「あれ?君はキュルケのところの恐竜じゃないか。」
フレイムはマーティの行く手を阻むようにフレイムは目の前に居座っていた。
「そこどいてくれないかな、部屋に戻れないんだけど。」
その巨体を跨ごうとするがそれを防ぎむしろ裾を噛み無理やり別の方向へ連れて行こうとした。
「ちょっちょっと待て、は、離せ。」
マーティが強引に連れて行かされた場所はこの恐竜フレイムの主であるキュルケの部屋だった。
その部屋は薄暗くてかつ何も見えなかった。
「いらしゃい扉を閉めて。」
すると彼女は部屋に明かりを灯し部屋を照らし出しキュルケのネグジェが映し出される。
「はぁい、私は微熱のキュルケ。私は」
「待った、念のため言うけど僕には恋人がいるんだ。」
申し訳なさそうにマーティが衝撃の事実を告げるとキュルケは何だと言わんばかりの残念そうな顔をした。
「何だガールフレンドがいるんじゃ、手出しできないわね。」
「ごめんよ。」
その時窓の外からハンサムな青年が覗き込んでいた。確かここは一階ではない筈普通ならばどうやってここまで登ったと思うがフライと呼ばれる魔法の存在を知っているマーティは疑問も違和感すらも感じなくなっており気付かぬ間にこの世界に溶け込んでいた。
「ペリッソン!二時間後に。」
「話が違う!」
するとキュルケは杖で火炎放射のような火を吐き彼は窓から姿を消した。マーティはいくら魔法を使えるとはいえ、相手の能力が無効化されるようなことをされては流石の魔法使いの身が危ないのではとキュルケの毒牙にかかった彼の安否を心配した。
それから立て続けに男性が顔をだし火炎放射の魔法ですべて薙ぎ払い最終的にフレイムがチェックメイトを入れた。
そしてこの部屋最後の客人は女性で男性ではなかった。
「キュルケ!」
赤い髪より薄い色素の桃色ブロンドのマスターが部屋に侵入し、マーティに言い寄ろうとしていたキュルケに抗議をした。
「手は出さないわ、この人恋人がいるもん。流石に恋人がいるのに手を出すなんてことはしないわ。」
「そのセリフ二百年以上前に言うべきね!!」
「全く何でトリステインの貴族はこう頭が固いのかしらね。」
するともう突っ込むことに疲れたのかマーティの裾を引っ張りそのまま部屋から逃げ出すように連れ出された。
ルイズの顔は髪の毛の色に負けず真っ赤に染まりそのまま怒り心頭を色で表していた。
「ルイズ?隣の人と仲が悪いみたいだけど何かあったの?」
するとルイズはキッと睨み付け叫ぶように言った。
「なっ仲が悪いですって!仲が悪いだけならまだ良いわよ!!」
後にこれを聞いたことをマーティは後悔しざええなかった、何せ彼女の先祖様の話を永遠と続けられ恋人や妻を取られただの、もういつの話なんだということをネチネチと言われ続けていた。
「そういえば、あなた武器とか持っていないの?」
「持っていないけど何で?」
「キュルケを狙っている男子に狙われた時どうするの?」
すると火炎放射で丸焼けになった男子たちのことを思い出した、ギーシュの時は不意をうったがもう今度は小細工は通じないだろう。
「拳銃とかない?」
「拳銃、平民らしい武器ね。良いわ買ってあげるその代わり無駄弾は使わないでね。」
「OK。」
「明日は虚無の日だから朝から市場へ行くわよ。」
虚無の日と聞いて日曜日のことかと思い特に気にせずマーティはそのままベッドへダイブした。
翌朝キュルケはマーティのことを考えていた、恋人がいるそれはおそらくルイズのことだろう。あのルイズのことだ自分に取られないようにわざわざ仕向けたのだろう。
そう解釈をしたキュルケは遠慮なしにアンロックの魔法を部屋にかけて部屋に入ったが既に出かけた後だった。それを証明するかのように外では馬に乗った二人組が玄関から出ていく場面があった。
「何よー出かけるの?」
一人髪の毛が青くそしておとなしい彼女は本を読んでいた。折角の虚無の日だゆっくり本を読んでいたのだがドアを乱暴にたたく音が聞こえる。鬱陶しく感じた彼女はサイレントの魔法をかけて無音の世界に浸るが自分の肩を触れる感触でようやく本から目を離した。
また何を話しているのか分らないので止む無くサイレントを解除すると次の言葉が出た。
「タバサ今から出かけるわよ!早く支度をして頂戴!」
