霊感少女   作:Mr,J

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第5話

市の動脈である鉄道駅。新幹線と在来線、私鉄電車、モノレールが毎日頻繁に縦横している。毎日多くの利用客を乗せている鉄道駅周辺には数多くの商店街や百貨店が件並みに溢れ、オフィスビルやビジネスホテル等もあった。

この街にしかお目に掛かれない珍しい商品や店がある為、わざわざ遠方から足を運ぶ人もいる程で、市は駅の利便性と商店街こそが地域活性化の要因だと考えて街の発展に力を注いでいた。

 

商店街が立ち並ぶ一角に店内で食事が出来るベーカリーカフェがあった。若い女性客の憩いの場であり、女子中高生からOL、年配の女性達等…幅広い人達が毎日利用しに来ていた。

ベーカリーカフェの店の入口で友美は友人と待ち合わせをしていた。少し早めに目的地に着いた友美はスマホで仲間とチャットをしていた。

しばらくすると「ヤッホー」と、陽気な声で挨拶する若い女性の姿が現れた。

 

「こんにちは、理穂ちゃん」

「お元気そうで…友ちゃん」

 

相手はメガネを掛けた友美と同年代の女性だった。彼女は友美の古くからの友人であった。2人は会うとベーカリーカフェの店の中へと入って行く。

店の中でケーキを選び、コーヒーを同時に頼み空席へと向かう。

 

「今日は、学校に呼ばれた…とか言うから、もう少し遅くなると思ったけど…意外に早く終わったね」

「まあね…ウチの娘はちょっと特殊だから、教師達も驚く事が多過ぎるのよ」

「そう言えば…貴女の娘さん、彩未ちゃんは相変わらず超能力とか使えるの?」

「超能力とは違うけど…」

 

友美は愛想笑いしながら言う。

理穂は昔、まだ友美の夫が生前だった頃に何度かアパートに遊びに来た事があった。

ある日の事…何時もの様に遊びに来た時、彩未が理穂の近くへと来た。

 

「こんにちは、彩未ちゃん」

 

理穂が彩未の頭を撫でる。その彩未は不思議そうな表情で理穂を見つめて…

父がコレクションにしているバイクの模型を指しながら

 

「お姉さんの知り合いでアレに乗っている人いる?」

「バイクね…私の兄や弟が乗っているわ。確か…今日は皆でツーリングに行くとか言ってたわね」

「倒れて怪我した人がいるみたいよ」

「え…?」

 

それを隣で聞いていた友美が彩未を叱る。

 

「コラ、彩未変な事言っちゃダメ」

「だって、本当だもん」

 

それを聞いた理穂が急いで兄に電話をするが繋がらず、弟に連絡すると…しばらくして弟が電話に出た。

 

「姉ちゃん何?」

 

弟は少し慌てた口調だった。

 

「ツーリングで誰か怪我した人いる?」

「え?何で知ってるの?姉ちゃんの兄が今、転倒して大怪我しているんだ⁉︎これから病院に連絡するから、また後で掛け直すよ」

 

そう言って弟は連絡を切った。事の詳細を知った理穂は唖然とした表情で友美達を見る。

 

「本当だったわ…」

それを聞いた友美も驚いた表情をしていた。

 

 

「あの時は流石にビックリしたわ。子供って…幼い頃は純粋で無垢だから、直感的に周囲の環境や変化に敏感に反応するのよね。でも…成長すると、その反応も衰えて普通の子になるのじゃないかな?彩未ちゃんも今は普通の女の子でいるのじゃない?」

 

(昔よりも更に磨きが掛かってパワーアップしているよ、今は…)

 

友美は今日、学校に行った時に帰り側に彩未が自分の所へと走って来た事を思い出す。

そもそも何故彩未は友美が学校に来ているのを知ったのか…、更に別れ側に友美の考えを読み取った様な発言までしてくる。

 

「親である私自身、度々驚かされているわ…正直、あの子の前では隠し事は出来ないわね」

「へえ…凄いね。彩未ちゃんが占いとか出来るようになったら、占って貰おうかな?」

「彩未も、普通の女の子だったら私も何とか頑張れるけど…正直言って、あの子は特殊なのよね…。今のアパートから出て他に行きたくても、貯金を使い果たして動けないし…現状維持が精いっぱいの状態なのよ」

「それで私に誰か良い人はいないか…相談して来たのね」

 

理穂は納得するとバックの中からメモ帳を取り出す。

 

「貴女からの依頼で…私の知り合いの男性で良い人を探して見たけど…この人なんかどうかな…?」

 

友美は理穂が名簿に書き込んだ一覧の中に、理穂が指指している名前を見た。

 

