過去ではなく異世界へGOしたトランクス   作:しろろ

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トランクスが、何か可哀想になってきました。


旧校舎の未来戦士
1話 過去じゃなくて・・・・・異世界?


 

 

 ━━━はぐれ悪魔

 

 

 それは、爵位持ちの悪魔に下僕にしてもらった者が主を裏切り、殺し、欲望のままに生きる悪魔の事を指す。

 

 はぐれ悪魔は周囲に被害を及ぼすケースが多く見られる。

 

 そのため、討伐依頼が届けられることも少なくないのだ。

 

 

 そして今、そのはぐれ悪魔の討伐の為に、とある悪魔の一行が駒王町の外れにある廃屋に足を踏み入れていた・・・・・。

 

 

 

 

 

 ▽▼▽

 

 

 

 

 

「━━━と、レーティングゲームについてはこんな感じかしらね。他に聞きたいことはあるかしら、イッセー?」

 

 お化け屋敷のような雰囲気の廃屋の入り口で、何事もない調子で言う紅髪の女性。

 

 彼女こそ、公爵の爵位を持つグレモリー家次期当主の“リアス・グレモリー”だ。

 

 その容姿は老若男女問わず魅了する。

 現に、彼女の眷属の一人である“兵藤一誠”が、だらしなく鼻の下を伸ばす程。

 

 そんな一誠はリアスの問いにあっ、と声を漏らして質問する。

 

「部長。そういえば、俺の駒って何なんですか?」

 

「そうね、イッセーは━━━ッ!?」

 

 そこまで口にして、リアスは歩みを突然止めた。

 

 彼女の眷属である“姫島朱乃”、“木場裕斗”、“塔城小猫”も、新米悪魔である一誠でさえ、()()()()()に足を止めた。

 

 その原因として挙げられるのは、一重に『殺気』を感じ取ったから。

 

 ただ、この殺気は尋常じゃない。

 

 形容しがたいくらいに濃密な殺気。

 それなりに討伐依頼をこなしているリアスでさえ、震える体を止められない。

 

 目的のはぐれ悪魔はこんなにも危険性があったのか?

 

 私たちに・・・・・この殺気を放つ者を相手に出来るのか?

 

 リアスの頭の中に様々な疑念が過る。

 しかし、討伐を頼まれた以上は完遂させなければならない。

 

 この町の管理者として、上級悪魔として、グレモリーの名を汚す訳にはいかなかった。

 

「皆、各自戦闘に備えて。イッセーは神器を出して私たちの後ろにいなさい」

 

 恐怖を抑え込み、今は王として指示を出す。

 その指示を聞いた眷属も頷いて従い、これから起こる事態に気を引き締めた。

 

 幸いにも、悪魔は夜目が利く。

 一歩、また一歩と、周囲への警戒を最大限にして殺気の元凶へ近付いていった。

 

 ━━━そして、とうとう対面する。

 

 

 

「貴様たちもコイツの仲間か?」

 

 

 

 底冷えた声と共に、発せられる殺気。

 

 そこにいたのは、リアス達とそう歳が変わらない紫髪の少年だ。背には剣が装備してある。

 

 ただ、彼の足元には切断面が綺麗な肉片が転がっていた。

 これはリアス達の討伐対象である、はぐれ悪魔“バイサー”()()()()()

 

「し、死体・・・!?う、うげぇぁッ!?」

 

 一誠はそれを目にして思わず嘔吐してしまう。

 だが、誰も彼を気に掛ける事が出来なかった。

 

 少しでも視線を外せば、気を抜けば一瞬にして命を刈り取られる、そんな圧力が掛けられているのだ。

 

「もう一度聞く。貴様らはコイツの仲間か?」

 

 次は無いぞ、と言わんばかりの声音に、リアスは慌てて否定する。

 

「ち、違うわ!私たちははぐれ悪魔の討伐に来ただけよ!」

 

「そうか・・・・・嘘は、ついてなさそうだな」

 

 彼女の必死さを感じてか、少年は殺気を抑える。

 そして、先程までの殺気が嘘のように爽やかな笑みを浮かべた。

 

「これは失礼しました、試すような事をしてしまって。どうも貴女達の気がコイツと似ているものだったので・・・・・つい」

 

『・・・・・・え?』

 

 あははは、と死体の傍らで頭をかきながら笑う姿に、リアス達は呆然とする。

 

 まるで二重人格。別人だ。

 

 こんな無垢な笑みを浮かべる者があの殺気を?

