とある魔術の絶対重力‐ブラックホール-   作:プロジェクトE

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第07話 穏やかな刻を刻む嬉遊曲 ~divertimento~

 

「で、二人は教会の修道女さんと話していて遅れたということなんですー?」

結局補習に遅れた神無月と上条は小萌先生の前で怒られていた。

小萌先生とは、月詠小萌(つくよみこもえ)という名前の神無月と上条の担任である女先生で教える科目は化学(ばけがく)だ。

そこまでは普通なのだが、この先生、以上に背が低い、というより見た目が子供しかも小学生くらいにしか見えない。

身長は一三五センチで、そのまま小学校に行っても絶対にばれない。

もちろん大学を卒業後学校の先生となったため、実年齢は二〇歳を確実に超えているはずだ。

ちなみに身長だけでなく、肌の張りも小学生レベルらしい、そのことで他の女先生にも(うらや)まれているそうだ。

学園の七不思議にも登録されているくらいの幼女先生で一部では学園都市の老化防止技術の結晶などと言う噂も有るほどだった。

「こ、小萌先生、確かに話を要約するとそうですけど、そんな一言(ひとこと)じゃ表せられないほど色々あったんですよ」

「そうなんです。 俺の右手の幻想殺し(イマジンブレイカー)がシスターさんの服をぼもがぁ」

「はい、当麻は黙ってて、話が余計にややこしくなるから」

余計な事を口走りそうになった上条の口を神無月は手でとっさに(ふさ)ぐ。

「じゃあ、なにがあったのか先生にもきちんと説明してほしいのです」

 

「・・・まあ、一つ目は当麻と登校しようと思ったら、当麻の股間(・・)(声を大きくして言った)に清掃ロボットがぶつかってビクンビクン(・・・・・・)(さらに声を大きくして言った)と悶絶していたのを介抱したりしていました」

 

「な・・・っ!」

小萌先生は顔を真っ赤にして(うつむ)いてしまった。

小萌先生はそういう話題に耐性がない。

すぐに顔を真っ赤にして恥ずかしがる事が予想できていたため、神無月はあえてこの話題を最初に持ってきた。このお説教を出来るだけ早く終わらせるために。

「じゃあ、二つ目に―――」

「も、もういいのですー! 分かりました、色々あったんですね。 それは大変だったのです」

二つ目の話題の内容を実は考えていなかった神無月としてはここで切り上げてもらえたのは計画通りと言える。

「じゃあ、か、上条ちゃんは席に戻ってもいいのですよ」

・・・上条ちゃんは?

神無月はこれでお説教が終わると考えていたのだが、その当ては外れた。

「ごほん、今日の遅刻の事を抜いても、先生は神無月ちゃんには言いたい事があるのです」

「えっと、先生? 特に怒られるような事は―――」

「ずっと、超能力者(レベル5)の力を隠して手を抜いていましたねー?」

有無を言わさぬ声で言う小萌先生の言葉に返す言葉のない神無月。

小萌先生は笑顔なのに全く笑っていない。

確かに教師からすれば、手を抜いていたと言うとはサボっていたと言う事であるからして神無月が怒られることは当然なわけである。

「神無月ちゃん。 先生は神無月ちゃんが超能力者(レベル5)だって知ってとっても嬉しいのです。 でも、今までの成績が悪かったのはわざと(・・・)わざと(・・・)サボっていたって事ですよね。 そうですよね神無月ちゃん?」

神無月には、小さな小萌先生の体の後ろに東大寺南大門の金剛力士像が見える気がしていた。

「いや、あれですよ。 俺にも事情が―――」

という、神無月の言い訳を小萌先生は手で制した。

「いいのですよ。 事情があると言うのであれば、先生はそれをわざわざ聞こうとはしないのです。 でも、分かっていると思いますが補習はちゃんとあるのですよ? スケスケ見る見るとコロンブスの卵とカラーテレパスは♪」

「ちょ、ちょっと、待ってください。 スケスケ見る見るとコロンブスの卵までだったら俺の能力の応用で何とかなりますけど、カラーテレパスは完全に俺に出来る系統の力じゃないんですけど!?」

スケスケ見る見ると言うのは、目隠しポーカーで一〇回連続勝利するというもので、普通は透視能力(クレアボイアンス)専攻のカリキュラムだ。

まあ、神無月はカードに描かれた模様によって起こる微細な重力負荷の違いを読み取ってカードを当てる事が出来るため、問題がない。

また、コロンブスの卵は逆さにした生卵を、なんの支えもなく机の上に立ててみろというものだ。

これも、念動力(サイコキネシス)の専攻のカリキュラムでかなり難しい。

念動力(サイコキネシス)を使う能力者であっても力加減を失敗すれば卵が割れてしまうというものだが、これも神無月は重力制御でどうとでもなる。しかし、問題はカラーテレパスだ。

