比企谷君と虜の魔女   作:LY

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二話連続投稿です。





第十五話

高1

 

 

「なぁ比企谷、私は何か西園寺の気に障る様な事をしたかな?」

 

「普通に山崎先輩以外に興味ないだけじゃないですか?」

 

 

先週に中間テストは終わり、またいつも通り部活が再開された。

 

しかし今日はいつもと違って部室ではなく学校近くのファミレスで宮村先輩と話をしている。

 

 

「私としては四人仲良くやっていきたいのだが…」

 

「俺は無理だと思います。と言うか無理です」

 

「はぁ」

 

 

宮村先輩は深いため息をつく。

 

それも仕方のない事で俺だってため息をつきたいものだ。

 

 

 

先日、朱雀高校でもトップクラスの変な部活である我らが超常現象研究に新入部員が入ってきた。

 

まぁ正確には仮入部らしいがそんな事はどうでもいい。

 

問題はその生徒の性格だ。

 

 

「あの人ほとんど宮村先輩と話そうとしないじゃないですか。部室では山崎先輩としか話さないし、あれと仲良くなるなんてドラゴンボール集めないと無理ですよ」

 

「ドラゴンボールに頼らずに仲良くしたいのだ!

…まぁ実際かなり困難な事ではあるがな。比企谷の事はそもそも認知されてないかもしれない」

 

「部屋に置いてあるオブジェくらいにしか思われてないでしょうね」

 

 

マジでゾンビの標本か何かと勘違いしてるんじゃないだろうな。

 

 

「どうにか仲良くなる方法を見つけるんだ!このままでは魔女探しに集中できん」

 

「諦めましょうか」

 

「馬鹿者!あと二人なんだぞ。ここまで来て諦めるものか!」

 

「まだ“儀式”の事言ってるんですか」

 

 

思わずさっきの宮村先輩より深いため息が出る。

 

“魔女が七人そろえば何でも願いがかなう儀式ができる”なんてまさに超常現象を信じるなんて

 

それこそドラゴンボール探しに行った方がいいだろう。

 

 

「このままだと本当に超研部がなくなってしまうからな」

 

「それは山崎先輩が生徒会長になるから大丈夫ですよ」

 

「しかし他にも候補者がいるからな」

 

 

ムムムと苦悩する宮村先輩。

 

確かに小田切に散々生徒会長になるのは大変だと聞かされているので俺も簡単になれるとは思っていない。

 

 

「まぁその時はその時で流れに任せましょう。

 

と言うか何でうちの部活って廃部になるんですか?」

 

「ふっ、知れたこと

私たち超研部は何一つ功績を残していないからな」

 

「…なるほど、とても納得しました」

 

 

そう言えば俺たちの活動ってはた目からしたら遊んでるだけじゃね?

体育会系の部活は大会とかあるし、文科系は大会とかがなくてもちゃんとした目的があるのだろう。

小田切の所属している手芸部とかなら、...なんかほら、女子力とか上げれそうだし。

 

 

それに比べて俺たちは......。

 

 

 

「よくよく考えたら廃部してないことの方がおかしいですね」

 

「だろぉ」

 

 

いや、だろぉとか部長のあなたが言ったらダメだろ。

 

 

「しかし私は超研部をなくしたくない。だから何としても儀式を行う」

 

「それより山崎先輩を応援した方がいいんじゃないですかね?」

 

「山崎が生徒会長になるのはBプランだ。私たちはAプランを進める。

そのためにはまず、西園寺リカと仲良くなる方法を考えるぞ」

 

「めんどくせぇ~」

 

 

そんな事を呟いても宮村先輩が止まるはずはなく、持ってきたノートに何やら書き込んでいる。

 

本当にこの人は…

軽く呆れてしまいそうになるが、宮村レオナはこういう人なのだ。

 

こんな図太い神経を持っているからこそ、俺を入部させることが出来たのだろう。

 

 

「こら、比企谷も考えるんだぞ」

 

「…了解っす」

 

 

 

