もしもハリーポッターがどアホで馬鹿だったら。 作:うめよろし
羊皮紙と羽ペンを机に用意したハリーは早速、隣のロンの羊皮紙を覗き込んだ。
「例のあの人が事件を起こして以来…」
七海はロンの作文をそのまま読んだ。
「よ、よむなよ!」
ロンは慌てて羊皮紙を隠した。
ニヤニヤする七海の元に、クルー記者がやってきた。
「お二人は仲がいいんですか?」
興味津々という顔で問いかけていた。
手には羊皮紙と羽ペンというとても旧式な方式で取材をしている。
多分、メモ程度に何かを書いて、その後編集室かどっかで新聞を作るんだろうなと思った。
「はい!僕達はとっても仲良しです。」
七海は元気な男の子と言う設定でいった。
ハリーポッターとして、汚名を着せる訳にはいかない。
なにせ、クラス中が注目してる取材で馬鹿なこといったら、みんなに馬鹿だとバレる。
クルーは羊皮紙に何かをスラスラ書き込んで、更に質問した。
「一番好きな教科は何ですか?闇に対する防衛術とか?」
いや、それは一番苦手教科ですが。
好きな教科とかあるの?勉強は全部嫌いですが。
しかし、もちろん七海はあくまでも優等生という調子で喋る。
「うーん、全部好きだけど、特に好きなのは魔法薬学です!」
スネイプが即座に振り返った。驚いた顔をしている。
恐らく、自分の教科が出てくるとは思わなかったのだろう。
「なるほど、それはなぜですが?」
クルーが詰め寄ってきた。
ここで、優等生だけじゃなく、優しい少年アピールだ!
七海はニコリと笑って元気よく言った。
「もちろん、先生がいい先生だからです!」
これは、事実。嘘はついてないもんね。
しかし、スネイプはとても怪しんだ目でこちらを見ている。
媚を売っているのかどうなのか値踏みしているようだ。
それでも、クルー記者への効果は莫大だった。
「そうなのか!先生もいい生徒に恵まれているようで、なによりだ!ではハリー、君は相当人気者じゃないの?だれか友達になりたい人とかいる?」
どこで息を吸っているんだというほど早口で聞いてきた。
七海は少し、いや相当ドン引きした。
と、友達になりたい人ってなんだし。
隣を見るとロンが切なそうな顔をしていた。
そんな顔しないでよ。
てか、もうロンがいるし。何聞きたいんだろ。
周りを眺めてみた。
斜め前にハーマイオニーが座って、モクモクと作文を書いている。
ハーマイオニー?いや、もう友達だ。
じゃあ、グリフィンドールの皆と友達に!
いや、いくらなんでもやり過ぎ。逆にうざい。
これって誰を選んでも駄目じゃん…。
その時、七海の脳裏にある言葉が思い浮かんだ。
…マンドレイク!
さっきロンが言ってた魔法生物だ!
多分、マンドレイクって名前からしてドラゴンだと思う。
怪獣とかドラゴンとかと友達になりたいなんてすっごく格好良くない?
七海はこれに決めたっ!と頷いた。
「うーん、マンドレイクと友達になりたいです」
ロンが隣で吹き出し、ハーマイオニーは唖然として七海を振り返った。
グリフィンドールの生徒のなかでもほとんどの人がクスクス言い出している。
ハーマイオニーの反応は良しとして、ロンの反応が気になるな。なんか、おかしくない?
