ダンジョンに子ギルがいるのは間違っているだろうか 作:てゐ13号
趣味です。キャラの設定を完全にうろ覚えで書いています。反省はしません。後悔もしません。ぼちぼち書いていく予定です。生ぬるい目で見ていってください。でも「この辺違くね?」とかの指摘はしてくだされば望外の喜びです。
これからよろしくお願いします。
まあ、文句のない人生だった。
それが俺の死ぬ直前に心に浮かんだ一言だった。
俺、高校2年生の夏。トラックに引かれて見事空中前後左右きりもみ大回転を決めて地面に顔を激しく打ち付けて真っ赤なザクロを咲かせて無事死亡。もしその手の競技があったら、全員10点をたたき出していたに違いない。
死ぬ直前は色々と走馬灯やら時間のズレが生じたりとかあるらしいが、しかし俺はそういうことはなく。めっちゃはっきりとした意識できりもみ回転して地面に叩きつけられた。死ぬ直前まできっちりと記憶にある。
そう、記憶にあるのである。
「…ここどこだよ」
「ここは神様の箱庭だよっ!」
「どわあ!?」
視界を一気にさわやかイケメンフェイスがジャックしたので、俺は驚愕に身を任せてその頬に向かってひねり込んだ右ストレートをたたき込んだ。
「ぶふぇっふ!?」
イケメンが吹っ飛ぶ。
イケメンは死すべし…慈悲はない。
って、しまった!初対面の人間を思いっきり殴り飛ばしちゃったよ!たとえ相手がイケメンだったとしてもこれは流石にやっちまったって感じだ。俺は恐る恐る「大丈夫ですか…?」と話しかけた。
「大丈夫じゃないよ!折角こっちが景気よく話しかけたというのにこの仕打ち…ううう…流石に神様でも予想できなかったよ…」
「す、すんません」
よよよと地面に伏せたまま泣き崩れるイケメン。多少胸の奥がイラっとしたが、しかし吹っ飛ばした手前強く出れない。これが同じくイケメンで俺の親友のあいつとかだったら追撃くらい仕掛けてた。
「まあいいよ…突然出ていった神様も神様だったし…だけど、次やったらラグナロクだよ!良いね?」
「は、はあ…」
「めっ」と人差し指をぐいっとさしてきた。へし折りたい衝動が全身を駆け巡る。抑えろ、抑えるんだ俺…!
それよりも色々と聞きたいことがある。ここがどこなのかとか、お前誰なんだとか。ここでこれ以上の狼藉は流石にまずい。
辺りは清楚な雰囲気の漂う、花畑が綺麗な小さな箱庭といった場所が広がっていた。そんで目の前の男は…白いローブを着ている。俺に殴られた衝撃で地面に吹っ飛んだ、鮮やかな緑色の葉っぱで作った冠を拾って頭に乗せた。目じりには涙が浮かんでいる。別に罪悪感は感じなかった。まあごめんて。
「ふう…はい、仕切り直し。まあようこそ、と言っておこうか。さっきも言ったけど、ここは神様の箱庭だよ。そして僕は神様!偉いんだよ?」
「殴りてぇ…殴りてぇ…!」
「ちょ、顔が怖いから、君。落ち着いて、落ち着いてお話しよう?ね?」
「まあ、冗談はここまでにして」
「えっ?結構本気だった気が…」
そんなはずがない。紳士はすぐに暴力に訴えかけない。古事記にもそう書いてある。
「古事記にそんな事書いてなかったと思うんだけどな…」
「で?神様…でしたっけ。えっと、色々と聞きたい事があるんですけど…」
「ああ、うん。分かってる分かってる。なんでも聞き給え」
「うっざ」
輝かしい笑顔で白い歯をきらめかせながらサムズアップしてくる。それと顔が近い。正直気持ち悪いので離れてほしい。
「心がきしむ音が聞こえる…」
「じゃあ、ちょっとお聞きしますけど…俺、死んだんですか?」
「うん。君の記憶の通りにね」
「そっすか。じゃあ、ここはどういった所なんです?後、神様って言ってたけど…」
「あれ?そ、それだけ?」
神様が困惑した表情で俺のセリフを遮った。
「はい?」
「いや、ほら、君死んだんだよ?何か他にないのかい?」
「ああ、まあ…残念だなとは思ってますけど」
「そ、そうかい…?まあ、神様的にも助かるけど…」
「それで、さっきの質問なんですけど」
