もしもハリーポッターがどアホで馬鹿だったら。 作:うめよろし
リリーが赤ちゃん相手にフィーバーする(キレる)という話になってしまい、スネイプの表情を気にかけながらカエルチョコを貪る今日この頃。
やべー。スネイプキレてんな。
謝んないと。リリーはそんなクレイジーなピーポーじゃないって言わないと……。
「あーあの、スネイプ先生…」
おずおずと喋りだした七海をスネイプが鋭い視線で睨む。
「何かね?」
イケメk…ってじゃないじゃない。謝らなきゃだわ!
…でも所詮ヲタ。生きてきて十五年間、上手く謝れた試しがない。
こういう場合、真面目に謝りすぎても場が凍るしね。
ウケを狙えばいいんじゃね?
誤ってくれたし、その後に面白くすれば!
「ごめんなさい。あの、お母さんは……ただ」
「なんだね?」
私の遅い会話に苛立っているようだ。
どーしよ?赤ちゃんにガチギレてもおかしくない理由。
事故とかじゃなく故意に何かをやった感じ……。
「ぼ、僕がお母さんにババァって言ったから!」
「ほう。そうか。愚か者」
やべ、怒ってる!喋り方は静かでも目が怖い。
すると、ロンが隣で突然カエルチョコを吹いた。
そしてスネイプはロンから少し離れた。
ロンも嫌われたな。ウケる。(仲間が増えた!)
「ハリー?き、君、そんな頃にどうやってそんな言葉覚えたんだい?」
いや、そんな漫画みたいな反抗の仕方、ないわ。
でもここはうまくごまかすしか!
「だ、第一反抗期で!」
「なんだそれは?」
スネイプが鋭い視線を向けながら吐き捨てる。
※第一反抗期とは……子供が親に対して何もかも『やー!』と抵抗することである。
パフェを食べれない事に嘆き『やー!』という子供はよく目にする。
しかし、パフェを食べれない事に嘆き『ババァー!』とは言わないであろう…。
……てかスネイプの表情厳しくなってるんだけど!?
「と、とにかくその頃は子供で!!その、ババアやらクソバb……あの、言いたくなる年頃でしてーあはははー…はは…すみません。」
スネイプの表情は厳しいどころじゃなくなった。
本当、余計な事したな。私。悪化してるん。
コンコン。ガラッ。
「ネビルのカエル知らない?」
ハーマイオニーがすでに制服姿で聞いてきた。
天使!天使が現れたぁー!
「あ、ハーマイオニー!元気ー?」
「あら、さっきの。ハリー・ポッターね。」
「うん。そうだよ。」
なんかラフに話しかけちゃった。
この状況を抜け出せるのがあまりにも嬉しくて…。
「あの、カエル知らない?」
ハーマイオニーがもう一度聞いてきた。
「あ、うん。知らない…」
「そう……貴方は?」
ロンに向き直って聞いた。
「さぁ?知らない。」
ロンはカエルチョコのカードを見つめたまま言った。
「あら、ご親切にどうも。それより早く着替えないともうホグワーツに着くわよ。それじゃあ……」
あ!いっちゃう!ここで何とかロンとハーマイオニーと仲良くしたいのにー!
「まって!あ、あのさハーマイオニーって魔法について結構詳しいんだよね?その……専門知識とか。」
ハーマイオニーはびっくりした顔をした。
「え?く、詳しいかしら……。一年生の教科書に乗ってる程度の知識と、数冊の本に乗ってる位の知識だったらあるわ。」
少し照れた表情でにっこり笑った。
び、美人。歯が縮めば、可愛くなるね!(やっかみですけどぉ?)
「そっか!良かった、あの僕よく魔法とか分からないんだ。だから教科書よんでもチンプンカンプンで……その、教えてくれる?」
「え?ええ!い、いいわ!もちろんよ!」
ハーマイオニーはキラキラした笑顔で頷いた。
よし!成功!
てか、私天才じゃない?
いつの間にこんな話上手に?『バリバリウーマン』って感じじゃん!?
あ、『バリバリーマン』か、……名前ださ。
どこのご当地キャラだよ!
ぼぉくの力はバリバリーだぉー。(意味不明だが)みんなの味方ぁーバリバリーマン!
