初音島物語   作:akasuke

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お久しぶりです。
私事ですがプロジェクトが一区切りして、ようやく一休みできた為、投稿を開始いたします。

話は終盤なので、やはり最後まで描ききれるように頑張ります。

p.s.
感想に書いていただいて気付いたのですが、D.C.4が出るらしいです。
ちょっと嬉しすぎて死にそうなのと、知らなかったのが悔しくて何か混乱してます。


それでは、本編をどうぞ。


episode-40「夢の足音」

「弟くん、今日朝早く起きれたねー?」

 

「まぁ、たまたまだけどね」

 

「にゃはは、えらいぞー義之くんっ!」

 

や、やめてくださいよ、と。

背伸びして撫でるさくらへ恥ずかしそうに話す義之を見て、朝倉 音姫はクスリと笑みが溢れた。

 

 

芳乃家の台所。

朝食の準備をしている音姫とさくらのもとに、義之が訪れたのである。

 

さくらは最近は朝食の場に来てるので見慣れているが、普段が休みの日は遅くに起きる義之が起きてきたことに、音姫は目を丸くしていた。

 

クリパで問題を起こしたことで昨日まで風見学園で補修合宿を行っており、尚更今日は遅くまで寝ているだろうな、と思っていたのだ。

 

 

「別にもう少しゆっくり起きても良かったのに」

 

「あー、少し変な夢を見て起きちゃってな」

 

「変な夢?」

 

ああ、と。

義之は頷きながら、少し悩んだ表情を浮かべる。

 

 

「……あのさ、音姉」

 

「なに、弟くん?」

 

音姫が彼の様子が気になり、首を傾げながら見詰めていると、義之があらためて彼女へと視線を向けて言葉を掛ける。

 

 

「あー……、ちょっと変な質問になっちゃうんだけどさ」

 

「うん、どんなこと聞きたいの?」

 

「んーと……その、さ」

 

 

――なんだろ、何か聞きづらい話、なのかな?

 

すぐに音姫に問いかけず何か言葉を探すように考え込む義之に尚更疑問が浮かぶ。

だが、彼が言葉を発するまで待っていると、義之がようやく口を開き、音姫に質問を投げ掛けた。

 

 

 

由姫さんってお兄さんは居たのか、と。

 

 

 

「えっ、お母さんに?」

 

 

全くと予想もしてなかった質問に目を丸くす音姫。

義之の質問で名前に出た由姫さんとは、朝倉 由姫――音姫が幼い頃に亡くなった、彼女の母親である。

 

 

「あぁ、兄弟はいたのかなって」

 

「んー、お母さんには確か兄弟はいないハズだよ?」

 

「そっか。 もしくは親戚で由姫さんが『兄さん』って呼んでいる人は居たかな?」

 

更に問われた内容の意図がわからず、混乱しながらも大切な弟くんの為に記憶を呼び起こす音姫。

しかし、特に自身の思い出す限りには該当する人物は思い浮かばなかった。

 

 

「聞いたことはないけど……さくらさん?」

 

自分は知らないが、知っている可能性がある人物が丁度近くに居たため、そちらに振り返る。

音姫の振り返った先にいた人物――さくらは、音姫と義之の話を聞いており、すぐさま言葉が返ってきた。

 

 

「由姫ちゃんが『兄さん』って呼んでた人かぁー。 僕も聞いたことがないね」

 

さくらの返答に、そうだよなと何回も頷く義之。

あくまで分かっていたけど念の為に聞いた感じである。

 

その様子に、音姫もさくらも疑問が浮かび続ける。

 

 

「でも、どうして急にそんなことを?」

 

「あ、いや……ちょっと気になってね」

 

ありがとう、音姉、お母さん、と。

一度お礼を言ってから居間へと戻っていった義之。

 

義之の最後の様子からして、あまり理由は聞いて欲しくなかったのだろうか。

音姫とさくらは互いに首を傾げ合いながら彼を台所から見送るのであった。

 

 

ただ、義之が台所から去る際、彼が発したつぶやきが耳に残った。

 

 

