ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
「あんた、未来がわかるんだ」
「……どうしてそう思うんです?」
「だって、原因が手元にあるのに、表向きに解決させた方がいいのか迷ってる。未来を知ってるから、それを変えたら悪い方向に変わってしまうんじゃないかって心配してる。未来を知らないなら、そんなこと考えない。あんたに見えてる未来は、ハッピーエンドなんだ」
レイブンクロー生の推理力には脱帽だ。私は少し脚色しつつ話すことにした。
「私には未来が見えます。しかし、それは全てではありません。十年後の世界なんてわかりませんし、逆にあなたの明日の朝食だとかの細かいこともわかりません。ですが、これは知っています。これがハリーの手に渡れば、学年末には事件は綺麗に解決する」
「何か問題があるんだ?」
「私の知る未来では、あと四人の犠牲者が出ます。もちろん石化に留まりますが、その時間は返って来ません。ミセス・ノリスは対策が不十分だったために石化しました。コリン・クリービーは私の不注意です。次の犠牲者を出すか出さないかは、ある意味私の手に掛かっているんです」
「次の犠牲者は、誰なの?」
「……ジャスティンと『ほとんど首無しニック』です」
声が震えた。
「最後は、ハーマイオニーとペネロピー・クリアウォーター。そして、ジニー・ウィーズリーが秘密の部屋に連れ去られます」
「なんで?」
「ジニーが操られていた人だからですよ」
「連れて行って、どうするの?」
「ジニーの魂を吸収し、継承者は肉体を持った人間になるのでしょうね」
「未来って、結構細かく見えるんだね」
「未来は不確定です。些細な行動で、少し先の未来もまったく違うものに変わってしまう。私にはたった一つのルートしか見えません。どこかで脇道にそれた時点で、私は普通の人になります」
「あんたは脇道にそれて欲しいんだね」
「……」
「あんたは、普通の人になりたいんだ」
私は、何も答えない。
「けど、それで悪い未来になるのはもっと嫌なんだ。ハッピーエンドになって欲しい。けど、それが犠牲者達の時間を奪うことに繋がる。だから、あんたは迷ってるんだ」
ルーナは最後のシフォンケーキを食べ切った。
「それなら———」
ルーナは自分の考えを述べた。
私は紅茶を飲むと、ふっと息をはく。
「ありがとうございます、ルーナ。あなたに相談して良かった」
「当たり前でしょ。あんた、友達だもん」
ルーナも紅茶を全て飲み切り、カップを返して来た。
立ち去ろうとするルーナの背に、私はそういえば、と言った。
「あなたの新しい羊皮紙の束、どうやらルームメイトのベッドの下にあるようですよ」
「……そっか」
私達の関係は、浅いようで深く、深いようで浅い。
*
……さて。
決闘クラブ、どうしようかな。