インフィニット・ストラトス 『罪の王冠』(リメイク版)   作:超占時略決

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第9話 一夏の初陣

Side 桜華

 

一夏の代表戦に出ることが告げられたSHRから、時間は経って今は放課後。クラス代表決定戦の前までとは違って、先ぱーー楯無はクラス代表戦のために生徒会が忙しくなるらしく、特訓はお開きとなったんだ。

だから、僕はISの練習をするためにアリーナの使用許可を取りに行こうとしたとき、一夏が僕に「一回、俺と戦ってくれないか?」と言ってきた。

僕はそれを即座に了承した。楯無曰く「基礎は確かに大事だけど、実戦経験が強くなるための一番の近道よ!」だそうだ。

そして、僕の目の前には白いIS『白式(びゃくしき)』を身に纏った一夏が居る。

 

「準備は良いか?桜華」

 

「そっちこそ。一次移行(ファースト・シフト)は済ませたのかな?」

 

「当たり前だ!昨日のうちにしたぜ!」

 

「じゃあ、そろそろ始めるよ」

 

僕はだらんと伸ばした両手で剣を持ち、剣先を後ろに向けた構え。一夏は右手で剣を持って剣先は横、左手は体の前に持ってきて剣に添えている構えを取る。

 

「そうだな…じゃあ行くぞ!!」

 

試合開始の合図と共に一夏が僕との距離を詰め、大振りで剣を振ってくる。一夏のISが出すスピードに驚いたけど、咄嗟に鍔迫り合に持ち込むことで攻撃を回避した。

僕達は背丈は僕の方が若干小さいし、筋肉量も負けている。

そして、何よりもISも含めると確実に一夏の方がパワーがある。何故なら、ヴォイドにはその小ささ故にパワーアシストが少ししかないからなんだ。

その結果、鍔迫り合いの状態からだんだんと一夏に押され始めてきた。

そんなときに、ヴォイドから嬉しい知らせが届く。

 

『装備欄ーーマグライトーーならびにーー重力銃ーーをアンロックしました』

 

装備が二つも一気に増えた。楯無と特訓してたときには一切解除しなかったのに…まぁ、今は良いか。

それよりも、この二つってあの光景で使ってる所を見たよね。剣もそうだし、あの光景とヴォイドの装備に何か関係があるのかな?

待って待って…考えることは一夏との試合が終わってからにしよう。まずは、目先のこと、一夏に集中するんだ。

遂に、鍔迫り合いに負けて僕は後方に吹き飛ばされる。一夏は僕に追撃を仕掛けるも、それを難なく避けて一夏から物理的距離を開ける。

僕が距離を開けるスピードよりも早く、一夏が僕との距離を詰め、また鍔迫り合いに持ち込まれた。

 

「やるなぁ、桜華!けど、俺はまだまだこんなもんじゃないぜ!」

 

「僕は、ちょっと苦しいかなぁ…」

 

パワーで負けるなら、意外性で勝負しようかな…ちょうど、面白い装備が使えるようになったしね。クークックック!ポチッと!ま、何も押さないけどね。

僕はさっきとは違って、意図的に力を抜いた。

 

 

 

 

 

Side 一夏

 

鍔迫り合いってのはお互いの力のぶつかり合いで成り立つものだ。それはISに持っていようが変わらない。

最初の鍔迫り合いで俺は気がついた。俺の方が桜華よりパワーがあるってことを。

だから、もう一度鍔迫り合いに持ち込んだ。また桜華を跳ね飛ばして、今度こそは…

 

「おおああッ!?」

 

桜華が力を抜いてきた。そのせいで行き場のない力は俺の体勢を崩し、バランスを失って身体がよろけて気合いの入った声から気の抜けた声に変わる。

俺はよろけるも必死に耐えて体勢を整えると、そこには銃を持った桜華の姿が…

えっ、銃?何時の間にーー

 

「喰らえ!!」

 

銃から放たれたエネルギーは当たると大きく膨らんで、やがて俺の身体をシャボン玉のようなものが包み込み…割れた。

シャボン玉が割れた途端、俺の身体はふわふわと浮き始めてうまく動かすことが出来ない。まるで、俺の周りだけテレビとかで見たことある無(・)重(・)力(・)空(・)間(・)になったかのように。

 

「これ、どうなってるんだよ!?身体がスッゲェ動かしずれぇ!」

 

「これもついでに受け取って!」

 

桜華は手に持っていた銃を目を離した隙に、先端から光が漏れだす銀色の棒状のものに変えていた。

えっ、あの銀色の棒は何だよ?ていうか、また何時の間に武器を変えたんだよ!?

