突如現れた令嬢のような女性にカズマは首をかしげる
「……誰?」
「んんっ…!?カズマ!今は緊急事態だからそういったプレイは後にしてくれ!!」
「その頭の悪い発言…お前ダクネスか!!」
「おい、誰の頭が悪いだと!?」
頬を赤くしながらロクでもない発言を聞いてようやく気づいたカズマたちだったが、普段の騎士のような鎧とは違う高級そうな服装や髪型に疑問を抱く
「ダクネス、どうしたんだその格好?」
「すごくキレイ」
天の助の疑問に続いてビュティはポツリと呟く。聞こえたのかダクネスは少し嬉しそうに笑う
「ありがとうビュティ……みんな、この格好も含めて全部説明するから屋敷に戻ろう」
ダクネスのその提案に乗って、ボーボボ・カズマたちは帰宅した
そして屋敷にて…
「「「貴族の娘!!!?」」」
「そうだ。そして私の本名はダスティネス・フォード・ララティーナという」
みんなが最初に聞かされたことはダクネスが貴族出身だったという話だった
さらにダスティネスと聞いてめぐみんはより驚く
「ダスティネスって、メチャクチャ大きな貴族じゃないですか!この国の懐刀とまで言われてるあのダスティネス!?」
「そんなにすごい貴族なのか!!」
そんなめぐみんとヘッポコ丸の反応を見た天の助はダクネスに声をかける
「ダクネス」
「なんだ、天の助?」
「オレはダスティネスってのがどれだけすごいか分からないが1つだけ言いたいことがある…」
真面目な声音で懐からところてんを取り出すと
「そんなにすごい貴族ならこの国にところてんを主食にするよう呼びかけてくれよ〜〜」
「オマエこんな時に何言ってんの!!!」
とびっきり媚び売り全開な笑顔でそう言う天の助にビュティは突っ込んだ
「すまない。天の助のことはキライではないが、私自身ところてんがあまり好きではなくてな」
「!!!」ガーン
予想外のカミングアウトに天の助はショックを受けた
次に首領パッチがハンカチを噛みながら悔しそうにダクネスに嫌味ごとを飛ばす
「なによなによ!!ララティーナなんて名前を暴露してヒロイン気取りのつもり!?真のヒロインは私よこの筋肉ダルマ!!!」
「筋肉ダルマ!!?それはまさか私のことなのか!!よくもそんな侮辱を…ぶっ殺してやる!!!」
キレたダクネスは首領パッチを掴み、クルセイダーとしての強力な腕力で左右にひっぱる
「ぐべェぇ〜〜〜〜〜〜!筋肉オバケに
「キサマまだ言うか!!?」
「ダクネスさん、それ以上は死んじゃうから!!」
ビュティが止めたことで首領パッチはさけるチーズみたいに真っ二つにならずに済んだ
「それで一体何が大変なんだ?」
「あ、あぁ…コホン。実は私がここ数日いなかったのはアルダープに関する話を父に報告しに実家に戻っていたのだ」
「そういえば家に一旦戻るって言ってたな」
裁判騒動の翌日に言われた言葉をカズマは思い返す
「アルダープが悪魔を使って隠していた悪事は凄まじい量だったからな。それの整理もそうだが、実はもう1つ時間がかかった理由があってな」
そう言ってダクネスが出したのは1枚の写真。さわやかな雰囲気を醸し出したイケメンが写っていた
カズマは写真を手に取り
「イケメン抹殺!!!」ビリィ!
「ああっ!?なんて事してくれるんだ!!!」
おもむろに写真を破いた。醜い嫉妬心が透けて見える
「なんかイラっとしてつい…なあ、この写真の修復頼む」
「「「
「わ!!すごい設備!」
ビュティが驚く中、破れた写真を首領パッチ・天の助・アクアに渡すと
チュイィーーーン、ガガガガガガガ!
どっかの研究所みたいな大きな機械で修復を開始した
「で、なんだっけ?」
「お前というヤツは……さっきのは見合い写真だ。簡単に言えば実家に戻った時に父から見合い話を持ちかけられてな、それの対処に困っている」
「ダクネスが結婚するという事ですか!?」
「見合いが成功すればめぐみんの言う通りになる。そしてそうなれば、私はもう冒険者を続けることはできなくなる」
「え!!」
ダクネスは顔を伏せ、プルプル肩を震わせながら自分の気持ちを正直に答える
「父は以前から冒険者は危険だからやめろとか言うが私は嫌だ!私はもっとこう…!!最終的には魔王軍に捕まって抵抗しながらも徐々に屈服していくような目に遭って……くっ!や、やめろお……っ!」
「お前もう冒険者やめちまえよ」
「「「うわぁ……」」」
性癖全開な暴露には作業中の首領パッチ・天の助・アクアも手を止めるほどヒドイ内容だった
「とにかく私はこの見合いを受ける気は全くない。しかし私だけでは父を止められそうにないから、みんなにも説得を手伝ってほしい!!!」
「「ヤダ」」
「ええっ!!断った!!?」
ボーボボとカズマは即答した
「そんなこと言わないで手伝ってあげなよ!!ダクネスさんいなくなっちゃうかもしれないんだよ!!」
「「え〜メンドクセーよ〜〜」」
「蹴り殺すよ!!!」
あまりのやる気のなさにビュティは青筋を浮かべる
「今日のビュティさん怖い!!」
「しかしなビュティ、俺たちの立場はただの冒険者だぞ?いくらパーティメンバーといえど貴族間の婚約に口出しするのは難しいと思うんだが。婚約相手にだって何言われるかわかんねえぞ?」
「言われてみればそうだな…」
カズマの言い分にヘッポコ丸は同調する。そんなカズマをめぐみんはジーッと見ていた
「意外ですね。カズマのことだからこれで厄介者が1人減ると喜ぶものだと思ってたのですが」
「確かに」
「「「うんうん」」」
「お前ら俺をなんだと思ってんだ」
「さすがに言い過ぎだろう」
思わぬカズマへの口撃にダクネスがフォローする
「まあその通りなんだけどさ」ゴロリ
「思ってたのか!!?」
ソファに寝転がるカズマを見ながらダクネスはフォローして損したと思った
「でも考えてみろよ。いまさらダクネス1人居なくなったところで俺の心労は減るのか?」
(((……ああ……)))
いつもボーボボたちの相手をしているカズマからすれば、ダクネスが居なくなったところで苦労は何1つ変わらないのであった
「それにダクネスは俺たちの仲間だからな」
「……ああ!ありがとうカズマ」
なんだかんだで根は優しいカズマだった
(「ダクネスガード」ができなくなったら困るし)
わけでもなかった。やはりクズマでカスマだった
「それでどうする?」
「カズマの言う通り説得できるかどうか…」
「やはり暗殺しかないか…」シャキン
「どういう発想でそーなったの!!?」
「ダメに決まってるだろう!!」
物騒なことを言うボーボボを止めるビュティたちを眺めながら考えるカズマ
「はいカズマー。写真直したわよ」ピラッ
その時後ろからアクアが修復した見合い写真を渡してきた
「どう、どう、完璧な出来でしょう?」
「お礼にハンバーガーのレタスの部分を100枚くれ!!」
「なにゆえ!?」
首領パッチ・天の助・アクアがそんなことを言う中、写真を見たカズマの脳に閃光走る!
「これだああああああああっ!!!!」ビリィ!
「「「あ"あ"ーー!!!?」」」
再び真っ二つに引き裂かれた写真を見て、3人は涙を流した
多分次回はダクティネス家突入側とめぐみんお留守番側にメンバーと話を分けて書くことになると思います