PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

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久しぶりにペルソナ4ダンシングオールナイトをやってみて、是非ともストーリーに加えたいなあと思いました。しかし、時系列的にもまだ先の話なので今すぐやれなくて残念です。

私信ですが、これから大学のほうが始まりますので今より更新スピードが遅れます。いつも楽しみしてくださる方々には申し訳ございません。大学でもちょくちょく執筆するつもりなので、よろしくお願いします。

さて、いよいよ「まきりんぱな」編に入ります。やっぱり流れ的にペルソナやテレビの世界が絡んでくるので、アニメとは違うオリジナル展開になりますが、それでも読者の皆様が楽しんでくれたら幸いです。

そして、新たにお気に入り登録して下さった方・感想を書いてくれた方・評価をつけてくれた方々、ありがとうございます!ちょこっとした感想や評価、そしてご意見が自分の励みになってます。
これからも皆さんが楽しめるような作品を目指していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。



それでは本編をどうぞ!


#11「What do you do?」

〈翌日 音乃木坂学院 3-C教室〉

 

 先日、ことりのお仕置きを受けた悠は登校早々に机にぐったりしていた。時折「生まれたことに悔いはない」だの「菜々子……愛してくれて……ありがとう…」だのとうわ言をを呟いているくらい衰弱している。その様子を見てクラスの女子たちは心配したのか悠に声をかける。

 

「な、鳴上くん?大丈夫?顔色悪いよ」

 

「ああ、ちょっとお腹が」

 

「これ、漢方薬。少しは良くなると思うよ」

 

「すまないな」

 

 1人の女子が悠に漢方薬を渡してくれた。これだけで治るとは思えないが、それだけでも今の悠にはありがたいものだった。

 

「おいおい鳴上、大丈夫か?」

 

 今度は男子たちが集まってきた。

 

「ああ、ちょっとな」

 

「具合悪いなら無理するなよ。何なら放課後に病院行けよ」

 

 なんと女子だけでなく男子も悠を心配してくれた。

 

「へ〜、あんたにしてはたまには良いこと言うじゃない」

 

「たまにはは余計だろ」

 

 何だろう。少し前はこのクラスの男女は仲が悪かったのに、以前より少し仲良くなっている気がする。

 

「でも、ここら辺で良い病院ってある?」

 

「あそこの『西木野総合病院』はどうよ?結構良い病院だって評判だぞ」

 

「確かに、あそこが良いかもね。あそこの先生って面倒見が良いって言うし」

 

「鳴上くんもきっと元気になるよ」

 

 何か八十稲羽での特捜隊のやり取りを思い出す会話だった。何やかんや言って、みんな悠のことが心配らしい。改めて良いクラスに入ったなと悠は思った。とりあえず、今日はその『西木野総合病院』というところで診察を受けることにした。

 

 その後、にこが襲来し先日のことを根掘り葉掘り詰問され、疲労が上がったことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

〈放課後 屋上〉

 

 穂乃果たちはいつも通り屋上でダンスレッスンをしていた。穂乃果はあのファーストライブの日以来『あの講堂をお客さんで満員にしたい』という新たな目標を持って、一層練習に励んでいた。しかし、今日は何故かμ’sの支えである悠が練習を休んでいるので、3人はは心配で仕方なかった。

 

「それにしても鳴上先輩はどうしたんでしょう?今日病院に行ってくるだなんて」

 

「さぁ…」

 

「きっと何か悪い物を食べて体調が悪くなったんだよ」

 

(ギクッ……)

 

 穂乃果の何気ない発言にことりは内心ギクリとした。

 

「それは穂乃果でしょ?……ん?ことり、どうしたんですか?顔が真っ青ですよ」

 

「な、何でもないよ」

 

 この時、ことりは罪悪感でいっぱいだった。いくら悠に嘘をつかれた仕打ちだとしてもやり過ぎと思ったらしい。自分のせいで悠が体調不良になっただなんて口が裂けても言えない。

 

(お兄ちゃん……ごめんなさい…バカなことりを許して…今度いっぱいお詫びするから)

 

 

 

「ところでさ、思ってたんだけどこれ誰の仕業なんだろ?」

 

 と、ことりが心の中で懺悔しているとき、穂乃果はそう言ってパソコンを取り出しμ'sの動画を画面に映した。先日悠から話を聞いてその動画を閲覧してみたが、紛れもなくあのファーストライブの映像だった。しかもこの動画はスクールアイドルランキングのサイトに投稿されていて、その順位も驚くべきことに少しずつ上がっていってるのだ。これは喜ぶべきことだが、これを誰が投稿したのかははっきりしてないので気になってしょうがなかった。