光が放たれた瞬間、俺の視界は闇に包まれた。

 

「ま、周りが見えない!何処だ、桜華!」

 

闇雲に『雪片弐型』を振ろうとするけど、さっきの銃のせいで体はふわふわと浮いてるから、雪片弐型をまともに振ることができない…!

そして突然、真横から両手で剣を振りかぶった桜華が現れる。

 

「うぉおおおおっ!!」

 

キイィィン!

 

「うわぁああああ!!」

 

絶対防御が発動したから、桜華の剣の一振りで一五〇のシールドエネルギーが持っていかれた。

桜華が俺に攻撃した後直ぐに闇が晴れ、更にふわふわと浮いてたのが元に戻った。そして、少し離れた所に剣を構えた桜華が居た。

 

「桜華!今のはなんだよ?セシリアと戦ってた時には使ってなかったじゃないか!?」

 

「さっき、一夏と鍔迫り合いをしてたときにこの二つの装備がアンロックしたんだ」

 

あれ、アンロックってことは元からあったってことだよな…?

 

「お前のISスゲェな!白式にはこの剣一本しかないんだぞ!何かズルくないか!?」

 

「けどさ一夏、セシリアと戦ってるときまでIS装備が全部ロックがかかっていて、一つも出せなかったんだよ?」

 

そんなんでよくセシリアに勝てたよな…やっぱり、桜華はスゲェよ。さすが、俺にとって千冬姉に続いて二番目に尊敬してる人だぜ!

 

「なぁ…桜華」

 

「何だよ一夏、そんな辛気臭い顔をして」

 

桜華のことを考えてると、決まって桜華と出会ったときの記憶を思い出す。俺のせいで桜華は俺を守って血だらけになった後に倒れて、千冬姉は現役を引退した、あの事件のことを…

 

「俺はな、桜華に何度言われてもあの日のこと、桜華に守られて千冬姉の道を汚したあの日をずっと後悔し続けているんだ。

だけど、そんな俺でも、そんな俺だからこそ、一度だけでも誰かをこの手で守ってみたいんだ!!」

 

『単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)零落白夜発動』

 

白式からの表示の後、雪片弐型が真っ二つに割れて極太のエネルギーが放出される。

この剣は千冬姉のISと同じ…ふっ、如何やら俺は世界で一番の姉を持ったみたいだ。

 

「そうなんだ…一夏がそう言うんだったら、もう僕からは何も言うことはないね。僕は君の思いに全力をもって受けとめるよ、一夏!」

 

「いくぞ!桜華!!」

 

俺は背部のスラスターを全力で噴かして桜華に突撃する。

桜華も俺に向かって剣を持ちながら突撃してくる。

 

「「おおおおおおおおおおお!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜華との試合が終わり、俺は絶賛正座中である。何でかって?そうだなぁ…説明すると長くなるんだけどーー

 

「聞いているのか!?一夏!!」

 

「聞こえてるよ、箒…」

 

俺に向かって大声で怒鳴り散らしているのは、俺のルームメイトであり幼馴染の箒だった。

 

「なんだあの体たらくは!結局杠に一発も、一発も攻撃を喰らわせていないじゃないか!!」

 

「はい、申し訳ございません…」

 

そう、結果的に俺は桜華に完敗した。

あの後、俺と桜華はあの後斬り合いをしていたんだけど、桜華が隙を見せたから俺は取った!って思って雪片弐型を思いっきり振りかぶり、桜華を斬ろうとした瞬間にそれは起こった。

 

『勝者、杠桜華』

 