「狭い道だな、デロリアンで行かなくて正解だった。」
「狭い?これでも大通りよ。」
「これなら僕の家の前の方がよっぽど広いよ。」
「本当?嘘じゃないわよね?」
「本当さ、一家に一台デロリアンのような車をみんな持っているんだよ。道がこれぐらいだったら渋滞どころか移動すらできないよ。」
一瞬自分の国を否定したようだがよくよく考えればマーティの住む国のことは知らない、何時ぞやに参考になるような絵はないのかと尋ねたが彼はないと否定した。
私はマーティのことを何も知らない。
もし平民だけでかつあんな不思議な乗り物を一家に一台しかも金持ちでなくてもあのようなものを持っている。すべて金属で作られかつ馬を牽かずとも移動が可能な乗り物、魔法を使わずにどうやっているのか。
魔法を使用してもほぼ全国の平民にいや貴族にすらジドウシャと呼ばれる馬車いや最初に一台すら作れるか疑問に思えた。
色んな機械を見たことはあるが魔法を使わずに物を動かしている物はバネを使った物か、風車や水車を使ったものぐらいしか思いつかない。仮にその力を馬車に転換したとしてもあの重そうな馬車デロリアンが動くのか。
「ねぇどこに武器やがあるの?」
「あ、ええ御免なさい確かピエモンの秘薬屋の隣よ。」
「あれかな?」
その店の中は薄暗くまるで北斗の拳を連想させるような胡散臭い店というのがマーティの率直な感想だった。
「うちは真っ当な商売しかしてませんぜ。」
『胡散臭なぁ、真っ当なことをしていない人のセリフだよ。』
「客よ。」
「これはおったまげた!貴族が剣を!?」
「私じゃないわよ、この赤いのが選ぶの。」
マーティは軽く相槌をうち店主に注文をする。
「拳銃とか頼む。」
「わかりやした、ところで今では貴族の方々が武器を持たせることが流行っておりましてね、何でも土くれのフーケって言う盗賊が荒らしているらしいですね。」
「土くれのフーケ?」
マーティは店主に出された箱を見ながら土くれのフーケについて聞く。
「何でも元メイジでして宝物庫が土くれに錬金して宝だけ盗んでいくというものでして・・・」
自分のデロリアンも気を付けないとと思い箱を開けるとそこには予想外の物体が入っていた。
「え?これって先っぽから入れるタイプ?」
そこにあったものはフロントリック式の火打石を用いて使用する銃だった。
「ええ、銃はみんなそうですよ?」
「まいったなぁ。」
頭の後ろをポリポリとかき困った顔をするとルイズが横から質問をした。
「どうしたのよ、あなたが思っている鉄砲と違うの?」
「違うね、弾を五発とか六発ぐらい入れて連続して撃てる銃が僕の思っていた銃なんだけど・・・。」
「それじゃあ剣にする?」
「いや、剣はちょっと。使いこなせる自信がない。」
そんな会話をしていた時だった。
「おいおい!男のくせに剣もまともに振れないのかよ!」
後ろから男の声が聞こえ二人は振り向くが店内には誰もいなかった、そして主人は顔をしかめてその声の主に注意をした。
「やいデル公!お前客に対して失礼なこというじゃねぇ!溶かして捨ててしまうぞ!」
その店主が向けた先には錆びれた剣があった、マーティは店主の頭を心配したが次の瞬間その考えは吹き飛んでしまった。
「面白れぇやれるもんならやってみろ!」
「剣が喋っている!?」
「インテリジェンスソード?珍しいわね。」
「剣を喋らせるなんて誰が考えたんでしょうかね、おいこれ以上お客様に失礼があるもんなら貴族を呼んで本当に溶かすぞ!!」
「上等だ!やってみるもんだならやってみろ!もうこの世にはせいせいしているんだ!!」
するとマーティはその剣の近くにより腕を組み、右手指を顎に乗せてし短い時間の中で熟考すると行動に移った。
「おじさん、これにするよ。どうせ邪魔なんでしょ?安く売ってくれるなら引き取るよ。」
「ちょっとマーティ本気なの?」
「厄介払いですので50エキューで十分です、良かったら40エキューでも構いませんぜ。」
マーティは世間知らずとはいえある程度武器に精通していると判断した店主は格安の値段でその値段を提示した。某日本人男性と違い詐欺には引っかけの対象にはならなかった。
「マーティお金ならちゃんとあるのよ?こんな変な剣じゃなくても。」
