「ん~!今日も平和だね~」
窓から外を眺め、昼間から酒を飲んでいる1人の男。彼は昔、軍に所属していた。しかし、軍の闇を見てそれに嫌気がさし軍を除隊したのだ。今は、しがない何でも屋である。
「いい天気だな~。雨なんか滅多に降らないけど」
彼が今いる場所は宇宙に存在するコロニーだ。今宇宙では戦争が行われており、ここは中立国なのである。戦争の手が及ばないこの場所だが、それも今日で終わりを告げた…
ドカーン!!!!
「な、なんだ!?」
すると、爆発して空いた穴からザフトの機体が数体入って来た。
「ザフト兵だと!?なんで中立国なのに襲ってくんだよ!!とにかく俺も避難を…」
男もまともな服に着替えシェルターに向かった。しかし、シェルターは既に人が沢山で彼が入る場所はなかった。
「ったく、シェルターももう少し効率よく作っとけよな」
暫く走ってると、一台のトラックが走ってた。
「助かり♪悪いが、あれに乗りゃ最悪人がいる場所には行けんだろ」
背後からトラックの荷台に乗り込む。そのままトラックはある戦艦の中に入っていった。
「よっと…こいつは」
男はその戦艦を見る。
「成る程。何処で開発してたかと思えば、こんな中立国で開発してたのか。そらザフト軍の連中が襲ってくるわけだ」
そう呟いてると、後ろからチャキッと音が聞こえた。銃をこちらに向けられたのだ。
「動くな!」
「手をゆっくりと上に挙げろ!!」
「おっと」
男はゆっくりと手を挙げ、軍人の方に振り返る。
「何故民間人がここに?」
「シェルターに入れなかったんだよ。で、トラックが走ってたから乗り込めば最悪人がいる場所に行けると思ったんだよ」
「「……」」
軍人2人は、互いの顔を見合わせる。
「どうする?」
「既に民間人が数人いるんだ。1人位増えてもバレないだろ」
「だな。おい!他の民間人がいる場所に案内するからついて来い!」
「了解」
そして男は軍人の後について行った。
「ここだ。まだ本艦は戦闘中だ。大人しくしててくれよ」
「分かりましたよ」
中に入ると、部屋に大勢の避難民がいた。
(既に俺以外にもかなりの人数が救出されてるみたいだな)
そう思っていると、武装した男達が中に入って来た。
「動くな!全員そのまま!!」
「な、何よこれ…」
(一体何が起きてるん…ん?)
入って来た連中を見ると、知っている顔がいた。
(まさか、こんな場所で元教え子の連中と出くわすとはな)
男はゆっくりと立ち上がり、顔を知っている男の場所に行く。
「オイお前!」
「…誰に口聞いてんだ?お前も随分と偉くなったな」
「あ、貴方は!?」
すると男は慌てて男の口を閉じる。
「おっと、俺の事は秘密にしててくれ。後、悪いが少し話を聞かせてくれるか?」
「わ、分かりました」
すると、別の男が2人に話しかける。
「おい!何をしている!!」
「いや、ちょっとトイレが我慢できなくて」
その言葉を聞いて、男は呆気にとられる。
「…おい、その男を便所に連れて行ってやれ」
「わ、分かりました!!」
そして、先程話した男と2人食堂から出て行った。
「改めて、お久し振りですモリス大佐!!」
モリス「おいおい、もう俺は軍を辞めたんだ。大佐はよしてくれ」
「いえ!私達教え子の中では、大佐は大佐です!!」
モリス「やれやれ」
モリスは呆れながら頭を掻く。
モリス「けど、まさか君がこんな場所に配属されていたとはな」
「ええ…私達はモリス大佐が辞められた後に配属されました」
モリス「成る程な。しかし、よりによってアルテミスに配属とは…同情するぜ」
同情の眼差しで教え子を見るモリス。
モリス「ところで、ここでお前が動かせる連中は何人いる?」
「えっと…10人程度ですが?」
モリス「悪いが、その人数を使ってアークエンジェルに物資を出来るだけ積んでくれるか?」
「えぇっ!?」
モリスの言葉に男は驚く。
モリス「俺の勘だが…もうじきここは破壊されるぞ」
「まさか…」
モリス「お前も俺の教え子なら知ってるよな?俺の勘は外れないって」
「……」
その言葉に、男は黙てしまう。
モリス「勿論タダとは言わないさ。お前が動かせる10人とお前、アークエンジェルで働かせてもらえるように言ってやる。丁度、ここも人手不足だからな」
「…分かりました」
モリス「なら頼む。出来るだけあの馬鹿な連中にばれないようにな」
そしてモリス達は食堂に戻っていった。見張りの人数も2人になり、暫くは黙って見護る事にした。すると今度は、ここを管理している男がやって来た。そして、1人の子供を連れて行った。
(いくら人手不足とは言え、子供に戦わせるとはな。しかしコーディネーターだったのか。ま、俺にとってはどうでもいいけどな)
そう思いながら、1人の赤い髪の女子を見る。
(確かコイツは…大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターの娘だったな。なんて言うか、自分勝手な娘だな)
そんな風に思っていると、警報が鳴りだした。
「ほら来た」
思っていたことが現実になり、モリスはそのままアークエンジェルに向かった。ブリッジに到着すると、艦長席であろう場所に座る。
「さて、昔と変わってなければいいんだけどな」
そう呟きながら端末を操作する。
「OK、変わっていないみたいだな」
モリスはハッチを開く。
モリス「開けば後はあいつが気づくだろ」
「何をしてる!」
すると、地球軍の軍人がやって来た。
モリス「丁度いい。早アークエンジェルの発信準備を進めてくれ」
「何であんたが命令するんだよ」
「そ~だよ!艦長達は何処だよ!!」
モリス「その艦長達が来てすぐに離脱できるようにしておくんだよ!!さっさとしろ!!」
少し怒気を含めた言い方をするモリス。すると、それにビビったのかは分からないが渋々と発信準備を進めるのであった。するとモニターに艦長達が乗り込んだのを確認する。
モリス「艦長達が乗り込んだぞ。さっさと発進させろ」
「チッ!」
モリスにそう言われ、操縦士は舌打ちをしながらアークエンジェルを発進させた。
「一体何事なの!?」
『艦長!』
「いや、それがそこの人に…」
操縦士が艦長である女性に話しかける。
「そこのお前!」
すると、黒髪の女性がモリスに話しかける。
モリス「おいおい、随分と偉くなったじゃい。ナタル・バジルール?」
ナタル「な、何故私の名前を!?」
モリス「当たり前だろ。自分が教えた教え子の事を忘れるわけないだろ?特に、女性を教えた人数なんざ数少ないんだからよ」
そう言いながら振り返ると、艦長とナタル、そして金髪の男は驚きの顔をする。
ナタル「あ、貴方は!?」
「おいおいマジかよ」
「モ、モリス大佐…」
モリス「元大佐な。しかし、まさかこの艦の艦長達がまさかお前とは驚きだな。マリュー・ラミアス艦長?。ま、話は後回しだ。さっさとあの機体に乗ってる奴を回収して、この空域から脱出するぞ!!」
マリュー「は、はい!」
そしてマリュー達は席に着く。
マリュー「ストライクを戻して!本艦はこれより、反対側の港からアルテミスを脱出します!」
マリューの指示でアークエンジェルは発信準備をする。
ナタル「ストライク着艦」
マリュー「アークエンジェル発信!最大戦速!!」
そしてアークエンジェルがアルテミシアを離れたと同時に、アルテミシアは爆発し消滅したのであった。