もしもハリーポッターがどアホで馬鹿だったら。 作:うめよろし
朦朧とした意識の中で、鳥の鳴き声が聞こえてきた。
なんだかとても暖かい。
安心感がある。布団のなかにいる感覚。
しかし風があって不思議な感覚。
冷たくなく、暖かくもなくさらりと空気に馴染むような風。
視界が明るい。いや目は閉じているのだか、オレンジの光が瞼を通して瞳に届いている。
私はぼんやりと目を開けた。
最初に見えたのは協会の様に高い天井と、木屑を編んで作られたようなランプ。
あれ?私は起き上がった。
長く寝ていた気がするのに、楽に体を起こすことが出来た。
割と明るい日差しに、目を細めながら辺りを見渡すと、本があった。
というか、そこらじゅうに本、本、本。
なんだこれ?ラプン○ェル?
でもそのわりには、洋風じゃない。
木って感じ。
何て言うか…アジアンっぽい。
私がいま、寝てるベットも背が低くて、茶色の少しごわごわした枕にふかふかの布団って感じだし…。
てかハンモックある。枕がついてるやつ。お洒落ー!!
…でも高い。どうやってのぼんの?
見渡しても梯子は見つからなかった。
近くに鏡がある。これも木の囲いがつている落ち着いた雰囲気の鏡だ。
七海は覗いてみた。……あ、私だ。
どうしたんだっけ?私。
確かあの後、トラックで片手にビール瓶もった奴に轢き殺された。
…ざまぁー!
意地汚い顔でニヤついた。
軽くあしらった先生と、帰り際にバカにしたアホ女。一生後悔しやがれぇ!!
先生は「こ、こんな思い悩んでたなんて、知らなかったんですー!」
って言いやがれ!
で、アホ女どもは自殺に追い込んだ実行犯として一生後ろ指をさされろぉー!ふぅぃー!
あと軽蔑してた本屋の定員!お前もな。
てか、ここ死後の世界かなー?
その割にはアジアンで可愛い。川もなかったし。
「それはちゃいますー。ここは私の部屋どす。」
七海はビクッとして上を見上げた。
声が上から聞こえた気がしたのだ。
すると、やはり上から突如、奇麗なおねーさんが降りてきた。
宙に浮いて、ゆっくりーと。
「うわっ…ベター」
しかし次の瞬間驚くべき発言をした。
「次は何に生まれ変わるん?」
「は?」
「二十歳より前に亡くなるとな、次の人生の転生場所を選べるんやわ。この部屋ではな。」
「ほぉー…」
「それに生前の記憶も保持できんねん。」
どーでもいいがな。
「じゃあそこらへんの芋虫に。」
心の声が聞こえたのか美人が呟く。
「え?だめだめ!せめて猫…いや、てか人間!」
「どーでもいいがな…。」
すみません。神様。
その時、ふと行きたい場所が見つかった。
…いや無理かなー?
「あの、ハリーポッターの世界とかに行けませんかねー?」
美人はニッコリして頷いた。さっきの落ち込みは?
「大丈夫やでー。」
え?いいんだ!そうゆーの!
「本の中でもいいんですか?」
「あんたがいくのは現実世界やわ。本の世界とちゃいますで~」
え?そうなんだ…。じゃあ、ハリーポッターって…実在すんの!?
「ちゃいますわ。パラレルワールドや」
え?なんですのー?それ。
「現実世界にもいろんな世界があるんや。そのハリー・ポッターが実在する世界に飛ばすだけや。実在も何もあらへんのやー」
へぇー、そういうもんなんすかねー。
「ほな、手続きで2日かかるけん。そのらへんの本でもよんどってー。」
うんうん。2日……ぇえー!2日ほどってひまやのぉー!
「こっちだってめんどいねん。」
そう言って神様は消えていった。
「なんで大阪弁?てかあれ、大阪弁なん?おかしくねー?○○どすとか言ってたし。まぁいいや」
七海は立って部屋を探索し始めた。
暇すぎて本棚に並んでる本を眺めてるとハリーポッターと賢者の石と言う本を見つけた。
「うわ、なが。2日じゃあ読めないよ。」
そう言って厚い本を開くと何故かCD付きだった。
「なんだこれ。【朗読…ハリーの声が!ダンブルドアの声が…ヴォルデモートの声がする!】って朗読してくれるならそれでいーや。」
てか、ここにCDデッキあんの?
周りを見渡すと…あった。
快適すぎだろ、ここ。
取り敢えずCDをセットしてベットに寝っ転がって物語に聞き惚れる。
二日後、満足感に満たされながら最後まで聞いた。
やば、スネイプ、サイコーだわ。
泣けるわ!
すると、上から『ほなぁー』と声が聞こえると共に美人が降りてきた。
「あ、美人さん。」
てか、ほなぁーって何ですか?ウケる。ヤバ。
「ほっといてくれや!しきたりなんや!そうそう、あんたがいまから行くところはハリー・ポッターの世界や。ハリー・ポッターとして生きていくことになりますー」
七海はその言葉で色々と混乱してきた。
しきたり?誰決めたの?それ。ダサいよね。
てか、ハリー・ポッターって男子じゃん?!
性別、大丈夫ですか?
いやいや、それよりハリーになるの?一秒で死んじゃうやん!
「そ、それはハリー・ポッターとしてしか無理ですか?」
「そりゃそうやろ。まさか田村七海のままで行くわけには行かんやろ。一度死んどる人間が居るんや。おかしいやろ。」
いや、ハリー・ポッターでもころっと殺されそう。私。
てかそれで、いいの?
「そうなると本物のハリーポッターは?」
「いませんがな。本物もなにもないねん。前も言ったようにパラレルワールドやから。世界は何個もあるんやでー。」
へぇー、そういう感じ。変なの。
「そんな心配せんでええよ。そのままハリー・ポッターになるだけや」
私はしぶしぶ了解した。
「ほな、ハリー・ポッターが生まれたその年に転生するでぇー」
あー赤ちゃんになるのか……。めんどくさいな。
「あの…それってホグワーツに入学する年に転生できませんかね?あの…何て言うか……」
「できるけど…。ハリー・ポッターがホグワーツに入学するまで一言も喋らない不気味な子になてまうやろーな。」
「あ、大丈夫でーす。」
どーせ、ダドリーとかそんなんしかいない世界とか居たくないわ。
「ほな、ホグワーツ特急、キングス・クロス駅に転生で。服とか身の回り品はうちらが用意しとくわ。」
あーわくわくする!楽しみ!
神様は床についていた扉のようなものを開けた。
そこは白い空気をまとっている不思議な空間があった。
「ほな、こちらへ」
私は恐る恐る爪先をつけた。
冷気のような冷たさにぞくっとしながら、私は少しずつ入って行った。
冷たいお風呂みたいだと思った瞬間、そのまま滑り落ち気を失った。