この素晴らしい世界にハジケリストを!   作:ジャギィ

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一気に書き上げました!今回はサービスで文字数多め…ごめんなさいウソです。本当は話をまとめて書いた結果増量しました。それでも4000字以内なのでサクッと読めると思います


奥義88 カズマです

『『ハジケ流奥義!』』

「「「ぎゃああああああああ!!!!」」

 

どさ×9

 

多くの倒れ伏した同門生、その中心にいたのは7歳のカズマとハンスだった

 

「もうへばったのか?だらしないぞ、カズマ」

 

ハンスは座り込んで呼吸を整えるカズマにそう言う

 

「よくやった、2人とも」

「師匠!!!」

 

(ふすま)が開かれた先にいたのはハジケ道場師範代、缶ジュースだった

 

「最終試練「500人組手」をよくぞ乗り越えた。では、これよりハジケ流正当伝承者を発表する」

(ついにこの時がきた…7代目ハジケ流伝承者になる日が…実力はカズマより俺の方が上だ。これで辛かった今までの修行の日々も報われる…)

「7代目ハジケ流伝承者は…」

 

そして缶ジュースはその名を告げる

 

「カズマじゃ」

 

ハンスはその時、自分の耳を疑った

 

本気(マジ)スか〜?」

「!!」

本気(マジ)スか〜」

 

嫌そうな顔をするカズマを見た時、俺のプライドはズタズタにされた

 

「納得できません!!!なぜ、カズマなんですか!!!!俺の方が伝承者にふさわしいはずです!」

本気(マジ)スか〜」

「説明してください!!!」

本気(マジ)スか〜」プシュッ

 

カズマにプルトップを開けられながら缶ジュースは理由を述べる

 

「ふっ…簡単なことじゃ」

本気(マジ)スか〜」ダバダバ

(え?飲まんの!?)

 

ちょっと動揺しつつも続きを言う

 

「お前が人間ではないからだ」

 

それを聞いた時、ハンスは絶望した

 

『人ならざるものを伝承者にするわけにはいかんのじゃ』

 

カズマに蹴られながらも無情に言うが、もはやハンスの耳には届いてなかった

 

いつもそうだった…どんなに努力しても、どんなに頑張っても、認めてもらえなかった…。人間ではない…ただそれだけで誰も俺を認めなかった…

 

「……ハンス…」

 

あまりに心ない言葉に傷ついたと思ったカズマはハンスを慰めようと肩に手を置いた

 

ピシッ

 

しかしハンスはその手を払ってカズマを睨んだ

 

「触るな」

 

その目に涙と怒りと憎悪を(にじ)ませて

 

 

 

ゴオオオオオオ

 

場面は現実に戻る

 

スゥ

 

ハンスは右腕をスライムに変える

 

「ふん!!!!」ズン

 

その腕を地面の中に突っ込んだ

 

ズボ ドゴ!

 

「!!!」

 

そして地面から出てきた触手がハンスの腹に直撃した

 

「くっ…ぐぐ…」がくっ

(うわぁ〜〜台無しだ〜〜)

 

カズマも引くような大失敗だった

 

「ぐぐ…よくもやってくれたなカズマ。こうなったら俺の超奥義を見せてやる」

 

直前の失態をカズマのせいにしてそう宣言する

 

「何ィ!!!超奥義だと!!!!?」

「喰らえ!!!スライム真拳 超 奥義「終末戦争(ラグナロク)」!!!!!」

 

ガチャリ

 

電話を取り出したハンスは受話器を耳に当てる

 

「あ、もしもし、魔王軍さんですか。私、ハンスというものですけど、倒してほしいヤツがいるんですけど…ええ…ハイ…そこをなんとか…」

(もはや技じゃないー!!!!!)

 

他力本願なハンスにめぐみんはツッコミを入れた

 

10分後

 

カズマは凄まじい数の魔王軍に取り囲まれていた

 

「撃てーっ!!!!」

 

指揮官の合図と同時に、数々の矢や魔法がカズマに襲い掛かった!

