パソコンが壊れてiPad投稿です。
では、どうぞ
都立御苑女学園前
「あやつめ、時間を忘れおったか。自分から誘っておいて。」
一人、校門前にて愚痴をこぼす綾人。
前日に午前8時45分待ち合わせという約束をしていた友人恭介が来ない。
「連絡一つよこさずに来ないとは…後が楽しみじゃのう。」
怒りを含んだその言葉の直後、彼の持つ携帯電話から着信を知らせる音が鳴り響く。
「だれじゃ? …もしもし?」
「もしもし? 綾人?」
その声の主はここに来るはずであった恭介であった。
「なんじゃ、恭介か。約束の時間はすでに過ぎている。いったいどうした?」
「すまねぇな。風邪引いたくせぇんだわ。」
「はぁ?」
謝罪の言葉の直後に言い渡される体調不良。
それに対して綾人は呆れることしかできなかった。
「さよか。とりあえず早く治すんじゃな。明日は学校もある。」
「あぁ、明日にはなんとか回復させるから。」
「大事にのう。」
その一言を届けて電話を切る。
「盲目の男一人で何をしろというのじゃあいつは。」
そう、彼は目が見えないのである。文化祭というイベントではそれは歩くことすらままならない。
「仕方が無い。かえるとするかの。」
自分の状況から考え、これ以上の長居は他の人に迷惑になりかねないと判断し、踵を返そうとした時、聞き覚えのある元気の良い声が綾人に飛ばされる。
「あやちゃーん!」
「ん? おごぉ!」
振り向いた瞬間に突如鳩尾にめり込む拳。
「これぞ、愛の鉄拳ぱんち!」
「あー、はぁとや。少しこっちを向け。」
「ん?」
「そぉい!」
「痛っ!」
そしてはぁとの脳天に振り下ろされる手刀。
「あのな、はぁと。わしがいくら丈夫かて不意打ちはいかんぞ。ぬしが男だったら脳天に手刀を落としておったわ。」
「も、もうやってるよ~。」
「じゃが、ぬしのおかげかは知らんが、少し気分が晴れた。」
「なら良かった。見つけたらなんか怖い顔してたんだもん。そんな悪役は私がバッチリたおしちゃうもんね。」
「ほう、今度は顎に裏拳と行こうか?」
「流石に冗談だよ。」
恭介とのやりとりを忘れてこの明るい少女に元気をもらった。
「そういえばはぁとや。おぬし、仕事はどうした?」
「昨日あまりにも繁盛しすぎて食材切らしちゃった。」
まるでヤッチャッタゼと聞こえんばかりの口調で話すはぁと。
「つまり、2-Aは今日は何もないのか。」
「そうだね。今日は、みんな何もないよ。」
「だったら友達と一緒に回った方が楽しかろう。わしの相手をしていても何もしてやれんぞ。
恭介は風邪引いて来れんからのう。」
「そうなんだ。じゃあ、私が案内するよ。どうせだから友達も紹介したいし。」
「そうか。それなら、昨日に引き続きその言葉に甘えさせてもらおうかのう。」
その一言を聞いて少女は嬉しそうに手を引いて行った。
(なんだかんだはぁとの交友関係を知らんからのう。普段はどのような人と関わっておるのか少し気になっておったところじゃ。)
手を引かれて歩くこと数分。少女は立ち止まって声をかける。
「今日は何もないけど2-Aの教室だよ。皆いるから。」
「なんじゃ、待たせておったのか。これは悪いことをしたのう。」
ガラガラと音を立てて教室に入る。
「ごめんね皆。ちょっと友達見つけたから連れてきちゃった。」
「全く、急に飛び出したと思ったら……あら、初めて見る顔ね。」
真っ先に帰ってきた落ち着いた声に綾人は自己紹介をする。
「始めましてじゃな。わしの名は人形綾人。はぁととはまぁ、店の常連客ってところかの。よろしゅう。」
誤解を招かないように簡単な自己紹介を終えるとはぁとが嬉々として仲間を紹介して行く。
「えっとね。左から、冴姫ちゃん、まおりん、よりぷーと、あれ?りりちーは?」
「あれ? さっきはぁとちゃんの後を追っかけて行ったはずだけど。」
