ひなたぼっこの研究者   作:たんぽぽ

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第53話 過去

 私は転生によって魔法使いに生まれ変わった。転生ということはつまり、一度『死』を迎えていることを意味する。

 私が死んだのは、十四歳の時だった。

 死因はただ単純に、友達といざこざがあって、ちょんっと押された拍子に窓から落ちた。生まれて初めて喧嘩したことがそのまま死因に繋がるなんて、笑えない。

 まあそんなわけで、私は高所恐怖症なのです。あと、争いごとも基本的に嫌いです。自分の死因なんだもん。好きになる方がおかしいよね。

 肉体年齢十二歳、精神年齢二十六歳。今年で十三歳になり、生前の年齢に近付いている最近。よく、生前の頃の夢を見るが、さらに追い討ちを掛けるように吸魂鬼からの恐怖。……もう今年は生きていける気がしないよね、うん。

 

 と、言うわけで。

 

「『私の感情の影響を受けないよう設定した守護霊を氷の中に仕込もうプロジェクト(略して『プロジェクトS』)』〜〜〜!」

 

 ちなみに『S』は、()ってい、()ゅごれい、()こもう、のSだ。

 念のため言っておくと、これは脳内での出来事であり、実際に声に出してはいない。だってホグズミード駅からの馬車の中で突然意味不明のことを叫び出したら変人だもんね。

 でも、どうやったら良いんだろう。パッと考えてみると、何かプラスのエネルギーを発するものを媒体として守護霊を作り、それを氷に閉じ込めるのが最適なのだが———。

 

「あ」

「どうしたの、リズ?」

「宴会、抜けちゃダメですかね?」

「……そんなに気分が悪いの?」

 

 ハーマイオニーが深刻な顔で尋ねてきたので、私は慌てて誤解を解いた。

 

「いえ。あの吸魂鬼に然るべき報いを受けてもらおうと思うので、すぐにでも図書館に行きたかったのですが……」

「……ダメでしょうね」

 

 やっぱりか。がっくし。アレが使えるかもしれないから、早く試したいんだけどなー……。

 しょうがない。脳内で勝手に考えておこう。

 

 私が思いついたのは、フェリックス・フェリシスだ。

 去年作った試作品は、もともとフェリックス・フェリシスの調合には六ヶ月掛かるので「そんな待てねぇよ!」という心の声に従い、出来るだけ効果を落とさないようにと自分なりに頑張って考えた時短レシピを使ったものである。知恵熱出すほど頑張ったわりには、六ヶ月の調合期間を一ヶ月に縮めた上に、材料費を惜しんで出来る限り似た効果を持つ材料を正規のものに変えて作ったために、時間は一分程度、効果はじゃんけん三回勝負をしたら、なんとか全勝出来る程度である。私の脳内には、幸運→幸福→幸せという連想ゲームが出来ているので、試してみようというわけだ。

 ホグワーツに着いたら、早速やってみよう。

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