比企谷君と虜の魔女   作:LY

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第八話

高1

 

超常現象研究部の部室にて

 

 

「おい山崎、ついに新入部員をゲットしたぞ!」

 

「ほ、本当かい!?」

 

 

俺は勧誘ポスターの貼ってあった掲示板の所から、あれよあれよと言う間に謎部の部室に引きずられてきた。

 

 

「ほら比企谷、もう一人の部員の山崎春馬だ。これからは三人で仲良くやっていこうじゃないか」

 

「比企谷君っていうのか~、これからよろしくね」

 

 

スッと山崎と言う人は右手を出してきたが握手なんてしない、新入部員じゃないし。

 

 

「比企谷、こういう時は相手の手を握って握手するんだぞ。

ほら、右手を前に出して」

 

 

後輩ができたと思って優しく教えているつもりかもしれませんが、握手くらい知ってますからね。

 

 

「すみません、俺は別に入部希望してないんですけど」

 

「「えぇーーーー!!」」

 

 

ガビーン!っと効果音的なやつが聞こえてくる位ショックを受けてる。

 

え?俺が悪いの?

 

 

「そんな、どういう事だいレオナ君!?」

 

「私は知らないぞ!ポスターを見ていて入りたそうにしていたから部室に案内したんだが…」

 

 

どう考えても入りたくなさそうだったでしょ。嫌って言ったし。

 

 

「比企谷君、何か嫌な事でもあったのかい?まさかレオナ君にハサミで脅されたとか?」

 

「な、人聞きの悪いことを言うな。

部室に来てからこんなことを言ったんだ、何か山崎に気に入らないことがあったに違いない!」

 

「それは僕のせいだって言うのかい!?」

 

「貴様こそ私のせいだというのか!?」

 

 

何だか空気悪くなってきたぞ。マジで逃げた方が良さそうだ。

 

俺の百八の特技の一つ、ステルスヒッキーを使う時が来たようだな。

 

 

「じゃあ比企谷君に聞こうじゃないか、どっちが悪いかをね」

 

「いいだろう。さぁ比企谷、山崎に言ってやれ」

 

 

そっと帰ろうとしたが宮村先輩に腕を掴まれた。

 

まさかステルスヒッキーが通用しないとは…。

 

 

「いやー、そのですね。別に先輩方が嫌とかじゃないんですよ。

お二人ともとても優しくし接してくれますし、むしろ俺が悪いと言いますか」

 

 

とりあえずおだてて機嫌をよくさせる作戦で行くか。

 

 

「宮村先輩は美人ですし、山崎先輩はイケメンでこんないい先輩いませんよ。

つまり何が言いたい「よし、いいだろう比企谷。」…はい?」

 

 

俺の言葉を遮り宮村先輩と山崎先輩が顔を合わせて何やらアイコンタクトしている。

 

 

「やはりレオナ君の見立てに間違いはなかったようだね」

 

 

そう言って部室に置いている机の引き出しから何かの用紙を取り出した。

 

 

「合格だ比企谷君、君を歓迎するよ」

 

 

差し出された紙は入部届だった。

 

 

「すまない比企谷、すこしテストをさせてもらった。

私達が喧嘩をしたら君はどっちを悪く言うか、と言う事だったが自分が悪いと言ってこの場を収めようとした君はとても優しい」

 

「…先輩」

 

「僕達は君みたいな後輩を探していたよ。

今度こそ本当に、これからよろしくね」

 

「私からもよろしくな」

 

 

…こんな時、俺は何と言えばいいのか。

 

答えはとても簡単で、とても当たり前の事なのだ。

 

そう、これである。

 

 

「いや、合格って言われましても入らないですからね」

 

「「えぇーーーー!」」

 

 

 

…茶番だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

・・

 

高2

 

未来が見えたらどんな気持ちになるのだろう?

 

 

サイドエフェクトやジ・オールマイティなどで未来が見えるようになったら自分の人生を好きな方へ持っていけるかもしれない。

 

 

しかし見た未来を変えることができなかったら、そして見た未来が最悪ならばどうすればいいのだろうか?