これは念話能力(テレパス)の専攻カリキュラムで、相手の思い浮かべている色を読心によって当てると言うものだ。

これはかなりレベルの高い念話能力(テレパス)にしかこなせない課題で少なくとも相手の心を読むことのできる力が必要とされている。

いくら神無月が超能力者(レベル5)であっても、重力をどう制御したって相手の心が読める訳がない。

精神感応系の課題は出来るかどうか試してみるという次元にはなく、まず無理というのが神無月の言だった。

しかし、怒った小萌先生は無情にも笑いながら、

「神無月ちゃん♪ 出来る、出来ない、ではないのです。 やる(・・)んですー♪」

だった。

これ以上の説得は無理と感じた神無月は、溜息をつくと、いつもの上条のようにこう締めくくった。

「不幸だ」

 

 

「じゃあ、授業始めますよー。 神無月ちゃんと上条ちゃんが遅れてきたせいで時間も押しているので、プリントを早く回してほしいのですー」

小萌先生にさりげなく責められた。

神無月としては、確かに遅れてきたのは悪いとは思うのだが、どうにもならない理由ではあったと思っている。

そんなちょっと納得いかない神無月に青髪ピアスの学級委員が後ろの席から肩を叩いた。

「なあ、ユウやん?」

「ん? なんだよ?」

「小萌センセに説教くらうとハァハァせーへん?」

「アホか! 誰からも認知されていない学級委員と同じ趣味嗜好の持ち主はこのクラスには居ない! これ以上精神感応系の特別課題を出されたら俺の夏休みはそれだけで終わっちまうんだよ、分かれっ!」

「なっ! 誰からも認知されてへんなんて事はあらへんよ! そうやろ、カミやん?」

「ん、ああ・・・」

「カミやん?」

上条は心ここに有らずと言う感じで窓の外を眺めていたところをいきなり青髪に呼ばれて適当な返事をした。

そして、再び窓の外を眺めるのに戻ってしまった。

そんな上条を見て、神無月は溜息をついた。

(明らかに、さっきのシスターさんのこと考えてるな・・・当麻の右手に反応したって事は何らかの異能の力で作られた服だったってことだし、そう考えてみると、やっぱりあそこで一人行かせたのはまずかったかもしれないかもしれないな。 学校に連れて来る訳には行かないから俺たちがサボってでも一緒にいるべきだったか・・・。 当麻も同じようなこと考えてんだろうな。 まあ、フードを当麻の家に忘れていったわけだし、取りに戻ってくるとは思うんだけどな)

そんな事を神無月が考えていると、不意に上条が窓の外をぼんやり見ながら、

「・・・何だったんだろうな?」

と誰に問いかけるでもなしに呟いた。

(ホントにな・・・)

神無月も上条の問いかけに答える事は無く、心の中だけで同意した。

そんな少ししんみりした空気が流れたその瞬間、

 

「センセー? 上条クンが窓の外の女子テニス部のヒラヒラに夢中になってまース」

 

もちろん、これは神無月のSっ気が発動して上条を(おとし)めようとしたわけではない。

上条が窓の外を眺めているのを見て、女子テニス部のヒラヒラに夢中になっていると勘違いした青髪ピアスの学級委員が自分の位置からは女子テニス部のヒラヒラが見えにくいからという至極自分本位な理由で上条を生贄にしたのだった。

当然のことながら、上条は女子テニス部のヒラヒラを見ていたわけではない。

しかし、周りの人間からそんなことが分かるはずもなく、上条の意識が教室に戻って来た時には、既に教室の中では上条が『女子テニス部のヒラヒラに夢中になって授業を聞いていなかった』という認識が確定してしまっていた。

世論は確定してしまえば、それがどんな偽情報だとしてもどうする事も出来ないというこの世の中の縮図を見た気がした神無月だった。

「・・・・・・、」

神無月は、上条から教室の前へと視線を変更すると教卓の前で小萌先生が泣きそうな顔で沈黙している。

小人(こども)(間違っても『こびと』と読んではいけない)の人権を守るべく、教室中から敵意ある視線が上条に突き刺さる。

上条はいきなりの事態に縮こまることしかできない。

朝から神無月に落雷の件を責められ、不幸に見舞われ、教室でもこれでは流石に可哀想だと感じた神無月は上条を助ける一手を投じるために立ちあがる。

「先生! 大丈夫です。 当麻もちゃんと授業を聞いてくれる方法がありますよ!」

「ほ、本当ですか!?」

さすが、一部では教師の鑑とまで言われる小萌先生、うまく食いついてくれたと神無月は思う。

「はい。 絶対の自信があります」

「そ、それはどんな方法なんです?」

神無月は大きく息を吸い込み、一呼吸()め、はっきりと大提案をする。

 

「先生も女子テニス部の衣装に着替えてくればいいんですよ!」

 

