書き溜めていたとかそういうことではなくてただ単に話の内容が思いつかなかっただけです。すんませんでした。
言い訳はこの辺にしまして。
第二話をご覧ください
都立御苑女学園
「ん?どうした綾人。なんか、遠くを見つめるようなしぐさをして。」
「いや、なんでもない。それにしても人が多い。これでは動きにくくてかなわん。」
目の見えない人は杖を振り、前方に障害物がないか確かめながら移動をする。
だが、学園祭という状況下ではそれははた迷惑な行動でしかない。
「お前も誘うやつがいないからと、わしを連れてくればこうなることは容易に想像できたじゃろうて。」
「そりゃそうだけどさ、回りみんなもうできちゃってるわけよ。一人だけソロで行くのって何か抵抗あるじゃん?」
「その気持ちはわからんでもないが。お前のその肝っ玉の小ささゆえに多くの人に迷惑をかけてしまっては元も子もあるまい。」
「あまり言うなよ。お前こそそれを知っててきたんだろ?」
「ここまで多いとは思わなんだ。さすがに少し驚いている。」
「見えない人間には想像つかないってか?」
「阿呆め、視覚としての想像はできなくとも状況としての想像はできる。」
「ほう。」
「まぁいい、とりあえず飯にせんかの?お前が無駄に早く呼んだせいで何も食っとらんのじゃ。」
「まじかよ。朝食くらい食っとけっての。」
「まだ十時にもなっとらん。朝食兼昼食という形でいいじゃろうて。」
「あぁ、だな。」
時は学園祭。決められた範囲の空間に必要以上の人がごった返し、盲目を苦しめつつも楽しませる。
周囲から聞こえる嬉々の声。それ一色に包まれる中、一人の盲目は頭に疑問符を浮かべ、そして考える。
(「みえた」のかそれとも「かんじた」のか。わしの目はただ見えない目と見えすぎるがゆえに見えない目がある。どちらがどちらか、それともどちらでもないのか。正直わからないが、今の生活に支障はないとは言わないがコレといって不便ではない。はじめからこういう生活をしてきた。)
考えれば考えるほどに真実を無視して問題から逃げた。
「とりあえず何食うよ。焼きそば、たこ焼き、チョコバナナ、お好み焼き、腸飴(わたあめ)。何だこの字。」
「どういう字だ?と聞いたところでわからんが。」
「大腸の腸に飴玉の飴だ。」
「つまり内臓の飴ということか。飴細工かなんかじゃないのか?飴で形を作ると聞いた。」
「んー、相当器用なんだろうが。食いたいものじゃないな。」
「わしは食うぞ。」
「こういうときに見えないっていいよなぁ。」
「結局は飴じゃろう。」
「そらそうだけどよ。」
普通ではありえないこともおこりうる。学園祭とは言い方は悪くなるかもしれないが、青春真っ只中のアホどもが自分の変なビジョンを実現するだけの祭りだ。
だが、それこそがコレである。そうでなくては面白くない。
「んで?何するよ。」
「そうだな、じゃあお前の好みも考えて2-Aの喫茶店にでも行こか。」
「ほう、いいチョイスだ。」
「そうじゃろう?」
都立御苑女学園2-A
「こ、これは。見渡す限りの女子! しかもみんな美少女!」
「はしゃぐでない、引かれるぞ。」
「お、おう。俺としたことが、取り乱しちまった。」
空腹を満たすために、喫茶店を出し物にしているクラスに足を運んだ二人。
そこにはまるで秋葉原のメイド喫茶ばりの風景が広がっていた。
「な、なんかちょっと恥ずかしいな。男二人って。」
「お前がわしを誘ったのが運のつきじゃな。」
「お前の格好もあいまってな。」
出し物の喫茶店に男二人その片方は袴にビジネスコートといういでたち。
あなたならどうしますか?
