ザフト軍の攻撃を何とか搔い潜った一同は、第八艦隊と無事合流した。
ノイマン「しかし、いいんですかねぇ?メネラオスの横っ面になんかつけて」
マリュー「ハルバートン提督が艦をよくご覧になりたいんでしょう。後程、自らもおいでになるという事だし。閣下こそ、この艦とGの開発計画の一番の推進者でしたからね」
モリス「確かに、ハルバートンのおっさんはこの計画に一番力を入れてたからな」
ナタル「モリス大佐!いくらなんでも、言葉を慎んでください!」
モリスの言葉にナタルは怒る。
モリス「だって、俺もう軍人じゃないしな。それに、おっさんとは個人的な付き合いもあるんだよ」
マリュー「そうだったんですか」
その言葉にマリューは驚いていた。
モリス「そういえば、民間人はどうするんだ?」
マリュー「ハルバートン提督の艦に移動することになってます。その後にシャトルに乗せて地球に降ろすそうです」
モリス「そうか…」
その言葉に、モリスは少し考え事をする。
マリュー「少しお願いね」
ナタル「艦長!」
マリューとナタルはブリッジを出て行った。
モリス「まぁいい。俺は少し格納庫に行って来る」
モリスも格納庫へと向かった。格納庫では、クルー達が壊れたメビウスを修理している。
キラ「艦隊と合流したってのに、何でこんな急がなきゃならないんです?」
ムウ「不安なんだよ!壊れたままだと!」
マードック「第八艦隊っつったって、パイロットはヒヨっ子揃いさ。なんかあった時にゃ、やっぱ大尉が出れねぇとな」
モリス「確かにな」
すると、格納庫にやって来たモリスが会話に混ざる。
キラ「モリスさん」
モリス「お疲れ」
ムウ「珍しいな。お前さんがここに来るなんて」
モリス「いや、お前の機体の様子でも見とこうと思ってな。確かに、万が一の時はお前の腕が必要になるからな。直していて損はないだろ」
その言葉にムウは少しうれしそうな表情になる。
モリス「ま、一応俺の艦に警戒させてるがな」
マードック「ん?何か言いましたか?」
モリス「いや別に。独り言だ」
キラ「それよりストライクは!本当にあのままでいいんですか?」
その言葉に、四人はストライクの方を見る。
ムウ「ん~分かっちゃいるんだけどね~。態々元に戻してスペック下げるっつ~のも~なんかこ~」
モリス「確かにな~」
「出来れば、あのまま誰かがって思っちゃいますよね」
するとマリューまでもが格納庫にやって来た。
キラ「艦長!?」
ムウ「あらら、こんな所まで」
モリス「珍しいな」
マリュー「ごめんなさいね。ちょっとキラ君と話したくて」
キラ「え?」
その言葉にキラは、マリューを疑うような表情で見る。
モリス「ま~キラ、少しくらい話聞いてやれ」
キラ「…分かりました」
そして2人は、ストライクの方へ跳んでいった。
ムウ「坊主、随分お前さんの言う事を聞くな」
モリス「ま、向こうで少しカウンセリングと息抜きをな」
ムウ「なるほど」
モリスとムウは、2人を遠くから見つめていた。暫くして、ハルバートンを乗せたシャトルが到着し、マリュー達は敬礼して出迎えた。
ハルバートン「おおっ!いやぁ…ヘリオポリス崩壊の知らせを受けた時はもう駄目かと思ったぞ。それがここで、君達と会えるとは!」
マリュー「ありがとうございます。お久しぶりです閣下!」
互いに敬礼をする。するとハルバートンはキラ達の所へやって来た。
ハルバートン「君達のご家族の消息も確認して来たぞ。皆さんご無事だ」
その言葉を聞いて、キラ達は安堵の表情になる。
ハルバートン「そして…久し振りだねモリス大佐」
モリス「ええ、お久し振りです。ですが、俺はもう軍人ではありません」
ハルバートン「構わんよ。君は私と同じこの艦やGの推進者なのだからね。出来れば、この後の話し合いにも参加してほしいのだが?」
「閣下!?」
そう言うと、後ろに控えてる男が驚きの表情になる。
ハルバートン「構わん。責任は私が取る。それでいいだろ?ホフマン大佐」
ホフマン「…分かりました」
渋々だが、ホフマンは後ろに下がる。
ハルバートン「では、ついて来てくれたまえ」
ハルバートンを始め、ホフマン、モリス、マリュー、ナタル、ムウは艦長室に向かった。中に入ると早速話が始まる。
ホフマン「しかしまぁ、この艦1つとG1機の為にヘリオポリスを崩壊させ、アルテミスを壊滅させるとはなぁ」
マリュー「……」
事実を言われ、マリューは少し落ち込む。
ハルバートン「だが、彼女らがストライクとこの艦を護った事は、いずれ必ず我等地球軍の利となる」
ホフマン「アラスカはそうは思ってないようですが?」
『??』
その言葉に、モリスを含めた4人は疑問に思う。
ハルバートン「ふん!奴等に空での戦いの何が分かる。ラミアス大尉は私の意思を理解してくれていたのだ。問題にせねばならぬことは何もない」
マリュー「閣下…」
モリス「……」
その言葉にマリューは感動し、モリスは黙っているが流石と思っている。
ホフマン「このコーディネーターの子供の件は…これも不問ですかな?」
マリュー「キラ・ヤマトは、友人達を護りたい。ただその一心でストライクに乗ってくれたのです」