教室が静止する。

次の瞬間、この後どうやって、神無月を仕留めるか女子全員が神無月を睨む。

そして、今後の行方を見守るために欲望と期待の(こも)った視線で男子全員が小萌先生を凝視する。

そして、男子の視線を一身に受けている事に気がつかない小萌先生は、

 

「!!! 確かにそれはそうですね!(小萌先生)」

 

納得した。

「!!!(クラスの皆)」

何事も自信満々に説明すると、それがあたかも真実であるかのように説得できると言う証明が今ここに成り立った。

そして、小萌先生は教室の扉に向かうと、

「じゃあ、先生ちょっと着替えてくるので皆はその(あいだ)自習していてくださいー」

そう言うと、ガラガラという扉の閉まる音を残して小萌先生は教室を出て行った。

先生の声と扉の閉まる音が無くなるとに静まり返る教室。

しかし、それも一瞬だった。

「ひゃっほー!! さっすが神無月だぜ!!!」

「俺たちにできないことを平然とやってのける、そこに(しび)れる(あこが)れる~!」

「師匠って呼ばせてくれ~、そしてその(たく)みな話術を、人心(じんしん)(あやつ)(すべ)を俺にー!」

「あの流れから小萌センセにテニス部のコスをさせるなんて、僕ぁ、僕ぁ、感激やーーー!」

と男子達(もちろん青髪ピアスも)が騒ぎ立て、

「神無月! 貴様そこになおれっ! 先生は純粋だから、貴様のいかがわしい要求をすんなり呑んでしまったじゃないっ! 同じ女として許せないわ、正義のためにここであたしに討たれなさいっ!」

「そうよ、そうよ、討たれなさいよ!」

「討たれなさいよ!」

「今、貴様の首を取りに行くからそこから一歩も動くんじゃないわよ!」

「動くんじゃないわよ!」

と女子がというより主に吹寄制理(ふきよせせいり)が叫ぶ。

吹寄以外の女子には同調する以外の意見は無いのか!と思いつつも口には出さない神無月。

これ以上刺激して、攻撃が激しくなる事だけは避けたいのだ。

だが、そんな神無月の不安に反して、吹寄を先頭とした女子集団は神無月のところまでたどり着けない。

なぜなら、

「神無月を守れーっ!」

「俺たちに残された唯一(ゆいいつ)の希望を守るんだ!」

「死守しろっ! ここを突破されたら、戦線は一気に瓦解(がかい)する!」

「俺、この戦いで生き残ったら小萌先生のテニス姿を見るんだ」

と、男子軍が女子の圧倒的な攻めから神無月を守っていたのだった。

「くっ、このっ、なんなのこの異様な男子の結束力は! 神無月、貴様、(あやま)ちを(つぐな)う気があるのならこちら側に出頭(しゅっとう)しなさい!」

「はっ、神無月はそっちに行かせない! 神無月は俺たちに(いや)しと言う恩恵(おんけい)を与える()わば神! 女子たちに差し出し、犠牲(ぎせい)とさせる通り(どうり)は無い!」

もう、すでに教室内は男子対女子と言う戦争に発展してしまっている。

こうなれば神無月にも止めようは無い。

しかし、神無月としては止めるつもりは全くなかった。

なぜなら、こんな混沌とした(カオスな)教室だが、これでこその一年七組だと思うからだ。

そして、そんな騒がしくも楽しい教室の雰囲気が神無月は大好きだった。

 

 

その頃の水穂機構病院では、木山春生(きやまはるみ)と名乗った大脳生理学者によって、学生たちが突然意識を失うという現象の原因究明が行われていた。

そして、美琴と白井もその事件の調査でこの病院に来ていたため木山春生の診断を長椅子に腰かけながら待っていた。

「ZZZ・・・」

「アツイ・・・」

美琴は昨日の『能力使用』と上条を追いかけての『朝までマラソン』の疲れから、ジリジリと体を蝕む砂漠のような暑さの中でも爆睡、白井は暑さのため美琴のように寝る事も出来ず、かといって帰るわけにもいかないので手で顔を団扇(うちわ)のように(あお)いで気休め程度の風を起こしていた。

これでは病院内で熱中症にかかるという、病院の意義を疑われるような事態にもなりかねないのでは?と思いつつ白井が木山春生の診断を待っていると、廊下のドアが開き中からどっと医者や研究員が出てきた。

「お姉さま、終わったみたいですわよ」

「んん・・・」

白井は横で眠りこけている美琴を揺らして起こそうとするが、疲れのためかなかなか起きない。

「起きて下さいな、お姉さま」

肩をゆすって起こそうとするも首をカクンカクン揺らすだけで『くーー』と眠ったまま美琴は一向に覚醒しない。

「おね・・・」

不意に白井が美琴の顔を見ると、美琴は目を瞑ったまま口を少し開けた状態で寝ている。

見ようによっては、この状況はキスを待っている少女の顔にも見える。

しかも、美琴は眠ったまま。

(チャンスッッッッ!)