「ああ、そうだね。えっとね…ここは僕が作った箱庭さ。どうだい、いい景色だろう?実はここは僕が作った世界の中でも随一の出来でねぇ…」
「あ、そういうの良いんで」
「…そ、そう?あー、それで、次は神様の事だっけ?神様は神様だよ。職業は神をやってて、君の世界を含めて、あらゆる世界を創造、統治するのが神様の仕事さ。まあ君の世界には神様はあんまり関与したことないんだけどね」
「へー…」
死んだらどうなるんだろうとか考えたことは何回かあるけれど、死んだら神様に会う事になるのか…それにしても、普通神様っていえばのじゃロリとかかわいい女神様とか、その辺だろうに。何も分かっちゃいないなこのイケメンは。
「あの…そういう事言われても…神様困っちゃうんだけど…」
「さりげなく心の中読まないでもらえます?」
「あ、ご、ごめん」
イケメンに心の中読まれるとかちょっと承知できない。
「…それでなんだけどね?実は白状したい事があってね?」
「なんすか?」
「実は、君は実はあそこで死ぬ運命じゃなくてね…」
「は?」
俺は衝撃に固まった。目の前のイケメンはてへっと舌を出して片目を閉じて、俺に謝罪した。
「あれ、実は神様のミスでさ。君が死んだことは本当に残念に思ってて。だから、色々と謝罪をしたくて君をこの世界に呼ん…って、いたたたたたたたたたたたあああああ!?」
「おい…おい。どういう事なのか説明をしてくれません…?」
「えっと…その、ちょうど昼時でね…?眠くてね?少しお昼寝してたらね?寝過ごしちゃって…っていったい目がああ!」
俺の死因が神の昼寝だという事が判明した。慈悲はない。とりあえず景気づけに目をつぶした俺はイケメンの襟首を思いっきり引っ張って頬に右ストレートをたたき込んで、身体をひねってよろけたそいつの頭に回し蹴りで踵をぶち込んだ。景気よく吹っ飛んで地面に倒れ伏す自称神様のイケメンの頭を踏んづけて、俺はバカ野郎を見下ろした。
「で、弁明は?」
「ごめんなさい。本当に心の底からごめんなさい」
「ごめんなさいで済んだら俺が生き返るんですか?」
「いや…その、神様の失態であることは良く存じております故…でも、元の世界に生き返らせる事は色々な諸事情により不可能で…」
ぼそぼそとつぶやくバカ野郎の話に耳を傾けるに、お詫びのしるしに生き返らせるつもりらしいが、元の世界には様々な理由(ばれたら神としての権力が失墜したりしなかったり)で不可能なので、別の世界に転生させる形で生き返らせてもらいたいのだという。
「却下。俺見たいアニメあるんで」
「アニメと神様、どっちを取るつもりなの…!?」
「もちろんアニメだが何か?」
「本当に、本当にごめんなさい!それだけは許して!許してえええ!」
縋りついてくるイケメンが中々にうざい。というかこの状況は神としてどうなのか。あまりにも惨めな姿に、俺の怒りもその矛先を収めざるを得ない。
だからと言って許すつもりは毛頭ないが。
「いくつか条件があります。一つ、俺の前世の人生に見合う様な素晴らしい世界に転生させる事。二つ、俺に生きていく上で有利な才能、あるいは能力を与える事。三つ、俺の身体を元の通りに生き返らせる事」
「えっと、上二つなら大丈夫です。だけど、身体については…その」
言いにくそうにするバカ野郎。
「実は、魂とは転生する事を大前提として構成されておりまして…同じ身体で生き返るとなると、転生するという事象に矛盾が生じて…」
「…だったら、間違っても不細工とかデブとかにすんなよ?」
「う、うん!約束するよ!うん!」
俺はとりあえず溜飲を下げて、頭から足をどかした。
「じゃあ、とりあえず今は許す。次はないぞ」
「あ、ありがとう…うう、ただの人間の癖に、超怖いよこの人…」
起き上がったバカ野郎は、ふう、と息を吐き出して緊張をほぐした。とりあえず反省はしてるらしい。でもただの人間っていう発言はどういう意味だおい。