ハルバートン「……」
モリス「確かにそうだな。後半は、俺の艦もアークエンジェルの護衛に当たってたが、それまでこの艦を護ったのはストライク。キラ・ヤマトだ」
話に初めて参加したモリス。
ホフマン「しかし、このまま開放しては…」
ナタル「…私はホフマン大佐と同じ考えです」
その言葉に、マリューとムウは驚き、モリスは再び黙る。
ナタル「彼の能力は目を見張るモノがあります。Gの機密を知り尽くした彼をこのまま降ろしては…」
ハルバートン「既にザフトに4機渡っているのだ。今更機密もない」
ナタル「し、しかし!彼の力は貴重です。出来れば、このまま我が軍の力にすべきだと私は…」
ホフマン「ほう」
ホフマンだけは、ナタルの意見をしっかりと聞いてる。
ハルバートン「しかし、ラミアス大尉の話だと、本人にその意思はなさそうだが?」
ナタル「彼の両親はナチュラルで、ヘリオポリス崩壊後に脱出し今は地球にいます」
モリス「で、両親を保護という名の人質にし、無理矢理戦わせるつもりか?ナタル・バジルール少尉?」
突然部屋の中の空気が重くなる。その原因はモリスだった。モリスは、今までにない表情でナタルを睨んでいる。
ハルバートン「モリス元大佐の言う通りだ。そんな兵が何の役に立つ。そんな事より、問題はこれからだ」
マリュー「えっ?」
ハルバートン「アークエンジェルは、現状の人員のままアラスカ本部へ下りてもらわねばならん」
ホフマン「補充要員を乗せた先遣隊も沈み、今の我々にはもう、アークエンジェルに割ける人員はないのだ」
マリュー「……」
その言葉は、マリュー達に重く圧し掛かる。
ハルバートン「そこでだ。モリス元大佐、君にはこのまま引き続きアークエンジェルの護衛をお願いしたい」
モリス「なるほど。だからこの話し合いに俺を呼んだのか」
ハルバートン「そう言う事だ」
モリス「…いいでしょう。大事な元教え子達だ。安全が確保されるまでアークエンジェルの護衛引き受けましょう」
その言葉を聞いて、マリューやナタルは嬉しそうな表情になる。
ホフマン「後、君の艦にある機体だが、何機かこちらに貸し与えたまえ」
モリス「…はっ?嫌に決まってんだろ」
先程とはうって変わって、言葉が変わるモリス。
ホフマン「嫌とは言わせられんのだよ。あれ程の戦力のある機体、君も元地球軍軍人なら、この戦争に協力したまえ」
モリス「嫌に決まってんだろ。俺は、お前ら地球軍が嫌で軍を辞めたんだよ。何でわざわざ地球軍に協力しなきゃなんないんだよ」
ホフマン「なんだと!?」
その言葉にホフマンは怒り出す。
モリス「俺は、個人的に交流もあるハルバートンのおっさんの頼みだから聞いたんだよ!地球軍に手を貸すわけじゃない!」
ホフマン「黙って聞いておれば!…!」
すると、ホフマンは何かを思いついた。
ホフマン「そう言えば、君の艦にはアルスター事務時間の令嬢が乗っていたな」
モリス「確かに乗ってる。それが?」
ホフマン「だったら…おい、今からフレイ・アルスターを人質にとれ」
『!!?』
その言葉に、マリュー達は愚かハルバートンですら驚いていた。
ハルバートン「ホフマン大佐!何を馬鹿な事を言っている!即刻止めさせるんだ!!」
ホフマン「ですが閣下、あれだけ貴重な機体を、一個人が所持するのはどうかと思われます。我々地球軍に協力しないのならば、強引ですが無理矢理にでも協力させるしかありません」
ハルバートン「……」
ホフマン「さぁ!早くしないとお前の艦に我が軍の人間が乗り込み、アルスター嬢を人質にされるぞ?」
モリス「……」
その言葉に、モリスは特に反応せずゆっくりとホフマンの方に歩き出す。
ホフマン「なんだ?協力する気にな…!!?」
その瞬間、モリスはホフマンの顔面を思いっきり殴った。部屋の壁が凹むぐらいに。
マリュー「!?」
ナタル「なっ!?」
ハルバートン「!!」
ムウ「おいおい…」
4人は突然の出来事に、その程度しか言葉を話す事が出来なかった。
モリス「もっぺん言ってみろ?誰を人質にするって??あぁ?」
顔面がこれでもかと凹んだホフマンの胸倉を掴み。無理矢理立たせる。
モリス「さっきから聞いてりゃ、随分と調子に乗った事をほざいてんな?」
ホフマン「あ…あぁ…」
モリス「何とか言えよコラッ!」
壁にホフマンを叩き付け、顔面目掛けて殴りかかった。誰もがそれから視線を逸らした。そして、ドゴン!と大きな音が部屋に響き渡る。マリューは恐る恐る目を開ける。見ると、モリスの拳はホフマンの顔真横で突き刺さっていた。
ホフマン「…はぁ」
ホフマンは腰を抜かし、いい歳して漏らしていた。
モリス「テメェはもう殴る価値もねぇ。つくづく地球軍の連中に嫌気が察したぜ」
そのままモリスは部屋を出て行こうとする。
モリス「…悪かったな。お前らをビビらせて」
マリューとナタルの頭に手を置き、そう告げて出て行った。
「「…モリス艦長(大佐)」」
ムウ「ふぅ…おっかなかった~」
ハルバートン「そうだな。だが、彼が勝手な行動をしたから仕方ないがね」
そう言いながら、未だに気絶してるホフマンを見るムウとハルバートンであった。