「では、ここは一つ目覚めのキスで・・・」

眠っている美琴の少しあいた唇目掛けて白井が顔を近づけていく。

すると、自らの危機を悟ったのか今まで揺すっても全く起きようとしなかった美琴が突然目覚めた。

目覚めた美琴の目の前には、キスをしようとしてくる後輩の顔。

『ゴッ!』

次の瞬間には美琴は椅子から立ち上がり、自分の貞操を狙う後輩の頭頂部に拳骨を一発入れていた。

「普通に起こしなさいよ!」

「起きなかったではありませんの~」

二人の周りでは診断を終えた医者や研究者の方々がいる訳で・・・

「女の子同士で・・・」

「そう言う関係?」

と小声で話し合っている。

もちろん本人達は聞こえないように言っているつもりかもしれないが美琴達にもその声は聞こえている。

美琴は顔を赤くしながら、

「変な誤解受けるでしょーが」

と怒るが白井は反省なしで呟く。

「既成事実は周りから築き上げていくものですのよ」

『ゴッ!』

「顔洗ってくるわね」

と立ち去っていく美琴の後ろで白井はたんこぶの上にもう一つたんこぶを作って、痛みに頭を抱えた。

そんな白井に声が掛けられた。

「君が担当の風紀委員(ジャッジメント)なのかな?」

その言葉とともに、木山春生(きやまはるみ)と白井黒子の情報交換が行われた。

木山が伝えた内容は、

・昏睡状態の学生たちからデータは収集できた

・治療は医者ではないからできない

・木山の専攻はAIM拡散力場

で、白井は木山に、幻想御手(レベルアッパー)の存在を伝えた。

しかし、幻想御手(レベルアッパー)の形状も使用方法もまだなにも分かっていないため、白井が木山に伝えられることは幻想御手(レベルアッパー)というものがあるらしいということだけだった。

そして、ここは暑いという理由で木山が脱ぎだしたりするので、空調の動かない病院から近場の喫茶店に移動して話を続けることが決まった。

ちなみに、この病院の冷房が動かないのは昨夜美琴の起こした落雷によって送電線が切れたものだということを誰も気が付かなかったのだった。

 

 

「さて、先ほどの話の続きだが―――」

喫茶店に移動した美琴と白井は木山のテーブルを挟んだ向かいに座っていた。

「同程度の露出でも、なぜ水着はよくて下着はダメなのか―――」

「「いや、そっちでなく」」

いきなり、話が脱線しそうになった美琴と白井は木山に突っ込みを入れた。

しかも、本人にボケたつもりはないらしく「アレ?」などと言って頭の上にはてなマークを浮かべている。

美琴は、天然っぷりを遺憾(いかん)なく発揮する木山に不安を覚えつつも脱線した話をレールの上に戻す。

「・・・話をまとめますと、―――」

「あ―――つまり、ネット上で噂の『幻想御手(レベルアッパー)』なるものがあり、君たちは昏睡した学生と何か関係があるのではないか―――と考えているわけだ」

「はい、上のほうでは学生に注意を呼びかけるという案も出たのですが、まだ実在もつかめていないうえ、情報を開示すればさらに『幻想御手(レベルアッパー)』の拡大に繋がる恐れもあるので現状では公表を見送り、実態の調査をすることになりましたの」

「・・・ふむ」

木山は注文したアイスコーヒーにミルクを入れ、ストローでかき混ぜながら、考えを話す。

「君たちの考えが正しいなら妥当な判断だといえる。 能力の上昇する話だけが独り歩きしてしまったら、それこそ被害は拡大し、今以上の被害になるに相違ない。 で、そんな話をなぜ私に?」

「能力を向上させるということは、脳に干渉するシステムである可能性が高いと思われます。 ですから―――」

「『幻想御手(レベルアッパー)』が見つかったら私に調査してほしいと」

「はい」

白井と木山の間で交わされる話し合いに美琴は口をはさむ機会があまりない。

しかし、白井が真剣に風紀委員(ジャッジメント)の仕事をしている姿を見れて、美琴としては安心とうれしさが混ざったような気持ちでもあった。

「構わんよ。 むしろこちらから協力をお願いしたいところだ」

「ありがとうございます」

「ところで、さっきから気になっていたんだがあの子たちは知り合いかね?」

木山の質問で美琴と白井がすぐ横にある窓に目を向けると、そこにはガラスにべったりと張り付く佐天とその後ろで美琴たちに向かって『どうも』という感じでお辞儀している初春がいた。