 

ただいま攻撃中♡

 

閃光、爆音、煙がカズマを包む

 

「ハッハッハーー!終わりだー!!!!」

「カズマ!!!!」

 

あれほどの攻撃を受けて生きている人間がいるわけがない。それが分かっていながら誰もが叫ばずにはいられなかった

 

もくもく

 

やがて煙が徐々に消えていき、影が現れる

 

煙が晴れた先にいたのは………頭からタンコブを1個生やす以外ダメージがないカズマの姿

 

(タンコブ1個ーー!!!!!)

 

自分たちの心配を返せとめぐみんは思った

 

ゴン

 

そのタンコブにアクアがトンカチで叩く

 

ぷく〜〜〜

 

するとタンコブからさらに小さなタンコブが

 

ちょん

 

そして2段タンコブの上にみかんを置き

 

『元旦』

 

タンコブで鏡餅を作った

 

「ぐばっ!!!!」

「今のも技なのか!!?」

 

ここで空気なダクネスが突っ込む

 

「次はこちらからいくぞ」

「受け取りなさいカズマ!!」

 

アクアはカズマに鎧を投げつける。それはアクセルの街で新しく作ったカズマの防具だった!

 

『装着!!!』カッ!

 

空中でカズマと鎧の影が重なり地面に着地すると…そこにいたのは段ボール箱を装備するカズマ

 

「終わりだ、ハンス」

 

目を見開き驚愕するハンスにカズマは静かに言った

 

「いくぞ」

 

段ボールを装備したカズマはハンスに殴りかかる

 

バキ!

 

「ぐばっ!!!!」

 

顔を殴られたハンスは血を吐く

 

「くっ…なめんな!!!!」ガッ!

 

カズマと同じように顔面にパンチを打ち込むハンス

 

「効かんな」ジュウウウウ…

 

しかし、青森のみかん産の段ボールはハンスの攻撃を通さない

 

(青森の、みかんが〜〜!!!!)

 

ゴッ!

 

再び殴られるハンス。ハンスはある夢を幻視した

 

『青森のみか〜〜ん♡』

 

それは頭部がみかんの娘においしいみかんを食べさせてもらう夢だった

 

みかんのように甘く酸っぱい雰囲気の中、ハンスはみかんを食べさせてもらい…その背後にいる、青森のりんごの存在に気がついた

 

バキッ!

 

りんごの左フックが顔面を捉える!

 

ゴキッ!

 

次に現実のカズマが顔面にハイキック!

 

ドガガガガ!

 

りんごのラッシュが顔面をグチャグチャにする!

 

ドゴォ!

 

最後にカズマの右ストレートがハンスの顔面を打ち抜いた

 

ズザザザ!

 

そしてカズマは頭の段ボールを外し

 

カパ

 

「首領パッチでした♡」

『そうだったんだーーーー♡』

 

何か変な空気になるのだった

 

「やったわ!!パチ美はやったわ!!」

「よし、帰れ」

 

泣きながらすがりつく首領パッチを冷たくあしらうヘッポコ丸

 

「ハア…ハア…ふざけやがって…」

 

大きなダメージを負ったハンスは肩で息をする

 

「ぶっ殺してやる!」

「いいぜ」

 

そう言うカズマはハンスを強く睨みつけていた

 

「アクアの仇討ちだ。アクアを殺した罪、償ってもらうぞ」

「ケッ。たかがアクア1人殺したくらいでガタガタ言ってんじゃねーよ」

 

これをハンスは挑発で答える

 

「頑張ってくださいカズマ!!!」

「アクアの仇をとってくれー!!!!」

 

めぐみんとダクネスの2人はカズマに声援を送る。涙を流すダクネスの腕にはアクアの遺影が抱えられていた

 

そしてそれを隣で見ているアクア

 

『何コレ?新手のいじめ?』

 

アクアは柔らかい笑みを浮かべながらそう思うのだった

 

(ま、別になんでもいいけどね)

「訴えれば勝てるよ」

 

寝転がりポテチを食べながら不貞腐れるアクアにビュティはそう言った

 

「ハンス、これで最後だ」

 

最後にカズマは勝負をつけるため、切り札を使う

 

「ハジケ流最終奥義「ハジケ横丁」!!!!!」

「!!!」

 

なわとび、延長コード、ロープ。様々な細長いものがカズマを中心に伸びていく

 

(この技は、唯一俺が習得できなかった技!)

