ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
・ハリーside
リズにニコラス・フラメルについて教えてもらうことへの条件は、一つリズの頼みを聞くことだった。だから僕は、こうして透明マントをかぶり、夜のホグワーツを歩いている。
リズの指示は、こうだ。まず禁書の棚に忍び込み、『魔力と魂』という本を探す。見つけたらそれを急いでリズの袋に入れる。
リズから預かった袋は巾着程度の大きさで、到底本が入るとは思えなかったが、何とかっていう呪文が掛けてあるらしく、簡単に言えば『四次元ポケ◯ト』のようになっているという。本を入れた後でも薄っぺらな状態が保てるから、それをすぐにポケットへ突っ込めとのことだった。そうしたら何をしても良いという。折角だから、ニコラス・フラメルについて調べてみようかな。
ちなみに、ロンには今日は遠慮してもらった。初めてマントを使うから使い勝手がわかりにくいし、今日は僕一人で試してみることになったのだ。……本音は、父さんの形見を最初に使うのは僕が良かったというのもあるけど。
図書館に到着した。
リズにはあらかじめ場所の見当がついていたようで、指示通りの棚に行き、本を探す。暴れ出したり叫んだりする本もあるかもしれないらしいので、極力関係ない本には触らずに探すこと、数分。目的の本を発見した。それを袋に入れ、ポケットへ押し込むと、僕はランプを持ち直した。ニコラス・フラメルの錬金術の本を探すためだ。
今わかっていることは、四階の右側の立ち入り禁止の廊下にある部屋にいる、三頭犬フラッフィーは、ニコラス・フラメルの賢者の石を守っているということだ。ハグリッドから漏れ聞いた情報によると、他の先生が仕掛けた罠もあるようだ。
スネイ———
バタン!
どこかでドアが閉まる音がした。驚いた僕は、机に置いていたランプをひっ掴もうとしてなぎ倒してしまう。
カシャン!
静かな図書館に、ガラスが割れる音が響いた。間髪入れずに管理人のフィルチの猫、ミセス・ノリスが本棚の向こう側から現れる。ミセス・ノリスはこちらをジッと睨んだ後、素早く身を翻してかけて行った。きっとフィルチに報告に行くのだろう。
ミセス・ノリスがいなくなった瞬間、僕は走り出した。図書館はとても広い。一時的に隠れることの出来る場所はあるだろう。
「———わかっているだろうな?」
「な、何のことやら」
ねっとりした低い声が聞こえた瞬間、僕はピタリと足を止めた。スネイプがクィレルを脅している。僕はスネイプに気が付かれないうちに、そっとドアが半開きになっている部屋に滑り込んだ。
部屋の中には、ひとつの大きな鏡が置いてあった。透明マントを脱ぎ、鏡の目の前に立つと、鏡に二つの人影が現れる。
一人は、くしゃくしゃの黒髪にハシバミ色の目をした男性。もう一人は、赤毛に緑色のアーモンド型の目をした女性。僕には見覚えがあり過ぎる人々だ。
「母さん……父さん……!」
後ろを振り返ってみても、父さんと母さんはいない。僕はそっと鏡に触れた。