そんな二人を、テーブルに呼ぶと、真剣で少し張りつめた感じの空気があっという間ににぎやかなお茶会になってしまった。

「へ―――脳の学者さんなんですか―――」

「宜しく」

初春はポケッとした表情で聞き、木山は相変わらず眠そうな顔で答える。その隣で佐天はでにやけながらパフェをうれしそうに食べている。

「なぜ、そのような方とお茶を? 白井さんの脳になにか問題が?」

素で訊ねてくる初春に白井は、『頭に花を載せているあなたに言われたくありませんの』というように初春をジト目で見ながら、

「『幻想御手(レベルアッパー)』の件で相談していましたの」

と、人前ということもあり初春への折檻は行われなかった。

そんな白井の言葉に佐天は、

「『幻想御手(レベルアッパー)』ですか? それなら私―――」

と音楽プレイヤーを前に出したところで、

「『幻想御手(レベルアッパー)』の所有者を探して保護することになると思われますの」

という白井の言葉で佐天は次の言葉が出せなくなった。

「なぜですか?」

今日のことを何も知らない初春は白井に尋ねる。

「まだ調査中ですのではっきりしたことは言えませんが、使用者に副作用が出る可能性がある事、そして急激に力を付けた学生が犯罪に走ったと思われる事件が数件確認されているからですの」

「は―――そうだったんですか・・・? どうかしましたか佐天さん?」

「えっ?」

白井の話を聞いた佐天は、幻想御手(レベルアッパー)を持っているとは言えなくなり、

「や、別に・・・」

急いで前に取りだしていた音楽プレイヤーを後ろに隠した。

『コン』

佐天は急いで腕を後ろに引っ込めたので、その拍子に右腕が隣に置いてあったコップに当たり中身のアイスコーヒー(ミルク入り)が木山のストッキングを染めた。

「ああ! す、すみません!」

「いや、気にしなくていい。 かかったのはストッキングだけだから脱いでしまえば・・・」

言うが早いか木山は早速ストッキングを脱ぎ出した。

美琴や初春・佐天・対応しようとしていた男の店員も顔を真っ赤にして絶句する。

「だ~か~ら、人前で脱いじゃダメと言ってますでしょうーが!」

白井だけが周りを気にせず脱ぎ出す木山にいち早く注意をする。

「しかし、起伏に乏しい私の肢体を見て劣情を催す男性がいるとは思えな―――」

「趣味嗜好は人それぞれですのっ! それに殿方で無くても歪んだ情欲を抱く同棲もいますのよ!」

それを見ていた美琴・初春・佐天は、

(アンタがそれを言うか・・・)

(白井さんが言えることではないような・・・)

(ぬ、脱ぎ女・・・?)

などと言う感想を持った。

その後、話もあらかた終わったところで完全下校時刻も近いと言う事で解散と言う事になった。

「お忙しい中ありがとうございました」

白井と初春が頭を下げると、木山はとんでもないと手を振った。

「いや、こちらこそ色々迷惑をかけてすまない。 教鞭を振っていたころを思い出して楽しかったよ」

「教師をなさっていたんですか?」

「昔・・・ね」

美琴の問いに答えると木山は夕焼けの方に向かって歩いて街並みの喧騒に消えていった。

「ん~なんてゆうか、ちょっと変わった感じの人よね」

「常人とは違う感性が天才を生むんですわ」

「そーゆうものかしらね―――」

そういった瞬間、美琴センサーに反応があった。

「それじゃあ、あたしはこれで」

「あれ、佐天さんもう帰るんですか?」

「うん・・・ちょっと用事があったのを忘れてた。 またね」

「はあ・・・」

佐天は、初春の言葉を聞き終わるか、終わらないうちに立ち去ってしまった。

「行っちゃいましたわね・・・あれ、お姉さまはどこに?」

「え、さあ、わたしもいないことに今気が付きました」

「おねーーーさまーーーー?」

実は、佐天が『「うん・・・ちょっと用事が』というあたりで昨夜散々追い回したにも関わらず逃げられてしまった当麻を発見したため追いかけて行ってしまったのだった。

 

 

