ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
「———という魔法になります。まだまだ改良が必要な魔法ですが、いずれ悪戯をする上でかなり重要となる魔法でしょう」
「……理論はよくわからないが、役に立つということはよくわかった」
フレッドとジョージ、略してフレッジョとの交渉を終えてから、場所は変わって図書室。私は先の魔法の説明をしていた。
私達が行った交渉で、向こうの要求は「自分達の悪戯に手を貸して欲しい」というものだった。私は「悪戯には手を貸すが、一切の責任を持たない。また、自分の研究などでたまに手伝って欲しい」と要求した。互いの利害が一致した私達は、ガッチリ握手を交わし、悪戯の相談をするために図書室へ来たのだ。
「まず、あなた方の目的は『悪戯専門店の開業』で間違いありませんね?」
「何故それを知っているのかはあえて聞かないが、その通り」
「そのためには、様々な悪戯グッズの開発が不可欠ですね。とりあえず、一度大きな悪戯を全校生徒に仕掛け、反応を見てみるのはどうでしょう?」
「それには賛成だ。結構はいつにする?」
「とりあえず、ハロウィーンの日にするか?」
ジョージがハロウィーンの日を提案したので、私は慌てて却下した。クィレルのせいでトロールが侵入する日だ。悪戯に水を差され、中途半端な結果に終わってしまうだろう。
「ハロウィーンの日は、皆悪戯にある程度警戒しているでしょう。あえて前日にやるのはどうでしょうか?」
「それもいいな。あと一ヶ月もないから、早速試作品を作り始めないと」
「では、お二人はこのドでか花火をお願いします。残りの細々としたものや前座は私が担当しますので」
「そんなに出来るのか?」
「実際の製作には手を貸していただくでしょうが、試作品程度なら一人でも出来ると思います」
既に、ハリポタの五巻の映画のフレッジョから発想は掴んでいる。それを形にすれば良いだけの話だ。
「それでは、また来週にお会いしましょう」
「次は試作品を持ち寄って、だな」
「リズのを楽しみにしてるよ」
*
さて、中々に厄介なものを背負ってしまった。
「『ペリキュラム』」
そっと呟くと、杖先から火花が飛び散った。これは、原作四巻の『
前世に読んだファンタジーの小説では、魔力を何かに注ぎ込み、その器を割ることによって魔法を発動させることが出来た。その本では、魔力を注ぐのに最適なのは宝石だったが、ガラスでも良かったはずだ。ガラスでも良いなら、氷でも良いのか?
というわけで、試してみた。
「『グレイシアス、氷よ』」
うろ覚えの呪文だが、あっているはずだ。
初めてやった呪文の出来は散々だった。手に乗る程度の、中が空洞の球体を作ろうとしたのだが、形はぐにゃぐにゃ。綺麗な円を作ることが出来ない。空気の抵抗が原因? それともイメージが足りないのか、氷の厚さが薄過ぎるのか?
変身術の授業を思い出してみると、初回の授業ではマッチ棒を針に変えていた。その呪文を使うことがわかっていた私は、事前に練習していたために一発で成功させることが出来たが、初めてやってみたときはぐにゃぐにゃの針だった。とにかくイメージが大切だと思った私は、マッチ棒の直線に沿って杖を動かしながら何度も練習した。
今度は、小さな円を描くように杖を振りながら呪文を唱える。
「『グレイシアス』」
今度出来たのは、厚さ三ミリほどの平べったい円の氷。綺麗な円形になったのは良いが、これでは立体ではない。まずは、氷を薄くすることより球体を作る方が優先だろう。
私は再び杖を構えた。