それと、今回のオリキャラ登場に合わせて、魔理沙時空の幻想郷の話を書いてみようかなと思います。
ジャイアントトードの一件から一日がたった。
「なあめぐみん。スキルの習得ってどうやるんだ?」
「スキルの習得……ですか?そんなの、冒険者カードにあるスキル欄から……て、ああ。カズマは冒険者でしたね。冒険者はまず、誰かにスキルを教えてもらい、それから習得するのです」
「因みに、冒険者はどんなスキルでも覚えられるから、教えてもらえさえすれば、リッチーやデュラハンみたいな、アンデッドモンスターのスキルも習得出来るぞ。まあ、教えて貰えれば、だがな」
なるほど。そうなるとつまり……。
「ポイントさえあれば、俺でも爆裂魔法を使える訳か」
「ええ、そうなりますね。まあ、覚えるまでいけるかは知りませんが」
ん?どういうことだ?
「……ああ、カズマは知らないんだったか。あのなカズマ、爆裂魔法はその威力もあって、ポイントをバカ喰いするんだよ。......幾つだっけ」
「はいはい!えっとねカズマ。爆裂魔法のスキルポイントは十や二十じゃ足りないの。そうねぇ......50レベル位まで何もスキルを覚えないで行けば、覚えられると思うわ」
「なめんな」
50レベルって、なんだよそりゃ。ふざけてんのか?まあ、これで爆裂魔法のあの火力にも納得出来る。ん?それなら……、
「なんでめぐみんは爆裂魔法を覚えてるんだ?レベルは俺達とそう変わらないはずだろ?」
「ええ、その事なのですが……多分、マリサの方が詳しいのでは?」
「……成る程な。スキルアップポーションか」
「スキル......何だって?」
「スキルアップポーション、な。取り敢えず、スキルポイントを獲得するポーションだと思ってくれればいい。だが、スキルアップポーションは貴重だったと思ってたが、爆裂魔法を覚えられる程の数をよく集められたな」
「……紅魔の里の学校の成績優秀者三名には、成績発表の時にスキルアップポーションが与えられるのです。言ってしまえば、優秀な者への報酬の様な物……ですかね」
「へー、成る程な。つまりめぐみんはそれだけサバを読んでたわけか」
「む、変な事を言わないで下さいカズマ。事実とはいえ、そんなことを目の前で言われると、流石に傷つくのですが」
「そうよカズマ!何時もそうだけど、貴方はデリカシーって物が欠けてるわ!」
「はぁ?いつもおっさん臭いお前相手にデリカシーを持つとでも思ってんのか?」
「なっ!?……へぇー、そう。なら、そのおっさんに見惚れてたあんたは一体何なのかしら?」
「ばっ!?あん時はお前がこんなんだと思ってなかったからだよ!言っとくが、これからはお前に見惚れるなんて事は絶対に無いからな!」
そんな、俺達の会話を聞いてか知らずか、後ろから笑い声が上がった。
「ク、クハハハハ!お前さん、面白いなぁ!思わず笑っちまったよ!」
失礼な言葉に振り向くと、其処には盗賊風の格好をした銀髪の美青年がいた。
青年はその鋭い碧色の鋭い眼を更に細めて俺に問う。
「どうだい兄ちゃん。盗賊スキル、覚えてみるか?」
ーーーーー
青年、サクヤの提案に頷いた俺は早速、盗賊スキルを覚える為に、外に出た。
「で、盗賊スキルについてだが、お前さん。スキルポイントはいくつだ?」
「えーと、3ポイント有るな」
「そうなると……、潜伏に敵感知、それと窃盗スキルにするか。……あー、そうなると相手が必要だな……」
「……なんか問題でも有るのか?」
「いやなカズマ?今から教えるスキルは、相手が必要なんだよ。そこらで窃盗でもするか?いやそうなると……、アイツに怒られちまうな。……しょうがねぇ、悪いカズマ。ちょっと待っててくれるか?」
「いや、別に構わねえよ。教えて貰えないよりかはマシだからな」
サクヤは礼を言うと、その姿を消した。
その数分後、サクヤは一人の女性を連れてきた。その女性を目にした瞬間、俺は固まってしまった。
その女性がとびきりの美人だった事もある。あるのだが、他の理由の方が強いだろう。
「全く、突然連れていくと言うから来たものの、一体何の用……」
「あ?どうしたダクネス。カズマを見て固まって、どうかしたのか?」
サクヤが彼女、ダクネスに問うが、ダクネスは変わらず固まったままだった。
突然、ダクネスは俺に向かって進んできた。……やばい、嫌な予感がする。
「……昨日ぶりだな。それで、昨日の事は憶えてくれているだろうか?」
「すいません。初対面でしたよね?」
「んくぅ……!」
反射的に言ったその言葉に、ダクネスはその顔を赤く染め、息を荒くした。
ダクネスのその姿を見て、サクヤが呟いた。
「……ああ、ダクネスが言っていた奴ってカズマの事だったのか」
「おい、何で今ので気づくんだよ」
俺のその言葉に、サクヤは顔を逸らした。
「あー、んっんん!さ、さて、早速始めるか」
「……ん、それで、一体何をーーー」
ゴッ
「……は?」
突然、ダクネスの頭がのけぞった。辺りを見渡すと、サクヤの姿が消えていた。ダクネスの足下には拳大の石が……、
「……お、おい、ダクネス、さん?大丈夫か?」
「……………………」
怖い。無言のままサクヤを探すその姿には、思わずちびりそうになる程の迫力があった。
流石の俺もあれにはドン引きだったので、一緒に探す事にした。
……まあ、意外とすぐに見付かったのだが。
ーーーーー
「いや〜、まさかあそこまでキレるとは思わなかったぜ」
ダクネスの拳によって顔をパンパンに膨らませたサクヤがそんな事を言っている。
「とまあ、こんな感じに、潜伏と敵感知については分かっただろ?」
「まあ、な」
敵感知については兎も角、潜伏については結構分かった。というか、俺の幸運が無かったら見つけられなかったかもしれない位には使える。
「うし、なら次は窃盗だな。こいつは俺のお気に入りの一つだ。良く見とけ、ーーー『スティール』ッ!」
何をしたのかと思ったら、サクヤの手には革袋が握られていた。……ん?そういえば、さっきから懐が心なしか軽い様な……って、
「ああ、俺の財布!」
「……とまあ、これが
早速潜伏と敵感知、窃盗スキルを習得する。
「よし、それじゃあーーー」
「まあ待てカズマ。ここはひとつ、賭けをしないか?」
「賭け?」
「ああ。カズマはスティールで俺の持ち物を一つ奪ってみろ。因みに、一等はこれ、魔法のかかったダガーだ。こいつはオーダーメイドの特注品でな。攻撃時にランダムで
「マジかよ、いいのかそんなもん賭けて」
「いいんだよ、どうせ俺には使いずらいからな。そんでもって、ハズレはこれ、そこいらの石だ。おっと、文句を言うなよ?何事も経験だ、ってな」
ちくしょう、参考になった。だったら遠慮無く、一等賞をいただこうしゃないか!
「『スティール』ッ!!!」
よし、手応えあり!
両腕を組んで俺を見ていたサクヤに、俺はしたり顔で右手を差し出した。そして、その手の中には……。
「……一等賞、貰ったぜ!」
一等賞のダガーと、何故かくっついてきた俺の財布が有った。
次回はキャベツ乱獲と、ちょっとした小話を入れる……かも?