 

「さぁ?私たちがパフォーマンスに集中してて分かりませんでしたが、鳴上先輩曰く誰もカメラを持っている人は居なかったようですし」

 

「裏方のみんなもカメラなんて持ってきてなかったしね」

 

「じゃあ、一体だれが……」

 

 再び三人に静寂が訪れる。ふと、穂乃果がこう切り出した。

 

 

「…幽霊とか?」

 

 

「ゆ、幽霊!!」

 

 穂乃果の何気ない発言にことりがビビってしまった。

 

「穂乃果?冗談が過ぎますよ。幽霊なんている訳が」

 

 

 ガタッ

 

 

「ひい!!今物音が……」

 

「ま、まさか……本当に幽霊が………」

 

「そ、そそそそんなワケないでしょ!人間がいるんですよ!人間が」

 

 たかが物音がしただけでこの騒ぎようである。まるで怪談をした時の千枝とりせと直斗を彷彿とさせる。そんな3人にあきれたのかドアからある人物が姿を現した。

 

 

「うるさいわね。物音くらいで幽霊だのって大騒ぎになるなんて」

 

 

 ドアから出てきたのはまさにあきれた顔をした真姫であった。

 

「あ!西木野さんだ」

 

「良かった〜幽霊じゃなくて」

 

「人のことを幽霊扱いって…本当に失礼な人たちね」

 

 穂乃果とことりは物音の正体が幽霊じゃないと安堵していたが、幽霊扱いされた真姫はたまったものじゃなかった。

 

「すみません、うちの2人がご迷惑を。それで、西木野さんはどういったご用件で」

 

 まるで母親のように海未は娘たちの無礼を謝罪し、用件を聞く。すると、真姫はバツが悪そうな顔をしてこう言った。

 

 

「その……鳴上さんはいるかしら?」

 

 

「鳴上先輩ですか……今日は体調が悪いので病院に診察に行きましたが」

 

「え?……そうなんだ」

 

 悠がいないことを聞くと、真姫は少しガッカリした表情になった。

 

「何か伝言があればわたしがお伝えしましょうか?」

 

「…別にいいわよ、急ぎの用事じゃないし。また後日お邪魔するわ」

 

 悠がいないと分かって用がなくなったのか、真姫はすぐさま屋上から立ち去ろうとする。すると、

 

「待って!西木野さん」

 

 突然穂乃果が真姫を呼び止める。

 

「……何?」

 

 

「そ、その……今更だけどこの間はゴメンね…勝手に屋上に連れ込んだり作曲頼んだりして」

 

 

 真姫のキツイ視線にビビりながらも穂乃果はこの間のことを謝罪する。この穂乃果の行動に真姫だけでなく海未やことりも驚いた。

 

「べ、別に気にしてないから……謝らないでよ…先輩なのに」

 

 

「それでね…もし良かったらなんだけど……西木野さんもスクールアイドルやらない?」

 

 

「「は?」」

 

 穂乃果のこの発言に真姫だけでなくことりも声を上げて驚き、海未に関しては『何を言っているんだ、この野郎』と言っているような顔をして穂乃果を睨みつけた。

 

「……何で私を…」

 

 

「いや、西木野さんって歌とかピアノとか上手いし、顔とかもアイドルみたいだから即戦力になるかなぁと思って……」

 

 

 思いっきり直球な答えであった。それに対する真姫の回答はこうだった。

 

「それはあなたの勝手な思い違いよ。私はアイドルなんか向いてないしやるつもりもないから。それに、そんなことしてる時間なんてないし」

 

 前回よりキツめではなかったが、真姫は穂乃果の提案を一蹴した。いつもの穂乃果ならこう言われても食いさがるのだが今回は違った。

 

 

「そうなんだ……そうだよね。今のは忘れて」

 

 

「え?」

 

 あまりにも意外な発言に真姫は驚いた。

 

「ん?どうしたの?」

 

「いや、前みたいにしつこく勧誘するかなって思ったから」

 

「うっ!……いや、この間あなたに作曲を頼んだ時に鳴上先輩に言われたんだ。やるかやらないかは本人が決めることで無理強いは良くないって…」

 

「鳴上さんが……」

 

 真姫は空を向いてそう呟いた。

 

 

「やっぱり、不思議な人ね。もしかしたら、あの人なら私の悩みを....]