 まだ、油断は出来ない・・・・・。

 

「あの、一つ聞きたいんですけど」

 

「な、なにかしら?」

 

 突然話しかけられて、リアスは思わず体が強張る。

 

 

「ここはどこですか?」

 

 

『・・・・・・は?』

 

 

 見事なまでに間の抜けた声が木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━━リアス達が到着する10分程前。

 

 

 

 木々が生い茂る森の中、トランクスは頭を悩ませていた。

 

「どの地形にも一致しない・・・・・タイムマシンの帰る分のエネルギーも無い・・・・・悟飯さんの・・・・・気もない」

 

 何度もマップと照らし合わせても、合致する場所は存在しない。

 

 往復分あったタイムマシンのエネルギーも何故か空っぽに。

 

 極めつけは、過去の孫悟飯の気が感じられない事。

 

 過去の世界で、幼少だと言っても悟飯は悟飯。劇的に気が変質する、何てことはまず有り得ないだろう。

 

 他にも、意図的に気を消している可能性も0ではないが、態々そうする理由がわからない。

 

「どうしよう、このままじゃ・・・・・ん?」

 

 ふと、トランクスは変わった気を感じた。

 

 人間と似ているようで似つかない気。

 初めて感じるタイプの気だ。

 何とも気分が悪く、粘ついた悪意の塊のような・・・・・。

 

「ここから案外近いな・・・・・行ってようか」

 

 決して強い気ではないが、万が一という事もある。

 

 トランクスはタイムマシンをカプセルに戻し、ケースに閉まってから舞空術でその場へ向かった。

 

 

 

「ここか」

 

 着いた場所は、寂れた廃屋だった。

 

 中に入るが、窓から射し込む日差しはもう無く、電気も繋がってる訳がないため真っ暗だ。

 

 しかし、そこはサイヤ人トランクス。

 直ぐに周囲を見渡す程度には暗闇に慣れてしまう。

 

 暫く歩くと、少し開けた場所に出た。

 辺りはやけに静かだが、敵意と殺意はひしひしと伝わってくる。

 

 

「そこにいるのは分かってるんだ。隠れてないで出てきたらどうなんだ?」

 

 

 トランクスは奥の暗闇を睨み付ける。

 気を感じ取れる以上、隠れる行為は無意味に等しい。

 

 すると、ドシンドシンと重量を感じさせる音を響かせながら、暗闇から『ナニか』が現れる。

 

 

「ゲヒャヒャヒャヒャッ!お前はうまそうだ!でも不味そうだ!甘いのか?苦いのか?」

 

 

 デカイ図体だ。

 上半身は女性の裸体だが、下半身は異形そのもの。足は四本あり、どれも太いのが特徴的だ。

 

「これは・・・・・随分と醜い生き物だな。人間の突然変異?それとも・・・・・人造人間の試作品か?」

 

「ゲヒャヒャッ!!人間風情が醜いだとぉぉ?生意気なぁ!!踏み潰してぐちゃぐちゃにしてやるッ!!」

 

 トランクスの何倍もの大きさの足を上げ━━━脳天目掛けて踏み潰す。

 

 

 ドゴォォオオオォォンッ!!

 

 

「あぁ〜潰れちゃったぁ!ゲヒャヒャ・・・・・あ?」

 

 ここで、自身に起きた異変に気がつく。

 

 ただの虫けらな人間を、たった今踏み潰して殺した・・・・・なのに、何でこっちの足が無くなっている?

