ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
「リズ、ドラゴンよ」
図書館で本を探していると、ハーマイオニーがドアップになって報告してきた。うん、ニコラス・フラメルのことがあったから覚悟はしていた。していたけど、何で私に聞くの?
ため息をつきつつ、私は後ろの方の本棚を指差した。
「隣の通路の左の棚、上から三段目、右から三冊目。『ドラゴン全集〜ドラゴンの孵し方から老後まで〜』」
それだけ言うと、面倒ごとに巻き込まれないようにすぐに図書館を後にした。
・ハーマイオニーside
「……と言うわけで、リズの言う本を借りてきたわ」
私はハグリッドの小屋で、ハリー、ロン、ハグリッドを前にして言う。
ロンが私から本を受け取り、表紙を開いた。
『ドラゴン全集〜迷いドラゴンの飼い慣らし方から老後まで〜』
「表紙と題名が変わってないか?」
「気にしちゃダメよ。次のページに行きましょう」
ページをめくると、目次になっていた。
『一、そもそもドラゴンとは
二、ドラゴンの孵化の仕方とコツ
三、ドラゴンの種類と特徴
四、ドラゴンについての法律の抜け道
———』
「———って、抜け道!?」
「マジか。抜け道あるのかよ」
「というか、この本の作者って誰なんだ?」
ハリーの疑問に答えようと、ロンが本を閉じて表紙を見る。そして、一瞬目を瞑った後、一箇所を指差した。
「どうしたのよ?」
「見ればわかるさ」
その言葉通り、私とハリーとハグリッドは著者名を見、目を瞑ってこめかみをぐりぐりした。
『ミステリズ・ガール著』
ミステリズ・ガールなんて聞いたことがないが、少し考えればすぐわかる。
まず、この単語は元は『
「そういえば、私は「ドラゴンよ」って言っただけなのに、すぐにこの本を持っていくように教えてくれたわね」
「まさに不思議ちゃんだな。よくわかってる」
「とにかく、読み進めよう」
まだ目次を見ている最中だった。もう一度、続きを読んでいく。
『———
五、もしもパブでフードをかぶった怪しげな男に賭けで勝ち、違法にドラゴンの卵を手に入れたら
———』
「ブフォッ!!」
突然、ハグリッドが口に含んでいたお茶を噴き出した。
「ハグリッド、大丈夫?」
「い、いや、問題ねぇ。ただ、あまりにも心当たりがあったもんで……」
「まさか、パブでフードをかぶった怪しげな男に賭けで勝って卵を手に入れたの?」
ハリーが、炉にかけてあるドラゴンの卵をチラッと見ながら聞く。
「ま、まあ、そうとも言うな」
「過去のことを振り返ってもしょうがないわ。これを読みましょう」
『五、もしもパブでフードをかぶった怪しげな男に賭けで勝ち、違法にドラゴンの卵を手に入れたら
この章を読んでいるあなたの元にある卵は、もう孵化寸前か既に孵化した状態でしょう。この時点では、もう既に卵の状態でドラゴンを手放すことは出来ません。孵化した赤ちゃんドラゴンが手元にある前提でお話しします。さらに、ドラゴンがノルウェー・リッジバッグだと仮定した上でお話しさせて頂きたいと思います。
———』
「思いっきりその通りじゃないか」
「黙って、ロン。とにかく読まなきゃ」
『———
ノルウェー・リッジバッグに限らず、ドラゴンの赤ちゃんの成長はかなり早いです。具体的な例を上げると、ホグワーツの『禁じられた森』の側に建つ家くらいの大きさに成長するのに二週間もかかりません。その家が木の家だとすると、たぶんその頃には焼け落ちていることでしょう。
———』
「だってよ、ハグリッド」
『———
ドラゴンを無断で飼うことは一七〇九年のワーロック法により、違法です。まず、これを読んでいるあなたは相談できる相手がいなくて困っているでしょう。しかし、ご安心を。この『ドラゴン全集〜迷いドラゴンの飼い慣らし方から手放し方まで〜』があれば、きっと何とかなるはずです。
———』
「急に本の宣伝を始めたな」
「しかも題名がまた変わってるし」
『———
ドラゴンの卵を手に入れたあなたは、ドラゴンへの愛が溢れて止まない優しい方なのでしょう。きっと、『禁じられた森』の奥深くに住むと言われる人狼に捧げるような残酷なことは出来ないはずです。
———』
「うん、その通りだ」
『———
ならば、処rげふんげふん手放し方として、最適なものがあります。
———』
「今処理って言いかけたよな」
『———
すなわち、『食べる』という手段です。
———』
「「「「へ?」」」」
『———
まず、ドラゴンの毒と血を抜きます。そして———』
「うがあああああああああ!!!!!」
「ハグリッド!! ショックなのはわかるけど、机に頭を打ちつけるのはやめよう!! 壊れるから!!」
「さすがに食べるのはどうかと思うのだけど」
『そうですか? 見ず知らずの人に食べられるよりは、愛する主人に食べてもらう方がノーバートにとっても良いと思ったんですけど』
「ドラゴンの名前まで予測してたのね。あなた何者?」
『ただの本です』
「著者の話をしてるのよ」
『ミステリズ・ガールと申します。ちなみに出版社は『虎七味社』です』
「聞いたことないわね」
『私がごく最近作りましたから』
「ハーマイオニー、何で本と普通に会話してるんだ! 手伝ってくれ!」
『ああ、頭部に強い衝撃を与えるとハグリ———ドラゴンをこよなく愛するあなたにはちょうど良いと思いますよ』
「やってみるわね」
グァン!!!
「……ふぅ。ありがとう、ハーマイオニー。ちったぁ落ち着いた」
「そうみたいね。一応、他の方法が載っているかもしれないから、続きを読んでみましょうか」
「そうだね。リズ———じゃない、これはミステリズ・ガールのブラックジョークだったのかもしれないし」