 

 

――じゃあ、由姫さんじゃなくて……音夢、さん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

episode-40「夢の足音」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さくらや音姫が準備してくれた朝食を食べ終えた後、桜内 義之はとある場所へ足を運んでいた。

 

それは――――

 

 

「よっ、初音!」

 

「あれ、珍しいですね?」

 

ここに来てもらえるのは、と。

義之の姿を目にして少し驚いた後、初音 彼方は彼を笑顔で出迎えたのであった。

 

そう、義之が訪れたのは昨日に補修合宿を行っていた風見学園。

その学園の地下を拠点としている、非公式新聞部である。

 

しかし、用事があるのは非公式新聞部というよりは、彼方にであるが。

既に冬休みを迎えており、雪が積もって活動が難しい運動部は勿論、文化部も敢えて休み中に学園で活動をしている部活は少ない。

 

だが、彼方が今日も風見学園に来ていることは把握していた。

それが分かった理由は、一緒に学園まで来ていた隣の人物が知っていたからだ。

 

 

「あぁ、彼方にちょっと聞きたいことがあってな」

 

「兄さん、あまり邪魔しないでくださいね」

 

「おま、そんな邪険にするなよ……」

 

芳乃家で朝食を食べている最中に彼方の所在を聞き、一緒に行くと告げた瞬間に明らかに不機嫌そうな表情と仕草を見せてきた妹分――朝倉 由夢である。

 

おそらく、二人っきりで居たかったのだろうな、察したが余計なことは言わないでおいた義之であった。

 

それに、どのみち今日は由夢と彼方が二人っきりは無理であっただろう。

何せ、学園へ向かう途中で更に着いて来た人物がいるのだから。

 

 

「ははっ、邪魔扱いされてやんの」

 

「ふむ、いくら同志初音と二人っきりになれないからとはいえ、同志桜内が可哀想だな」

 

「……言っておきますけど、杉並先輩と板橋先輩も同じですからね!」

 

由夢がジト目を向ける先には、義之を見て笑っていた板橋 渉と杉並の姿が其処にはあった。

暇だから、面白そうだからと野次馬根性で着いてきた二人組である。

 

 

――ま、ほんとは俺一人が良かったんだけどな。

 

正直、あまり来て欲しくなかったが説得が面倒だったので、そのまま連れてきたのだ。

 

不機嫌そうな由夢を取り成す彼方へと視線を向け、義之はさっそく訪れた本題について話す。

 

 

「あのさ、魔法の桜について聞きたいんだけど」

 

「魔法の桜のこと、ですか?」

 

義之から出た言葉に彼方と由夢は若干驚きながら目を見合わせた。

由夢も義之が非公式新聞部に訪れた理由についてはぐらかされていた為、知らなかったのである。

 

 

「あぁ、ちょっと気になることがあってさ……いいか?」

 

「私は構いませんよ。 桜内さんは、魔法の桜の何について知りたいですか?」

 

義之が魔法の桜について聞いてきたことに多少の驚きを見せていたようであるが、特に嫌がる素振りも理由を聞こうという様子も見せなかった。

魔法の桜について理由は自身の能力が関係する為に答えづらいからこそ、何も聞かずに居てくれる彼方の態度は有り難かった。

 

 

義之は、今日見た他人の夢について思い出す。

 

 

風見学園の校舎。

由夢や音姫に似ていた女の子。

 

そして――。

 

 

 

 

 

 

『わたしの、せいだっ!』

 

 

 

 

 

 

――あの夢が、もし音夢さんや純一さんの世代の話なんだとしたら。

 

 

「俺たちの生まれる前に咲いていた魔法の桜について、簡単にでも教えてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「桜内さん、まず魔法の桜が具体的に一番はじめにいつ咲き始めたかはご存知ですか?」

 

義之の質問を聞き、彼方は落ち着いて話せるよう義之たちを椅子に促した後、義之に問いかけた。

彼方の問いに、義之は首を横に振る。

 

 

「いや、詳しくは知らないな」

 

「では、そこから話しましょうか」

 