「いや、剣よりもこの喋る機能の方が大事なんだ。僕はこの世界についてあまり知らない。でも身の守り方や裏の世界の情報とかはこの剣の方が詳しそうだし。」
その剣は抗議をするがマーティが柄を持つと急に黙り込みあることをいう「おでれーたおめぇ使い手か」
「使い手?」
「何でもない俺を買え気に入った。」
「何よその態度。これから主人になる人物に対して言う言葉?」
「旦那、もしうるさければ鞘に納めてくださいそうすれば黙りますので。これはサービスです。」
「有り難う、また機会があれば銃を見に来るよ。」
二人が出ていく場面をのぞいているキュルケはすぐさま行動に移った。
「こりゃ珍しい、また貴族様だ。」
「ねぇさっきの客何欲しがっていた?」
キュルケはルイズより豪華なプレゼントを渡しマーティの気を惹こうと考えていた。
すると店主は少し困った顔をした。マーティは銃を欲しがってはいたがここにある銃では彼の要望を叶える銃はなかったのだ。
「第一連発で撃てる銃なんて探してもありやしません。仮にあったとしても特注品でしょうが。」
「連発で撃てる銃ね・・・ゲルマニアの職人なら作れるかもしれないわね。おじさん有り難う。」
一方、土くれのフーケが宝物庫の分厚さを確かめていたが、とても物理攻撃で潰せそうなものではなかった。
「何が物理攻撃で破壊ができるよ、全く錬金も固定化の無理だしどうしたものか。」
同時刻、ルイズの部屋ではキュルケとルイズがにらみ合っていた。
「何であんたがここにいるのよ!?」
「別にいいじゃない、マーティが欲しがっている拳銃をゲルマニアで作ってあげるだけの話よ。」
「マーティはそんなこと望んでないわ!」
「でも平民にとっては銃は必要よ、マーティの住んでいたアメリカって国だと一家に一丁持っているそうよ。」
また自分の知らないことを聞いてキッとマーティを睨んだが全く気付かず、部屋の隅っこでタバサと並んで座っていた。マーティは土くれのフーケのことを聞いてある程度の道具をルイズの部屋に持ち込んでいたのだ。
「あ、懐かしい物も出てきた。」
手元にあった方が便利な物、また無くなったら厄介な物を含めてそれらを部屋に持ち込んでいた。そして懐かしい物とは全く使う機会のない防護服がトランクの中でたたまれていた。
「それは?」
興味深そうにタバサはその服を覗く。
「これ?これは防護服って言って放射能って毒ガスみたいなのを防ぐんだ。」
「放射能?」
「まぁ危ない物だよ。」
「あなたは変わった道具を沢山持っている。用途は分らない。でも異質な物ってことは確か。今日の朝会った時から思った。」
「今日の朝に会った?」
その時会話を遮るようにキュルケが飛び込む。
「ねぇ~ダーリン他に何か欲しい物はないの?」
「え~っとこれを保管する金庫とかかな?あと連発で撃てる銃」
「連発銃ぐらい私が特注で作るわよ!!」
「あるの?」
その言葉を聞いてマーティが喰いつくとキュルケはよし来たと判断してマーティを喰らいつかす餌をつるす。
「当たり前よ、うちの職人なら何でも作れるわよ。」
「駄目よ、キュルケの言うことを真に受けないで!」
「・・・と言われてもあった方が便利なものだし。」
「満足に使い魔の欲しい物さえ買ってあげれないなんて、情けないわね。」
マーティが言った言葉にルイズがピクリと眉をあげキュルケと火花を散らした。
「そう・・・なら決闘よ!!」
「上等。」
宝物庫の先にはマーティが縛られふらふらとしていた。
「何で僕がこんな目に合っているの?」
マーティはこの状態のおかげか1885年の西部時代にタイムスリップしたことを思い出す、こんな状態になったのはタネン一家に縛られて引きずり回された時のことを比べるとまだましの方かもしれない、高い場所につるされていることを除いて。
「タバサ!おろしてくれ!!」
風竜と呼ばれる青いドラゴンに乗ったタバサに向けて懇願したがタバサはそれに意を介さなかった。マーティは下手に暴れると危ないと判断しておとなしくしていたが。
ドン
近くでドクの実験が失敗した時のような爆発が響き、その爆発に巻き込まれた壁は無残にもヒビが入っていた。
「ルイズやめろぉ!」
流石のマーティも声を荒げるしかなかったあんな爆発巻き込まれたら無事でいられるわけがない。