「だが、ここの料理はうまいぞ。わしが保障する。」
「なんでさ?きょう初日だし、俺はお前とずっといたぜ?」
「まぁ、いずれわかる。ほれ、聞こえてきたぞ。あの騒がしい声が。」
その言葉の直後に背後から元気のよい声が響く。
「あー! あやちゃん来てだんだ!」
「あやちゃんはやめろ。わしは男だ。呼び捨てでいいからせめて綾人と呼んでくれ。」
その声の主は満面の笑みとその独特の髪を揺らしながら寄ってくる。
「おいおい、お前ここの生徒に知り合いいるのか?」
「知り合いも何も、はぁとは喫茶あいのの娘だぞ?」
「あやちゃんは常連さんだもんね。私の新作もいっつも食べてくれるし。」
「今のところはずれはないが、まだ親には勝てんの。」
「そうなんだよねぇ、お母さんレシピ絶対教えてくれないし。」
二人で会話を楽しんでいるも、一人蚊帳の外。
「喫茶あいの・・・・・・あそこか。俺行ったことないわ。」
「一度行ってみるといい。絶対に後悔はしない。
まぁ、とりあえずはぁとの作る料理はなかなかにうまいぞ。はぁと、とりあえず作りたいものを何でもいいから作ってきてくれ。二人分な。」
「オッケー、楽しくなってきたよー!」
袖をまくり、肩を回しながら彼女は去っていった。
「ったく、知り合いがいるなら最初からそう言えよ。候補からはずしたのによ。」
「はずすな、むしろここ以外だったら最初の空気を延々と味わうことになるやもしれんぞ?」
「あー・・・・・・それ無理。」
「じゃろう?」
男同士のそんな会話が続いて五分少々。
騒がしい声が腕を振るった料理がやってくる。
「はいどうぞ、オムライス!」
ご飯をケチャップ等の調味料で味付けをし、卵焼きで包んだ家庭的な定番料理。
「お、うまそう。では早速。」
「ちょい待て。」
「なんだよ?」
「あはは、相変わらずだね。」
「食事前には頂きますだ。」
手を合わせ、軽く頭を下げる。
「まったく、お前も堅物だな。コレが正しいってのはわかってるけど。頂きます!」
「頂きます。さて、今日は……ふむ、いつもどおり、いい腕じゃ。」
「旨い! 超旨いじゃん! ほかのもこんなに旨いんならおれもあいのに行くわ!」
「えへへ、ありがとう。じゃ、私もまだやることあるからこの辺で、ごゆっくりどうぞ~。」
パタパタと音を立てて裏に戻る少女、そんな中ゆっくりと食事を楽しむ二人。
「いやー、まさかお前がこの学校に知り合いがいるとはな。」
「まあの、こう見えてお前より外出率は高いとおもっとる。お前はお前でもっと外に出ろ。」
「え、メンドクセェジャン。」
「なぜそこで片言になる。まぁいいさ、食ったらどこに行こうかの。」
「飯食ったしな、とりあえずいろいろと回ってみるか。ほかに何があるのかも気になる。」
「んー、食い物系以外では……射的、輪投げ、据え置きゲーム機の大会か。
あとは、軽音ライブ、ダンスライブとかのライブ系だな。」
「なるほどのう、名前だけじゃ判断しかねるな。とにかく歩き回ってみてみるしかないのう。」
「おっけ。それじゃあ、適当に歩くか。」
お互いに過度な期待をせずに何かあるんじゃないかという望み薄な期待だけをこめて広い学園内を歩き回る。
(いい音にあふれておる。みな声を高くして、周りが見えなくなるほど熱中している。)
彼は取り込める情報のひとつから周りの様子を解析していく。想像することはできない。見たことがないから。
「……楽しそうだな。」
「まあの、周りがこんなに楽しんでいるんだ。わしも釣られて楽しくなるというものだ。」
そう、学園祭とはそこにいるすべてのものが心を躍らせるべくして開かれる。
だが、そんな楽しみもつかの間。彼には予測も回避も不可能な事象が発生する。
「!? 観え……」
その瞬間、彼は意識を失い、そして地に伏した。
やっと出てきましたね、アルカナキャラ。
本作2まで主人公を務めていたはぁとちゃんに出ていただきました。
次回も思いつき次第執筆していきます