前を見てみるとクルーも唖然としていた。
「ま、マンドレイク?それはなぜ?」
なんでだろ?マンドレイク。マンドレイク。
「名前がかっこいいからです!」
クルーはもっと唖然とした。
グリフィンドールの生徒はもっと笑った。
隣でロンがヒーヒー笑いながら、苦しそうに口を挟んだ。
「な、何で、あえて、植物?」
その言葉に教室中が笑いの渦に飲み込まれた。
七海一人、なぜかよく分からずきょとんとしていた。
ダンブルドアもフォフォフォって笑ってるし、スネイプは流石に笑ってないけど呆れてる。
そのうちクルーも笑いだした。
「名前が格好良かったというのは、例えば、バジリスクとか、ハンガリー・ホーンテーンとかは例外なんですか?なぜ、植物?ドラゴンや蛇じゃなくて…」
恐らくここにいるみんなが疑問に思っている事を記者がきいた。
「あ、マンドレイクってドラゴンじゃないんですね」
もう、それしか言えなかった。自分がアホすぎて。
周りは、理由がそんなもんだから更に笑われた。
ロンなんかひどいことばかり言う。
「え?知らないで友達になろうとしてたの?植物と!!面白すぎるよ!」
ムカつく事に、ロンは隣でゲラゲラ笑って、羽ペンをおとした。
七海は踏んづけてやろうかと、本気でおもった。
「なにさ!うるっさいなぁー!普通、マンドレイクなんて名前なのに植物だなんて思わないでしょ!文句ありますー?」
ロンは文句ありげな表情をしようとしたらしいが、笑いを我慢できずに吹き出した。
七海の中で殺意がピークにたした。
「それにしてもユニークな人だ!お父さんも似たような性格だったのかな?」
クルー記者がいい方向に持っていこうとした。
これに乗ろう!と思ってもないことを述べた。
「はい!お父さんはとっても勇敢で、僕の憧れの父です!」
はい、嘘!うっそぉー!!!
あんな奴、父親だと思ってましぇーん!!
ここでもっと切ない感じにして、漫画の主人公っぽくやってやるー!
「亡くなる前、父はおっしゃいました…」
クルーはいきなり真剣な表情になった。
真面目な話だと認識したのだろう。
気のせいか、周りのカメラマンのカメラを握る手にも力が入った。
ロンとハーマイオニーや、グリフィンドールの生徒も笑うのをやめてこちらをみた。
まぁ、スネイプだけはせせら笑いを続けていたが。
中には興味を隠せていないような生徒もいた。
多分、現実世界だったら誰かスマホで盗撮してるな、と想像しながら、七海は言葉をつづける。
「他人をむやみに傷つけてはいけない…と。たとえそのものが自分の、恨んでいる者であっても、優しくしなさいと。」
クルーは感動すると言うように頷いた。
それに釣られ、生徒たちも頷いた。
七海は更に続けた。
「差別もしてはいけませんと。中にはクスイブとか
「いや、マグマってなんだよ!!」
ロンがすかさず突っ込んだ。
「え?魔法使いの血が入ってない人だよ?知らないの?」
七海はロンに向かって当然じゃん、という顔で言った。
「いや、違う!違う!」
ロンがすごい勢いで反論してきた。
首が取れるんじゃないかとおもうほど横に振っている。
「マグル!」
七海は聞いたことあるなと思った。
「そうともいう」
「そうしか言わないよ!?」
ロンが魔法界育ちのロンが言ったらもう、確信的なので七海はようやく負けを認めた。
「しょうがない。負けを認めてやろう!」
「何様だよ!」
ロンがいつものごとく突っ込んだところで、こらえきれなくなったクルー記者と、グリフィンドール諸君がこぞって大笑いをした。
「マグマってほんとなんだよ!」
「火山かよ!」
そんな声が七海の元に飛んでくる。
ロンはその声にまた声を出して笑った。
「はははは!中々いい取材をさせてもらったよ!マンドレイクとマグマの件は記事にさせてもらうよ!」
クルー記者はさらりとまとめに入った。
「え?それはちょっと…」
七海はやんわりと否定した。
しかし、クルー記者は羊皮紙をもって、行ってしまった。
「じゃあハリー!また会おう!」
おーい!まてー!まじでダサーズになるじゃんかぁー!!
「ハリー、君、父親が言ってたって言ったけど、君何歳?」
ロンがまだ笑い顔で疑問そうに聞いていた。
あ、多分一歳。
「…僕は記憶力がいいからね!」
ロンはなるほどねーという顔でニヤニヤとこちらを見た。
やめて!その顔やめて!!
