夕方、家へ帰ると服の上からでもわかるくらいに怪我をしているフェイトちゃんとアルフがリニスの前で正座していた。
「《ただいま……どうしたの?》」
「あら、琴音おかえりなさい。フェイトが少々無茶をしまして、少しお話していたんですよ」
リニスがボクの問いに答えてくれる。
振り返った時の顔は綺麗な笑顔でちょっと怖かった。
「《ほどほどにね? これからまた探しに行くんでしょう?》」
「はい。そうなんですが、私は単身でプレシアのところへ行ってきます」
おや? 今日は午後から三人でプレシアさんのところへ行っていたんじゃなかったっけ?
「何を思ったのか、私に秘密で二人でプレシアのところへ行って挙句こんなに怪我をして帰って来たんですよ」
まったく誰に似たんだか。と言いながら腕を組んで怒り心頭なご様子でした……
「《しょうがない、怪我はボクが治すからリニスは早くいっておいで。あんまり時間がかかると夕飯に間に合わなくなるよ?》」
「そうですね。では、少々出かけてまいります」
「気をつけてな」
リニスが出るのに合わせてフェイトちゃんの傷を治す。
といってもほとんど治りかけで傷跡が目立たなくなるようにしただけだけど。
「《じゃあ、ボクらも出かけようか。場所はイルがある程度絞ってくれたからすぐに見つかると思うよ》」
フェイトちゃんの手を引いてボクらも家を出る。
向かう先は海鳴臨海公園だ。
「《イル、どう?》」
「【近くにある事は間違いありませんが、細かい位置までは特定できません。魔道士反応有。高町嬢のようです】」
「あの娘がきてるんだ」
「《フェイトちゃん、高町さんのことが気になってるの?》」
イルの言葉にフェイトちゃんが反応したので聞いてみる。
高町さんが最近悩んでいたのはおそらくフェイトちゃんとジュエルシードのことだろうから何か分かるかもとも思ったから。
「わからない。でも会うたびに強くなってる」
「《相手の強さを理解する事は、その人のことが気になっている証拠だとボクは思うな》」
「そうなのかな?」
「《うん。だって何とも思ってないような人の強さなんて気にならないでしょ? きっと高町さんはフェイトちゃんの良い
フェイトちゃんはボクの話を聞いてきょとんとしていた。
これからどうなるかはフェイトちゃん次第だけど、義姉さんも合わせて仲良くやって行けると思っている。
「(今度アキくん達を紹介してみようかな)」
優子ちゃんと翔子ちゃんなんかは同性だし、気が合いそうだ。
「【マスター。ジュエルシードの魔力増幅中。発動まで10秒無いと思われます】」
「《じゃあ、行こうか》」
昨日とは違う、黒い布の巻かれた杖を持ち、ジュエルシードを取り込んだ木の怪物のもとへ飛んだ。
「《結構大きいね。仕留めるのが大変そうだ》」
「これくらいなら平気だよ」
フェイトちゃんがスフィアを放つが、バリアのようなものに防がれてしまった。
「生意気にバリアまで張るのかい」
「《先にあれを破らないとだね。結界破りなら任せてよ》」
怪物の前まで跳び魔法を打つ。
「《魔法の射手!!
光の矢がバリアに突き刺さり破壊した。
続けて高町さんとフェイトちゃんが魔法を打ち、ジュエルシードが出てきた。
「ジュエルシードは衝撃を与えちゃいけないみたいだ」
「うん。この前みたいなことになったら私のレイジングハートもフェイトちゃんのバルディッシュもかわいそうだもんね」
「でも……譲れないから」
「私はフェイトちゃんとお話がしたいだけなんだけど」
お互いにデバイスを突きつける。
「私が勝ったら……ただの甘ったれじゃないってわかってくれたらお話聞かせてくれる?」
高町さんとフェイトちゃんがぶつかりあう……と思った時。
「ストップだ! ここでの戦闘は危険すぎる!」
突然現れた黒いバリアジャケットを纏った少年が二人の間に割入り、デバイスを抑える。
「時空管理局、執務官クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
「《時空管理局……?》」
時空管理局……どこかで聞いた。
まだボクが義姉さんと会う前、ボクを逃がしてくれた男の人、あの人も時空管理局って言っていた。
この人に聞けばあの人のことについてわかるだろうか。あの道具のことも。
「フェイト! 撤退するよ。離れて!」
アルフがスフィアを放つ。
高町さんと執務官が離れたすきにフェイトちゃんがジュエルシードを掴みに行く。
しかし、執務官が放ったスフィアにあたってしまった。
「「《フェイト!/フェイトちゃん!》」」
落ちてきたフェイトちゃんをアルフが背に乗せる。
「《アルフ、フェイトちゃんと先に行ってください》」
「琴音……?」
二人の前に立ち、杖を構える。
「《目醒め現われよ 浪立つる水妖 水床に敵を沈めん『
水柱を出現させ、執務官を閉じ込める。
その間にアルフとフェイトちゃんは逃げる事ができたようだ、
「あ、あの。水の中に閉じ込めたら死んじゃいますよ!」
二人が逃げた事は確認できたので魔法を解除する。
中は空気があるから平気なんだけど。
「君、なんて事をしてくれたんだ! 業務施行妨害だぞ!」
執務官が怒りながら近寄ってくる。
「《フェイトちゃんはボクの友達です。助けるのは当然でしょう?》」
「彼女はっ『クロノ』艦長!」
執務官の言葉を遮ったのはモニターのようなものに映った女性だった。
「すみません艦長。二人は逃がしてしまいました」
『まぁ、大丈夫よ。それでね、詳しい話を聞きたいからその子たちをアースラに案内してあげてもらえるかしら』
「了解です。すぐ戻ります」
ボクと高町さん達は執務官に連れられ魔法陣に乗った。
作「今年最後の小説を投稿しやした!」
琴「良かったですね。なんとか間に合って」
作「ほんとだよ。やっとここまで来たー!!!」
明「僕らの出番って最近少ない気がする……」
琴「あれ? アキ君、来てたの?」
明「うん。今年最後だし、せっかくだから顔出しておこうと思って」
作「最初はこの辺でバカテスメンバーも魔法に触れさせようかと思ったんだけど、上手く書けなくて(T_T)/~~~」
琴・明「「あんまり期待してないから大丈夫」」
作「……(ズーン」
琴「次の話ではもう少し皆の活躍が触れるといいんだけどね」
明「この小説が始まって一周年になるころにはどれくらいかけるのか楽しみだね」
琴「お参りの時には『もっと早くかけるようになりますように』ってお祈りしないとだね……」
琴・明「「では、皆さん。また来年お会いしましょう!」」
作「それボクの台詞~~!!」