突如鳴り響くすさまじい轟音。
爆発の衝撃で発生した振動が大気を震わし、地面を揺さぶる。
巻き起こった砂埃が周囲を包み込み、熱せられた大気が嵐のように体に叩きつけられ、ものすごく熱い。
……繰り返し言うよ?
ものすごく熱いッ!!
「アチャチャチャチャチャチャチャチャーーッ!?」
さながら某伝承者よろしく叫びながら、自分は地面を転がった。
お腹の部分が熱い。
ギターを持った直立状態だったから、比較的皮膚の薄いお腹が、モロに熱風に晒されてしまったのだ。
「アチチチチッ!!」
体の表面から水分が失われていくのが地味にわかる。
つか、カエルにこの熱さはヤバいっ!
すぐさま背中の水筒を手に取って蓋を開け、中身の水を体に振りかけた。
ほっ……。
「……あ~危なかった~。あやうく干からびるところだった……。ってか、これは何ごとッ? ナパームッ? テロ? 第三次世界大戦の始まりっ!?」
冷たい水で体がリフレッシュ! 心とお肌に潤いが戻ってきたところで、あらためて状況を整理する。
なんだかよくわからないけど、とりあえずただ事じゃないのはよくわかる。
いきなり丘が爆発したんだ。
ただ事な訳ない。
けど、ここで慌ててはいけない。
戦場では慌てたモノが死ぬ。
厳しい野生の世界で、それを学んだんだ。
心はホット。頭はクール。
出来るカエルは狼狽えない。
これ、カエルの世界じゃ常識。
オケ?
「そうだ、考えるんじゃない。感じるんだ……世界と一つになり、素数を数える。えと、三・一四一五『アクアーーッ!?』九……んぅ?」
気持ちを落ち着かせてたら、なんか丘の向こうから声が聞こえてきた。
はて、こんな場所で誰だろう?
よく聞いてみれば、他にも複数人の声がする。
とりあえず様子を見るため、丘の向こうをそ~っと覗いてみる。
「あ、そ~っと……」
「いやあああッ!? カズマさんカズマさーんっ!! カエルがぁ、カエルがぁ!?」
「テメエ、この駄女神ッ!! また食われてんじゃねーよッ!!」
「カズマ、こっちにもカエルが、はやく助け……あぷっ」
「あぁ、めぐみんッ!? くっ、ずるいぞ二人共!! 私だって、カエルに呑み込まれたいッ!!」
「oh……」
覗きこんだ丘の向こうは、何て言うか……こう、ね?
うん。
とりあえずカオスだった。
女の子三人に男の子一人の……身なりから察するに、多分、冒険者っぽい子達がいるんだけど、その内女の子二人が、
あっ。
「はぅッ♡」
今、もうひとり食われた。
「ダっ、ダクネースッ!!」
「oh……イイ食ベップリデ~ス。マサニ
いけない、ちょっと現実逃避してた!
ちょっとお空へFly、awayしてた意識を引き戻して、あらためて現実を直視する。
視線の先では、最後に残った男の子が、必死にカエルから逃げ回ってる。
逃げ足は結構速い。
けど、徐々に距離が詰まっている。
このままじゃ食べられるのは時間の問題……。
そこで!
「第一回! チキチキ★異世界人救出作戦
とりあえずあの子達を救出して、コミュニケーションをとる事にしよう!
んでもって仲良くなって、街まで案内してもらう!
ちょっと恩着せがましいうえ腹黒いけど、助けてもらった手前、こっちの要求を無碍には出来ないはず。
ふふっ、我ながら完璧な作戦!
あたいったらサイキョーね!!
「てな訳でーー
すぐさま思考を切り替え、戦闘モードに移行。
両足に力を溜める。
太腿から全身に血液をパンプアップさせて、移動速度を強化する。
襲われてる子達との距離は、およそ五十メートル弱。
この距離なら、一足飛びでいける!
「ア○ロ、いっきまーーすッ!!」
掛け声と同時に溜めていた力を解放。
正面に向かって一気に跳ぶ。
空気を切り裂き、景色を置き去りにしながら目標に接近。
そしてッ!!
「喰らえ必殺! ケロケロ★フット・スタァーンプッ!!」
飛んできた勢いをつけたまま、敵カエルの後頭部に蹴りを放つ!
ここで唐突だか、自分達カエルについて、ちょっとジョジ○風に説明しよう! (CV.大●透)
自分達カエルは、爪や牙なんかによる斬撃には滅法弱い分、打撃などには滅法強い!
どれくらい強いかというと、某ナイスミドルな髭のおじさんが思いっきり、
メメタァッ!!
って、やられても潰れないくらい強い!
しかし、それはあくまで皮下脂肪に覆われた胴体部のみ!
つまりーー
ベキッ……
頭蓋骨などの硬い部分であれば、話しは別!!
グシャアアアアッ!!
「ヒョオォォッ!!」
敵カエルの頭蓋骨が砕け、脳が潰れる感触を蹴り足で感じとりながら、自分はその死体を踏み台にし、さらに高く宙へと舞った。
そして、相手の反撃出来ない空中から、残るカエルすべてに狙いを定めてーー
「ケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロォォーーッッ!!」
体重を乗せた蹴りを、連続で叩き込む!
ベキッ、バギッ、ゴシャッ!!
「ホォアチャッ!!」
蹴り足を通じて、次々にカエルの頭蓋骨が砕け散るのを感じる。
頭蓋骨を蹴り砕かれたカエル達が、地面へどぅ、と倒れていく。
やがて、すべてのカエルが倒れ、モノ言わぬ屍と化したのを空中で確認してから、自分は地面へスタッ、と降り立った。
「ホォォォ……」
呼吸を整えながらゆっくり気を静め、心を落ち着かせていく。
そうこうしてる内に、倒れたカエルの口から、食べられた子達がヌルヌルと這い出してきた。
「うっ、うぅ……」
「はぁン……♡」
「ふへぇ……」
全員、体が唾液でヌルヌルだが、ぱっと見た感じ、それほど重傷の子もいない。
なんか一人だけ悩まし気な声を上げてる子がいるような気がするけど、多分気のせいだ。
気のせいだ。
とりあえず体がヌルヌルな事以外、全員無事!
よかったよかった♪
「さて、それじゃあ……」
その場でゆっくりと後ろを振り返る。
そして、そこにいる唯一ヌルヌルじゃないーー最後まで逃げ延びた男の子に向かって、視線を合わせた。
さぁ……始めようか!
「どうも、初めましてーー」
この世界に来て初めてのーー
「怪我はないかい?」
異世界コミュニケーションをっ!!
「喋った!?」
「ケロケロ♪」