ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
目を開けると、真っ白な天井が見えた。
「目が覚めた?」
目をこすり、声の主を見ると、校医のマダム・ポンフリーだった。ということは、ここは医務室なのか。
「あの、私、どうしてここにいるんでしょうか?」
「覚えてない? 『秘密の部屋』の被害者の横に倒れてたんですよ。たぶんショックと疲れがたまっていたからでしょうね」
確かに、ここ最近ろくに眠っていない気がする。
向かい側のベッドを見ると、ちょうどハーマイオニーが横たわっていた。
「襲われているところは見たの?」
私がぼーっとハーマイオニーを見つめていたからだろう。マダム・ポンフリーが聞いてくる。
「いえ……。石化した二人を見つけただけなので……」
「そう」
「あの、帰ってもいいでしょうか?」
原作ハリーは何があっても一晩入院していた気がするので、私は恐る恐る尋ねた。
「自己判断でいいでしょう。帰りたいなら帰ってもいいし、体調が不安ならまだここにいなさい」
「帰ります」
マダム・ポンフリーの気が変わらないうちに帰ることにした。
*
あっという間に時が過ぎた。
私はずっとジニーから日記を取り返そうと画策していたのだが、ジニーの守りは堅く、失敗に終わっていた。
そして———
『彼女の白骨は永遠に『秘密の部屋』に横たわるであろう』
ジニーが秘密の部屋に連れ去られた。
*
私が『嘆きのマートル』のトイレの流し台を前に、どうやって入ればいいのか考えている最中、ハリー、ロン、そしてロックハートが登場した。
手早くハリーに蛇語で入り口を開いてもらい、パイプの中にロックハートを突き落として下見させる。
「じゃあ、行きましょうか」
そういえば、ロンの杖が壊れていないから、ロックハートに逆噴射しないのか。ということで、ロンに背後から改良型錯乱呪文(錯乱時間は約三秒)を掛け、素早く偽物とすり替えた。逆噴射する優れものだ。
順番にパイプを降りて行くと、何かで埋め尽くされた場所に着地した。何かの正体は考えないようにする。
「骨だ……」
ハリーが一瞬で私の努力を打ち砕いた。悲しくなった私は、聞こえないふりをすることにした。
「見て下さい。バジリスクが脱皮した跡です」
「何メートルあるんだ?」
「どうでしょうね」
ロックハートが何かにつまづいて転ぶのが見えた。側にいたロンが呆れた顔をする。ロックハートは何気ない動作で立ち上がり———
「おい!」
ロンの手からロンの杖(偽)を奪い取った。
ロックハートは私達三人に杖を向ける。
「さあ、冒険はここまでだ。今から君達の記憶を消す。先生方には、君達は蛇の脱け殻を見て、かわいそうなことに正気を失ってしまったと話せばいいだろう……」
「ジニーはどうするんだ!」
「手遅れだったと言えばいい。さあ、覚悟は出来たかな?」
ロックハートは大袈裟に杖を振りかぶった。
「『オブリビエイト———っ!?」
バーンとロンの杖(偽)が逆噴射し、ロックハートは盛大に吹っ飛んだ。ロンの杖(偽)は、呪文の効果が三割増しになるようにしてあったから、ただでさえ強力な忘却術が凄いことになっているだろう。
私はロックハートの手からロンの杖(偽)をもぎ取って言った。
「あれー、ロックハート先生が持っていた杖、偽物ですねー。おやー? この杖、かの『魔法が必ず逆噴射する上に効果が三割増しになる騙し杖』じゃないですかー。ロックハート先生は自殺願望があったんですねー(棒)」
「リズ、さすがに無表情で棒読みはやめないか?」
「笑顔の方が良かったですか?」
「……それも怖いけど」
じゃあ私はどうすればいいんだ。
「……僕の杖は?」
恐る恐るロンが尋ねてきたので、私は笑顔でロンの杖(真)を返した。「……なんでリズが僕の杖を持ってるの?」という声が聞こえたが、私は丁重にスルーさせて頂いた。
……さて。そろそろ来るかな?
私は何かを調べるふりをして奥の方へ進む。その瞬間、天井が崩れ落ちた。
ハリーはこちら側、ロンとロックハートはあちら側。二つを隔てる岩は、そう簡単には崩れない。なぜわかるのかって? 私が細工したからに決まってるじゃないか。
こうして、私とハリーがジニー奪還のため、『秘密の部屋』を進むことになった。