ゆる☆まぎ   作:しろっぷ

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思い出したんだ色んなことを

ごらく部

 

 

 

 

「えー!これが噂の転校生!?でかしたあかり!ぐっじょぶ!」

 

「えへへぇ、京子ちゃんが喜んでくれてあかりも嬉しいよぉ」

 

「おいこら、暁美さんが嫌がってるだろ」

 

「ああん、結衣先輩ちーなもいますぅ」

 

なんというか、大変な場所に来てしまったようだ。

金髪の3年生と黒髪の3年生は交互に言い合っていた。

あかり、ちなつはそんな先輩の様子を見ながらニコニコ笑っている。おそらくいつも通りの風景なのだろう。そんな様子の歳納京子と船見結衣はまるでタイプが違うはずなのに杏子とマミを思い出させた。なんだか名前も似ているし。

 

「もう……、ごめんね、暁美さん。京子が変にテンションあがっちゃって」

 

「い、いえ……大丈夫ですよ。とても楽しい先輩ですね」

 

「いやー、肌すべすべ!かわいー!流石3年生の教室までにその美貌が轟くまであるね」

 

「え?そうなんですか……?」

 

自分から見れば地味な格好をしている愚図でのろまなダメ人間なのだけれど、そういえば見滝原でもそういうようなことを志筑仁美に言われたこともある。もしかしたら自分は自分が思っている以上に注目を集めやすいのかも知れない。

 

「まぁ、でも確かに嘘じゃないよ。朝からその話で持ちきりだったしね……あ、ごめんね、まだ自己紹介してなっかったよね。私は船見結衣。んでこっちのは歳納京子」

 

「京子ちゃんでーす!ごらく部の部長だよん!」

 

「一応3年生だけどさ、気にしなくてもいいよ。あかりは幼馴染だし、ちなつちゃんもずっとごらく部で一緒だし。年の差なんてあってないようなものだから」

 

船見先輩はそういうとニコッと笑ってみせる。よっぽど結衣のほうが女の子から

好かれそうな、黄色い歓声を浴びそうな容姿をしているな、とぼんやり考えた。その証拠にずっとちなつが結衣の右腕にしがみついて頬をこすり付けていた。

 

「それにしてもあかりも積極的だねぇ、こんなキュートガールを転校初日に捕まえるんて」

 

「えへへ、だってほむらちゃんともっと仲良くなりたかったんだもん」

 

「このー、可愛い奴め!」

 

うりゃうりゃ、と京子はあかりに抱きつく。

ああ、そういえば、こんなやりとりを3回ほど前の世界ではしていた覚えがある。

といってもそれが本当に3回前の世界かは実のところ解らなかったりする。

 

「そうだ、ほむほむにはこれからごらく部入部テストを受けてもらおう!」

 

「ほ、ほむほむ?あ、いえ、それより入部てすとって……」

 

あかりとちなつを見るが彼女たちは互いに顔を見せ合い首をかしげる。

 

「京子、入部テストなんかないだろ」

 

「えー、なんかあったほうが、っぽいじゃん?というわけで種目は……んー、これだ!」

 

彼女は適当に隅におかれた「目立ちたガールEX」とかかれた箱を掴むと無造作に手を突っ込み紙を取り出す。そこには

 

「マジック?」

 

と書かれていた。

ようは一芸を披露しろとのことだとほむらは考えた。

例えばこんな状況に、転校初日に非公式の部活に連れてこられ、先輩に一芸を披露しろと強要される状況に陥ったら大多数の人間はどう思うだろうか。普通ならば困り、そして憤るかもしれない。しかし自分が魔法少女という存在であり、多少なりともマジックのようなもの、人は魔法と呼ぶものができることは幸いだった。時間停止はできなくとも身体強化ならできる。魔法の武器は使えなくとも、べつの何か、金属の塊などその手から生み出すことはできる。実践では使えないだろうしかし、こういう時は役に立ってよかったと思った。

 

「京子先輩、それは……」

 

 

「わ、わかりました。やります」

 

「わかったんだ!?やるんだ!?」

 

「手から鉄っぽい何かを出します」

 

「何!?何がでるの!?」

 

にゅ、っとほむらが手を開くと鉄のような塊が出現する。

一同唖然。

 

「すごーい!ほむほむ!今のなに!?魔法!?シューティングサンダー!?」

 

目を輝かせながら歳納京子はほむらの白い手を握る。ギュッとした感覚がほむらはとてもこそばゆかった。

 

「えへへ、マジック得意なんです……」

 

「いや、マジックっていう領域は越えてたような……」

 

唖然とした表情の結衣はつんつん、と不明な物体を触ると、動かないのを確認して手で握る。形はちょうど家でプレイしているゲームの小難しいような名前の石とよく似ていた。闇の洞窟でよくとれるような代物だ。もちろんこれはただの石だろうが、本当にネタだのが全く分からなかった。

 

「やー、すごいなー、魔女っ娘ミラクるんの技と一緒だもん!」

 

「ミラクるん?」

 

「え?!ほむほむ知らないだと!かの有名な……」

 

「ようはアニメだよ」

 

京子が長々と語る前にちなつはそういって話を中断させる。

不満そうに京子はちなつを見るが、ちなつは全く気にしない様子でほむらを褒める。

実際問題、魔法を一般人に見せるのは良くない。良くはないが、悪いことでもなかった。よくよく考えればこの世に魔法なるものが存在することを信じることができる人間自体がごく少数である。ともすれば、目の前で何か小さな奇跡を起こした所でそれはタネや仕掛けがあるマジックに変換されるのである。

ひとしきりマジックのとってつけたような知識をほむらはしゃべり、結局はこの危機的状況とも呼べるものを回避した。そして晴れて入部試験に合格することができたのであった。

 

「じゃあ、ほむほむ、これからよろしくね!」

 

すっ、と京子は小さな手を差し出す。

初めてとなる握手を交わしたのちに、彼女はようやくこの新しい場所に受け入れられた、そんな気がした。

 

「よし!じゃあほむらも加わったことだし」

 

(あ、ほむほむから戻った……)

 

ちょっとだけ寂しかった。

 

「早速だけどごらく部の活動を始める!」

 

「ていっても、特になんにもしてこなかったような……」

 

ぺし、と小さなハリセンがあかりの頭をはたく。

 

「いたっ」

 

「あかり!……その通り」

 

「じゃあなんで叩いたの京子ちゃん!?」

 

「一体何するんですか」

 

「よくぞ聞いてくれたちなつちゃん!」

 

「無視しないでよ京子ちゃん!!」

 

うわーん、という擬音がマッチするかのようにあかりは結衣に泣きついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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