剣な表情でカズマと向き合い
「吸わせてもらいませんか!?」
「喜んで」
何を、なんて野暮なことは言わない。こんな時に!?なんてことも言わない。カズマはここで動揺したらすっとぼけたりするような鈍感系ではなかった
「お父さん、お母さん…俺、異世界で大人になり」
「ドレインタッチーー!!!」
「まあああああああああああ!!!!」
「ストップゥ!!それ以上魔力を吸ったらカズマさんが干物になっちゃうわ!」
《ドレインタッチ》で魔力と一緒に生命力も吸われたカズマはパクパク口を動かしながら倒れた。その顔は非常に悔しそうだった
「これでテレポートの魔法が使えます!ただ、私が指定してるテレポート先はどれも人が密集している場所でして…」
「じゃあ何の解決にもなってねーだろが!!おいヤバいぞ!色が赤を通り越して白く輝いてきやがった!『フリーズ』!!『フリーズ』!!ビュティも早く!」
「『フリーズ』!!『フリーズ』!!」
必死にコロナタイトに氷の魔法をかけるものの焼け石に水である
「まだ1つだけランダムテレポートという魔法が残っています!ただこれは本当にどこにテレポートするか分からなくて、海や山ならいいのですが、下手をすれば人が密集している場所に送られることも…!」
「大丈夫だウィズ!!世の中ってのは広いんだ!人のいる場所よりも無人の場所に送られる可能性の方がずっと確率は高いはずだ!全責任は俺が取る!大丈夫、俺は運がいいからな!!」
カズマの言葉にウィズは頷き、声高に魔法を唱えた!
「『テレポート』ーーーッ!!!」
地面に転がっていたコロナタイトは、どこかに跳んでいった
そろそろデストロイヤー戦も終わりですね。3巻読み始めないとなー