ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
スーザン達が協力してくれるらしい。しかし、素直に「悪霊の火の呪文を調べています、手伝って下さい」なんて言えるわけがない。
なら。別のことを頼もう。
「スーザン、あなたが一度決めたら引かない性格だということはわかっています。なら、石化の能力を持つ魔法生物と、その対処法について調べて頂けませんか?」
「わかったわ」
「僕達はどうすればいい?」
「スーザンと同じものを調べて下さい。そっちの方が、断然時間が掛かるものですから」
魔法生物のコーナーに向かって歩き出した彼らの背に、ふと思い出したことを投げ掛ける。
「ああ、『虎七味社』の本があっても、それは調べなくて大丈夫ですよ」
「どうしてです?」
「私が把握していますから」
・スーザンside
「やっぱり、教えてはくれないみたいね」
「どういうこと? 調べ物を手伝えたじゃないか」
セドリックの言葉に、私達三人は首を横に振る。
「リズは優先順位の高いものを先に調べるから、今リズが調べていることこそが一番重要なものなの。たぶん、私達には知られたくないのでしょうね」
はぁ、とため息をつきつつ、魔法生物図鑑をパラパラとめくっていく。
「スーザン、見つかりました?」
振り返ると、一冊の本を持ったリズが立っていた。私は首を横に振る。
「石化能力だなんて珍しい能力の魔法生物なんて、そうそういないわよ」
「でしょうね。一つだけ可能性がある魔法生物がいるのですが———」
「なんですって?」
驚いたように監督生がリズを見る。その視線を受け止め、リズはザカリアスが見ていた『珍しい魔法生物百選』を取り上げ、ページをめくる。
「バジリスク。その魔眼を直接見たものは、瞬時に死に至ると言われています。ですが、それは直視した場合だけ。何かを通して見れば、例えば鏡やガラスなどですが、石化に留まるだけと言われています」
「何か弱点はないんですか?」
「鏡に映った自分の姿、雄鶏の鳴き声などですかね。退治の仕方は、簡単。首を刺せば死ぬでしょう。———バジリスクの牙にある毒に気を付ければの話ですが」
何も見ずに、スラスラと答えるリズ。
セドリックが聞いた。
「バジリスクの毒は、解毒出来ないのですか?」
「出来ますよ。不死鳥の涙があれば一瞬で解毒出来ます」
リズの顔は無表情だった。
「手伝ってくれてありがとうございます。私の方も調べ物にひと段落したので、解散にしましょうか」
それだけ言うと、リズは図書館から出て行った。
*
「ふーん。バジリスクかぁ」
ルーナは呟いた。
「あんたのことだし、何か対策は思いついたんでしょ?」
「信頼してもらえるのはありがたいけど、私は万能じゃないんですよ」
言いながら、ポケットから小さなピンバッジを出す。
鷲のモチーフのそれを受け取り、ルーナは首を傾げた。
「何これ」
「バジリスク対策です。寮内及び、寮内から半径二メートル以内に蛇が出現したら大音量で雄鶏の鳴き声が流れるようになっています。これを、あなたの部屋のカーテンに付けておいて欲しいのです」
「談話室じゃないんだ」
「あなたがやると怪しまれそうでしょ。どこに付けても寮全体に効果があるんだから、あなたの部屋が一番リスクが低いと思ったんです」
「グリフィンドールとスリザリンは大丈夫なの?」
「グリフィンドールは、悪戯道具として双子に渡せば何とかしてくれるでしょう。問題はスリザリンなんですよね……」
「寮の場所がわかんないもんね」
「わかりますよ? クリスマスの時期の合言葉も知っています」
「忍び込むんだ?」
「ハイリスク・ローリターンですがね」
ルーナがシフォンケーキを食べ終え、三つ目に手を出す。
「やっぱり、継承者はスリザリンは狙わないんだ」
「可能性は少ないでしょうね。スリザリン寮所属のマグル生まれや混血なら、狙われてもおかしくないですけど」
「継承者は誰なの?」
ルーナは平然と聞いてくる。だから、私も平然と答えた。
「スリザリン生じゃありませんよ」
「何でわかるの?」
「さあ、何ででしょうね?」
私はポケットの中で杖を握り、元から掛けてあった防音呪文を三重にまで掛け直した。それから口を開く。
「継承者は、ホグワーツ生を操っていました」
「今は違うんだ」
「ええ。操られていた本人から、その原因を差し出されましたから」
一瞬、ポケットから日記を出して見せ、そしてすぐにしまう。
「ルーナ。私はどうすればいいんでしょう?」