1stライブの2日目。前日と同じようにメンバー全員が全力で踊って、そして歌い、嘘偽りなく最高のライブとなり、大成功に終わった1stライブが終わり、メンバー各々が楽屋で支度をする中、梨子は1人、ステージに戻り、佇んでいた。
「ここにいたんだ、梨子ちゃん。」
すると、後ろから千歌が清々しい表情で現れ、梨子の隣へと寄り添う。
「うん。最後にこの景色が見たくて。」
景色と言っても目の前に広がるのは無人の観客席。ライブ中の銀河の海のようなキラキラしたものも歓声もなく、あまりにも物寂しい。
しかし、梨子の目に違う景色が映っている。
「ごめんなさい、千歌ちゃん。あの時、失敗しちゃって。」
「気にしなくていいよ。だって、生のライブなんだもん。失敗の一つや二つあってもおかしくないもん。」
「あの時、怖くて怖くて仕方がなかった。また、浦の星来る前みたいにピアノが弾けなくなるんじゃないかって思ったの。」
「でも、あの時とは違ったの。今の私には千歌ちゃんがいて、Aqoursがある。そして、応援してくれるたくさんの人達がいる。」
梨子の目には綺麗で感動的な景色が映っている。たくさんのファンがさくら色のペンライトを掲げ、自分のことのように梨子を応援してくれたあの景色。
ステージでじっと心配そうに見つめる、曜、ルビィ、花丸、善子、ダイヤ。側まで駆け寄って励ましてくれた鞠莉、果南、そして、千歌。
今の自分はあの時の一人ぼっちの自分ではない。支えてくれる人がいる。応援してくれる人がいる。その人達にためにも梨子は指を震わせながら再び、ピアノと向き合ったのだ。
そして、震える指で最後に鍵盤を押すと、客席からスコールのような梨子のコール。この時、梨子は思った。自分はなんて幸せな人間なのだろうと。
「ありがとう千歌ちゃん!千歌ちゃんおかげで一歩を踏み出せた!」
それを全部くれたのは千歌がスクールアイドルに誘ってくれたから。感謝しきれないほど大きな感謝の思い。その思いを一言に込めて、千歌にぶつける。
「私だって梨子ちゃんには感謝してるよ。梨子ちゃんがいなかったらAqoursだってなかったんだし。」
千歌も同様に梨子には感謝している。梨子がいなければAqoursの曲が生まれないどこらか、Aqoursの存在そのものがなかったはずだ。
Aqoursは千歌、曜、梨子、ルビィ、花丸、善子、鞠莉、果南、ダイヤの9人であってこそ。その中で誰かが欠けてもいけない。
「だから、お互い様かな。」
曇りのない笑顔ではっきりと千歌は言う。
「そろそろ戻る?」
「そうね。」
ある程度言いたいことを言った2人は楽屋に戻ろうと歩みを始める。
「ありがとう。みんな。」
名残惜しそうにステージを去る梨子は最後に静まり返る観客席に向け、一言だけ感謝の言葉を放った。
当然ながら言葉は返ってはこない。
しかし、代わりに梨子の演奏に感銘を受けた人達の感謝の思いがひしひしと伝わってきたのであった。
梨子はピアノで失敗しても誰にも励まされず、その結果、ピアノが弾けなくなった。
そして梨香子さんはピアノで失敗しても、杏樹さん達に励まされ、ファンの人達に応援され、再びピアノを弾く。
背反してるように見えますが、ある意味で成長なんじゃないかなって自分は思います。
梨子ちゃんが千歌ちゃんと出会った手に入れたもの。それは仲間。梨子ちゃんが手に入れた仲間のおかげで梨香子さんが立ち上がれた。
なんかちょっとニュアンスが違うけれども。
シンクロしていないようでシンクロしている。自分はそんな気がします。
本当に梨香子さんの演奏は本当に感動しました。最後は指を震わせながらも弾いていたのは印象的でした。そんな状態でありながら、また、大舞台でプレッシャーを抱えながらも最後まで弾き続けた梨香子さんは本当に凄くて、尊敬します。
Aqoursのライブは本当に最高でした!Aqoursの皆さん!そして、ファンの皆さん!お疲れ様でした!