内気と取れる高い声がはぁとの疑問に答えを出す。
「そっか。だったらすぐに戻ってくるは「ぬおあ!」あやちゃん!?」
「あんたがハートのカレシかー。なんかセンスブレブレだね。」
急に後ろから硬いもので蹴られたと思ったらはぁととはまた違った気質の元気の良い声が綾人の真上から響き渡る。
「彼氏じゃないよ。とにかくりりちーおりてあげて!」
「はーい。よっと。」
「うっ!」
そのまま降りればいいものをあろうことか飛び上がって降りたのである。
背に当たる硬い感触がその衝撃をさらに強める。
「誰だか知らんが不意打ちとは趣味が悪いのう。まぁよい。おそらく、ぬしがはぁとの言うりりちーじゃな。」
「うわ、本名知らないからっていきなりそれはないっしょ。」
ごもっともであるがこれは仕方が無いというべきか。
「あと、はぁとや。せめて本名で教えてくれ、しかもまだ声を聞いていないものもおるわけじゃ。盲目のわしにどれが誰と言われてもさっぱりじゃ。」
「彼の言うとうりね。じゃあ私から。
私の名前は廿楽冴姫。はぁととは幼馴染と言ったところかしら。」
「廿楽冴姫。名前ははぁとから何度か聞いている。確かイギリスから帰ってきて間もないとか。」
「あら、知っていたのね。そうね、少し前までイギリスにいたわ。
次は、そうね。リリカ、さっき踏み潰したんだから貴女からしなさい。」
そう言ってバトンを渡す。
「めんどくさいなー、まあいいや。アタシはリリカ・フェルフネロフ。まーいわゆるハーフってやつだけど特に海外とかは行ったことない!」
「ふむ、リリカ・フェルフネロフか。先はいなかったから名乗っておこう。
わしは人形綾人。よろしゅう。あと、わしははぁとの彼氏ではないぞ。」
「はいはい、まーよろしく。じゃー次頼子。」
またまた回されるバトン。
「え、えーと。安栖頼子です。趣味は読書とあとオカルトグッズあつめかな。よろしく。」
「安栖か。よろしゅうな。」
「あとは舞織ちゃんだけかな。」
今だに声すら聞かぬ名前が出てきた。
「はい。春日舞織と言います。春日神社で巫女をしています。どうぞ、よろしく。」
「春日神社。あぁ、代々木公園の近くの。」
「あら、ご存知でしたか。今後とも、よろしくお願いします。」
「あぁ、よろしゅう。」
(それにしても、揃いも揃って憑いているなんてね。誇り高き戦姫、その家の代に力を貸す土神、風の精に生きながらに死神と呼ばれた男。なるほどね。)
ふいに聞こえた声に意識をやると昨夜に感じた人形のような気配。
(やはりおったか。あれもアルカナと言う奴かのう?)
(まさにそれよ。彼女たちは常に力を受けて、お互いに干渉している。)
(なるほどのう。)
まるで巨大な生き物を見るような顔で少女たちを見る綾人。
その視線に気付くものはいない。
「さてと、自己紹介も済んだことだし、これからどうするの?」
冴姫が口を開き、これからの行動を決めようとする。
「そだねー、せっかく来てくれたし、あやちゃんに決めてもらおうかな。」
「いや、わしはよい。皆で決めてくれ。」
「んー、まいったなぁ。」
困った声ではぁとが唸っておるところに、舞織が殺した声で話をかける。
「そう言えばはぁとちゃん彼が目に巻いている包帯は……」
「あぁ、これか?ただの盲目じゃ。わしも詳しくは知らんが、人には見せない方がいいらしい。」
「そうですか。では、これ以上は無粋というものですね。」
舞織の疑問に自分から答える綾人。それに疑問を抱えたようなものいいである。
「とにかく、移動するだけ移動しましょう。ここにいても始まらないわ。」
そして、状況を変える冴姫。
「冴姫の言う通りじゃ。とりあえず動くとしよう祭りに計画は無駄じゃ。」
「そうだね。それじゃー、レッツゴー!」
動き出す面々。そして…
「面白くなりそうね。」
それっぽくなってきたと思っています。
では