 

 

 

 

 

 

......その答えを、

 

 

 

 

彼女は見つけることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間は飛んで夏休み、宿題さえ終わらせれば毎日がバケーションの最高の時期だ。

 

今年度は数学の成績もマシにしたので補習にいかなくてよい。

 

完璧すぎる夏の出来上がりだ。

 

 

「おにちゃーん、小町の宿題やってー」

 

 

あらあら、うちの受験生はこんなさぼり癖があったのかしら。

 

 

「小町ちゃんよ、宿題は自分でしないといけないだろ」

 

 

ここは兄としてしっかり喝を入れてやらんと

 

 

「でも小町受験生だし自由研究なんてやってる暇ないよ」

 

 

自由研究か、懐かしいな。確かに受験生にとってはそんなことをしてる場合ではないのかもしれない。

 

「さすがに全部やるわけにはいかないが、ある程度なら手伝ってもいいぞ」

 

「おぉ!さすがお兄ちゃん!略してさすおにだよ」

 

 

わざとらしく喜んでいるがそれでも可愛く見えてしまうのが小町クオリティーである。

 

太陽のように微笑む小町はマジでエンジェルだね。

 

あの子は太陽の小町 エンジェル!

 

 

……。

 

 

…はい、言いたかっただけです。

 

 

「そう言えば、小町はどこの高校が第一志望だっけ?」

 

 

そう言えば妹の重要なことを聞いてなかった、これでは兄失格だ。

 

 

「そんなの朱雀高校に決まってるじゃん」

 

 

ケロッと答えているがびっくりだ。まさか朱雀高校とは

 

うちの高校の偏差値はそこそこ高いはずなんだが

 

 

「小町、頑張ってお兄ちゃんと同じ学校行くから待っててね」

 

 

正直言えば小町の頭では厳しいと思うが目標に向かって頑張ってる妹を応援しない兄など兄ではない。

 

 

「そか、応援してるぞ」

 

「うん、それと」

 

「ん?」

 

「さっきの、小町的にポイント高い」

 

 

これがなければもっとかわいいのだがな。

 

 

 

 

小町は部屋に戻って勉強を始め、俺も小町の自由研究をしようと自室でテーマを考えていたが、どうやら邪魔者が入ったようだ。

 

プルプル、プルプル

 

家の電話が鳴りだした。家には小町と俺の二人、勉強している小町を邪魔してはいけないので俺が出るべきだろう。

 

 

「はい、比企谷です」

 

「お休みのところ電話してすまない、生徒会長の山崎です」

 

 

何で電話番号しってるの?生徒会長は生徒の家の電話番号も調べていいってか?

 

 

「急な話になるけれど急いで学校に来てほしい、緊急事態なんだ」

 

 

そう言ったら電話は切れてしまった。

 

 

 

…緊急事態とはどういう意味だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

コンコン

 

「比企谷です」

 

「入っていいよ」

 

 

ノックをして入ってみたが、中には山崎先輩しかいない。

 

 

「やぁーやぁー比企谷君、よく来てくれたね」

 

「どうも」

 

 

緊急事態と言われたので一応来たが、

山崎先輩は俺の事をただの一生徒としてしか見ていないはず。

それなのに俺が呼ばれた理由となれば…

 

 

「早速で悪いけれど君に頼みがあるんだ。」

 

「魔女絡みですか?」

 

「もちろん」

 

 

やっぱりな。この人はどういうわけか俺が魔女殺しであることを知っている。

 

 

「まぁそんなに警戒しないでくれ。別に無理難題を押し付ける気はないよ」

 

 

この人生徒会長になってから悪印象しかないんだよな。

 

 

「君に頼みたいことはたった一つ!

