罪人のシュラ   作:ウソツキ・ジャンマルコ

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ミミミと…

 

片桐とマキオは、剣の稽古をしている。

 

「では、今日はこれで終わりましょう」

 

「……ハァ…ハァ…ハァ…ありがとう…ございました」

 

「フォームが綺麗になってきましたね」

 

「…ハァ…ハァ…そう…ですか?」

 

「ええ。

 マキオさんは、真面目な方ですね。

 朝晩、毎日剣を振ってるんでしょ?」

 

「…えぇ!?……片桐さん……毎日、見てたんですか?」

 

「いいえ。

 男性を朝から晩まで覗く趣味は……まだ持ってません」

 

「…そうですか……じゃあどうして?」

 

「この場所に来て2週間、マキオさんの短剣の技術はかなり伸びました。

 毎日一緒に剣を交えていれば、相手がどの位の事をやっているかは、

 だいたいわかりますよ」 

 

「…凄いですね」

 

「とりあえず、今まで伝えた事を忘れずに身体に刻みこんでもらえれば、

 きっと簡単にやられる事はなくなりますから、頑張ってください」

 

「……もしかして、稽古は卒業でいいんですか!?」

 

「いいえ。

 明日もやりますよ」

 

「……じゃあ、終わりの雰囲気を出さないでくださいよぉ。

 気持ちが折れますから」

 

「折れた所で、無理矢理でもやってもらいますから、

 問題ありませんよ?」

 

「俺、そんな戦闘に向いてないと思うんですけど…」

 

「そうですか?

 気持ちの面はわかりませんが、筋はいいので期待してるんですよ?」

 

「…でも、この団には強い人いるから、俺じゃなくても良いんじゃないかなって思ったり…」

 

「そうですが、もしバニラさんが危険な目にあった時、

 弱いから助けに行けないって事になるのは、嫌じゃありませんか?」

 

「!!」

 

マキオは、慌てて辺りに誰もいないかを確認した。

 

「ちょっと、片桐さん!

 いきなり何を言い出すんですか!」

 

「私は、この戦闘技術がマキオさんの為にもなると伝えたかっただけなんですが?」

 

「もう…個人名を出すのは、やめてください!

 二度と逆らわずに必死で稽古します!」

 

「よろしくお願いしますね。

 では、また明日」

 

 

マキオは、いつも通り、温泉で汗を流した。

露天風呂に浸かりながら、景色を見ていると、

河原で、ミミミが石を投げてるのが見えた。

 

(ミミミちゃん、一人で遊んでるのか…)

 

しばらく見ていると、ずっと石を投げ続けている。

ミミミとは、あの日以来、会っていなかった。

なんとなく、可哀想な気がしていたのだが、わざわざ自分が会いに行くのも、

どこか大げさな気がして、そのままになっていた。

 

(よし!)

 

マキオは急いで服を着て、河原に出て行った。

 

「ミミミちゃん」

 

ミミミは振り向いてマキオを確認すると、少し驚いたが、またすぐに石を投げ出した。

 

「あの……覚えてる?」

 

「………」

 

「俺…マキオって言います」

 

「………」

 

マキオは、何を言ったらいいのかわからなくなって、

ただ、そこに腰を下ろした。

何も言わず、ミミミが石を投げているのを見ていた。

 

( ミミミちゃん、中学生くらいっていってたなぁ…

  俺が、中学生の頃はどうだったかな?

  友達はいたけど、親友ってほどでもなかったかな。

  高校に入ったら、全然連絡とらなくなってたし。

  彼女なんて、架空の存在だったもんなぁ。

  UMAと同じレベルだったし。

  あの時代を青春なんて呼びたくないよ。

  何やってたかなぁ…陸上部だったから、ひたすら走ってたなぁ。

  でも、特別早くもなかったから、大した結果も出ずに終わったな。

  楽しかったかって聞かれたら、まぁ普通って答えるだろうな。

  今となっては、記憶も曖昧だし。

  ミミミちゃん…友達とか欲しかったりするのかなぁ?

  でも、いきなりオジさんが、友達になろうって言ってきたら、

  ドン引きするよなぁ…

  やめとこう。

  変態だって思われたくないし… )

 

 

二人は何も話さないまま、20分以上が過ぎた。

それでも、まだミミミが投げる石をただ見ていた。

 

 ( 周りの同級生は何してたかなぁ?

   ……………

   ヤベェ、全然覚えてないや。

   俺って、こんなに周りの事を気にしないで

   生きてたんだな。

   好きな子はいたけど、一度も話しかけた事もなかったし。

   もし、話しかけてたらどうなってたかな?

   普通に話して終わりか、キモいと思われるか、

   その位しか浮かばないや。

   ミミミちゃんは、好きな人とかいないのかな?

   周りは大人ばっかだし、いないかな?

   でも、女の子は年上の男が好きだったりするから、

   いたりするかもなぁ。

   でも、親しくもないオジさんに、好きな人いるの?

   って聞かれたら、ホラーだよなぁ…

   やめとこう。

   変態だって思われたくないし… )

 

マキオは、ただボーッとミミミが投げる石を見ていた。

 

そして、40分が過ぎた時、マキオは自分の目を疑った。

 

ミミミが投げた小石は、大きな岩に当たり、その大岩は割れ、轟音を立てて川に落ちた。

 

驚いてミミミを見ると、口のはしが上がっている。

 

 

( こいつ、わざとだ。

 

   今思い出すと、この子、ずっと同じ所に石を当て続けてた。

   そして、大岩を割ったんだ。

 

   可愛い女の子が、寂しがってるんじゃなかったんだ……

 

   ただの、バケモンだったんだ! )

 

 

マキオは、開いた口が本当にふさがらなかった。

 

ミミミは、そんなマキオを振り返って、

 

「フンッ」

 

と自慢げに笑った。

非常に人を馬鹿にした笑顔だった。

 

「オッさん、なんか言う事ないの?」

 

「す…すごいっすネ」

 

「おっさんもね」

 

「……俺?……なんで?」

 

「女の子が、石を投げてるのを、後ろから40分以上もずーっと見てるって、

 MAXの変態だよね」

 

「……………………」

 

嗚呼……何も言わなくても……変態って思われたなぁ……

 

……でも……

 

返す言葉もないなぁ………

 

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