モリス「キラ、君はこれからどうしたいんだ?」
キラ「えっ?どうって…」
突然の言葉に、キラは少し戸惑う。
モリス「今は、ラクスがいるから俺の艦やアークエンジェルは敵から攻撃を受けない。確かに、民間人であるラクスを人質ってのは、俺も納得はしていない。だが、今のマリュー達にはそれしか生き残る方法がないのも分かってやってくれ」
キラ「……」
その言葉に、キラは黙ってしまう。すると、フレイがやって来た。
フレイ「あの…モリスさん」
モリス「ん?どうした?」
フレイ「パパが…モリスさんと話がしたいって」
モリス「…分かった」
ベンチに座ってたモリスは立ち上がる。
モリス「出来れば、俺が戻るまでに答えを決めれたら決めておいてくれ」
そう言い残し、モリスはフレイと出て行った。
キラ「……」
ラクス「…キラ」
ラクスの小さな言葉だけが、公園内に響いていた。モリスは医務室にやって来た。ベッドには、良き絶え絶えのジョージ・アルスターがいた。
ジョージ「君が…この艦の艦長か」
モリス「ええ、モリス・マクレーンです」
ジョージ「そうか…君に、頼みがあってね」
モリス「頼み…ですか?」
その言葉に、ジョージは頷く。
ジョージ「私は…もう長くない。だから、私の勝手なお願いだ。娘を…娘をお願いしたい」
モリス「……」
ジョージ「母親に逝かれ、家族である私もこの状態だ。可愛い一人娘を置いて逝く事が、どれ程辛いか…」
フレイを見ながらそう話すジョージ。
ジョージ「モリスさん…私の勝手な我が儘なのは十分承知している。だが、娘はまだまだ子供だ。残念な事に、本当に信頼できる親戚はいない。だから、私をここまで延命してくれた貴方にお願いしたい」
モリス「…分かりました。娘さんの事はお任せください」
ジョージ「そう…ですか」
その言葉に、安心した表情になる。すると、ジョージの心拍を測っている機械が鳴り響く。
フレイ「パパ!?」
ジョージ「フレイ…何かあったら、モリスさんを頼りなさい。彼ならお前を安心して任せられる…」
フレイ「パパ…いや…」
ジョージ「後…サイ君との婚約だが、所詮はまだ口約束だ。もしお前が、本当に嫌なら断りなさい」
フレイ「……」
フレイは、黙て父であるジョージの言葉を聞いている。
ジョージ「お前は…母さんに似てきっと美人になる…出来れば…お前の…花嫁…衣装を…見た…か…」
ピーーーーーーーーーーーッ
ジョージは、最後まで言葉は喋れず、医務室には機械音だけが響き渡るのであった。
モリス「…立派な親父さんだな。最後の最後まで、娘であるお前の事ばかり心配していた。父親として尊敬する」
フレイ「…はい」
フレイは、ただ静かに涙を流していた。
モリス「…お前は少し休むといい。これからの事など、色々と考える時間が必要だ。部屋はAIに案内させるから、それに従って行けばいい」
そう言い残して、モリスは医務室を出て行った。銀河展望公園に向かう途中、通路にいたキラとラクスを発見した。
モリス「よう」
キラ「モリスさん…」
モリス「その様子だと、どうするか決まったみたいだな」
キラ「はい。勝手とは思いますが、ラクスをザフト軍に返そうと思います」
モリス「そうか」
キラの考えに、安心した表情になるモリス。
モリス「だが、向こうにはクルーゼがいる。襲ってこないとは限らないぞ?」
キラ「そうでしょうね。ですが、それでもラクスを返してあげたいんです」
モリス「そうだな…」
少し考えるモリス。
モリス「分かった。万が一何かあった時、俺がフォローしてやる。まぁ、ムウの奴も出てくれるだろ」
キラ「ありがとうございます!」
モリス「なら、早く戻って準備しな。艦長達はこっちで気を逸らしといたやるからよ」
そして2人は、アークエンジェルに戻っていった。モリスはブリッジに行きアークエンジェルに通信をする。
マリュー『モリス…今は艦長でしたね』
モリス「あんまり気にするな。俺は別に何処の軍にも所属してないんだから」
マリュー『相変わらずですね。ところで、何かありましたか?』
モリス「ああ。お前ら最近あまり旨い物食ってないだろ?」
マリュー『はぁ…』
突然の言葉に、呆気にとられるマリュー。
モリス「でだ。今度ウチの艦で食事をご馳走しようと思ってな」
マリュー『そうですか』
ナタル『ですが、大佐の艦も我々と同じ状態では?』
