罪人のシュラ   作:ウソツキ・ジャンマルコ

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屋上2

「え?…どういう事?」

 

ミツイは、アヤネの言っている事が信じられなかった。

 

「兄さんは、たぶん仲間に殺されたの」

 

「!?」

 

ミツイは、アヤネが言っている事の重大さをわかっていた。

 

傭兵による傭兵殺し…

 

傭兵団の中で、最も憎まれる行為だ。

 

しかも、彼女の兄はシノノメの顔だった。

 

最強と言っても過言ではない、その男が、仲間に殺されたという事は、冗談でも口に出来ない事だった。

 

そして、その団は今、自分が所属している、誇りに思っている団だ。

 

もし、周りで誰かがこの話を聞いていたら、侮辱だと怒り出す団員の方が多いだろう。

 

ミツイは、思わず辺りを見回した。

周りには、誰もいない。

 

「ミツイ君…あなたにとっても、本当に嫌な話だとわかってる。

 ごめんね…こんな話して」

 

「アヤネさん…理由を教えて欲しい」

 

「うん。

 兄さんは、年の離れた私の事を、本当に可愛がってくれていた。

 私も、兄さんが、大好きだった。

 

 それは、兄さんが死ぬ一週間前の事よ。

 

 兄さんが、私をドライブに連れて行ってくれた。

 二人で出かける事は、よくあったけど、その時は目的地も教えてくれなかった。

 なんとなく、兄さんも無口だったと思う。 

 

 そして、港についたの。

 でも、今度は小さなボートに乗って、沖まで出ていった。

 

 そして、周りに島も船も見えなくなった場所にボートを止めると、

 

『  いいか…俺の話をよく聞くんだ。

   俺は、もうすぐ死ぬかもしれない。 』

 

 そう言ったの。

 

 でもよく兄さんは

 

『  傭兵として、罪人と戦って死ぬのは、ずっと前から覚悟していた。

   そうできれば、本望だ。

 

   だけど、アヤネの花嫁姿を見たいから、やっぱり死ねないな  』

 

 ……って、冗談を言っていたから。

 でも、その時は、冗談なんて言える顔じゃなかった。

 その時の兄さんは、凄く怖い顔をしてた。

 

 そして、

 

『  もし、1ヶ月以内に俺が死んだなら、

   俺は、仲間に殺されている。

   

   だから、その時はお前が真実を明らかにしてくれ。  』

 

 そう言って、私に日記を渡したの。

 鍵のかけられた日記だった。

 

『  これは、お前が読んじゃいけない。

   俺がもし死んだなら、

   この中に真実を書いているから、

   これを、ある人にお前が届けるんだ  』

 

 日記を開ける鍵は、もう捨てたって言ってた。

 だから、壊さなきゃ中は、見られないようになってた。

 そして、この日記を持っている事を、絶対に誰にも知られるなって。

 

 兄さんは、私を強く抱きしめてくれた。

 その時、兄さんは泣いてたの。

 私は、兄さんが泣いているのを初めて見たわ。

 

 それから、一週間後に兄さんは死んだ。

 

 私、とっても怖かった。

 本当に、兄さんが死んじゃったから。

 

 そして、きっとあの日記に、兄さんを殺した人の名前が書いてあるって思った」

 

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