「ああ~~~~、っふー、疲っかれた~~~~」

と神無月が伸びをしながら、空を仰ぐと、その隣で上条が、

「・・・・・、不幸だ」

と呟いた。

夏休みの補習一日目が終わり下校中なのだが、すでに空は真っ赤な夕暮れになっていた。

補習なのに、完全下校時刻まできっちり拘束(こうそく)されたことに少し不満を抱えつつ二人は下校していた。

あの後、数で勝るが相手は女の子と言う事で手が出せない男子軍は、数では劣るが攻撃し放題の女子軍の前に少しずつ倒れていく人数を増やしていった。

そして、ついに神無月に女子たちの攻撃が届こうかと言う時に、

「みなさ~ん、先生着替えてきたので、授業を再開するのですよ~」

と、女子テニス部の姿(ヒラヒラ付き)に着替えた小萌先生が帰ってきたのだった。

すると、地に倒れていた男子達は、

「フォ~~~~~~~U! テニスだと! 青春じゃないか~!」

「祈りは届く! 俺たちの聖戦はこれからだっ!」

「奇跡は起きる、起きるんだ!」

「勝てる! 神無月さえいれば、この世の不条理全てに!」

そう言って、倒れていた男子全員が立ち上がり神無月への女子たちの攻撃は届かなかった。

「クッ、どういう事なの、一度倒したはずなのに、神無月、貴様、何をした!」

その頃になると、神無月もノリノリで悪役に(てっ)して、

「ははははは、どうやら、最終兵器(小萌先生)が間に合ったようだな! すでに我が軍の兵士は死なない! 小萌先生がいる限り、何度でも蘇り(よみがえり)続けるのだ!」

そして、再び落ちる戦いの火蓋(ひぶた)

困ったのは、小萌先生だ。

帰ってきたら、教室で男子の大半が倒れていて、自分の姿を見つけるなり奇声(きせい)を上げて立ちあがり、教室内戦争がおっ始まったのだから。

「み、みなさ~ん、席に戻ってくださいー! 先生、戻ってきたので、授業始まるのですよー」

能力こそ使われていないものの教室を真っ二つにした一大抗争だ。

そうそう、止まるわけもない。

そのうえ、先生がオロオロと行ったり来たりするたびにテニスのヒラヒラ(今さらだが、テニスの短いスカートのこと)の下から見える見せパン、もといアンダースコートがチラリズムを形成し男子の熱気がさらに加速する。

「ヒーハー!」

「グッパン! (Good Pants!)」

「Foroooooooooooォォオオ雄雄御御皇(オオオオオウ)!」

・・・

・・

そんなこんなで男子対女子による抗争の終戦協定が結ばれた時にはお昼を過ぎていたのだった。

補習が始まったのは、朝早くだったにも(かかわ)らずだ。

その後、補習が行われ、補習の補習として、上条は『すけすけ見る見る地獄』、神無月は『カラーテレパス地獄』に落ちた。

そして、現在に至る。

「ま、なんだかんだで、楽しかったからいいんじゃないのか?」

「有真は、無傷だからいいかもしれないけど、上条さんはボロボロなんです!」

男子対女子の戦いにおいて、上条はほとんど参加していなかったにも関わらず、一番攻撃による被害を受けた。

なんというか流石は当麻だ、と言ったところだ。

「改めて感心するな、当麻の不幸っぷりには。 当麻のための助け舟だったはずだったんだが、それが回りまわって当麻をボロボロにするって、凄いな、予想の範疇(はんちゅう)逸脱(いつだつ)しすぎて俺はびっくりだ」

「・・・上条さんは、この不幸な現実を受け止められません」

「まあまあ、今日の分の不幸はもうないだろうから安心してゆっくり過ごせばいいと思うぞ?」

「あっ、いたいた。 この野郎! ちょっと、待ちなさい! 止まりなさいってば!」

・・・どういう事だろう。

常盤台中学の制服に茶色の髪をショートカットにした女の子が当麻に向かって暴言をもって話しかけようとしているように見える。

うん、美琴先生ですね♪

確か、当麻は夜中にかけて美琴から逃げ帰って来たはずだ。

つまり、当麻が今見つかると言う事は、当麻はまた電撃と共に追ってくる美琴から逃げなきゃイケない訳で・・・ここまで上条の不幸が続くと神無月ももう笑うしかない。

しかも、ヒートアップしている美琴は完全に神無月の存在に気が付いていない。

「・・・あー、またかビリビリ中学生」

「ビリビリ言うな! 私には美坂美琴ってちゃんととした名前があんのよ! いい加減覚えなさいよ!」

・・・当麻の不幸っぷりも分かるが、これは単純に当麻の対応の仕方に問題があるって言うのも原因の一つからぬぐいされねえよ。

「あー、はいはいそうだね。 で、何の用なんだビリビリ、上条さんは今日不幸続きでもうお前の相手まで出来そうにありませんが?」

「ア、アンタはーッッ! 言ってるそばから覚える気が全くないのかーーーーッ!」

叫んだ美琴の前髪から上条一直線に雷撃の槍(らいげきのやり)が飛んだ。

『ドバァアアン』という凄まじい音と空気の振動に周りの通行人が一斉にビクッと飛び上がる。

雷が間近で落ちたようなものなので当然の反応だ。

しかし、そんな中でも周りとは明らかに違う反応を見せる人間が二人。

まあ、当然のごとく神無月と上条だった。

美琴が撃った雷撃の槍(らいげきのやり)は、神無月の絶対重力(ブラックホール)纏った(まとった)右手に吸い込まれ、雷の発射された余波だけが空気を震わせたのだ。

もちろん、上条には雷撃の槍(らいげきのやり)は当たっていない。

「はいはい、そこまでだ美琴。 こんな街中で雷をパンチ感覚でポコポコ撃つな、危ねえだろ」

美琴を制する神無月の後ろで上条は叫ぶ。

「っていうか毎度のことながらいきなり、何すんですかー!」

「何すんですかじゃねえよ。今のは明らかに当麻が悪いだろう。 対応がいいかげんというか適当過ぎる、ありゃ誰だって怒るぞ。 美琴もだ、雷打つんなら場所を考えて使えよな」

