ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
・ハリーside
目の前で、リズが石化した。
目を閉じるようリズに言われた後、再び目を開けたのは、ちょうど氷で出来た槍がバジリスクの片目に吸い込まれるようにして突き刺さった時だった。そして、リズの杖から出た炎がもう片方の目を襲った瞬間、リズは石化したのだ。
その途端、リズが足場にしていたバリアが消えたのか、リズの身体が地面に叩きつけられるようにして落ちた。駆け寄ると、リズは歯を食いしばり、杖を突き出した格好のまま固まっていた。まるで、最後の瞬間を切り抜いたような姿だ。
ふと、ポケットに覚えのないかさばりがあるのを感じた。僕は、リドルが何やら満足そうに話しているのを聞き流し、リズの作ったオブジェに隠れるようにしてそれを出した。
手紙だ。
『ハリー。
これを見てるってことは、私は石化したか死んだんですね。私の企みが成功していれば、無事バジリスクの目は潰れているでしょう。安心して戦って。
魔法が無事発動していれば、あなたのポケットにはポシェットが入っているはず。一年生のクリスマスに貸したのと同じものです。それに、たくさんの魔法を込めた氷のボールを作れるだけ作って入れておいたから、投げるなり割るなりして使って。
あと、リドルの本体は、『リドルの日記』だから、何とかしてそれを破壊すれば倒せるはず。一応断っておくと、氷のボールの魔法では日記は壊せないと思う。
封筒は、もし私が死んでいたら見て欲しいです。石化しただけなら、見ないで下さい。
健闘をお祈りしています。 リズ』
慌てて書きなぐったのか、かなり乱れた最後の字を読んでから、僕はリドルの様子を伺った。何かを得意げに話していて、僕の様子はほとんど気にしていない。
封筒をポケットの奥の方にしまい、ポシェットを出して、中からボールをいくつも取り出す。とにかく投げまくって気をそらし、無造作に落ちている日記を拾わなければいけない。
リドルが息継ぎをし、また何かを言おうとした瞬間、僕はボールを思いっきり投げつけた。
大きな破裂音がし、同時に赤い閃光がリドルに向けて発射されたのを横目に見ながら、僕は走って日記を拾い上げた。
バジリスクが暴れる音が聞こえたので、五つほどボールを投げつけると、一つは赤、二つは黄色の閃光が飛び出し、残りの二つからは盾の呪文が展開された。色々な呪文がランダムで入っているみたいだ。
とりあえずひたすらボールを投げまくりながら、僕は日記を破壊できそうなものを探した。リズの魔法が効かないなら、岩で殴りつけても破壊は出来ないだろう。他は……。
バジリスクの牙が目にとまった。ハーマイオニーが握っていた紙には、バジリスクの牙には毒があると書かれていた。あれなら日記を破壊出来るだろう。
リドルに向かって、ふた掴みほどのボールを一気に投げてから、僕はバジリスクに向かって走り出した。
———僕も死ぬかもしれない。けど、リズだって自分を犠牲にしてまでジニーを救おうとしたんだ。このくらい、なんてことない!
そう思った瞬間、僕の頭の上に何かが落ちて来た。組分け帽子だ。頭上には、ダンブルドアのペットのフォークスがいる。
僕は無意識に帽子の中に手をやり、剣を引き抜いた。それを振りかざし、目の前にあるバジリスクの口内を斬り付けて閉まらないようにしてから、思いっきり下の牙に日記を突き刺した。
「やめろぉおおおおおおおおおお!!!」
リドルの叫び声を聞き、僕はもう一度剣を振りかぶってバジリスクの口内に突き刺した。その時に同時に自分の腕に牙が刺さった。
鈍い痛みを感じながら、僕はリドルが消滅していくのを見つめていた。