比企谷君と虜の魔女   作:LY

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こちらの都合で、前話を一部修正しました。
今後ともよろしくお願いいたします。





第二十九話

高2

 

朱雀高校 午前 生徒会室にて

 

 

昨日の手紙で呼び出され、俺は土曜と言う休日に学校へ来た。

 

 

「何だかご無沙汰な気がするね、比企谷君」

 

「そうですかね?」

 

 

二年になってから事あるごとに呼び出され、少し慣れ親しんできた生徒会室。

これでここに来たのは何度目になるのだろうか?

 

 

「早速で悪いけど聞きたいことがあるんだ。

…君は山田君たちと何をしているのかな?」

 

「ボッチが集まって暇をつぶしているだけですよ」

 

「フフ、嘘は良くないね。

何でも魔女達に接触しているらしいけど、彼女達を集めて何をするのかな?」

 

 

フン、この狸が。

 

 

「別に言わずとも分かっているでしょう?」

 

「そうだね、だから僕は君を止めないといけない。

 

朱雀高校には七人の魔女全員の正体は生徒会長以外知ってはいけない掟がある。

僕は生徒会長として学校の掟を守らないといけない」

 

 

山崎春馬のやっている事は正しい事なのだと思う。

生徒会長として決まり事を守っている。

 

ただその決まり事自体は、正しいとは思えない。

 

 

「…そうですか。でも俺は、

もう、うんざりしているんですよ。

 

 

 

あの人を待たせることも、

 

 

あいつを待たせている事にも」

 

 

 

だから

 

 

 

「だから俺とあなたは敵同士ですね」

 

「……そうか、残念だね」

 

 

山崎先輩は本当に残念そうに呟く。

 

 

「でも僕は、君ならそう言うと思っていたよ。

…君や山田君がどうやって抗っていくのか楽しみだ」

 

「それならご心配なく。

もう先手は取らせてもらいましたから」

 

「ほう。それなら僕も何手か打たせてもらうよ」

 

 

山崎先輩はニヤッと笑う。

 

それを見てから俺は山崎先輩に背を向け、生徒会室を出て行く。

 

ドアに手をかけ、去り際にボソッと言う。

 

 

「……規則や決まり事よりも大切な事は、俺にもあなたにもあると思いますよ」

 

「…」

 

 

 

 

多分声が小さすぎて聞こえなかったのだろう。

 

 

 

山崎先輩は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後五時、生徒会室にて

 

 

「会長、山田さんたちの事でお伝えしたいことが」

 

「山田君たちかい?」

 

「はい、比企谷さんが生徒会室に来ていた時、猿島マリアが山田さんたちと接触。

それから山田さんと猿島マリアは行動を共にしていました」

 

「へぇ、この短期間でよく仲良くなったね」

 

「いえ、会話の内容を少し聞き取ったところ、どうやら猿島マリアは山田さんに関する記憶を思い出したようです」

 

「っ!!記憶が戻るなんてそんな事は…」

 

「それから山田さんは部活で来ていた宮村虎之介、大塚芽衣子、七人目の魔女を探している小田切寧々、五十嵐潮、以上の四名とキスしていました。

 

それで私なりに考えた結果、仮に消された記憶を戻す方法があるとすれば、それは“相手とキスする事”ではないかと思います」

 

「…フッ、キスをしたら思い出すか。

飛鳥君にしては乙女チックな考え方だね」

 

「はい、私も乙女ですので」

 

「……もしかしたらこれが比企谷君の言っていた先手ってやつかな?

 

そうだとすればさすが比企谷君だ。随分と面白い事をしてくれる」

 

「会長、どうしましょう?」

 

「仕方がない。

急遽七人目の魔女にもう一度能力を使ってもらうよ。そうすればまた山田君の事を忘れるだろう」

 

「分かりました。では私は比企谷さんの方に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、打開策として七人目の魔女がもう一度山田の前に現れたが、

 

誰の記憶も消えることはなかった。

 

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