「ゆ、有真・・・? えっ、アンタいつからいたの?」

「やっぱり、気付いてなかったのかよ・・・。 始めっからだ、美琴が当麻に話しかける前からずっとここにいたぞ」

「そ、そうだったんだ・・・ちょっと熱くなっちゃって気がつかなかった。 そうだ、幻想御手(レベルアッパー)の続報なんだけど、こないだの爆弾魔が意識不明になったってのは知ってる?」

「は? いや、初めて聞いた。 って、今のところあいつしか幻想御手(レベルアッパー)の手掛かりがないのに不味くないか?」

「うん、だから大脳生理学の専門チームに協力を要請して調べてくれる事になったから新しい情報が入り次第分かると思う」

そんな真剣(マジ)モードの二人に、

「って、有真とビリビリはさっきから何の話をしてるんだ?」

「あっ・・・」

神無月は上条の隣で幻想御手(レベルアッパー)について話し始めてしまった事に今さら気が付いた。

ヤベ、すっかり当麻の事を忘れてた。

ここで説明すると、当麻の事だから確実に首を突っ込んで酷い目に逢うよな。

そんなことは未来予知の能力が無くたって分かるぞ。

当麻の力を借りなきゃならないほどにひっ迫しているわけでもないし、わざわざ巻き込む必要もないか。

「ん、いや、なんでもない。 ちょっとしたゲームの話だ。 な、美琴」

「はい? 何言ってんのゲームなんかじゃ『・・・・・・(昨日俺のいえに雷が落ちて電化製品が全滅したなあ、そういえば昨日誰かが雷を落としまくってたなあ、誰だったかなぁ?)』・・・、ゲームだったわね。 いや、幻想御手(レベルアッパー)はどこのダンジョンで手に入るアイテムだったかしらね~?(汗)」

美琴が真実を告げそうになるも、神無月は美琴にしか聞こえない小声で美琴を脅し上条に真実を悟らせない。

「へえ、有真もゲームやってるんだな、知らなかった。 金は全部甘い物に使ってるのかと上条さんは思ってました」

「俺だってゲームくらいやるさ、PSP(Personal Spectacle Portable)の新しいゲームでなかなか面白いってネットで騒いでたから買ってみたんだけど、これが結構面白くてさ、んで美琴もやってるって言ってたから色々情報交換してたんだ」

そう言って、神無月は美琴に目配らせする。

「う、うん、そう、そうなの、あ、あははは・・・」

そう言いながら美琴は、心の中でよくこんな嘘八百を次々並べられるなぁと感心半分呆れ半分のコメントを呟いていた。

ちなみに、神無月が口にしたゲームのハードは売っていない。

それどころか、そんなものは存在しない。

この場を乗り切るためだけのでっちあげだが、上条はそんなゲームあったかなぁと首をひねるが、まあ俺の知らないゲームだろうという思考に至ったようだ。

そして、上条がこの話題にもう一度入る前に神無月は素早く話題を変える。

「思ったんだけど、俺まだ美琴の携帯のアドレス知らないんだが、教えてくれないか?」

「! そ、そう言えばそうね。 じゃあ、携帯出して、私が赤外線でアドレス送るから」

「はいよ・・・お、きたきた。 へえ、これが美琴のアドレスね。 ・・・よし、登録完了。 じゃあ、今度は俺のを送るぞ」

「あ、ちょっと待って、受信モードに切り替えるから。 はい、いつでもどうぞ・・・うん、来た、登録っと」

「OKな。 ・・・・・・(美琴、詳しい事はあとでメールで送ってくれ、ここじゃあ・・・)」

「・・・・・・(うん、分かってる。 巻き込みたくないんでしょ? それに前回アイツのせいで聞き込み失敗しちゃったし、私としても巻き込まない方に賛成)」

小声で話し合った神無月と美琴は、

「なあ美琴、今日は用事があるとかって言ってなかったか?」

・・・

(って、今のはない、自分で言っててなんだけど今の棒読みはない・・・)