だがそれを救うかのようにキュルケは某配管工事のおじさんのようにファイアーボールを発動し、すぐさまロープを切ってくれた。そして一瞬の浮遊感と共にタバサにキャッチされる。
「私の勝ちね、ルイズ。」
フーケは驚愕した、何故ならば魔法と物理的な要素全てを兼備えてもトライアングルである自分でさえ困難なものをいとも簡単にルイズはヒビを入れることに成功したのだ。
どうやって、やったのか物理だけでもそこそこの威力だがとてもそれだけでヒビを入れたと思えず、どう考えても魔法を使用して固定化の効力を下げたとにしか思えなかった。
だがそんなことはどうでもいい、壁にヒビが入ったことで自分のゴーレムだけで破壊できるようになった。これほどのチャンスはない。
「何だ!?黒いマシュマロマン!?ゴジラ!?」
急に現れた巨大ゴーレムに驚くほかなかった、キュルケやルイズも驚きそのまま逃げるがロープでだるま状態になった故にあまり速く走れなかった。
「ま、待ってくれ!」
そこでナイキの靴ひもが解けこけてしまう。ルイズはハッとして急いでロープを解こうとするがマーティはこのままだと二人とも巻き込まれそして死ぬと確信しすぐにルイズに逃げるよう催促をするがルイズは退かなかった。
「自分の使い魔を見捨てるもんですか!!」
意表を突かれたマーティは自分より身長が低いルイズを見上げる、その時のルイズは剣のように真っ直ぐで輝いているようにも感じられた。
「相棒・・・」
ルイズの手に持たれているデルフがマーティに語りかける。
「何だい?デルフ。」
「あのゴーレム俺らより宝物庫の方に興味があるそうだぞ。」
デルフがそれを言った瞬間宝物庫が轟音と共に破壊された、フーケはその中から破壊の杖が入った箱を取り出し壁にメッセージを残した。だがそれ以外にも奇妙な物つながりでついでに持ち出そうと考えていたものがあった、それはコルベール教師が一番興味を示していた物。
「ああ!デロリアンが!!」
すると二人ともふわりと身体が浮きタバサのドラゴンの上に乗せられた。
「頼む!あれがないと帰れないんだ!!タバサ追いかけてくれ!!」
「危険よ!!」
「あれには!アレがないとドクを救えない!」
だがタバサの返した返事は非情だった。
「駄目、危険すぎる。」
しばらくするとゴーレムが崩れてデロリアンもろとも見えなくなった。
翌日学内は騒然となった、あの土くれのフーケが学校に侵入し破壊の杖を盗まれたのだ。
「ミセス・シュヴルーズ!貴方が当番だったはずですぞ!」
「も、申し訳ございません。」
ギトーは鬼の首を握った如く、女性教師を責めつけるがルイズからしてみれば責任の擦り付け合いにも近い物に見えた。その状況の中オスマンが口を開く。
「これこれ、女性をいじめるものではない。マーティ君、きみは夜中によく外に出歩いて鉄のゴーレムをいじっているが、その時に教師が外で歩いていたことは?」
不意を突かれる形で言われたマーティは肯定した。
「ええ、外には教師は見かけたことはありません。」
「わしもじゃ、塔の中で見張っていた者はこの中で何人おる?サボっておったのはシュヴルーズだけではない。」
そういうと教師陣は急激に黙り込み沈黙が支配をした。そこで場の空気を壊すようにオスマンは当時の目撃者である三人と一人に尋ねる。
「フーケが逃げたときにはもう土くれしかありませんでした、上空から見たときにはもう。」
「後を追おうにも手がかりがなくては無理じゃな。」
その時だった、バタンと音を鳴らし朝から見かけなかったロングビルが入り込んだ。
「ミス・ロングビル!どこ行っていたのでしたんですか!?大変ですぞ!事件ですぞ!」
「ええ、私も「朝の騒ぎ」からしてそう思いました、なので先ほどまで調査をしていました。徒歩で半日、馬で四時間ほどかかる距離に廃屋があり、そこにフーケらしき人物が逃げ込んだと近くの農民が証言しています。」
「本当かね?」
オスマンが尋ねるとロングビルは肯首をし、続いて補足を付け加える。
「はい、黒いローブを羽織っていたので顔までは分らなかったそうです。また奇妙な鉄の馬車らしきものを運んでいたと。」
「デロリアンだ!!」
マーティは鉄の馬車に敏感に反応し詰め寄った。
