感想にも返信が遅れてすみません!
それと、視点がころころ変わって見にくいかもしれません。もしそうだったら、是非教えて下さい!
鳥の囀ずりで、リアスは目覚めた。
普段とは違うベッドを使ったせいか、快眠とまではいかず、寝惚け眼を擦りながら上体を起こす。
⋯⋯ああ、そう言えば部室に泊まったのだった。
ハッキリと覚醒しない意識の中で、ぼんやりと昨日の出来事を思い出しながら周囲を見渡す。
ソファの上に小さく丸まってすやすやと眠る金髪の少女。アーシア・アルジェント。
同性であるリアスの目から見ても、その姿は小動物を連想させる程に可愛らしい。
しかし、この少女と悪魔であるリアスたちは本来相容れないのだ。教会関係者であるが故に。
一誠が必死になって擁護し、トランクスが彼女を救出しなければ、恐らく立ち入りは拒んだだろう。
まあ、彼女と会話をしてみて、純粋で優しい子なのだとリアス自身も思ったのだけれど。
私も甘いわね、と思いつつ視線をアーシアとは反対側のソファに向ける。
「⋯⋯あら?」
寝ている筈のトランクスがいない。
タオルケットだけが丁寧に畳まれてる。
まさか出ていった⋯⋯?
そんな考えが過ったが、ふと、外から掛け声のようなものが聞こえてきて、その声の主がトランクスであると気付き、安堵する。
「こんな時間に一体何をしてるのかしら?」
丁度窓から見える位置なので、気になり覗いて見ると⋯⋯。
「⋯⋯え?」
思わず間の抜けた声を漏らしてしまう。
そして、自身の目を疑ってしまった。
確かにトランクスは旧校舎の前にいて、恐らくはトレーニングをしているのだろう。
あれほどの実力なのだから、何らおかしい事でもない。
おかしいのは、周囲の風景だった。
整地された地面に出来た幾つものクレーター。
見事にへし折られた木々。
リアスの寝惚けた頭をショートさせるには十分すぎる。
それから数分後、魔力を迸らせて微笑むリアスに、トランクスは謝罪を繰り返すこととなった。
▽▼▽
俺がこの異世界に来てから、1日(半日)が過ぎた。
悪魔であるリアスさん達の拠点に滞在することになったのだが、早速迷惑を掛けてしまった⋯。
悪い癖だ。
修行にのめり込むと、いつもこうなってしまう。
直ぐ様リアスさんに謝ったが、正直怖かった。
ニコニコと微笑んでいるのに目がまるで笑ってないのだ。
これからは気を付けよう⋯。そう肝に命じておいた。
さて、リアスさん達が学校で授業を受けている間に全てのクレーターを埋め直さなきゃ。
へし折った木は俺では修復出来ず、後でリアスさんが直してくれると言っていた。
本当にすみませんでした!
スコップを片手に再度、心の中で謝罪した。
「あ、あの⋯⋯私もお手伝いしましょうか?」
「ああ、いや大丈夫!俺がやったことだから、俺が何とかするよ」
アーシアさんが俺を手伝おうとしてくれるが、流石に手伝わせるわけにはいかない。
それに、これもある意味修行じゃないか。
前向きにいこう、俺!
▽▼▽
わ、私、ミッテルトは⋯とんでもないものを見てしまった。
というのも、またあの男。紫髪の奴だ。
レイナーレさまの命令で悪魔共の監視をすることになって、結界に反応しないように遠目で見張ってたんだけど。
あいつ、本当に人間?
いくら
あー、今すぐ逃げたい!
ってか、たまに目が合うのは気のせいだよね?
気のせい⋯⋯だよね?
え、バレてないよね?まさかね。
流石に有り得ないだろう、と考えないようにしていると、紅髪の美女が魔力を滲み出しながら建物から出て来た。
あれはグレモリー?だっけ。
滅びの魔力を持つというとんでもない悪魔だ。
そのグレモリーにあの男は必死に頭を下げていた。
その光景に思わず目を丸くしてしまう。
あれほどの力を持ってるのに、グレモリーに頭を下げるなんて驚きだ。
それから、あの男はスコップを渡されてせっせとクレーターを埋め直した。
その時にアーシアの姿も確認。特に怪我は無いっぽいし、無事ならレイナーレさまも喜ぶ筈。
暫く穴埋め作業が続いて、漸く終わった頃に学校のチャイムが聞こえてきた。
続々と悪魔が拠点である建物の中に入っていく。
うーん、中で何をしてるのか全然分かんない。
と、焦れったい気持ちになっていたが、直ぐに動きがあった。
「あ、出てきた!ええっと⋯⋯3人か。アーシアと、レイナーレさまが一度殺した兵藤一誠と⋯⋯げっ、あの男もいる」
今言った3人が建物から出てきて、何処かへ移動を開始する。
ど、どうしよう。このままグレモリー達に動きが無いか監視すべきか、3人を尾行すべきか。
⋯⋯⋯⋯。
よし、3人を尾行しよう!
