霊感少女   作:Mr,J

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過去編
第1話


~数年前

 

まだ…小さかった頃だった。彼女の産みの親であり、母親の田中友美と一緒に家に居た頃。彩未は毎日誰も居ない部屋で誰かと話をしている事があった。

そんな彩未の様子を、あまり好意的に見ない友美は少し不安に感じて居た。

 

「彩未、誰と話ししているの?」

「ミカちゃんだよ。前にこのアパートに住んでいたんだって。でもね…窓から落ちちゃったんだって…」

 

それを聞いて母は少し驚いた。

 

「ねえ…彩未、ミカって言う子は・・・このアパートにはいないわよ。変な事を言うのは辞めなさい」

「はい・・・」

 

素直に返事をすると友美は幼い我が子の頭を撫でる。

 

「ちょっとゴミを出してくるから待っててね」

「は~い」

 

返事をして彩未は部屋で待つ。

友美はゴミ袋を片手にゴミ置き場へと向かう。その時、アパートの管理人と会った。二人は世間話をし始める。

 

「そう言えば・・・うちの子ちょっと変なのよね」

「ほお・・・どんな風にですか?」

「このアパートにミカって言う子がいて、アパートから転落して亡くなった・・・て言うのよ」

 

それを聞いた管理人は顔色を青くして俯き始める。

 

「どうかしましたか?」

「貴女の娘さんは・・・霊感あるのですか?」

「いえ・・・知りませんが、なぜです?」

「数年前にミカって言う、幼い子がこのアパートのベランダから落ちて死亡する事件があったのです。その部屋は現在空き部屋にしてあるのですが・・・貴女の娘さんには、その子の姿が見えるようですね」

 

それを聞いた友美はサーッと血の気が引く感じがした。彩未の言っている事は間違いないと知った。

少し呆気に取られながら部屋に戻る友美は、不思議そうな表情で見つめる彩未の姿に気付く。

 

「ねえ彩未・・・。ミカちゃんて子は何時から見えていたの?」

「ん・・・分からない。ずっと前から居たよ」

「そう・・・ちなみに、他に誰かアパートに居る?」

「分からない。ただ・・・何時も行く公園とかで、突然消えたりする人を見かけるけど・・・何で消えるんだろうね?」

 

それを聞いて友美は確信した、この子は霊感が強いと言う事だった。

 

「あとね・・・ママ、ミカちゃんが私に話し掛けて来るよ、近いうちにパパが事故に遭うとか…」

 

彩未の言葉に友美は、背筋が凍る思いがした。

 

「彩未、あまり変な事言うとママ怒るわよ」

「はい…」

 

少し残念そうに彩未は答える。

ある日の事だった。彩未は夕食の支度をしている友美に話仕掛ける。

 

「ねえママ・・・パパがね、ママにさようならだって言ってたよ」

「何言っているの彩未、パパは…まだ仕事から帰って来てないわよ」

「でもね、今…あっちに居たよ」

 

友美は、そう言われて彩未の指した方を見る。彩未の指した場所は壁で、その向こう側は外だった。

 

「こら…彩未、悪い冗談は辞めなさい」

「だって…本当に居たんだもの・・・」

 

彩未が何か言おうとした時、突然電話が鳴り響いた。友美は電話を受け取る。

電話口で話を聞いて居た友美は、突然…何か大切な物を失ったかの様に崩れ落ちた。

 

「そんな…あの人が…」

「ママ…」

 

母親が涙を流している姿を見て彩未は、友美の側へと行く。

友美は彩未を抱きしめて、涙を堪えて言う。

 

「パパが…パパがね…」

 

それ以上、友美の口からは言葉が出なかった。

 

大切な主人を事故で失った。小さな子供を連れた若い女性は、アパートを出て実家である老舗の飲食店に住み込みで働く事へと決めた。

 

彩未を保育園に通わせ、友美は仕事をしながら家業と言う時間に追われる日々を送り続ける。

飲食店の裏側にある住み込み用の居間で生活する母娘は、両親達と賑やかな生活の日々を過ごしていた。

家族で生活をする長閑な日々に思える反面・・・彩未は自分の思いを母に告げる。

 

「ママ…私、ここ好きじゃない」

「ワガママ言うんじゃありません、ここでの生活で手一杯なのよ今は・・・」

「でもね・・・この店の近くイヤな感じがいっぱいするの、怖いよ・・・」

 

その言葉に友美は不思議な感情を覚えた。

小さな部屋で生活する母娘は、僅かながらの収入でなんとか生活を維持していた。

その頃、彩未の体に少しずつ異変が現れた。夜中、隣で眠っている彩未が苦しそうに呻き声を上げているのに気付いた友美は彩未を起こす。

 

彩未の体を見ると体中に、無数の引っ掻き傷が見つかる。

自分でやったのかと母は思ったが…背中まで傷が見つかり、見えない何かが彩未に纏わり付いているのだと感じ始める。

母は幼い我が子に何があったのか尋ねると…

 

「ここには怖い人が沢山いる」

 

彩未は怯えながら答えた。

 

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