 

「あ、あぐぅッ!うぎゃあぁぁ足がぁぁぁッ!?」

 

「どうした?歩きづらそうだったから足の数を減らしてあげたんだけど、まだ多かったかな?」

 

 

 ズバババッ!!

 

 

 トランクスはそう言うと、剣を抜刀してそのまま高速で三本の足を切り裂いていった。

 

「ギィィャァァアアアァァッ!!足が!?足が!?」

 

 あまりの激痛にのたうち回る。

 

 しかし、敵と判断したトランクスは一切の情けをかけずに次々と体を切断していく。

 

「次は腕。尻尾。最後に・・・・・首だ」

 

 一閃。

 

 残像すら残さない太刀筋で、異形の存在の首を跳ねた。

 

 先程まで騒がしかったこの廃屋も、最後の一閃でピタリと静寂に包まれる。

 

 

「明らかに人間じゃなかったし、襲い掛かって来たから殺してしまったけど、大丈夫だったのだろうか・・・・・」

 

 

 今更になって不安になる。

 

 もし、これで犯罪者扱いされたら堪ったものじゃないな・・・・・と、苦笑いを浮かべて剣に付着した血を振って落とし、鞘に納める。

 

 この死体・・・・・どうすべきか。

 気功波で跡形もなく消し飛ばすのも有りだが、それだと音が響きそうで良くない。

 

 頭を捻らせるトランクスだが、不意にはぁ、と溜め息を着いて入り口の方に目を向ける。

 

 

()()同じやつか?数は・・・・・5体。あ、いやでも、今のやつとはまた気が違う・・・・?」

 

 

 トランクスは、この廃屋に入ってくる複数の気を感じ取った。

 

 さっきの化け物と似たような気ではあるが、此方は嫌な感じはしないし、悪意も感じない。

 

 でも、この化け物を助けに来た仲間という可能性も否定できないだろう。

 

 

「・・・・・ちょっと仕掛けてみるか」

 

 

 そう言うと、トランクスは()()()殺気を来訪者に放った━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、こんな感じです。理解して頂けましたか?」

 

「え、ええ・・・・何とか」

 

 トランクスが笑顔でそう言うも、リアスはぎこちない笑みを浮かべて頷く。

 

 今は廃屋から移動して、リアス達の拠点であり、部室でもある旧校舎に移動していた。

 

 トランクスとリアスは対面するようにソファーに座り、残りのメンバーはリアスの後ろで待機。

 

 一応の敵意無しを表して、トランクスは持っていた剣をリアスに渡した。

 

「それにしても、未だに信じられないのだけど・・・・・貴方が未来から来たなんて。かと言って、嘘はついているように見えないし・・・・」

 

「ははは、そう・・・ですよね。現実離れした話ですから無理はありません」

 

 しゅん、と小さく気を落とすトランクス。

 信じて貰えないのも悲しいが、何より一番堪えたのはこの世界に“西の都”が存在しないこと。

 

 それどころか、東、北、南、中の都の名前すら聞いたことが無いと言う。

 

 トランクスは半信半疑で、部屋の中にあった地図を見せてもらったが、その時はショックで声も出なかった。

 

 つまり、それが何を意味するのか━━━

 

 

「俺は・・・・・過去どころかまったくの別世界に来てしまったんじゃないのか?」

 

 

 頭を抱えたくなるような衝撃。

 

 リアス達は、始めこそ驚異的な力を持つトランクスを警戒していたが、この様子を見ているとそれも馬鹿らしくなってくる。

 

 

「ええっと、取り敢えずお茶でもいかが?」

 

 

「はい・・・・・頂きます」

 

 

 随分としんみりしてしまったトランクスに、リアス達は何だか可哀想に思い始めていた。

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました!

えー、トランクスくん病みそうです。
でも大丈夫!きっと何とかなるさ!

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