「えっとじゃあ、こっちに座るわね」
私の隣にハーマイオニーが座った。
うわ、天使のようだ。マジ髪ふわふわ。
「そうそう、これ教科書よ。」
ハーマイオニー!教科書持ち歩いてるの…?
予想外、適当に寮の事、聞こうと思ったのに!
「あー、ここが分かんなくてー」
やばい!分かんないところなんてないわ!
そもそも読んでない……。
いいや、適当に…開けばいけるでしょ!
私、運いいし!
【急速に早まるマグルへの侵害…。強まる純血の波】
何!このタイトル!アウトだろ!
どんだけ運、悪いんだよ!
この教科書の何百ものタイトルの中でなんでこれ!?
ハーマイオニー横で固まってるよ!
ロン!ロン!助けて!!マジピンチ!
これハーマイオニーに見せちゃ駄目だわ!
「あー、私その……」
ハーマイオニーが口ごもる。
あー!ごめんよ!君が見るべき物語じゃない!!
ロンが横から教科書を覗き込んで言った。
「あー、そんな時代あったな。遠い昔の話だけどな。」
ロン!!!
ほっとした。なんとかしてくれ。
「仕方ないよな」
ロンーー!!
どうしたんだよお前!なに納得してんの??
「仕方ない?何よ!それ!」
ほらぁ!食いついてきた!!
「酷い話よ!あのねハリー。この頃は純血が正しいとされてきたの。だから純血以外は要らないものとされたわ。その中で魔法使いの血が入ってない魔法使いは迫害されたの!身勝手な純血の行動で!」
ハーマイオニーは息継ぎなしで話した。
「別にそこまで酷い迫害じゃなかったんだ!いいかい?その頃は……」
ロンが横から口を挟んでハーマイオニーの話の腰を折った。
「そんな酷い迫害じゃないですって?亡くなった者もいたのよ?」
ハーマイオニーが勢い良く噛み付いた。
「そんな2、3人程度のだろ!?」
ロンは指を2本立ててハーマイオニーに見せつけた。
「2、3人だったらいいの?そんな浅はかな純血の人たちの行動で奪われた命なのよ!?」
教科書を机に叩きつけながらハーマイオニーは席を立った。
ヤバイよぉー。ごめん、ホント。
私が招いたことだけど逃げよう。
私、そんな強くない…。
クズの極み。でも逃げる。逃げるさ!!
でも逃げ場がない。
ドアの前にはメデューサ怪物(ハーマイオニー)が居るし、窓側にはワカメ妖怪(スネイプ)が居るし。
唯一、人間のロンは頼りないし。
……いや、お前が一番クズだけどな。
黙れって、頭の中の私!確かに、私は妖怪クズ人間だけど!
あー、逃げれないからジュース飲もう。
現実逃避しよう。
「そんなに純血をこき下ろすのが楽しいのか!?僕は純潔だぞ!」
ロンも立ち上がり教科書をハーマイオニーに押し付けた。
「これ君のだろ!返すよ!いらないから!ほら早く出てけよ!」
あー、唯一の人間も怪物へと化した。
「えぇ!どうも!お言葉ですけど、私もマグルよ!!」
ロンが固まった。
七海は……ジュース飲んだ。
「あ……えっと、それは…悪かった」
マグルという言葉を小さい頃から意識してたであろうロンにこの攻撃はよく効いたようだ。
「どうも!もう遅いと思いますがね!」
そう言うとハーマイオニーはイライラしながら出ていった。
部屋には気まずそうなロンと、無表情で眺めてるスネイプと、未だジュースを啜ってる七海だけになった。
「……まじごめん。予想できなかった」
流石にこうなるとは思わなかったわ。
「いや、僕も彼女が…ま、マグルだったなんで知らなかったし…しょうがないさ。」
ごめん、知ってたの。私、知ってたの。
「う、うん。」
気まい空気が流れるこのコンパントを乗せて汽車は進み、夕暮れの空に溶けていった。
紅く色づいた原っぱにかける鹿の群れを眺めていると、その夕暮れの先にホグワーツがチラッと見えていた。
幻想的にも見える輝かしい景色。
ツバメの飛び交う空を見ながら七海は想った。
…ほっっんと余計な事しかしねーな!わたしーぃ!!