ワールドトリガー / 燃えよ白龍   作:タツマゲドン

1 / 2
この作品は原作を読んでいる事を前提に話を進めます

あと自己解釈を多く含んでおります


1 白き龍

「おっしゃあ来い!」

 

「俺からで良いのか?」

 

「当然だ。早くしろよ、お前とやるのは久しぶりでウズウズしてるんだ。」

 

「ならお言葉に甘えて......。」

 

 青年は左半身を前に、右手で顎を左手で腹をガードする様に構えた。

 

 手は力を抜き半開きに、時々ブラブラさせる。

 

 青年の向かい側で2本の光る刀を持って立っているのは界境防衛機関「ボーダー」本部所属のA級隊員で、A級1位の「太刀川隊」のリーダーでありボーダー内1位のアタッカーである太刀川慶だ。

 

 太刀川は青年より3、4cmだけ背が高い、青年にとっては圧倒的な、歴戦の勇者とでも言うべきオーラが感じられた。

 

 青年は体に緊張を覚え、チャイナ服らしき服の両袖をパッと振り、地面を蹴った。

 

 10mの距離は一瞬で50cmに詰められた。

 

 太刀川が右に持つアタッカー用トリガーの「弧月」で青年が突き出す左拳を受け止めていた。

 

 次の瞬間、青年は右腕で太刀川が左手に持つもう1本の弧月の横薙ぎを受け止めていた。

 

 青年は受け止めた刀をねじ逸らし、流れる動作で頭を狙った右フックを繰り出す。

 

 太刀川が体を引いてフックを避け、引きながら右の刀を振り下ろす。

 

 体を横にずらす事で斬撃を躱した青年は右回し蹴りを放つ。

 

 しかし当たった応えは無く、回転の勢いを更に増し、4連続で回し蹴りを仕掛けた。

 

 後ろに下がって蹴りを全て避けた太刀川は地面を踏み込み、前進しつつ双方の刀を連続して突き出した。

 

 体勢を整えた青年が腕を胸の前で交差させ、全ての突きの軌道を両腕で逸らす。

 

 青年の腹を狙った突きが交差された両腕によって下方向に逸らされ、反動で青年は跳び上がった。

 

 滞空中の自身への斬撃を体を捻って避け、降下しながら太刀川の頭へ踵落としを繰り出す。

 

 両方の刀を交差させ蹴りを受け止めた太刀川はそのまま押し出し、青年は後方へ1回転して着地した。

 

「いつもだが、”当たってるのに斬撃が効かない”のは厄介だな。」

 

「こちらこそ、”トリガーが殆ど使えない”俺にとって剣は遠すぎる距離だっての。」

 

 太刀川の呟きに青年が言葉を返した。

 

 青年は右手の親指で鼻を擦る動作を見せると、再び間合いを詰めた。

 

 左ジャブ、右ストレート、右肘打ち、右裏拳、左手刀、左ローキック、左ハイキック、右下段回し蹴り、サマーソルトキック、怒涛の連続攻撃は全て躱される。

 

 右袈裟斬り、左薙ぎ払い、左突き、右垂直斬り、左面、右胴、左脛、右横薙ぎ、左逆袈裟斬り、驚異の連続撃は全て腕に阻まれる。

 

 双方が攻防のペースを速め、やがて正面からの連撃の競り合いになった。

 

「うおおおお!!!!!」

 

「やああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄いなあの人!1位の太刀川さん相手に互角だ!」

 

「さっきから速すぎてまるで見えないぜ!」

 

「第一どうやって腕で攻撃を受け止めてるんだ?!」

 

 ランク戦部屋はスクリーンに映る試合に賞賛と驚きの声が入り乱れていた。

 

「騒がしいと思ったらワンさんがバトってる訳だ。」

 

「ワンさん?」

 

 丁度ランク戦部屋に入って来た玉駒第二隊員の空閑遊真は聞いた事の無い人物名に、隣に居る草壁隊隊員の緑川駿に訊いた。

 

「そう、ボーダー内で唯一「グラッパー(格闘手)」というポジションの人だよ。本部所属じゃないからあまり知られてる訳じゃないけど。」

 