 

そしてそれらが全て、切り裂き、打ちつけるためにハンスに殺到する

 

「うおおおおおおおおおお!!!!!」

 

ズババババ!

 

最終奥義はハンスに反撃の隙も与えず蹂躙していく…

 

 

 

(認めてほしかった…)

 

ハンスは過去を思い返す

 

「くそぉ、魔王軍のヤツらめ!よくもこの国を…!」

「滅んでよかったんだ。こんな国………」

「なんだと!!!」ガッ

 

ハンスに摑みかかるカズマに冷徹に答える

 

「俺のことを認めない国など、滅べばいい」

(違う)

『この世界を支配して、全ての人間に俺のことを認めさせてやる』

(違う。世界征服なんてどうでもよかった…)

 

痛みの最中(さなか)でハンスは自分の気持ちを認めた

 

「私もかー!?」

 

アクアも攻撃に巻き込まれてるがスルー

 

(本当は、本当は)

 

カズマ。お前に俺を認めさせたかった

 

 

 

フッ

 

「!!」

 

その時、カズマは急に攻撃をやめた

 

「ハァ…ハァ…どうした?なぜ攻撃をやめる?」

 

血まみれになったハンスはそうカズマに聞く

 

()めだ。勝負はついた」

「!!」

 

その言葉を聞いたハンスは怒りに任せて吼える

 

「ふざけるな!まだ勝負はついちゃいねー!!!」

「ハンス、お前はバカだ」

 

そういうとカズマは唐突にハンスの悪口を言う。カズマは続けて言う

 

「バカでマヌケで単細胞で変なスライムだ」

「カズマ、テメー!」

 

怒りで体が震えるほど頭の中が真っ赤になり

 

「でも努力家だ」

 

そしてその言葉を聞いて、ピタリとハンスは止まる

 

「人に認めてもらうためにお前は人の何倍もの努力をしてきた。…だが、不器用なお前は「力」の支配でしか人を認めさせることができなかった」

 

カズマの言うことはハンスの心を締め上げる

 

「だから人はますますお前から離れていった。当然の結果だ」

(ウルセェ…ウルセェ…)

 

認めたくても認められない事実に、ハンスは心の中で悪態を吐く

 

「だがな、人がお前のことをキラおうとも、人がお前のことを認めなくても」

 

そこでカズマは一旦区切って……ハンスをまっすぐ見ながら告げる

 

「お前は俺の1番の友達だ」

 

種族が違ったとしても、敵同士であったとしても、友達と言ってくれるカズマの本心を聞いたハンスは

 

(カズマ)ポロポロ

 

静かに泣いた

 

「頑張ったな。ハンス」

「カズマ!!」ダッ!

 

ハンスは涙を流しながらカズマに駆け寄る

 

「ハンス」

 

それをカズマは受け入れるように笑顔で腕を広げ

 

 

 

 

 

「甘えるなー!!!!!」

「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!」

 

怒りの表情でちゅんちゅん丸を下から斬り上げて、ハンスを斬りつけた

 

どさっ

 

ボロボロのハンスはカズマの背後で頭から落ちる

 

(僕達は…)ギリ

 

カズマは拳を握りしめ、歯ぎしりし

 

(僕達は…)

 

仲間たちがやってくる中、カズマは叫ぶ!!!

 

 

 

『甘えちゃダメなんだーーーー!!!!』

 

 

 

アルカンレティア編 完




これにてアルカンレティア編 完!です

思えば就活なり就職後の仕事なりゲーム実況の活動なりで忙しくて、このハジ2年目までに4章を書き上げることができませんでした。これからも勢いだけで書いてくジャギィですが、よろしくお願いします

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