 

 

 

 

こんなくだらなくも楽しい日常はずっと続くものだと

 

 

 

 

心のどこかで、俺は思っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

・・

 

高2

 

超研部 部室にて

 

 

 

「あんた超研部の部員か?」

 

 

部室を荒らしていたメンバーの一人が口を開く。

 

他の三人も俺の方を睨んでくる。

制服のリボンの色から一年だということが分かった。

 

 

「今は違うな」

 

「なんだ、山田の仲間じゃないのかよ。

つうか誰かが外見張っといた方がいいって言ったじゃねえか」

 

「あれだけ大きな音を出したらどの道気づかれていましたよ。

それよりどうします?見られてしまいましたよ?」

 

「ボコったらいいんじゃね?」

 

 

やっぱりそうなるか。

正直無策で突っ込んできたから喧嘩になると人数的にも俺の筋力的にも無理だな。

あれっ?俺ちょっとやばくね?

 

 

…なんか猿島の家の前でもこんな事あったな。

 

 

「あっ!この人…」

 

「ん?どうしたの滝川さん?」

 

 

四人の中で一番ちっさい女子が俺を凝視して何かに気づき声を出す。

 

そしてなぜか険しい顔つきが少し緩み、また口を開いた。

 

 

「ああ~、いや、たいしたことじゃないよ。

それよりもさ、三人とも先に帰ってくれない?ノート以外使えそうな物はなさそうだし」

 

「は?こいつはどうすんの?」

 

「私が能力使うから大丈夫だよ。長居して他の人にも見られたら面倒でしょ」

 

「…そうだな、じゃあ頼んだわ」

 

 

そう言うとちっこい女子を置いて他の三人は本当に部室から出て行った。

 

止めようかとも思ったが今止めても面倒になるし、顔を覚えたから後で生徒会長にチクればいいだろう。

 

 

それで問題は

 

 

「本当に三人を返してよかったのか、滝川ノア?」

 

「ええ、問題ないですよ」

 

 

やたらニコニコ笑うこの一年生は今回の問題児である滝川ノア。

 

まぁさっきから滝川さんだの能力だの言ってたから分かったんだがな。

 

 

「と言うかノアの名前覚えててくれたんですね!

嬉しいです、比企谷先輩!」

 

「いや覚えてたっていうか人に聞いただけで…って、何で俺の名前知ってるんだよ?」

 

「いやですね~。

前にお互い自己紹介したじゃないですか」

 

 

え?何それ?初耳なんですけど

 

 

「あーあれな。なるほど、あの時ね」

 

 

そうそうあれあれ

 

で、どれなの?

 

 

「そうです!あの時ノアに優しくしてくれましたよね。

本当に感謝してます」

 

 

なぜかビシッと警察の敬礼ポーズをして深々と感謝してくる。

 

うーむ、どこで出会ったのかね?話してみると確かに他人とは思えない何かを感じる。

 

 

「今では少ないですけどちゃんと友達もできましたよ」

 

「おぉ、そうか。それは良かったな」

 

「はい!」

 

 

何だろ、この妹を相手にしているような感じは…。

 

 

妹…?

 

 

 

「あっ、分かった」

 

「いきなりどうしました?」

 

 

そうか、この娘。

 

 

「妹の小町と声が激似」

 

「それ初めて会った時も言ってましたね!」

 

 

またニコニコ笑う彼女を見ていると、さっき部室を荒らしていたのが嘘のようだ。

 

 

「それで比企谷先輩はどうして超研部に来たんですか?部員じゃないんですよね?

そう言えばあの時も超研部のクラブハウスに来てましたよね?」

 

 

ん?クラブハウス?

 

 

…クラブハウス、ちっさい一年生、声が小町に激似

 

導き出される結論は…。

 

 

「......あっ、思い出したわ。

お前滝川ノアか!?」

 

「はぁ、それはさっきやったと思いますけど…」

 

 

 

......思い出した。

 

 

 

俺は滝川ノアと会ったことがある。

 

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