電に連れられて鎮守府に入った男は早速艦娘に話しかけられた。
「あの…すいません。一般の方は立ち入り禁止なのですが…」
声を掛けられ、男が返事をしようとしたら電が代わりに答えた。
「あ、大和さん。この人は鎮守府の近くに居たのですが警報が鳴ったので私の独断でここに避難して貰ったのです。」
なるほど、俺に声を掛けた人物は大和と言うのか。
余りにも短時間に驚く事が起こりすぎて、もう艦娘がどうとか考えるのも疲れた男は考える事をやめた。
大和「独断って…いくら緊急事態でも流石にそれは不味くない?」
電「それもそうですが、あのままあそこに居てはどんな被害が及ぶか分からなかったのです。それに…」
大和「それに?」
電「この人は妖精さんが見える人なのです。」
大和「え!?嘘!?」
電「本当らしいのです。なので、もしかしたら何か役に立ってもらえるかもしれないのです。」
大和「そういう事なの…。とにかく今は出撃準備を急いだ方がいいわ。その人は…」
話してる内容は理解出来なかったが、緊急事態で鎮守府に避難した事と妖精が見える存在、というのは分かってもらえた様だった。
そうして出会う毎に質問をされながらも俺はとある一室に案内された。
男「ここは?」
電「ここは鎮守府にいらしたお客様に一時的に待機して頂く為のお部屋です。すいませんが暫くここで待機していて欲しいのです。」
なるほど。確かに緊急事態とはいえ、いきなりここの大将の部屋に行くのは無理がある。だからといって誰かの部屋を使うわけにもいかない。だからある意味で誰でも入れる待合室の様な部屋に案内されたのか。
そうして俺は電にここで待機する上での注意点を聞いた。
1.この鎮守府に滞在する事を完全に認められた訳ではなく、あくまでも超法規的措置として案内されただけ。
2.いかなる理由があっても許可なく鎮守府を歩くのは禁止
3.要件がある場合は壁に掛けられている電話を使って連絡する事
4.もし無断で脱出、若しくは外出した場合はいかなる処分が下されても拒否権はなし
上記の約束を守るのであれば、一時的にこの鎮守府に保護されるというのであった。
(別にこの部屋から出るつもりはないし、見たところ飲み物とトイレはある様だ。ずっと過ごすならともかく、一時的な待機室なら文句はない。)
そう判断した俺は電に理解した旨を伝えた。
電「では、私は出撃してくるのです。くれぐれも約束は守って欲しいのです。」
男「わかっているよ。電ちゃんも、くれぐれも怪我には注意してくれよ?」
電「…わかったのです。それでは私は失礼するのです」
こうした電は部屋を出ていき、1人残された俺は部屋に備えられている椅子に腰を下ろした。
(ここに居れば、とりあえずは安全なのか…。しかし、電は出撃すると言っていたが無事に帰ってこれるのだろうか。それにしても…)
ここで俺は落ち着きを取り戻したのかある1つの疑問が頭に浮かんだ。
(何故、ここには男が1人もいないんだ?ここに居る艦娘達は自律的に行動してる、というよりは組織だった行動をしている。つまり、指揮官がいてもおかしくない。まぁ、指揮官が男とは限らないから、偶々見てないだけなのかもな。)
(まぁ、俺がここにいてるという事は既に司令官に伝わっていると考えて間違いはないだろう。だったら俺が下手に行動すると俺を保護してくれた電にも迷惑がかかる。)
そう結論づけた俺は部屋で大人しく待機する事にした。