「ええ、でも良くは分らないわ、直接見たわけでもないし。」
「・・・そうですか。」
するとコルベールはすぐに王室に報告するよう進言するがその間にフーケが逃げ出すと一蹴りした。
そして・・・
「何でこうなったかな・・・。」
マーティを含め五人の編成でフーケ討伐のグループが編成された。
「ルイズ、算段はあるのかい?」
イーストパックに今回の騒動で必要になりそうなものを適当に詰めていた、今回は盗賊が相手だ一応手の内を見せたくないため盗まれる前に取り出したホバーボードを手で持ち浮く場面を見せないようにしている。
「やる気まんまんね、ダーリン。」
キュルケはイーストパックに色々物を詰める様子をみて素直な感想を言った。
「あらこれは?」
四角くて奇妙な金属の針のような突起物がある箱を見つけたが何のための道具か分らない加えて、その近くには何かの模様が描かれている円筒状の金属がいくつもあった。
「ちょっと人の部屋に勝手に入らないでよ!」
「ダーリンの準備が終わるまで待つわ。」
「マーティもマーティよ!何か準備したところで何も変わらないわよ!」
それに対しマーティは準備するに越したことはないと言ってジッパーを閉めると、四人ともロングビルの所へ向かおうとするが。
「相棒!俺もつれてけよ!」
すっかりデルフの存在を忘れていたマーティはアドバイザーとしてデフルを腰に携えた。
「そうだ、タバサ、シル何とかって称号があるってことは強いってことでしょ?」
オスマンの発言でキュルケやルイズ含め皆が驚いていたことから相応の実力があるとみたマーティは小さな黒い箱を渡す。
「良いかいタバサこれの使い方は・・・・・・・・・理解した?」
「本当にできるの?」
「できる。あとこのことは秘密にしてほしいんだ。特にロングビル先生には」
「何で?」
「僕はその・・・あの先生のことを信じていない。」
「何で?」
するとマーティは持論を持ち出す。
「そもそも半日、馬でも四時間もかかる場所なんでしょ?魔法使いは空を飛ぶことは知っているけど、それには限界があると思うんだ。フーケのような強い魔法使いなら兎も角普通の教師をしている、失礼だけどロングビル先生がそこまで力があるとは思えない。」
「・・・確かに、フライには限界がある。」
ロングビル先生と共に荷馬車にのりフーケが隠れてるという廃屋に向かうが奥に行くにつれ暗くなる。
途中で飽きてきたのかルイズとキュルケが武器の話題になりちょっとした喧嘩を始めているところ、薄暗い森の中から鈍く反射する物体があった。
「デロリアンだ!!」
マーティが馬車から降り走って間近で確認するとどうだろうか、そこにははっきりと次元転移装置やタイムサーキット、そして2時を指す機械式目覚まし時計があった。ロングビルが奇妙な顔をする。
「どうかしましたか?」
マーティはロングビル先生に問いかけるとハッとした顔になり狭いから馬車から降りて歩いて行くように皆に指示をした。
廃屋を見つけるとマーティは一番年長者で腕が立つことを理由にロングビル先生と先陣をきり、一緒に出入り口付近で相手の出方を見計らった。
「ロングビル先生、何かいるか魔法でわかりますか?」
「魔法を使わなくとも、人がいないことぐらい分かります、ところで聞きたいことが。」
「何ですか?」
「あなたのあの不思議な馬車、大事な物なの?「夜に大きな音がなった時」あれがないと帰れないとか言っていたけど。」
「ええ、ある意味希望みたいなものです。」
「希望・・・ところであれはゴーレムかしら?勝手に動いたりして主人を探したりしないの?」
「あ~、そういう機能はちょっとないですね。」
マーティはそう言いながらガムテープをぺたりと黒い箱に張り付ける。不思議な顔をしたロングビルが尋ねるとアメリカのおまじないみたいな物と言いごまかした。
「私は外で見張っているわ、箱の中を確認してすぐに帰りましょう。」
「はい。」
マーティは暗い部屋の中でぽつんと置いている長方形の箱に手をかけ中身を確認するとマーティは目を点にした。
「あ~ロングビル先生、今思ったんですが破壊の杖ってどんな形をしていますか?」
「どっかの塔みたいな形をしていて筒みたいな杖よ。」