彼方は近くにあったホワイトボードに書き始める。

 

 

『1995年3月 枯れない桜が咲き始める (1回目)』

 

 

「まず、春以外にも咲き続ける魔法の桜―所謂『枯れない桜』が咲き始めたと言われているのは、1995年の春です」

 

「そんなに、前だったのか……」

 

義之が知っているのは、子供の頃に咲き始めたと言われる魔法の桜。

自分達が生まれる前にも咲いていたのは知っていたが、そこまで前であるとは知らなかった。

 

 

「あー、でも確かにうちの婆ちゃんが学生んときに魔法の桜があったって言ってたな」

 

一緒に来ていた渉も側で聞いており、自身の祖母の言葉を思い出しながら頷いていた。

ただ、渉は何か気になったのか、その後に疑問の言葉を発していた。

 

 

「でもよ、本島でも3月の後半くらいから桜が咲いてるって聞いたぜ。 まだそれだと枯れない桜か分かんねーんじゃねーの?」

 

「えぇ、まだその時点では今まで通りの、普通の桜と思われてたようですね。 5月6月になっても咲き続けてから、新聞でも取り沙汰されてるようになったみたいです」

 

初音島だけではなく、本島の方からでも初音島の桜について随分と取り沙汰されたらしい。

色々な研究者が初音島の桜を調査しに訪れたが、桜を調べても枯れない理由が分からなかったとのこと。

 

 

「夏が終わり、秋、冬とずっと咲いていて、少しずつ『枯れない桜』という言葉が浸透されるようになったみたいです」

 

何故咲き続けていたかは分からなかったが、春以外に咲く桜を見ようと観光客が訪れるようになり、初音島の名物・観光資源として扱われるようになったようだ。

 

 

「そして、枯れない桜が咲き始めてから、桜に願いを祈ったら叶うという噂が出はじめたんです」

 

彼方に補足するように、由夢が話し始める。

 

どこが出所かは分からないが、初音島の桜に自身の願いを叶えてくれるという噂が出はじめたのは、その枯れない桜が咲き始めてからであった。

 

 

「その噂は学生など若い人達から広がっていき、いつしか『枯れない桜』は『魔法の桜』と呼ばれていくようになったみたいです」

 

 

「ま、願い事が叶う等の噂など魔法の桜に限ったことではない。 そういう噂や迷信などはいくらでもある……が」

 

由夢の後に言葉を挟んできたのは杉並。

義之が振り返ると、杉並は自身のメモ帳を開いて見ながら話していた。

 

 

「過去の非公式新聞部メンバーが調査した際、願いが叶ったと口にした人物の様子が急に変わったという例が多かったようだ」

 

「あん? 様子が変わったからって願いが叶ったとは限らねーんじゃねーの?」

 

「まあ、その通りなのだがな。 だが、枯れたときがより顕著だったらしい」

 

「枯れたとき?」

 

杉並が彼方に視線を向けると、彼方は頷きながらホワイトボードに書き込み始める。

 

 

『2002年冬  枯れない桜が枯れる (1回目)』

 

 

「咲き始めてから7年後、枯れない桜が一度枯れ始めます」

 

「杉並が言ってた、枯れた時に顕著だった、ってのはどういうことだ?」

 

「魔法の桜が枯れた日から、学生の方で体調を崩す、そして休む方が多かったみたいですね」

 

彼方が確認した過去の非公式新聞部の情報によれば、魔法の桜が枯れた当日に休んだ学生が明らかに多かったらしい。

理由としては体調不良であると言われていた様であるが、桜が枯れて以降、明るい人物が急にオドオドし出したり元気がなくなったりし始めたようだ。

 

だからこそ、叶えた願いが枯れたことでなくなったのでは、と過去の非公式新聞部は推測していたようである。

 

 

「――ここまでが、最初に枯れない桜が咲いて、枯れるまでですね」

 

「なるほど、な」

 

彼方の言葉に義之は相づちを打ちながら、内心にて思う。

 

 

――それじゃあ、あの夢は最初の魔法の桜が咲いていた7年の内にあった出来事なのか

 

