本日もダラダラやっているここ最近ですが、とりあえず見てくださいな。
なんだかんだどういういきさつか全くわからないが、とりあえず契約をした綾人。
「そう言えば、名前を聞いておらんかったのう。」
「そうだっけ? それなら名乗っておかないとね。
私は九十九(つくも)。長い年月をかけて魂の宿った人形。
なんだけど、どういうわけか呪のアルカナとして高次の存在に昇華しちゃってね、私自身もあんまりわかってないのよ。
アルカナとしては若い方かしらね。」
簡潔な自己紹介だが、自らをわかっていないという盲点。
「なるほどのう。呪いとはそのまま詛(のろい)。
そして咒(まじない)の双方の意味もあったな。九十九神さまさまじゃな。」
「結構詳しいわね。そう、いい方向にかける詛がおまじない。悪い方向にかける咒がのろい。結局違いはないのよ。ちなみに、盲目のあなたに言ってもわからないでしょうけど、現代漢字で詛と咒は同じ文字を使うのよ。」
「ほう、雑学じゃな。
さて、わしも自己紹介をしよう。知っていると思うが、わしの名前は人形綾人。
知っての通り盲目じゃ。ぬし曰く、精霊力が擬似的な視覚で捉えられるようじゃのう。」
もはや必要の無い情報。お互いの再認識として行うだけの意味のない行為。
「あなた自身も気がついているようだけど、あなたの精霊力の源はその両目。
私も上限が見えないくらいの素質を秘めているわね。」
「そうなのかのう?他と比較できたことがないからさっぱりじゃ。」
当たり前である。つい先日に発達した力についての知識などあるはずがない。
「まぁ、使えるようにするにも、実践が一番いいのだけれど……」
そこで黙り込む九十九。
「相手がいないのよねぇ。そもそもどの程度力があるのかわからないから試し用が……」
「相手ならちょうどいい奴がおる。わしらの事情もすぐに受け入れてくれそうな奴がのう。」
「えっ?」
いると言われて不思議な顔をする九十九。
「舞織じゃ。あいつはわしの力にも気づいておったようじゃ。
何より、教えることにおいておそらく相当出来る。
わしがいきなり力を暴走させることがあろうと、問題にはならんじゃろう。」
「はぁとじゃダメなの?」
「あやつは直感的すぎる。あやつの感性を仮に理解できたとして、同じ方法で制御し切れるとは思えん。」
「それもそうね。」
お互いの同意にはちょっとした悪戯混じりで、若干の悪意があった。
そして、時は飛んで
春日神宮
「さて、確かこの辺りのはずじゃったが……」
「迷ったのかしら?」
「いや、それはない。が、確信がのう。目が見えぬ故か、迷っているのかそうでないのか……知らぬ土地では仕方があるまい。」
「あなた、その状態で何年生活してきたのよ。」
ため息混じりな言葉。そして、そこに一つの声が。
「ん? 参拝客か、いらっしゃい。」
力強く快活な声だった。そちらを向くと青い髪の女性が買い物袋を肩がけにして立っていた。
「いや、参拝ではない。春日神宮の巫女である春日舞織に少し用があってのう。」
「妹にかい? こりゃあ、あの子もすごいやつを連れてきたもんだ。」
「姉君じゃったか、これは失礼をしたのう。如何せん、目が見えぬものでな。」
「目が見えないってことは……なるほどね。あんたがそうか。」
確信を持ったような一言を残して、青髪の女性は綾人を境内に案内した。
「舞織ー! お前の言ってた盲目のやつが訪ねてきてるぞー!」
境内に響き渡る声、その声に対して反応を示すのは三人。
一人は聞き覚えのある落ち着きのある声。そして幼くそして些細な違いしかない二つの声。
「あら、人形さんじゃないですか。いかがなさいましたか?」
「何、少し教授を願おうと思うてな。む?」
「お兄さんどうしたのー?」
「何しに来たのー?」
幼い声が足元を揺さぶる。それに対して来訪者は見えない目線を合わせて柔らかに答える。
「お前さん達の姉さんに少し教えて欲しいことがあっての。それで来たんじゃ。わしは人形綾人と言う。よろしくのう。」
「「はーい!」」
純粋な快い返事が木霊する。
「教授を願うと言うことは、貴方はご自身のお力に気づいているのですね?」
「無論じゃ。主らがあの時、わしの力に気づいたことも知っておる。故に主に頼もうと思うた。」
「そうですか、分かりました。では、まずは貴方に何処までの力があるのかを見させていただきます!」
「承知。では、扱い知らぬ故、加減は不要なり!」
お互いに敵意とは違う戦意が走る。
「祓戸の畏き大神等、御力、此処に聞こし召し給へ!」
「む?」
が、その戦意は出鼻を挫くように片方が疑問符を浮かべる。
「え?」
「その言葉は春日が一族に伝わるものか。いや、気にせんでいい。」
疑問を自己完結し、互いに構える。
(一瞬で舞織の力が大きくなりおうた。あの言葉に引き金があるのか……)
(アルカナを降ろしたのよ。当人の守護アルカナをその身に宿すための言葉。)
(ほう。じゃが、わしはそれを知らん。どうしたものか……)
唯一擬似視認できる力を頼りに対象の強大な力を予測、認識し、戦闘を続行する。
「先ずは接近!」
摺り足で体を回転させながら対象に接近する。そのまま蹴りを放つ。
「足元がお留守ですよ!桜花!」
が、起点である足元に精霊力で紡いだ糸が放たれる。
「足元に⁉︎ぬぅ!」
「無理やり飛び上がって避けますか……」
「避けるだけでは終わらぬ!」
あえて背中から着地し、起き上がる反動を利用して蹴り込む。
「甘いです!」
が、後退により距離が足りない。
「流石、使い慣れておるな。」
「貴方はむしろ使ってください!勅符!」
「なっ⁉︎」
突如として正面から突き出される巨大な拳になす術なく殴られる。
(あーあー、ボロボロじゃないの。さっさと私を降ろせばいいのに。)
傍観せしは九十九神。その姿は呆れ以外の何物でもなかった。
「なんと重い拳。さながら土壁に殴られたようじゃ。」
「ようではなく、その通りです。私の大土神はその名の通り土のアルカナ。圧倒的な防御力と破壊力を持ち合わせています。」
「主に似合わず豪快じゃのう。それも良きかな!」
嬉々として再度接近を試みる。
「いえ、一度やめましょう。」
「む?なぜじゃ?」
「貴方は今の戦いにおいて精霊力を一度も行使していません。本当に扱う気があるようには思えません。」
その人ことに対して綾人は不思議でならなかった。
「確かに精霊力は扱っておらんが、わしは全力じゃよ?わしは勝負事において加減をするのは絶対にしたくないからのう。」
「では、何故?」
舞織は手を抜かれていると思い、綾人は何故そう思われているのかわからない。
「わしは精霊力を見ることはできるが、行使のしたかは全くわかっておらんぞ?」
「え?」
舞織にとっては衝撃の事実であろう。最初に小手調べとして勝負を掛けた時の快い返事と、その後の圧倒的な戦意。そしてそれからのこの体たらく。予想できるはずもない。
「では、見えるというのは?」
「おそらくではあるが、潜在的なものであろう。特に意識せずとも大土神と小さな塊と紐のようなものは見える。」
「なるほど。そうするとどうしましょうか?」
完全に根底からの教授に頭を悩ませる舞織であった。
というわけでそれらしくなってきたのではないでしょうか?
次はいつかな?ではでは