レイナーレさまの目的はあくまでアーシアなのだ。ここはこの判断で間違いはない!⋯⋯はず。
一度レイナーレさまに報告してから、私は3人の跡をつけることにした。
▽▼▽
見慣れない様々な住宅が建ち並ぶ光景に目を奪われながら、俺は一誠くんとアーシアさんと一緒に外を歩いている。
何故外に出ているのかというと、リアスさんからの提案で、一誠くんにこの町を案内してもらうことになったからだ。
その為、一誠くんの悪魔の仕事はお休みになったらしい。
邪魔をしてしまったのではないかと思っていたが、「気にすんな!」と、一誠くんは嫌な顔一つしなかった。
正直な所、この町をじっくり見てみたかったところなんだ。
技術の発展は俺がいた世界の方が進んでいるようだけど、だからと言ってこの世界が劣っている訳じゃない。
活気に満ちている⋯⋯というのかな?
俺がいた世界も、人造人間がいなければこんな感じだったのだろうか⋯⋯。
あいつらがいなければ⋯⋯。
「どうした、トランクス?」
「あ、ああ。ごめん、少しぼーっとしてたよ」
「ど、どこか具合でも悪いんでしょうか?」
一誠くんとアーシアさんが心配そうに顔を覗き込んでくる。どうやら顔に出てしまっていたようだ。
「ははは、本当にぼーっとしてただけだよ。そこまで心配しなくても大丈夫」
「そ、そうか?ならいいんだけど⋯」
一誠くんはそう言うが、あまり納得していなさそうだ。でも、そこで深く聞いてこないのは彼なりの気遣いだろうか。
少し微妙な空気になってしまう。
そんな時、この空気を破るかのように“きゅるるる〜”と可愛らしい音が聞こえてきた。
まず俺からではないし、隣で歩く一誠くんでもない。
まあ、誰から鳴ったとは言わないけど。アーシアさんは顔を真っ赤に染め上げていた。
「ち、丁度小腹が空いたし、飯食べに行こーぜ!それでいいか、二人とも?」
「うん、俺も賛成だ」
「はぅ⋯⋯は、はい」
そう言うわけで、俺達は一誠くんの先導のもと繁華街へと向かうことにした。
少し歩いて、住宅街とはまた違った趣のある繁華街に着いた。
娯楽施設や百貨店、スーパーなどなど。知識としては知っていても、実際に行ったことのない場所も結構あって興味がそそられる。
色々なものに目移りしながら、俺達はハンバーガーショップへと入っていった。
アーシアさんは初めて食べるらしく、一誠くんに教えてもらいながら食べていた。
因みに、俺の世界のお金は使うことは出来なかったよ⋯⋯。
少し期待してみたけど、やっぱり駄目だったか。
今回は一誠くんが奢ってくれて、感謝の言葉しか出ない!
昼食を済ませてからは、ゲームセンターへ。
これは俺も興奮した!
初めてのゲームセンターは、ある意味俺の夢というか憧れだったんだ。
夢中になって3人で遊んでいれば、気づけば夕日が出てくる時間帯。
「んじゃ、そろそろ時間だし帰るか」
「はい!」
アーシアさんはネズミが元のマスコットキャラクターのぬいぐるいを抱き締めながら、満面の笑みを浮かべた。
“ラッチューくん”と言うらしい。
一誠くんがUFOキャッチャーで取ってあげていた。
「トランクス、お前本当にゲーセン初めてなのか?危うくレーシングゲームで負けるとこだったぜ」
「これでも機械弄りは得意なんだ。ゲームも似たようなものだよ」
「トランクスさんは凄いです!私なんか全然で⋯⋯」
「いやいや、アーシアも練習すれば上手くなるって!」
3人で興奮が冷めないまま帰路につく。
他愛ない会話。だからこそ、幸せだと俺は思う。
いつかは俺の世界でも平和が訪れるだろうか⋯。
いや、俺がやらなきゃいけないんだ。
俺が⋯⋯最後の希望なんだから。
▽▼▽
繁華街から少し離れ、人通りも少なくなってきた。だからこそ、俺は確信する。
⋯⋯誰かに見られているな。
隣で歩いている二人は気付いていない。
俺もまさかとは思ってたけど、どうやら勘違いじゃなかったらしい。
多分、俺が旧校舎で修行してるときからだろう。害はないと思って放っておいたが、ここまで監視されてるとなると無視できなくなる。
それにこの気⋯⋯人間の持つ気じゃない。
「ごめん二人とも!ゲームセンターに忘れ物をしたから先に行っててくれ!すぐ戻るから!」
「あ、おいトランクス!」
一誠くんには悪いが、聞こえなかった事にさせてもらう。二人を危険な目に合わせる訳にはいかないから。
俺は来た道を走って戻る。
人はいないし、少し本気で走っても大丈夫か⋯。
「ふ⋯ッ!」
風を切る音と共に、景色が一瞬で変わっていく。
目標の気へと一直線。そこまで遠くない。
あと少しだ⋯⋯!