具体的には何時の出来事であったのかは流石に絞り込めない。

咲いていた7年間の内のどこかの出来事であったのだろう。

 

ただ、義之が覚えている限りで参考になりそうなものが一つあった。

 

 

――冬じゃなくて、夏だったな。

 

義之が見た夢は、季節としては明らかに冬ではなかった。

他人の夢を見た際、気持ちは共有されるが温度などは共有されない。

しかし、照らされる太陽、そして周りの光景を見ると夏のように感じられた。

 

これ以上は、流石に難しいかもしれない。

義之は一旦思考を切り上げた。

 

 

「うん、聞けて助かった。 それじゃあ、それで桜が枯れて、その次に咲き始めたのが今から10年前のことなんだな」

 

あくまで相づちと、自身の確認のために呟いていた言葉。

しかし、それを否定したのは隣の由夢であった。

 

 

「違いますよ、兄さん」

 

「違う? なにがだ?」

 

「10年前に咲き始めた魔法の桜は2回目じゃありません。 3回目です」

 

義之は由夢の言葉を聞いて驚きで一瞬固まってから、慌てて聞き直す。

 

 

「ま、待てよ。 他にも咲いていたのか? そんな話聞いたことなかったけど」

 

「まぁ、無理もないと思います。 なにせ、2度目に咲いていたのは凄く短い期間だけ、らしいので」

 

由夢さん、と。

彼方が由夢の名前を呼ぶと、彼女は意図が分かったのか書類が並べられた棚へと向かい、とあるファイルを取り出す。

 

 

「彼方さん、これですよね」

 

「えぇ、ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

――なんだか、前よりも仲良いな。

 

二人のやり取りを見て距離の近さに驚く義之を他所に、彼方がファイルを開いて言葉を続ける。

 

 

「最初の魔法の桜が枯れて二年後、つまり2004年の夏に再び桜を咲き始めたんです」

 

「だけど、一ヶ月もしない内に枯れちゃったみたいなんですよ、兄さん」

 

由夢が彼方の言葉を補足するように、義之に話す。

 

 

『2004年夏 枯れない桜が咲く&枯れる (2回目)』

 

 

「そんなに、短かったのか」

 

「えぇ、ですが春ではなく夏に急に桜が咲いたので、その時はまた枯れない桜が復活した、と大騒ぎになっていたみたいです」

 

 

義之は、夢に出てきた少女の、とある言葉を思い出す。

 

 

 

『わたしが、魔法の桜に願ったから』

 

 

 

「な、なぁ。 その時は願いが叶ったって話はあったのか?」

 

「あまりに短い期間だったので何とも言えませんが……、そういう報告はないみたいです」

 

彼方はその時の調査報告書を目にしながら語りかける。

しかしな、と後ろから杉並が言葉を続けた。

 

 

「この時、我が叔父上が調査していたらしくてな、メモがあった」

 

「なんて書いてあったんだ?」

 

「二年前には当たり前に咲いていた光景が、いまは不自然に思える…そう、書いているな」

 

「なんだそりゃ?」

 

さてな、と肩を竦めて応える杉並。

 

 

そんな二人を余所に、義之は一つ気になっていたことがあった。

 

 

 

――2004年の夏、か。

 

ちょうど義之が見た夢も季節は夏のように感じられた。

ただ、最初の魔法の桜は6年咲いていたのだ。そちらの間である可能性も高い。

 

しかし、何故だろうか。

妙にこの一時期しか咲いていなかったというのが気になった。

 

 

――いや、そもそも俺は何でこんなに気になってるんだ……?