ナタルが会話に混ざって来る。
モリス「(よしよし、2人が食いついたな。ま、食事をご馳走するのは嘘じゃないから許してくれ)それは、ウチの艦に来てからのお楽しみだ。学生の子達も、最近は宇宙食が多くなってきただろ?それに、水もそっちはそんなに余裕がある訳でもあるまい。こっちでその子達にゆっくりと風呂でも入れてやろうと思ってな。勿論ナタル達もな」
ナタル「そ、そうですか」
すると、アークエンジェルのブリッジで警報が鳴る。
マリュー『どうしたの?』
ナタル『ストライク!何をしてる!!キラ・ヤマト!!』
ナタルは必死にキラに呼びかけていた。すると、ムウが通信に割り込んできた。
ムウ『坊主が嬢ちゃんを連れだしたんだよ!駄目だ、もうエアロック開けられちまった』
ナタル『な、なんだと!?』
マリュー『えっ!?』
ムウの言葉に、ナタル達は驚く。
モリス「やれやれ、キラ君も中々アグレッシブな事をするな」
マリュー『モリス艦長!そんな事を言ってる場合では…』
モリス『分かってる。一応そっちはムウを出撃準備させておけ。こっちはこっちで、対処するから』
ムウ『どうするんだよ!』
モリス「こうするんだよ」
するとモリスは、AIに話しかける。
モリス「AI!シャープシューターを出撃させろ!威嚇射撃程度ならできるだろ?」
AI『威嚇射撃以外にも、敵を殲滅させる事も可能です艦長?』
モリス「だったな」
そう言うと、ルクシオールの右側部分のハッチが開き、一機の機体が発進された。
マリュー『あれは!?』
モリス「ウチの機体の1つだ。遠距離攻撃に優れててな。ここくらいの距離なら、向こうのナスカ級を威嚇するには十分だ」
ナタル『威嚇って…ここからどれ程距離があるのかお分かりですか!!』
モリスの言葉に、ナタルは怒鳴る。
モリス「ウチの機体なら、これくらいの距離なんか関係ない。百発百中だ」
AI『艦長。敵艦から二つの熱源反応。1つは、盗まれたMSのイージスです』
モリス「やっぱりクルーゼは裏を読んできたか。ナスカ級に威嚇射撃だ。イージスには当てるなよ?」
AI『了解です。シャープシューターエネルギーチャージ』
発射準備に取り掛かるAI。
『敵艦よりMS発進!』
『ナスカ級、エンジン始動!』
ムウ『こうなると思ってたぜ!』
どうやらムウは予想していたようだ。
モリス「この距離なら、長距離のレールガンで充分だ」
AI『了解。長距離レールガン発射』
その言葉で、シャープシューターからレールガンが発射された。敵艦から出てきたMSの横を掠め、更にナスカ級の横を通り過ぎて行った。
ラウ「何!?」
その威力に、ラウは驚いている。
モリス「AI、敵艦に通信を開いてくれ」
AI『了解』
そしてすぐに、敵艦艦長が映し出される。
モリス「こちらはアークエンジェルの護衛艦、ルクシオール艦長のモリス・マクレーンだ。先程の攻撃は威嚇射撃であり、ストライク並びにアークエンジェルに危害が加えられた場合、そちらを撃ち抜く」
『何を馬鹿な事を。先程のは威嚇ではなく、狙って外れたのであろう』
モリス「本当にそう思うか?」
『!?』
モリスは、敵艦艦長を睨み付ける。
モリス「もし、狙って外れたと思ってるなら、次はブリッジを直接狙って見せようか?敵艦艦長さん?」
『クッ…貴様!』
すると、イージスから全域に通信が入る。
ラクス『追悼慰霊団代表の私のいる場所を、戦場にするおつもりですか?そんな事は許しません。すぐに戦闘行動を中止してください。聞こえませんか?』
ラクスからの通信を聞いて、二機のMSは引き返していった。
モリス「よかったな。そちらのお姫様が優秀で」
『クソッ!』
そして通信は切れた。
モリス「…ふぅ」
AI『お疲れ様です。モリス艦長』
モリス「ああ、AIもお疲れ。シャープシューターを戻してくれ」
AI『了解』
モリスの指示で、待機してたシャープシューターを戻らせる。
モリス「さて、一応フォローの為にアークエンジェルに行くか。AI、立ち入り禁止な場所は全てロックしておいてくれ。勿論ブリッジもだ」
AI『了解です、艦長』
モリス「じゃ、後は頼んだぞ」
そしてブリッジを出て行った。
モリス「さて、荒れるだろうな向こうは…」
そんな事を思いながら、キラのフォローの為アークエンジェルに行くのであった。