「ご、ごめんって!あ、それとね、実は転生してもらう世界についてはもうこっちで選定しておいたんだ。君の世界に非常によく似た、とあるパラレルワールドでアニメ化されてる世界なんだけどね。『ダンジョンに出会いを』なんちゃらって作品の世界で、僕は見たことないけど…まあ、なんかハーレムものっぽい世界らしいし、危険はないんじゃないかな?あと、能力と身体についてなんだけど…それは、これをどうぞ!」
ごそごそと懐を漁って、何やらくじ引き用の箱を取り出した。
「この箱に入っている紙には、様々な世界のアニメに登場したチートキャラ達の名前が載ってるんだけど…君が取り出したキャラクターの容姿、能力をそのまま与える事になるよ!」
「へえ…選ばせてくれないのか?」
「その辺は…得るものには代償が必ず必要というか…創造の権限を使うと足が付いちゃう危険が危ないって感じ!うん!」
「あっそ。じゃあ引きますねー」
「相変わらず軽いね…じゃあどうぞー」
俺は箱に手を突っ込んで、一番最初に手に触れた紙を引き抜いた。紙は無駄に三角に折られていて、一面の方に『SSR』と虹色の文字で書かれている。
「おお!まさかSSRを引くとはね!確率的には1%だったっていうのに!」
「へえ、そういうのあったのか。っていうか先に説明しろよ」
「ご、ごめん…説明する先に引いちゃったものだから…ま、まあ最高レアランク引けたんだから、いいじゃない!」
「まあ、結果良ければなんちゃらって感じか…?」
先に引いちゃったのは俺だしな。それにしても確率1%か。運が良かったと喜べばいいのか。
「どれどれ中身はっと…おお、当たりも当たり、大当たりだよ!」
中身を俺に見せてくるイケメン殴りたい。じゃなくて、何々…?
紙にはでかでかと『子供版ギルガメッシュ』と書かれていた。
「って、ギルガメッシュ?あのFGOの?」
「あれ?君の世界ってFateシリーズあったんだっけ?そうだよ、そのギルガメッシュで当たってるよ」
ふーん…まあ、当たり…なのか?他人の身体になるなんて非常に抵抗があるが、まあ能力が貰えるっていうのなら仕方ない。
それにしてもあのギルガメッシュか…。アニメでは愉悦部を開設したり、マーボー神父を勧誘したりセイバーに振られたりアンリマユで世界を選定しようとして失敗したり片腕吹っ飛ばされたりしてたけど…まあ、なるのは子ギルなんだから別に問題はない…のか?
「うんうん、じゃあちゃんとゲートオブバビロンも使えるようにして…あー、エアの出力は半分にしていいかな?まあ使う機会なんてないとは思うけど、一応ね」
「別にいいぞ。そういえば、成長とかはどうなるんだ?」
「ああ、もちろん成長はするよ。ベースは人間にするから老いもする…っていうか、不死の存在は流石に認められないからね」
「別に期待して聞いたわけじゃねえ」
不死とか、永劫の時をずっと過ごさなくちゃいけないんだろう?想像するだけで恐ろしいわ。
「じゃあ、これで転生の準備は完了ってところかな!早速転生するかい?それともまだ神様とお話ししたい事ある?」
「ねえよ!とっとと転生させろ」
「うん、まあ知ってたよ…そ、それじゃあ、転生した後も元気でね…ああ、忘れるところだった。もし向こうの世界で死んだとしたら、元の世界の輪廻転生にちゃんと戻る手はずになってるから。まあ、希望があればその世界に残ってもいいんだけどね」
「分かった」
まあ、それは死んだときにでも考えよう。
「じゃあ、目を瞑ってね」
「おう」
俺は目を瞑った。これからの新しい人生の幕開けに、ほんのちょっぴり心が躍ってなくもない。これから行く世界については全く知らないが、剣と魔法が飛び交う世界とかだったら個人的にすごく嬉しかったりする。ファンタジーに憧れるのは男の子の性だもの。仕方ないね。
…目を瞑って数十秒。何かが起きる気配もない。
ふと気になって目をうっすらと開いてみた。
「んー…」
目を閉じて、唇を突き出して顔を近づけてくるイケメンの姿がそこにはあった。
「どわあああ!?」
「ぐっふぉあ!!!」
俺の渾身のアッパーがそいつの顎に突き刺さった。
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