back to the world ep1
「あなた誰?」
一人の少女が太陽をバックにしていきなり問いかけてくる。
自分はネズミーランドでも来たのか、立ち上がりサングラスを外すとそこにはシンデレラ城よりデザインが悪くただ単に塔を適当に刺しただけ、特に中心はスペースシャトルのような建造物に目を向ける。
確か親友の犬に餌を与えに行く途中だったがその途中で光壁に飲み込まれたのだ、その時の感覚と言えば自分が初めてのある経験をしたときにそっくりだ。
ふと足元にあるスケードボードを足だけで立て手元に収めると目の前の少女が怒り出した。
「無視しないで答えなさい!!」
だがそれが合図のように周りから大きな笑い声の渦が巻き起こる。
「ハハハッ!!流石ゼロのルイズ平民を呼び寄せやがった!!」
「見ろよヘンテコな服上に何か耳に挿してるぜ!!」
その少女は薄いピンクで髪を染めている、歳は12から14ぐらいだろうか。
先ほどイヤホンのことを悪く言われたせいか気になり何となしにイヤホンを外す、ストリックランド先生に潰されてしまって新しく買ったウォークマンだが曲を聞いている場合ではないと自身の本能が騒ぎ出す。
例の少女が年長者と思われる頭が自分の教頭先生と同じぐらい禿げている男性と掛け合っているが、伝統だのやり直しができないと言って拒否をする。
少女は不機嫌そうな顔でこっちによってきた、丁度いいと思い腰を下げ話しかけようとする。
「あ~お嬢ちゃんちょっと聞きたいことが・・・」
だがそれを遮るようにその少女は自己紹介をし始める。
「わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール五つの力をつかさどるペンダゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
話しかけようとした矢先彼女の唇が自分のそれと重なり合った、すると左手に激痛が走る。
「すぐ終わるわよ。待ってなさいよ。使い魔のルーンが刻まれているだけよ。」
「え?」
「貴方は使い魔になったのよこれから掃除、洗濯、着替え、何もかもすべて私の為に犬のように働くのよ一生!良い分かったこの犬!」
「うわあ!」
飛び上がるように上半身を起こし周りを見渡す、寝汗で濡れた額をバックミラーで確認し念のために左手を見る。
無論火傷も傷も刻まれていない。
「中々ヘビーな夢だ。」
隠れるように駐車している一台の車から首を出して息を吸う。
「マーティどうした?」
ドクが心配そうにマーティを車外から覗く。
彼の手元には電子機器の部品と配線があった。
「安心したまえ、三つ以上の時間軸が重なった1986年じゃない。」
「そうだね。」
「しかし変な所で重工業が遅れているな、テレビはやたらと薄くなったのに3Dのホログラムが試作段階だったりコンピューターの処理速度が遅い。そのくせして基礎部品の素材だけは前の時間軸より進んでいる。 郵政省は相変わらずだがメールやチャットが驚く程の進歩が見られる、全く役所はロケットドリルの件にしろ役に立たん税金泥棒だ。 」
ドクはそういって車体の下に潜り込む。
ドクによれば2000年でこの車を飛ぶように改造したと言うがこの時間軸ではハイブリッド車と呼ばれる車と電気の併用によるタイプと完全に電気で走るタイプと二分化する過程の歴史にすり替わっていた。
その証拠に空を見上げるとそこには都会にも関わらず綺麗な青空が彼の目に映った、もし空以外に目に映る者と言えば一本走る綺麗な飛行機雲だけだ。
因みに完全に内部機関の自動車が姿を消している訳でもなくまた消すこともないかもしれない。
今話題になっているものは自動的にブレーキをかけたり自動的に目的地までに運転してくれるシステムだ。
ドクはこのシステムは使えると判断し車体の屋根に高速回転する変なカメラを設置しようとしている。
何故このように至ったのか、理由は1986年にある。
ドクの遺品セールを行われている時にスクラップになったハズのスポーツカー"デロリアン"がアインシュタインと共に現れたのだ。