アナウンスがアリーナ中に響き、俺と桜華の間に気まずい空気が流れた。そんな空気から逃げるように白式を確認すると、シールドエネルギーは何故か〇になっていた。

ちょっと前に確認したときは、まだ四〇〇ぐらい残ってた筈だったんだけどなぁ…

俺vs桜華の初試合は何とも呆気ない幕切れで終わりを迎えた。

 

「一夏、織斑先生を呼んできたよ」

 

「織斑、お前は単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)を使用したな?」

 

「は、はい。試合中にそんな文字が白式から出てきた気がします!」

 

「解析した結果、白式の単一仕様能力は零落白夜だと分かった。

発動中に雪片弐型を当てれば、シールドバリアーを斬り裂き、相手のシールドエネルギーを根こそぎ減らすものだ。

しかし、発動中は自分のシールドエネルギーを消費し続ける。謂わば、欠陥機だな」

 

「欠陥!?」

 

パシィイン!

 

「声が大きい。

まず、ISは白騎士以外完成すらしていないから、殆どの機体が欠陥機みたいなものだ。気にするな」

 

「でもよ、さすがに装備が剣一本ってキツくねぇか?銃とかあれば便利なんだけどな」

 

「教師には敬語を使え。それと、お前には銃を使いこなせると言うのか?

三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)に特殊無反動旋回(アブソリュート・ターン)、弾数を把握したり風や気圧を読んだりと、他にも色々あるがお前にはそれが出来るのか?」

 

「出来ません。すみませんでした」

 

俺は千冬姉が言った言葉が日本語か如何かも分からないくらい、意味不明で理解不能だった。

 

「それで良い。だいたい、お前は私の弟なのだから剣一本のほうが丁度いいだろう」

 

確かに、千冬姉は雪片一本で世界を一度制したもんな…しかも、他を寄せ付けないレベルで。

よし!俺もいっちょ頑張ってみるか!まずはーー

 

「セシリア!俺と一回勝負してくれないか?」

 

経験を積むことだな!

 

 

 

 

 

結果から言うと、俺はセシリアにボコボコにされた…何で桜華の奴、セシリアに勝てたんだよ。あいつ凄すぎだろ!

 

「なんだ、一夏!!さっきの試合は!もっとこうズコーンっといけんか!!全くもう…」

 

「はい、反省してます…」

 

箒の擬音での説明に突っ込みを入れる元気がなかった俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桜華やセシリアとの試合、箒の説教が終わった後、俺はクラスの子、確か櫛灘さんだっけ?その子に十九時になったら食堂に来てって言われた。

桜華に理由を知らないかを聞いたけど、軽くスルーされた。桜華は多分、何があるのか知ってるんだろう…

携帯を開けると、時刻は約束の時間の十分前、十八時五十分だった。

後十分もあるのか…けど、もう食堂が見える所まで来ちまったし、うだうだ考えてもしょうがねぇな!うっし、ちょっと早いけど行くか!

食堂に入ると、突然顔も知らない大勢の女子にすごい速さで囲まれた。その数、何と三十。

 

パアァァン!

 

「「「「「織斑君!!クラス代表おめでとう!!!」」」」」

 

俺を囲んだ大勢の女子がクラッカーを鳴らしながら言った。

なるほど、俺はこれで呼ばれたのか…そりゃあ、桜華も知っててスルーする訳だな。だって、俺を驚かせたかったんだろうし。

 

「人気者だな、一夏」

 

女子の一団が俺を囲みながら俺を放っておくという、居づらい空気の中、ぶすっとした表情の箒に話しかけられた。

何で箒が不機嫌なのかは、理由が全く思いつかない…ていうか、箒って何時も不機嫌そうにしているよな。どうせ「生まれつきだ!!」とか言うに決まってるけど、絶対何かを隠してるに違いない。

 

「違うぞ、箒。ただもの珍しいってだけだろ」

 

「鼻の下が伸びてるように見えたが?」

 

「そんな訳ねえって!それより、桜華は何処だ?」

 

「杠はあそこだ」

 

箒から黒いオーラ(目の錯覚だと信じたい)が見えたから、話題を逸らした。

箒が指を指した方を見ると、大量のお菓子を食い漁っている、ゆるそうな女の子を見ながらセシリアと一緒に座ってジュース、あれはMiコーヒーか、を飲んでいる桜華が居た。

 

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