 

義之は自身に問う。

 

わざわざ彼方のもとへ行き、以前の魔法の桜について聞きに来た。

そこまでする理由は何故なのか。

なぜ、知りたくなったのか。

 

 

「……そうか」

 

義之は自身が気になった理由がわかった。

 

 

『わたしの、せいだっ!』

 

夢の人物が、何に対して自身が原因だと考えたのだろうか。

それが気になったのもある。

 

 

『わたしが、魔法の木に願ったから』

 

夢の人物が、何を願ったのか。

それが気になったのだって理由のひとつだ。 

 

 

そこじゃなくて、一番気になったのは。

 

 

 

『わたしが…桜を咲かせたから』

 

夢の人物が、初めのか、または次の魔法の桜を咲かせた。

そもそも、人が魔法の桜を咲かせるだなんて、本当に出来る話なのかは分からない。

 

しかし。

 

しかし、もしそれが真実なのだとしたら。

 

 

 

 

 

――10年前に咲いた魔法の桜は、誰が咲かせたんだ?

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「兄さんは何で魔法の桜について知りたかったんでしょう?」

 

 

「どう、なのでしょうね」

 

何か呆然とした様子のまま去って行った義之を見送った由夢は、心配した様子を若干見せながら言葉を口にした。

直接本人に聞けば良かったのかもしれない。

しかし、あまり聞いて欲しくなさそうな様子を見せていた為、無理に聞こうとは思えなかったのだ。

 

 

「別に特に理由なんかないんじゃねーかな。 俺と同じで暇だったからとか」

 

「うむ……流石だな、板橋よ」

 

「言っとくけど、表情で馬鹿にしたのだけはわかるわ!」

 

板橋の跳び蹴りを華麗に避けつつニヤニヤと笑みを浮かべる杉並を見ながら溜息と吐く由夢。

苦笑いしていた彼方は、杉並に気になっていたことを問いかけた。

 

 

「あはは……というか、先ほどの言葉は知らなかったですよ」

 

「む、なんの話だ?」

 

「『二年前には当たり前に咲いていた光景が、いまは不自然に思える』という言葉ですよ」

 

特に過去の調査報告の記述にありませんでしたが、と。

彼方が言うと、杉並はあぁ、と理解した様子で自身が持つ若干古びたメモを見せながら応える。

 

 

「すまんな、叔父上があくまで私感で書いてただけみたいでな、非公式新聞部の調査報告には入れなかったようだ」

 

その返答に、なるほどと頷く彼方。

 

 

「すみません、ちょっと気になったもので。 ちなみに、他に何か気になるメモはありましたか?」

 

「ふむ……メモではないが、こんなものはあったな」

 

杉並はメモに挟み込んでいた紙を一枚彼方に渡す。

彼方がその紙を見て苦笑していたのを見て、由夢は隣から紙を覗き込む。

そして、由夢はそれを読み上げた。

 

 

「『誰が朝倉純一の恋人になるかトトカルチョ』……いや、何ですかこれ」

 

「いやはや、我が叔父上も随分と楽しそうなことをやるものだ」

 

「お爺ちゃんも杉並先輩と同じようなひとに絡まれてたんですね」

 

由夢は祖父の純一に若干同情しながら紙を見ていた。

ことり、環、眞子、萌など女の子の名前が記載され、その上に投票シールが貼られている。

呆れながら見ていたものの、祖母の音夢が一番多く投票されていたのは何だか嬉しい気持ちが浮かぶ由夢であった。

 

 

「気になるメモがあるかを聞いたんですがね」

 

「まぁ単純に面白そうだから見せたのもあるが、叔父上のメモにそれについて書いてあることがあってな」

 

そう言うと、杉並は彼方が持つトトカルチョの用紙のとある部分を指でさす。

それを見て渉は疑問を浮かべ口に出す。

 

 

「この女の子がどうかしたのか? まあまあな投票数みたいだけどよ」

 

「それはどうでも良いのだがな……メモにはこう書いてあったのだ」

 

 

 

 

 

 

「『アイシア』という知らない人物を何故書いたのか、そして何故知らない人物に対して何票も投票されているのか、とな」

 

 




読んで頂きありがとうございました。

久しぶりにハーメルンでD.C.を検索した際、私以外にも描いている方々がいて、まだD.C.という作品が忘れ去られてないことが嬉しかったです。

小説とは関係ありませんが、活動報告に少しお知らせを記載しております。
もしお時間がありましたら見て頂ければ嬉しいです。

それでは、ありがとうございました。

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