そこから1931年に何度も行き帰りを繰り返し時間軸のズレが戻ったと思いきや今度は三人以上の自分に追いかけられる羽目になって今にいたる。
そんな奇想天外な体験をしている彼の名前はマーティ•マックフライ世界で恐らく一番苦労しているタイムトラベラーでもある。
「ヘビーだ。」
今までビフや両親、タネン一家そしてエレナやドクまでも相手にして歴史修正をしてきたがまさか自分を相手にしてしまうとは思わなかった。
「ふぅ終わった終わった。」
ドクが車内に入りタイムサーキットの上に液晶画面を設置する。
「ドク、これは?」
マーティは新しい装置に興味を示し指を指す。
するとドクは得意気な顔をしてボタンを押すと画面が表示される。
「iPadminiだ。」
「iPadmini?何それ?」
「まぁ個人が使用するコンピュータみたいな物じゃよ、君の場合はファミコンぐらいしか思いつかないだろうが将来は仕事にも美術にもコンピューターが必要な時代になる。」
「それは、凄いね。」
「その中でも操作がしやすくお手軽に扱えるそれがこのタブレットじゃ。」
「さっきiPadminiとか言わなかった?」
「それは商品名だ、それになマーティこの部門だとアメリカが一番性能が良い。」
1955年でドクに日本製が一番性能が良いことを教えていたことを連想させるように今度はドクがマーティにそれをなす。
「本当に!?信じられない。」
「詳しいことは言えんがウォークマンはこの時間軸だと何故か日本や中国ぐらいにしか売れておらんぞ。」
「それは、ヘビーだ。」
「まぁ最近性能差が詰められたがの。」
ドクはロックを解除し画面に表示されたアイコンに指を指す。
「このマークを押して行き先を打ち込むと自動的にそこまで行ってくれる、だが本命はこっちだ。」
ドクは隣にある次元転移装置のアイコンに指を押し付ける、すると数字何やら数字を打ち込む場所と何かの計器そしてグラフと地図が表示された。
「これは?」
「今までタイムトラベルする時に出現する場所で困っておったのだがそれを解決するためにこれを作ったのじゃ。」
マーティは初めてタイムマシンの実験を行ったときのような心境を抱きつつその説明を受ける。
モニターに表示されている地図と全自動で運転してくれる話を聞く限り一つの答えが頭を横切った。
「つまり、タイムトラベルだけじゃなく普通にワープも出来るの?」
「そうじゃ、だか実はいうと最初っからワープはしているのじゃ、地球の自転と速度を考えてみろ場所だけ移動せずに時間だけ移動したら宇宙空間に放り出されているだろ。」
「あ~」
マーティはこのように説明されるが頭が追いつかないしかも1960年から始められたアメリカのゆとり教育世代だ、このように学校に出てくるような詰まらない内容を持ち出されると分からなくなる。
だがそんなマーティでも文脈からして今までもワープしていたことは分かる。
「でも何で今までワープしていたのに好きな場所に行けるようにしなかったんだい?」
「それの指定をするのには少々手間がかかる。座標を指定するのにもその設定をする入力装置に問題があった、物理ボタンだけだと車内はボタンだらけになってしまう。だが今回からは違う画面切り替えもできて画面自体が入力装置のiPadminiを使った。」
「あ~成る程。」
難しい顔をして適当に頷く、他の人が見ると本当に理解しているのかと声をかけたくなるがドクは満足してGoogleマップに画面を切り替える。
「とりあえず昼飯でも食べようバーガーキングがお勧めだ。」
「いつもバーガーキングのゴミが溜まっていたからね、好きなの?」
「いや特別な感情はないな、タイムマシンの開発費で金欠になった時に手頃な値段しゃたからな。」
「成る程、ところでドク、バーガーキングにペプシある?」
室内は前回行った2015年のヒルバレーと違い1986年と大して変わらない室装だった、少し未来っぽい物を期待していたマーティは少し期待外れだったが特に害はないのでそのまま気にせずに注文をした。
「ドク、どうするんだい?何が原因で僕が三人出てきたのか全く分からないんだけど。」
