ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
・ジャスティンside
ミステリズ・ガールは羊皮紙を確認したかと思うと、さっさと残った商品をローブのポケットに詰め込み始めた。明らかにポケットの容量を超えているが、
パチンと指を鳴らすと紫のテーブルクロスが浮き上がり、机が自動で折り畳まれる。コンパクトなサイズになった机はテーブルクロスに包まれ、ミステリズ・ガールの左ポケットに吸い込まれるようにして消えた。
ミステリズ・ガールは、紫に着色されたガラスのボールを取り出しながら言った。
「今日はおしまい! また来てね!」
ボールを地面に叩きつけると紫の煙がもくもくと立ち上り、煙が晴れた頃にはミステリズ・ガールは消えていた。
「……何がしたかったんだ?」
「さあ?」
僕達は急いで寮に戻ることにした。
*
・ジャスティンside
「あら? 皆さんお揃いでお出かけしていたんですか?」
寮に戻ると、何食わぬ顔でリズが本を読んでいた。僕達が近くの椅子を引いてきて座ると、リズは本を閉じる。そして、紅茶をどこからか持って来た。
「先ほど、ミステリズ・ガールなる人物にお会いしたのですが」
リズが言った瞬間、僕らは揃って紅茶を噴き出した。リズが杖を振るうと飛び出た液体は消える。
「中々面白い商品を取り扱っていまして。思わず購入してしまいました」
リズがポケットから商品を取り出す。全部で十種類ほどあったが、それが全て揃っているように見える。
「全て買ったら、特典としてこんなものを頂いたのです」
そう言ってリズが取り出したのは……
「……コンタクトレンズ?」
マグル生まれの僕はわかったものの、魔法界育ちのスーザンとジャスティンはわからなかったようだ。
僕が簡単に説明すると、二人は興味深そうにケースに入ったコンタクトレンズを見つめていた。
「そういうことですので、
「はい?」
僕は思わず聞き返した。
「え? 何か私、おかしなことを言いました?」
「何で僕なんですか?」
「え、だって秘密の部屋ですよ? ジャスティンは気をつけた方がいいのでは?」
「確かにマグル生まれですけど……。それなら混血の方も気をつけるべきでは?」
「……ああ、なるほど。詳しくは知らないのか……」
リズは一人でブツブツ呟いた後、寮の部屋に戻っていく。そして、再び現れた時には一冊の本を手にしていた。
「これに全てが載っています。読んでおくといいでしょう」
そう言って、寮を出て行ってしまった。
「……読んでみましょう」
『ホグワーツの歴史・決定版 1991〜1997年のホグワーツ生向け』
「めちゃくちゃピンポイントだな」
「需要あるのかしら……?」
『虎七味社出版 ミステリズ・ガール著』
「「「ミステリズ・ガール!?」」」
「と、とにかく目次を見てみましょう」
『一、ホグワーツ魔法魔術学校とは
二、ホグワーツ創設者について
三、ホグワーツ歴代校長一覧
四、ホグワーツのお茶目な仕掛け———
———』
「関係なさそうなのが続くわね。飛ばしましょう」
『———
二十四、スリザリン氏とその他創設者の対立
二十五、スリザリン氏の思想について
二十六、秘密の部屋
———』
「これだな」
『第二十六章 秘密の部屋
第二十四章でお話しした通り、創設者達の対立の末、サラザール・スリザリン氏はホグワーツを出て行きましたが、その時にスリザリン氏が人知れず残したと言われるものが『秘密の部屋』です。第二十五章で述べた通り、スリザリン氏はマグル生まれがホグワーツで魔法を学ぶことに反対していました。スリザリン氏はホグワーツを去りましたが、いつかマグル生まれをホグワーツから排除しようと、秘密の部屋に『スリザリンの怪物』を遺したと言われています。
著者の調査によりますと、スリザリンの怪物はとある秘密の経路をたどって学校中を移動することが出来、それによってマグル生まれを殺す手筈となっているようです。秘密の部屋の入り口についてもわかりましたが、スリザリン氏の趣味がアレだということを暴露する結果となりますので、ここでは控えさせて頂きます。
スリザリンの怪物には『死』を与える力があります。たぶん、それは直接目に作用する力でしょう。これを読んでいるマグル生まれなあなた。サングラスや眼鏡、コンタクトレンズなどで怪物の力が死を引き起こすのを防ぎましょう。』
「……だからコンタクトレンズ、なのですね」
僕はリズに渡されたレンズを見る。
「つけておいた方がいいのかもしれませんね」