自分の台詞の棒読みさ加減に死にたくなっている神無月に続いて、

「そ、そう! これから、用事があるんだった。忘れてた。 思い出させてくれてありがとう。 じゃあまたね」

・・・

美琴も美琴で台詞が棒読みだった。

「おう、じゃあな」

「またな、ビリビリ」

棒読み過ぎる神無月と美琴、普通ならば違和感のないはずが無い(・・・・・・・)会話だが上条は気にしなかったようだ。

ここだけは上条の鈍感スキルに感謝。

いざというときはかなり切れるのに何で普段はここまで鈍いのか不思議に感じる。

「ま、なにはともあれ帰るか」

「そうだな」

そう言って、神無月と上条は歩き出す。

「なあ、帰ったら家の玄関の前であの子がフードを探しに来てるんじゃないか?」

「確かにそうかもしれないな、なんか玄関の扉の前で体育座してこっちをムッとした半眼で睨んできそうな気もするな」

「・・・想像しても全く違和感がない」

「そういうシチュエーションは当麻的にどうなんだ?」

「・・・コメントを控えさせてもらいます」

 

 

白井や初春と別れた佐天はミュージックプレイヤーを握りながら一人帰路についていた。

(・・・幻想御手(レベルアッパー)の使用者を探して保護するって言ってたけど、やっぱりまだ手放したくない)

ミュージックプレイヤーにはサイトで発見した幻想御手(レベルアッパー)が入っていて、そのことを初春たちに伝えるつもりだったが、言えなかった。

佐天は幻想御手(レベルアッパー)を聞いておらず、無能力者(レベル0)である自分が少し悲しかったりもしたからだ。

しかし、それでも幻想御手(レベルアッパー)を未だに使っていないのは、幻想御手(レベルアッパー)なんて怪しげなものを不用意に使っていいか躊躇(ためら)いがあったし、怖かったという気持ちもある。

また、幻想御手(レベルアッパー)を必死で探している初春や白井、美琴、神無月の手前それを使ってしまう事はある種の裏切りのような気持ちもあるからだった。

だからと言って高レベルの能力者へのあこがれも無くならない。

(まだ、使ったわけじゃないし、黙っててもいいよね・・・)

そのため、幻想御手(レベルアッパー)を使いこそしないが、皆に渡して手放してしまう事も出来ずにいた。

 

 

佐天や美琴に取り残された風紀委員(ジャッジメント)二人組は、いきなりいなくなった美琴やどこかに行ってしまった佐天に驚きつつも少し安心していた。

「まあ、一般人が深入りするのも問題ですし、ちょうどよかったかもしれませんわね。 初春は支部に戻って引き続き幻想御手(レベルアッパー)の情報収集をお願いいたしますわ」

「あ、はい、分かりました。 白井さんはどうするんです?」

「わたくしは・・・そうですわね、緊急事態ですから少々強引な手段で情報を集めてきますわ」

そう言って、白井は心当たりの場所に空間移動(テレポート)した。

白井が空間移動(テレポート)した先は、とある人のあまり寄りつかない路地裏だった。

そして、そこで白井の目の前には三人の男たちがいた。

「あ゛―――? 幻想御手(レベルアッパー)についてしりたいだあ?」

そう、そこにいたのは美琴がファミレスで話かけたネットに実名で書き込みをしているスキンヘッドとバンダナと革ジャンの不良三人組だった。

今回は周りにトイレもなく、他の仲間は居ないようだった。

彼らがファミレス以外でもよく集まっている場所を見つけていた白井はそこで聞き出すことにしたのである。

しかし、そう簡単に教えてくれれば前回のような事にはならない。

ましてや前回は美琴が最終的に電撃で全員撃沈させていたのだ。

そんなわけでもちろん、

「運が悪いな嬢ちゃん」

「普段なら追っ払ってお終いだが先日アンタと同じ制服の女に怪我させられてね」

「アンタに恨みはねえがちょっと憂さ晴らしさせてもらうぜ―――」

とバンダナとスキンヘッドが白井に襲いかかる。

ただ一人、常盤台について今度はきちんと調べていた革ジャンの男が、

「待て、その女は―――」

と止めようとしたが、間に合わなかった。

・・・

・・

『パンパン』と白井が手のほこりを払う。

「さてっと」

そう言って一仕事終えた感じの白井の後ろにある壁には、気絶させられ服を壁に縫い付けられて、売られているキーホルダーもしくは首の後ろを掴まれてだらーんとしている猫のように垂れ下がっているスキンヘッドとバンダナの男がいた。

二人がフルボッコにされている様を見ていた革ジャンは隅の方でガタガタ震えている。

逃げられるものなら逃げていたが、四方のうち三方を壁で囲まれた場所にたむろしていたことが災いした。

なにせ、あいている一方から白井が来たため逃げ場がなかったのである。

そして、そんな革ジャン男に白井は黒い笑みを浮かべて問いかける。

「できれば、善良な一般市民の自発的な協力を仰ぎたいのですが・・・?」

「わ、わかった」

こうして、トラウマは植えつけられるのだと、革ジャン男は自分がその立場に立って初めて痛感した。

そして、あのあと常盤台についてしっかり調べておいてよかったと思ったのだった。

 

 




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