「塔みたいで、筒のような杖ねぇ・・・・ってこれは。」
マーティが箱を開けた瞬間驚いた、何故こんなものがここにしかもマーティにとっては色々な意味で嫌な思い出が詰まっている一品だった。
「ロングビル先生これですか?」
「どれどれ、あと私は先生じゃなくて秘書よ。」
その時。
「ロングビル先生の正体は土くれのフーケ!」
急に部屋の奥からそんな声がしかもマーティの声で響いた。
「え?」一瞬判断が鈍ったマーティは同時に轟音が鳴り響き急に視界が明るくなった。
「マーティ!!」
あの巨大なゴーレムはマーティ達が入って行った小屋を半壊させたのだ。
するとザザザッとタバサの持つ黒い箱から音声が流れマーティの叫び声がそこから聞こえた。
「なっ何これタバサ!?それに今ロングビル先生のことを!?」
「マーティから渡してもらった、遠くの人と会話できるマジックアイテム。」
「何でそんなものをマーティが!?」
「これはマーティの私物。マーティ持っていたピンクの板と同じような文字を使っている。」
するとタバサはMADE IN JAPANと彫られた無線機を見せつつ内容を聞いていた。
「君のドラゴンを呼んで逃げて!!」
最初の作戦はこうだった、ボロを出すであろうロングビル先生の決定的瞬間を無線機を通して聴いてもらおうという算段だったがそのあとを考えると見通しが甘かったとにしか言わざる得ない。
しかし誰がフーケの正体を言いふらしたのだろうか、マーティは決して自身で声を出していない、だがフーケはそうと捉えずいきなり攻撃を繰り出したのだ。
「ついでにデロリアンも持って逃げてくれ!アレがないと自分は帰れない!」
声を荒げるマーティの指示に従い、あの奇妙なゴーレム馬車のある場所へ向かうが。
「何よ!?あのゴーレムいなくなっているじゃない!!」
さっきまであったはずのマーティのゴーレムがきれいさっぱりなくなっていた、いや良く見れば轍が道に沿って走った形跡があった。
「確かにここにあったハズわよね。」
キュルケも不思議な顔でデロリアンがあった場所に目を向ける。
その時、強引に木々を破壊しこっちに向かってくる音がするが同時にタバサの使い魔が舞い降りすぐさまそれに乗った。
「マーティを助けなくちゃ!でも何でロングビル先生がフーケって?」
「マーティは最初っからロングビル先生を疑っていた。」
「はぁ?どういうこと!?」
「そのままの意味、人の足で半日、馬で四時間。どうやってロングビル先生は朝にできたの?いつ農民に聞いたの?」
「それは!フライを使って・・・」
「この距離だと破壊の杖を持ちながら飛ぶのはトライアングルクラスでも厳しい、となれば夜中から今日の朝にかけてまで姿を見ていないロングビル先生がフーケだと考えるのが妥当。加えてあの鉄の馬車のこともある。」
「なっ!?」
何で私に報告しなかったのよと言いたかったが今はマーティの救出が先だ、だが一向に空を飛ぶだけで助けようとしないタバサに不満が募る。
「何で助けに行かないのよ!」
「彼は稲妻と言うまで助けないでほしいと言っていた。多分タイミングを計って走り回っているのだと思う。」
「そうなの無茶よ!第一あんな巨大なゴーレムすぐに追いつかれるし最悪踏みつぶされるわ!破壊の杖を持っているんでしょ!?結構重いって学園長も言っていたし第一あの武器はメイジじゃないと」
「ねぇルイズ・・・あれマーティのじゃない?」
キュルケが指を指した先には破壊の杖を肩に乗せながら走り回っているマーティがいた、だが走っているというより滑っているという表現に近い。加えて速度が異常に速く感じられた。
「ひょう!!」
ホバーボードがヒュルルと一昔前のUFOのような滑空音を鳴らしながらジグザグと木々の間を進みゴーレムが動きにくくなるところを通っていた、加えてなるべく廃屋を中心に円を描くように回っている。
理由としてはデロリアンから遠ざけたいことまた、下手にルイズ達に危険を及ぼしたくなかったからだ。また不思議なことに破壊の杖を持ってから体が異様に軽い、何故だろうか。
大体デロリアンがあった場所から廃屋を中心とした90度ほどの角度まで来ると大丈夫だと判断し、さっきの廃屋のあった空き地に戻りタバサに回収してもらおうと思うが。
バシュン!