 

ヒッキーになってしまった魔女を復活させてほしいんだ!頼むよヒッキー谷君」

 

 

 

誰がヒッキー谷だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

話を要約するとこんな感じだ。

 

一学期のほとんどを引きこもって学校に来なかった女子生徒がいて、生徒会のメンバーで何度か家に行ったが顔も見れなかったと。

そして、その生徒は魔女であるらしい。

 

…どこにも緊急事態の要素がなさそうなんだが

 

 

「いやー、緊急事態って言わないと来てくれないかと思ってね」

 

 

はっはっはっと笑っているが全然笑えねーよ。

 

誰がそんなことするか。

 

 

「じゃあ頼むよ、比企谷君」

 

「俺ではなく優秀な秘書に任せればいいじゃないですか?」

 

「いつも面倒ごとを押し付けるのは申し訳ないと思ってね。それに飛鳥君も何度か訪問しに行ったが会えなかった。やはり蛇の道は蛇とも言うし、引きこもりには引きこもりで対処しようと思ってね。

お礼には飛鳥君とのデートを約束しよう」

 

 

いらねーよ。と言うか俺とのデートも面倒ごとだろ。

それに引きこもりじゃないんですけど。

 

 

…まぁいい。生徒会長は絶対権力の持ち主。逆らっても損しかない。

 

 

「…やってもいいですけど失敗しても文句は言わないでくださいね」

 

 

山崎先輩はニコッと笑い上機嫌になる。

 

 

「いやー助かるよ。本当は魔女の情報を言ってはいけないけれど君は魔女の存在について知っているだけでなく能力もかからないからね。何かと役に立つよ」

 

 

役に立つなんて聞こえがいいが、場合によっては面倒な時もあるってことだ。

 

本当に嫌なメガネになりやがって。

 

 

「それで猿島君の住所は「その前に一つ聞きたいことがあるんですけど」…何かな?」

 

 

もちろんせっかくここまで足を運んだので収穫もなく帰るわけにはいかない。

 

 

「山崎会長、超常現象研究部についてあなたの知っている事を全て教えてください」

 

「…へぇー

 

比企谷君はそれを聞いてどうするのかな?」

 

山崎先輩はさっきまでのニコニコ顔とは違い俺を観察するような、警戒するような表情に変わる。

 

「さぁ、どうするかはあなたの情報次第です」

 

「フフフ、比企谷君は面白いね」

 

 

そう言って、今日学校に来てくれたお礼という事で超研部の事を教えてくれた。

 

 

 

そして俺は、山田竜の事を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校を出てから山崎先輩に言われた住所に来てみたらやばいものを見てしまった。

 

 

「おい、お前ら何してるんだ。」

 

 

二人の男が目的地の住宅に不法侵入しようとしてる。

 

 

「ゲッ、おい宮村、誰かに見られちまったぞ。」

 

「しかたねぇ、気絶させるか。」

 

 

え?やばくね?

 

結構やばい奴らなのか、カッコつけて声かけるんじゃなかった。

 

 

「いや、それはダメだろ。」

 

二人のうちいかにもヤンキーっぽい奴が止めてくれる。

 

今どきのヤンキーは優しいな。

 

と言うかこいつら見たことあるな。

 

 

「じゃあどうしろっていうんだ、通報されたらシャレになんねーぞ…って朱雀高の生徒か?」

 

 

俺の服装を見て朱雀高校の生徒だと気づいたらしい。

 

そして俺もこいつらをよく見てみると気が付いた。

こいつらは不良で有名な山田と朱雀高校の生徒会副会長である宮村だ。

 

まさかたまたま超研部の奴と出くわすとは

 

 

 

「ヤダァー、キミたち人の家でなにやってんの~~?」

 

 

「「「え?」」」

 

 

三人の声が重なる。

 

宮村たちとごちゃごちゃやっていて気が付かなかったが後ろから今回のターゲットがやって来た。

 

 

「…猿島マリア」

 

 

俺たちは引きこもっているはずの魔女に簡単に出会ってしまった。

 

 

 

 




前話も感想くれた方々ありがとうございます。

よろしければ評価なども付けてみてください。

これからも投稿していくので温かい目で見てもらえると嬉しいです。

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