 ランク戦部屋の試合結果を示す表は片方に太刀川慶、もう片方に王白龍と書かれている。

 

 10本試合で現在の戦績は太刀川慶3勝2敗、王白龍2勝3敗。

 

「おうはくりゅう?」

 

「違う違う、中国語でワン・パイロンって言うんだって。中国人なんだ。」

 

「チュウゴク、って地名か。1つの惑星国家にこんなに違う言語があるとは驚きだな。」

 

 緑川からの説明を受け、遊真は目の前の試合に注目した。

 

 遊真はまたしても驚く事となった。

 

 A級1位の太刀川の攻撃を全てダメージ無く受け止めている。

 

 だが一番の驚愕は、ワンという青年は見た所何のトリガーも持っていない。

 

 それでも青年はその腕だけでイルガ―すら斬り墜とす太刀川の斬撃を受け止めているのだ。

 

「一体どういう事だ?」

 

「ああ、あれね、俺達皆初めて見る時に疑問に思ったよ。あれ、シールドを腕と足の表面に張っているんだって。」

 

 緑川の指摘に遊真は青年の腕や足を見るが、シールドなど全く見えない。

 

「本人が言うには攻撃が接触する瞬間にその部分だけにシールドを張っているんだって。ワンさんはこの技術を「トリオンアーツ」とか読んでるけど誰も真似しない、というか出来ないよ。」

 

「でも何で他のトリガーは使ってないんだ?」

 

「その事を前に訊いた事あるけど、詳しくは分かないけどサイドエフェクトの所為でワンさん殆どのトリガーが使えないんだって。その例外がシールドだってさ。何故かは分からないけど。」

 

「ほう......まあそれは置いといて見るか。」

 

 2人は画面に映る試合に集中する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青年が軽く跳び上がりつつ踵落としを繰り出し、太刀川が垂直斬りで迎え撃つ。

 

 青年は垂直蹴りを受けた反動で後ろへ回転し、同時にもう片方の足でサマーソルトキックを放った。

 

 身を後ろに引いて蹴りを躱した太刀川は空中で無防備な青年目掛けて居合斬りの要領で刀を一閃した。

 

 空中で回転している青年は腕を動かし、手でその刃を掴み、凄い挙動で回転しながら着地した。

 

 太刀川はもう片方の剣を振り回し攻撃を当てるか片方を振り解こうか試みる。

 

 青年は自分を襲う攻撃を躱し、遂に手に掴んだ片方の剣をもう片方の剣に当てる事で動きを止めた。

 

 剣を封じられた太刀川は不利な状況を脱出すべく前蹴りを繰り出した。

 

 対する青年は振り下ろすように蹴りを放つ事で太刀川の足を巻き込み地面に踏み付け固定させた。

 

 突然、2本の剣が更に発光したと思うとその刀身が伸びた。

 

 勢い良く流れるトリオンの噴流に、青年はシールドが破れると判断し手を離し一旦距離を置こうとした。

 

 自由を得た太刀川は弧月専用オプショントリガー「旋空」によって伸ばした刀身を前に勢い良く振り出した。

 

 中を舞い体を捻って斬撃を躱そうとするも、青年は右脇腹辺りにダメージを受けたのを感じた。

 

 その部分を見ると大きな切れ込みが入ってる”だけ”なのが見えた。

 

 しかも切れ込みは2、3秒で塞がった。

 

 太刀川はそれを見て顔を顰めた。

 

「......普通ならトリオン切れで長期戦不利になる筈だが、お前にはそれが通じないからなあ......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 観戦中の遊真は違和感に気付いた。

 

 通常なら試合のやり取りの方に目が行きがちだが、遊馬はその目の行きにくい所をしっかり見ていたのだ。

 

「トリオンの漏出が無い。どうなってるんだ?」

 

「おっ、流石遊真先輩、良い所に気付くね。」

 

 通常トリオン体がダメージを受けるとその部分に傷が付きそこからトリオンが漏れ出す。

 