「滝川稔って言うの、少し年上になるけど…営業の仕事をしていて、出世も早くて今は支店長を任されているわ。悪くない条件だと思うけど…」

「ちょっと…私には勿体気がするかな…?」

「そう…?悪くないと思うけど…スタイルや顔で相手を選ぶなら、他の人に相談を持ち掛けて見ると良いけど…。彼は物腰も低く、決して自慢話ばかりしてくる人じゃないから、一度会ってから決めると良いわよ」

 

友美は名簿の名前を見て、

 

「分かったわ…とりあえず会って見るわ」

と、了解をした。

 

「じゃあ…相手に連絡して決まったら、会う日程とか選びましょうね」

 

そう言って2人は話が決まると店を出て行く。

 

 

〜その日の午後・西原小学校…

 

お昼の休憩が終わり午後の授業前に全校生徒達は、清掃時間を行うのが日課だった。1年2組の教室を友達と一緒に清掃している彩未は、友達と仲良く清掃していたのだが…クラっと、急に立ち眩みがして教室の台の上に寄り掛かった。

近くに居た友達が心配して駆け付けて来た。

 

「彩未ちゃん大丈夫?」

「大丈夫、ちょっと目眩がしただけ」

「なんか…顔色良く無いね」

「平気、少しすれば良くなるわ」

「本当に大丈夫?保健室に行って休んだら?」

「保健室に行く程じゃ無いって、本当に大丈夫だから」

 

彩未はそう言って無理に愛想笑いするが、周囲の視線は心配そうな表情だった。そうしている間に担任の竹中が教室に入って来て、周囲がザワ付いている事に気付く。

 

「何を話し合っているの?」

「あ…先生、実は彩未ちゃんが気分悪そうなのだけど…」

 

それを聞いた竹中が彩未の側へ行き、額に手を当てて熱を図る。

 

「熱があるわね…少し保健室に行って休んで来なさい」

「私は…この位平気です、保健室に行く程じゃありません」

 

彩未は断固として保健室に行くのを拒否した。

それを傍らで見ていた男子が…

 

「分からないな…保健室の先生は美人で頭も良くて、学校中の生徒の憧れの的なのに…何で行きたがらないのかな?」

 

彩未は気付いていた、保健室の先生が霊能者である事を…。学校に入学した頃から大きな霊能者の波長を感じていた。

その波長が保健室から感じているのだと分かると、彩未は出来るだけ保健室には近付かないように決めた。

 

「そう言えば…彩未ちゃん、以前体育で転んで怪我した時も、保健室に行かず自分で消毒して怪我の治療したわよね。そんなに保健室嫌いなの?」

「あ…えっと、自分の事は…自分で済ませたいので…」

 

彩未の無理な言い訳を聞いた竹中は溜息交じりに言う。

 

「そう言えば、保健室の先生は霊感が強い見たいって噂らしいね…」

「なるほど…」

 

先生の言葉に周囲の子供達は頷きながら彩未を見た。

 

「霊感がなければ、保健室に行っても平気では無いかな?」

 

痛い所を突かれた彩未は、ようやく観念したのか保健室に行く事を決める。

竹中は教室の外に居た少し年上の女子を呼び止める。

 

「篠崎結衣さん」

「あ…ハイ?」

「彼女を保健室に連れて行って下さい」

「分かりました」

 

結衣と言う名の女子生徒は彩未と一緒に保健室に向かう。

保健室の前に行くと部屋のドアを開けて彩未が結衣に「どうぞ…」と手を差し述べる。

 

「貴女が患者なのだから、貴女が先に入るの」

 

無理矢理押し込まれる様に入った彩未は目の前にある保健室用の机と椅子がある事に気付く。椅子には黒髪を長く伸ばし、スリムで背丈の高い、顔立ちの綺麗な若い女性が座っていた。

 

「ようやく保健室に来てくれたわね田中彩未ちゃん」

 

自己紹介せずに名前を言い当てた先生を見て結衣は驚きながら

 

「先生、この子とは・・・お知り合いだったのですか?」

「いえ…今日が初対面よ」

「神山千夏先生、初めまして」

 

彩未もいきなり名前を言い当てて結衣は更に驚いた。

 

「え…貴女達、一体どう言う関係?」

「噂通り凄い素質ね、まあ…せっかく会えたから、ゆっくり話をしましょう」

「お薬だけください、あとは自分で済ませるから」

「あら…そう、じゃあ…薬が取れたら帰りなさい。出来ない場合は私の診察を受ける事ね」

 

そう言って千夏は掌に鎮痛剤を乗せて彩未の前に差し出す。

 

「さあ…持っていきなさい」

 

それを見た彩未が悔し紛れに千夏を見て

 

「うう…卑怯者…」

と、呟く。

 

不思議な光景に結衣は何が起きているのか分からなかった。

 

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