「ほんとにそんなこと言ってたのかい?君の父親」
ロンが更にニヤニヤしながら言った。
「いうわけないよー」
七海はとうとう白状した。
「白状するのかよ」
ロンは羊皮紙の残りのスペースをさっさと埋めながら笑った。
「ジェームズ…お父さんはかなーり嫌な奴だからね!」
七海は当然のように述べたが、ロンはショックを受けたような顔をした。
お父さん含め、ヒローだが何かだと思っていたのだろうか?
しかも、七海はジェームズのようなタイプが大きらいだ。
絶対、女子だったのなら私がいじめられてた。
「それに、なにせ、格好良くなさすぎ!僕の望むかっこいいはもっと美形な感じ!なんだしこのクソメガネ!」
後ろでネビルもショックを受けて呟いた。
「…クソメガネ?」
「ジェイムズだよ!あのジジィー、目が悪い所、うつしやがって!リリーの美形どこ行った!」
いや、悪くはないんだよ?でもこれでもっと美形なら、ハリー様って呼ばてるはずなんだよ!!ホグワーツのアイドルだったんだぞ?
くそぉー!
七海は悔しさのあまり、羊皮紙を地面に投げつけた。
「あーハリー?」
七海の行動に引いたのかネビルの表情が引きつった。
「いやいやいや、ジェームズを悪く言いたいわけじゃないんだよ!ネビル!たださ、あいつ性格も顔もゴミだからさー!ほんっと、スネイプと結婚すればよかったのに!幼馴染だし?ジェイムズのどこが良かったって……なんだよ!ネビル!」
ネビルが七海の後ろを凝視しながら、腕を連打するので、前を向いた七海はいきなり黙った。
ロンも、疑問そのものという顔で前を向いて、固まった。
「こ、こんにちは、スネイプ先生」
七海がなんとか笑顔で言った。
スネイプは七海の机に手をつけて聞いていた。 怖いのがその表情だ。食い入るように七海を見ている。
しかも七海から数センチの距離で。
ロンが横から、謝れよ!と肘で小突いた。
な、なにを?私、何かした?ジェームズ??
ロンをちらっと見るととにかく謝れ!と口パクで言った。
「あ…ジェームズの事、クソメガネブスとか言って…あとジジィーとか言って、あと…クソ性格悪いとか、顔もゴミのよう…痛って!なんだよ!!あ、いや、ごめんなさい!」
途中でロンに足を踏まれながら七海は謝罪した。
「…本心かね?」
スネイプは一言だけ聞いた。
七海はスネイプを見た。何かに期待しているようだ。
大体、スネイプがジェームズを侮辱してキレるはずがない。
だってスネイプもジェームズをきらいだから。
「本心です!…痛い!」
七海はロンを睨んだ!
えぇー、本心ですとも!そうですとも!
「ちなみに、スネイプが父…リリーと結婚してたらいいのにってのも本心です!」
スネイプの瞳孔が広がったように見えた。
そのまま、固まっていたが青白い顔のまま、ゆっくりと回れ右をして、歩いていこうとした。
スネイプ先生…。私、リリーの事なんて言わないほうが良かったのかな。でも…。
「す、少なくとも、私はスネイプ先生の味方です!リリーの名にかけて!」
七海は口から思いもがけない声が飛び出た。
スネイプは少し立ち止まった。震えているようにも見える。
「そうか。しかしお前はジェームズの息子だ」
スネイプは冷たく言い放った。
「しかし、リリーの息子でもあります!」
スネイプはとても素早く振り返った。
七海はその表情に驚いた。
「無駄口を叩く前に羊皮紙を埋めろ」
そう言うとスネイプは、去って言った。
3人の沈黙がようやく終わった頃、七海はふぅー…と息を吹いた。
それは二人も一緒だった。
「僕、汗ビショビショだよ」
ネビルが胸を撫で下ろし、言った。
「もうだめかと思ったぜ!」
ロンも同じだ。
しかし七海は違うことで頭がいっぱいだった。
振り返ったとき、確かにスネイプは微笑んでいた。
……fin
なぁーんてねー!!まだまだおわらないわ!!