 だがこの青年のトリオン体は斬られてもトリオンが漏れ出ていないのだ。

 

「あれもサイドエフェクトらしいよ。詳しく教えてくれないのが残念だけど。」

 

「そのワンさんは何で教えてくれないんだ?」

 

「さあ......ワンさんの支部長さんにでも口止めされてるのかな?」

 

 そんな中、戦績は太刀川慶4勝3敗、王白龍3勝4敗となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 猛烈な速さの連続突きを腕で左右に逸らし、カウンターの右フックを躱される。

 

 強烈なスピードの拳撃を剣で左右に逸らし、カウンターの逆居合斬りを防がれる。

 

 ぶつかり合う打撃と斬撃、攻守が次々と入れ替わる。

 

 太刀川の右横薙ぎを放つ腕を自分の左腕で受け止め抱え、反撃に右裏拳を繰り出す。

 

 青年の裏拳を左の剣で弾き、同時に剣を突き出す。

 

 青年は体勢を低くして突きを避け、低姿勢からサマーソルトキックを放った。

 

 太刀川は慌てて身を引くが、その際に左手に持つ弧月が蹴りによって弾き飛ばされた。

 

 着地した青年はまだ掴んだままの太刀川の右腕を、再び跳び上がり空中で回転する事で太刀川のバランスを崩す事に成功した。

 

 自分だけ着地に成功し、倒れている太刀川へ回転踵落としが襲う。

 

 すんでの所で1本の刀を蹴りに翳した太刀川は攻撃を防ぐ事に成功した。

 

 更に体を起こしながら下段蹴りを青年に繰り出すが同じく足で防がれる、ものの起き上がる事に成功した。

 

 距離を取り対峙する2人。

 

「剣は取らないのか?」

 

 青年が蹴りで吹き飛ばした弧月を指し示して言った。

 

「いや、一刀流でも十分だ。」

 

 太刀川はそう返すと地を駆け、前進しながら連続撃を仕掛ける。

 

 腕で刃を防ぐ青年だが、相手は反撃のチャンスを与えてくれない。

 

 青年は振り出される剣の先端を掴んだ。

 

 両手の親指と人差し指の計4本の指で掴まれた剣は太刀川が力を込めても中々動かない。

 

「ぬおおおおお!!!!!」

 

「ハイヤーッ!!!!!」

 

 次の瞬間、剣先はまるで胡桃の様に割れた。

 

 弧月の耐久性を信頼し切っていた太刀川は思わず動揺した。

 

 一瞬で青年は太刀川の顔面に裏拳を決めた。

 

 そのまま左右の拳を連続して打ち付け、最後に助走を付けつつ跳び蹴りを炸裂させた。

 

 トリオン伝達脳の一部を破壊され、しかも体中の傷からトリオンが漏れ出す。

 

『最終戦績 太刀川慶6勝4敗 王白龍4勝6敗』

 

 ランク戦ブースに戻された2人は人工音声の告げる結果を真っ先に聞いた。

 

「結局また負けかよ。」

 

『そんなこと言うなよ、俺も久しぶり負けるかと思ったんだ。』

 

 青年のぼやきにスピーカーからの太刀川の声が返事する。

 

「知るか、勝たなきゃ意味ないだろ。」

 

『まあ楽しかったぜ。それよりもさっきの弧月を指の力、正確にはシールドの硬さも利用して、割ったのは凄かったな。』

 

「おう、ジャッキーの指は胡桃すら割る、これテストに出るからちゃんと覚えろよ。」

 

 談笑し合う太刀川慶と王白龍だった。

 




この作品は作者がワールドトリガーにカンフー要素を入れたくて書いた作品です(無論それ以外の理由もありますが)

人物紹介
名前:王白龍(ワン・パイロン)
年齢:20歳(大学生)7月13日生まれ
身長:175㎝
血液型:B型
好きなもの:格闘 メカニック 哲学 カンフー
所属:ボーダー某支部所属 A級白龍隊
階級:A級隊員 隊長
肩書き:グラッパー
所持トリガー:
 メイン> シールド 不明
 サブ > シールド 不明
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。