ひなたぼっこの研究者 作:たんぽぽ
「一体、これはどういうことなんですか」
シーンと静まり返った女子トイレに、マクゴナガル先生の怒りで震えた声が響く。
ハリーが何やら言おうと口を開いたが、その前にハーマイオニーが言った。
「私のせいなんです、先生。私、トロールの退治の仕方を本で読んだことがあったので、退治出来ると思って来たんです。そしたら、私がいないことに気が付いたハリーとロンが助けに来てくれました。ロンがパイプに背中をぶつけて気絶した後、そこの女の子がトイレに飛び込んで来て、トロールを凍らせてくれました。そして、ロンの怪我を魔法で治してくれたんです。三人がいなければ、私、今頃死んでました」
いや、もともと怪我してなかったから、念のために治癒呪文を掛けただけだよ? 治したわけじゃないからね?
「あなたの言い分はわかりました、ミス・グレンジャー。何故、ポッターとウィーズリーがここにいるのかも。では、ミス・フォーリー、何故あなたはここにいるのです?」
H・R・Hを見張ってたからです、先生! ———などと言うわけにもいかず、私はもともと用意してあった言い訳を口にした。
「私は、夕食の前に、魔法薬学の教室に忘れ物をしたことに気が付いたんです。それで、みんなには先に行っててもらって、取りに戻ろうとしました。途中で悲鳴や轟音が聞こえて、気になって来てみたらトロールがいて。後は既に説明された通りです」
「ミス・フォーリーの忘れ物なら、我輩がちょうど届けに行こうとしていたところです。彼女の言っていることに嘘はないでしょう」
と、手負いのスネイプ先生が私の羽ペンを差し出しながら言った。私は礼を言いながらそれを受け取る。嘘つきまくってるけどね! わざと羽ペン置いて来たけどね!
「ミス・グレンジャー、あなたには失望しました。ポッターとウィーズリーも、教師に相談するという手があったでしょうに。しかし、トロールと対峙し、生き延びていることは奇跡です。その奇跡に対し、一人五点与えましょう。———そして」
え、まだ続きがあるの?
「トロールを封じ込めた技術に対し、ミス・フォーリーには十五点与えます」
マジか。それは嬉しい誤算だ。
「ポッター、ミス・グレンジャーはウィーズリーを医務室へ連れて行きなさい。ミス・フォーリーは寮へ戻ると良いでしょう。きっとパーティの続きをやっているでしょうから」
そう言い残し、教師群は去っていった。
「あの、フォーリーさん」
「な、何でしょう? グレンジャーさん」
唐突にハーマイオニーが声を掛けてきた。
「あの、私、ハーマイオニー・グレンジャー。こちらはハリー・ポッターとロン・ウィーズリー。みんなグリフィンドールよ。今日は助けていただいてありがとう」
「いえ。困ったときはお互い様ですから」
「どうしてロンの名前を知っていたの?」
ああ、呼び寄せ呪文を使ったときのことか。
「『ロン』と呼ばれているのを聞いたことがありましたから。フルネームは知りませんでした」
「えーと……君の名前は?」
いつの間にか起き出してきたロンが尋ねてくる。
「リズ・フォーリー。ハッフルパフの一年生です」
「よろしく、リズ。僕達のこともファーストネームで呼んでくれて構わないよ」
「こちらこそ、ハリー。ですが、その前にロンは、ハーマイオニーに言うことがあるのでは?」
「どうしてそれを?」
驚く三人に向けて、ウインクをひとつ。
「秘密です」
そして、女子トイレを後にした。