ひなたぼっこの研究者   作:たんぽぽ

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第50話 二度目の決意

 目を開けると、まず最初に見えたのは天井だった。

 数秒ほどぼんやりと真っ白な天井を眺め、ハッとして起き上がった。

 

「リズ! 気がついたのね!」

 

 スーザンが嬉しそうに駆け寄ってきた。

 私は少し考え、スーザンに尋ねる。

 

「私が石になってから、何日が経ちましたか?」

「数時間よ。マンドレイクの薬が出来ていたから、すぐに石化は解けたのよ。けど、少なくとも二時間は眠っていたわね」

「……石化が解けたってことは、事件は解決したんですよね」

「そうよ。ポッターがリズにとても感謝していたわ」

 

 感謝されるようなことをしただろうか。記憶を探るが、石化直前の記憶はどうも曖昧で、正確なことは思い出せない。

 

「大丈夫?」

 

 考え込んでいた私の顔をスーザンが覗き込む。私は笑顔を作ると、ベッドを出た。どのように事件を解決したのか、ハリーに聞かなければいけない。

 

 ハリーがどのようにリドル及びバジリスクを倒したのか聞いたとき。ハリーがどうにかして原作通りドビーを解放することに成功したことを知った。私達三人が大幅に加点されたのは医務室でだと聞いていたからどうやったのか不思議だったが、疲れていたので聞くのはやめた。また後日聞けばいいだろう。

 

 今年一年は、やる事なす事が裏目に出る———とまではいかないが、あまり上手くいかなかったように思う。『ほとんど首無しニック』を除いて誰一人犠牲者を救うことは出来なかったし、日記をハリーに渡したらジニーの手に戻ってしまうなどのハプニングも起こった。原作でちゃんと犠牲者が出る日がわかっていたにも関わらず、直前まで忘れていたりした。

 たぶん、私は焦り過ぎていたのだろう。焦るあまりに空いている時間は『必要の部屋』にこもり、睡眠時間が減る。睡眠時間が減ったから、疲れが溜まって作業効率が落ち、さらにはミスが増える。だからまた『必要の部屋』にこもり———最悪の循環だったのだ。

 私は転生者だし、原作知識も持っている。しかし、その前に私は一人の人間なのだ。いつかルーナに言ったように『私は神じゃない』のだ。何でもかんでも上手くいくわけではない。

 自分のペースで、自分の出来ることを。

 来年からは、それを忘れないようにしよう。

 

 *

 

 『秘密の部屋』に関する事件が無事解決したことにより、学年末試験は取り止めとなった。あとは得点発表などが行われ、午後にはホグワーツを発つ。

 朝食をとりに大広間へ来たとき、私はふと思い出してグリフィンドールのテーブルへ向かった。

 

「おはようございます、ハリー。今いいですか?」

「ああ、リズ。どうしたの?」

「封筒を持っていますか?」

 

 一瞬ハリーはキョトンとしたあと、「ああ」と納得したようにポケットから封筒を出した。もし私が死んでいたら見てほしいといって預けてあったものだ。

 

「中身は見てませんよね?」

「見てないよ」

 

 念のため、気が付かれないように開心術で真実か否かを確かめたあと、私はその場で杖を振って封筒に火をつけ、燃え尽きた灰を消し去った。

 私の全てが書いてある手紙だ。生きているうちは誰にも見られるわけにはいかない。

 

「何が書いてあったの?」

 

 ロンの問いには、

 

「秘密です」

 

 ウインクで誤魔化す。

 

 今年の寮対抗戦を制したのは、なんとハッフルパフだった。獲得点数、なんと八百十二点。二位のグリフィンドールに大きく差をつけての優勝だ。

 去年あれだけ悔しい思いをしたら、人間はここまで頑張ることが出来るのかと唖然としたが、真面目で努力家が多いハッフルパフだ。少しずつコツコツと点数をためていったのだろう。私もそれに貢献できたようでよかった。

 

 来年の事件は、シリウス・ブラックについてがほとんどだろう。これは全く介入する必要がないと言っても過言ではない。というより、逆に介入のしようがない。だから、一年でたくさんの知識を身につけておこう。後々にきっと役に立つはずだ。

 

 ———魔法界が笑顔溢れるステキな場所になってほしい。そして、それに少しでも貢献したい。

 

 一年生の頃の決意を、忘れずに生きていこう。




これにて『秘密の部屋』は終了。次回から『アズカバンの囚人』編になります。
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