何かの発射音と一筋の煙と共にゴーレムに向かいフーケ諸共にゴーレムが破壊された。
「え?」
間の抜けた声と同時にゴーレムの周りは火の海に囲まれ脱出不可能な状態に陥らせられていた。
「土くれのフーケ、降参しなさい!そうすれば命まで取りません!!」
フライで飛んでいる彼は何者なのか、太陽がまぶしく、いやそれ以外の要素もあって余計に輝き見えづらくなっていたが、その声には聞き覚えがあった。
「あんたは・・・」
フーケは驚愕した、今彼女の命運を握っている人物に対して。また上空にいる三人組もフーケの正体を知った時以上に驚いた。
「コルベール・・・」
フーケは普段の彼からは信じられない、正に幾多の修羅場をかけ抜いてきた者の目だった。
「降参しなさい、これ以上うちの生徒に手を出すことは許さない。」
圧倒的な魔力そしてこの殺気、だが彼女の頭には降参の文字はない、杖を振り炎に土をかぶせ消火しようとするが、それも一瞬の間すぐに炎が付く。
同じトライアングルだが圧倒的な差、実戦の差があった。
フーケは最後の力を振り絞りフライでコルベールに突っ込もうとするが火炎放射で瞬く間に彼女を覆いつくし力尽きた彼女はそのまま地面にたたきつけられた。
「うう。」
手加減をしたのか、火傷で済んでいるだがその感覚も束の間意識が遠のいて行った。
「ふう。マーティ君無事かね。」
破壊の杖を抱えたマーティは、ホバーボードに乗ったままコルベール先生の近くまで寄り無事であることを示す。
「ほう!その板は?」
「これ?ホバーボード。移動の時に楽なんですよ。」
そういってホバーボードのマジックテープを外し手に持つと空からルイズ達が下りてきた。
「マーティ!心配したのよ!!」
ルイズが下りてきて心配の意を示すと同時に何故タバサにだけ秘密を教えたのか、また何故自分には何も言わなかったことも言及する。
「マーティ君、ここからまっすぐ北の方向に君のデロリアンはある。その中に説明書があるからしっかり読みなさい。特に付箋と言うのかな?しおりが挟まっている箇所をしっかり読んでおきなさい。」
「え?」
まるでメッセージを伝えるかのような言い草でマーティに伝える。このコルベールはまるで全てを知っているかのようだ。
「それはどういう・・・」
「ところで今は何時かな?早く戻らないと馬でも四時間はかかるぞ。」
マーティは腕時計を見て時間を確認するとハッとする。
「コルベール先生、行ってきます。」
「ああ。」
空気に取り残されたルイズ達はポカーンとするばかりで完全に空気になっていた。
マーティを見送る姿を見るとコルベール先生は帰るよう催促する、ルイズはマーティを置いていけないと抗議するが彼女たちの後ろには、その理由を無効化にする人物が立っていた。
マーティはコルベールが言った場所までホバーボードで移動するとそこには、やっと本当の意味でのデロリアンに対面できた。
「まずは説明書。」
デロリアンのドアロックを解除し中においてある説明書と手書きで書かれたノートがあり言われたようにそこには付箋が張り付けられていた。
「何々、デロリアンにハイブリット機能を兼備えミスター・フュージョンが発電する電気で電気だけの動力で37マイル(約60km)の速度を出せる。
これはモーターの出力とスペースの関係でこれだけしか出せないがリミッターを解除すれば88マイル(約140km)まで出せるが、その時はモーターが焼切れるため注意が必要。
結局タイムトラベルにはガソリンが必要だ。あとは・・・」
隣にある破壊の杖、RPG-7に目を向け何故これがこの世界にあるかを考えた。
次回は30日か8月の1日に投稿予定