エメット・ブラウン博士、通称ドクに今回のタイムパドラックスの原因を聞いてみた、最初に未来のマーティに会った時ドクは中年になったマーティに若い君に会ってしまえば大変なことになると言っていた。この中で一番このことに関して一番把握しているはず。
「ドク、最後にやってきた僕って・・・何かおっかないね。」
「あれについては良くわからんが少なくとも荒れた生活をしたと思う。」
「それじゃあ普通の僕はどんな生活を?何をさせようとしたの?」
「あまり詳しく話すことはできん、ただ言えることは彼等三人が君を捕まえて自分の時間軸に引きずりこもうとして来ると思う。」
「ヘビーだ。」
「また君はそういう、しかし何故あの時デロリアンの色があんなにはっきりしていたのか。最初に現れたマーティは12人の子供とか言っていたな。ジェニファーと君に12人も子供はいなかったはずだが・・・」
「青いデロリアンに乗ってきた方の僕は何も言わなかったね。」
「服をしっかり着こなしていたイメージだけだな。」
「でもそれ以外は分からない、そうだ僕らにばれないように隠れながら彼らのデロリアンを確認するとか・・・」
「・・・だがあの最後にやってきたマーティは厄介そうだぞ。」
「確かに。」
マーティはこの状況をごまかすように氷で少し薄くなったペプシを飲み外を見る、すると口に含んだコーラを吹き出しそうになる。
「ドッドク!ヤバイよ!」
彼が指差した先には物凄い形相をしたマーティがこっちに歩んできていた。
二人とも顔を合わせ身の危険を感じたのかすぐに立ち上がり二手に分かれそれぞれ別の出入り口から出る、無論行先はデロリアンだったのだが。
「二手に分かれて混乱させるってか?無駄だ最終的にデロリアンの所にくるのがオチだ。」
腕を組んで待ち伏せている最後に登場したマーティが立ち塞がっていた。
そのマーティは口調からしても凶暴そうだが灰色の服をきてとげとげしい肩パットらしきものをつけているせいで余計に凶暴そうに見えた、もしかしたら世紀末覇者の世界である程度落ち着きがあると今目の前に見える服のデザインが主流になっているのかもと意味のない空想をマーティは走らせた。
「ドク・・・自動運転とか使えない?」
「無理だ、あれは安全運転をもっとうにしている車の目の前に人がいるのに発進するなんてことは・・・」
「ラジコン操作は?」
「いやリモコンがない。」
「ドク!助けてくれ俺の時間軸が無茶苦茶になっているんだ!!」
その時だった、今度は後ろから二人のマーティが凶暴なマーティを抑え込む。
「お前ら!!」
恨めしそうに二人のマーティを睨むがそれでひるむこともなく無理やり抑え込む。
それを見てチャンスだと判断したドクとマーティは抑え込んでいる間にすぐにデロリアンに乗るはずだった。
きっちりと服を着こなしている方の未来のマーティがドクの裾をつかんで足止めをしたのだ。
「ドク!」
「気にするな走れ!!君の未来だぞ!!」
マーティは仕方なくデロリアンに乗車しギアをバックにしてツリーボックスを倒しながら車道へ出た、周りの人は驚愕の表情をするが知ったことではない。
灰色のマーティは二人のマーティを殴りドクを強引にどこかへ連れて行く。
その様子をバックミラーで確認したマーティは必ず助けるよと呟きギアチェンジを行う。
ある程度走ると見慣れた一本道が見える、後ろからには何があったのか、どう和解したのかそれともたまたまなのか三台のデロリアンが協力をし合うように空から追いかけてきた。
自分も空を飛んで逃げるべきかそれともこのままタイムトラベルをして逃げるべきか。
ドクがいない状態でタイムトラベルをすることは危険極まりない、だが未来の自分三人に捕まるよりはマシだと判断してタイムサーキットとデロリアンのスイッチをつける。
時速88マイルに達すると後ろの次元転換装置が光を放ち目の前が青白い光に包まれた。だが残念なことにマーティは気付けなかった、その青白い光の中に真っ白でタイムトラベルの時に発生する閃光以外に別の光も交じっていたことを。
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