「見つけた!」
「や、やばっ!?」
物陰から焦りの声が聞こえてきた。
声からして女か?まあ、性別なんて関係ないが。
女は黒い翼を生やして空を飛び立とうとする。
「逃がすか!」
「ふぎゃっ!?」
ギリギリのところで片翼を掴み、そのまま地面に叩きつけて動きを止める。
生憎、人気のない場所で良かった。今の現場を見られてたら色々まずかったからな。
仰向けに地面に倒れる女の顔を見てみると、どこか見覚えがある。
この金髪にゴスロリ姿。
ん?確かこいつ⋯⋯昨日の堕天使か?
この堕天使が監視していたということはつまり⋯⋯。
「おい」
「な、何すか!?やるんすか!?痛いのはやめて下さい!お願いします!」
既に戦意喪失。そして涙目⋯⋯いや、もう泣いていた。
「またアーシアさんを狙っているのか?昨日は逃がしてやったが、2度目はないぞ」
「ちょ、ちょっと待って!私はただあんたらを見張ってただけで、狙ってないっすよ!今頃レイナーレさまが迎えに行った筈だから!」
「何?どういうことだ?」
俺が聞くと、女堕天使は直ぐに全てを語ってくれた。
口が軽すぎるとも思えるが、もし教えなかったら強行手段をとっていた為、手間が省けただけ。
それよりも、不味いことになった⋯。
こいつの話が本当なら、一誠くん達が危ない!!
まさか俺の行動が裏目に出るなんて⋯⋯!!
気を探ってみると、一誠くんとアーシアさんの他にもう一人堕天使の気が感じられる。
向こうにいる堕天使がこいつのボスらしく、直々にアーシアさんを回収にきた、と。
もはや一刻も争えない。
俺は女堕天使の腕を掴み、舞空術で飛び上がった。
「くそっ、間に合ってくれッ!!」
「え、ちょっ!?何で私も!?」
俺が向かってる隙に逃げられでもしたらいけないからな。一緒に来てもらうぞ!
人目など気にせず、俺は全力で一誠くん達の元に向かった。
走るよりも飛んだ方が断然速く、目的地までは直ぐだ。
着いた場所は、一誠くん達と別れた場所から少し移動した先にある広場。
そこにいたのは、一人の女堕天使⋯⋯恐らくこいつがレイナーレか。
そして、レイナーレに捕まっているアーシアさんとボロボロの姿で倒れる一誠くんだった。
「⋯⋯っ、一誠くん!アーシアさん!」
「ト、トランクスさん!!イッセーさんが⋯⋯!!」
アーシアさんは自身の身を案じるより、一誠くんの事を心配する。
その瞳には、うっすらと涙が浮かんでおり、必死に堪えているのが伝わった。
「あなたがドーナシークとカラワーナを倒した男ね。初めまして、私は至高の種族である堕天使のレイナーレよ。よろしくね」
「貴様⋯ッ!よくも二人を⋯!!」
「あら、動かない方が良いわよ?もし私に危害をくわえようとしたらどうなるか⋯⋯分かるわね?」
何もないところから光の槍を作り出し、アーシアさんに向けるレイナーレ。
此方を見下すように笑みを浮かべる。
くっ、これでは手が出せない。
瞬時に助け出す事も出来るかもしれないが、それではリスクが高すぎる!!
「レイナーレさま!私を助けて欲しいっす!!」
未だに俺に腕を掴まれていた堕天使は、懇願するように叫んだ。
しかし、目の前のレイナーレは冷えた目をして言い捨てた。
「ミッテルト⋯⋯あなたはもう用済みよ。アーシアが手に入った今、利用価値も無くなったわ」
「え、⋯⋯え?」
「せいぜい、私が逃げる為に囮くらいにはなりなさい」
「レ、レイナーレさま?⋯⋯言ってる意味が」
ミッテルトという堕天使は混乱しているが、レイナーレはもう答える気はないらしい。
つまり、見捨てられたんだ。気の毒だとは思うが、それ以上思うことは何もない。
「まあ、アーシアのマーキングが解除されてたのは予想外だったけど、あなたの報告も役に立ったわ。ありがとうね」
そう言い終えると共に、レイナーレの足元が光出した。これは確か⋯⋯転移するやつか!?
こいつをここで逃がす訳にはいかない!
「させるか!!」
こうなったら、一か八かで!!
俺は一歩、強く踏み込んだ。
それだけでレイナーレと俺の距離は一瞬で詰められ、遅れて地面が陥没する音が聞こえてくる。
「━━━!?」
「届けッ!!」
レイナーレには俺が消えたように見えてるだろう。頼む⋯⋯届いてくれ!
しかし━━━そんな俺を嘲笑うかのように、伸ばした手が掴むものは⋯⋯何もなかった。
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