「再度確認しました。半径5,000に敵艦の反応ありません。完全にこちらをロストした模様」
「アルテミスが、上手く敵の目を眩ましてくれったって事かな?」
モリス「恐らくな。ま、半径5,000に敵艦の反応がないなら少しは気を楽にしてもいいだろ」
マリュー「そうですね」
その言葉に、ブリッジの張り詰めた空気が少しほぐれる。
ナタル「しかし…」
マリュー「ええ、分かっているわ。ローラシア級がロストしてくれた事は幸いだけど、こちらの問題は何一つ解決していないわ」
モリス「だろうな。機材や食料、人員も足りてないみたいだしな」
モリスはブリッジを見る。
モリス「そこでだラミアス艦長」
マリュー「は、はい」
モリス「実は俺の指示で、アルテミシアにいた教え子に、出来るだけこの艦に物資を搬入するように指示をしてたんだ」
『!?』
その言葉にブリッジにいた全員が驚く。
モリス「そして、人員も10人程度だがここで働きたいと言ってる。俺の元教え子の部下だ。信用は出来る」
マリュー「……」
モリス「ま、どうするかはあんた次第だ」
ナタル「艦長、モリス大佐の言葉です。信用してもいいかと」
マリュー「そうね」
こうしてアルテミシアでモリスと一緒に来た連中は、アークエンジェルで働く事になったのであった。
「さて、今度は大佐殿に話を聞こうかね」
モリス「だから、元大佐だって言ってるだろムウ」
ムウ「なら、少しは言葉遣いを変えてくれないかね?」
モリス「今更だろ」
ムウ「確かにな」
お互い笑いながらそう話す。
「あの…艦長」
マリュー「なにかしら?」
「失礼ですが…彼は?」
ナタル「口の利き方に気を付けろ!」
するとナタルが怒鳴る。
「まぁまぁナタル。そんなに怒鳴るなよ。昔にも言っただろ?もう少し柔らかく物事を言えって」
「で、ですが…」
落ち着かせる為にナタルの頭を撫でながらそう言うモリス。ナタルは顔を少し赤くしながら抗議するのである。
マリュー「……」
その光景を、表情は普通であるが内心面白くなさそうに見るマリューである。
ムウ(おやおや。相変わらずだなお前さんは)
その光景を少し呆れながら見るムーであった。
「お、おい」
「ああ」
「バジルール中尉があんな表情するなんて」
ブリッジ居る男連中は固まってヒソヒソとそんな話をするのであった。
ナタル「オ、オホン!諸君らは知らないと思うので説明しておく。この方は、1年前まで軍におられ私やラミアス艦長を始めとした色々な軍人を教育なさった方だ。そして、さきの対戦で准将と同等の戦果を挙げられたのだ。それがモリス・マクレーン大佐なのだ!」
モリス「昔の話だからな。今は俺は軍人じゃないし、最も地球軍の連中には愛想尽かしたしな」
ナタル「それはどういう意味ですか?」
マリュー「私も気になります」
2人は、モリスが言った一言が気になり詰め寄る。
モリス「いずれ話してやるよ。ところで、これからどう進路を進めるんだ」
「は、はい」
操舵手であるノイマンがこれからの予想進路を見せる。
ナタル「これで精一杯か?もっとマシな進路はとれないのか?」
ノイマン「無理ですよ。あまり地球に軌道を寄せると、デブリ帯に入ってしまいます。まぁ、こう進路を取れれば月軌道に上がるのも早いんですが…」
マリュー「突破は…無理よね」
ノイマン「デブリ帯をですか!?そりゃ無理ですよ。この速度を維持して突っ込んだら、この艦もデブリの仲間入りです」
モリス「だろうな。それにこの場所…」
そう言いながら、予想進路されたモニターを見るモリス。
ムウ「しかしここなら…不可能を可能にする男かな?俺は。それに、伝説の凄腕大佐殿もいる事だし」
そう言うと、全員がモリスを見る。
モリス「言っとくが、俺はあまり口出ししないからな」
ナタル「な、何故ですか!!確かに大佐は地球軍を辞められています。ですが、今はその様な事を言っている場合では…」
モリス「ナタル」
するとモリスは、真剣な表情でナタル達を見る。
モリス「何故俺が軍を辞めたのか。辞める原因の1つを教えてやる」
マリュー「それは…」
モリス「丁度その答えが、これからいる場所にある」
そう言いながら椅子に座るモリスであった。それからアークエンジェルは、補給をする為デブリ帯にやって来た。調査にナタルを始めとするキラ達が向かっている。すると、マリュー達はある場所で停止した。
『これって…』
『大陸…こんな場所に?』
キラ『ユニウス7…』
モリス「そうだ」
キラ達の言葉にモリスは話し出す。
モリス「ここはかつて、コーディネーター達が住んでいた場所なんだ。そして1年前、地球軍のたった一発の核ミサイルで、ユニウス7に住む24万3701名が犠牲になったんだ」
マリュー「そんな…」
モリス「しかも地球軍側はこれを、プラント側の自爆作戦と批判している」
ムウ「嘘だろ!?」
モリス「確かな情報だ。だから俺は軍を辞めたんだ。これ以上地球軍にいたら自分の正義に反しそうでな。これが、俺が軍を辞めた1つの理由だよ」
『……』
モリスの言葉に、誰も何も言えなかった。昔から軍に所属してたマリュー達は、自分達が知らない事実を教えられ混乱していた。
モリス「お前らにも言っておく。この事を聞いてどうするかはお前らの自由だ。お前らは自分達が信じてきたからここまでこれた。けど、真実を知ったところで現に戦争は行われている。だから、俺から言えるのはこれっだけだ。自分の目で見て聞き、その上でどうするか判断しろ。いいな」
『はい!』
その姿は、まさしく教官時代であったモリスの顔であった。ムウですら直立不動になり返事をしていたのである。そして、ミリアリアの提案で、折り紙で花を折りそれをその場所にバラまいたのであった。
モリス「黙祷!!」
モリスの言葉に、全員が無くなった人達に黙祷を捧げたのであった。