 

 

「え?鳴上先輩がどうかしたの?」

 

 真姫の意味ありげな呟きに穂乃果は首をひねった。

 

「!!っ、何でもないわ!じゃあ、私は失礼するわ。練習頑張ってちょ……じゃなくて、頑張って下さい」

 

 最後に穂乃果たちへの激励の言葉を残し、真姫は屋上から去っていった。

 

 

 

「むぅ…………」

 

 

 真姫が去った後、ことりは何故か不機嫌そうに頬を膨らませた。

 

「あれ?ことりちゃんどうしたの?」

 

「……またお兄ちゃんに悪い虫がつきそう」

 

「え?」

 

「何でもないよ♪それより2人とも、気分転換に中庭を回ってみない?」

 

 ことりが何か呟いた気がしたが、少し気分もすぐれなかったので穂乃果と海未はことりの提案通り中庭をまわることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈西木野総合病院〉

 

「これはひどい疲労ね。しかも腹痛って、何か悪い物でも食べたのかしら?」

 

「ちょっと…妹の料理を……」

 

「??」

 

 悠は病院で診察を受けていた。過労と腹痛と診断されたが、それがトリプルブッキングしたのとその罰で妹が錬成した【物体X(ことりエディション)】を食したのが原因とは言えない。言ってもばかにされるだけだろう。

 

「……また山岸さんの犠牲者が出たのかしら。まぁ、薬は出しておくわ。これからは食べ物関係には気をつけることね」

 

「ありがとうございます…」

 

 悠の診察を担当した女医さんがそう告げる。過去に同じようなことがあったのかこのような患者には慣れているようにみえた。それにしてもこの女医さん、どこかであった気がする。茶髪のセミロングヘアにつり目。誰かに似ているのだろうか?

 とりあえず診察は終わったので、その場を去ろうとすると

 

 

「あれ?その制服は……貴方はもしかして音乃木坂学院の生徒さんかしら?」

 

 

 悠の制服を見た女医がそう聞いてきた。

 

「え、ええ。そうですけど」

 

「あら?……じゃあ、うちの娘のことはご存知?」

 

「え?娘?」

 

 

「私の娘は『西木野真姫』って名前なのだけど、ご存知ないかしら?」

 

 

「西木野真姫……あっ」

 

 思い出した、というか最近初ライブの曲で世話になったばかりだったのでどんな人物かは知っている。

 

「あの素晴らしい演奏をした…」

 

「あら?娘の演奏を聴いてくれたの?しかも素晴らしいだなんて見る目があるわね。フフ、流石は我が娘だわ」

 

 女医は娘が褒められたのが嬉しかったのか明るい表情になった。

 

「あの…西木野のお母さんですか?」

 

「ええ、そうよ。そういえば貴方、この後お時間あるかしら?」

 

「ええっと…まぁ少しは」

 

「そう。私は後10分で休憩に入るから、それまで薬を受け取って待合室で待っててもらえないかしら?」

 

「え?」

 

「少し貴方とお話したくなったの。娘のことでね。ダメかしら?」

 

 女医は微笑みながらそう尋ねる。これは真姫についての話が聞けるチャンスかもしれない。実は悠も真姫のことについては気になっていたのだ。

 

「良いですよ」

 

「そうなの。じゃあ待合室で待っててちょうだい」

 

 悠の返事に女医は微笑みを返し、診察室の奥に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈西木野総合病院 待合室〉

 

 薬を5日分もらった。少し待合室で手軽な勉強をしていると女医もとい真姫の母親がやってきた。

 

「お隣失礼するわね」

 

 そう断りを入れて真姫の母親は悠の隣に座った。

 

「改めて真姫の母親の『西木野早紀』です。よろしくね」

 

「こちらこそ。音乃木坂学院3年の鳴上悠です」

 

「あら?鳴上って……じゃあ貴方が雛乃さんの甥っ子さんなのね。フフ、あの人が言ってた通り礼儀正しい子なのね」

 

「え?叔母さん?」

 

 早紀の口から雛乃の名前が出たことに悠は驚いた。

 

「ええ、あの人とはちょっとした知り合いでね。この間お話した時に貴方の話を聞いてね。可愛い甥っ子が来たって貴方のことを嬉しそうに語ってたわ」

 

「…そうですか」

 

 まさか裏で雛乃が自分のことを他人に語っていたとは。両親からはそんな話は聞いたことなかったので、なんか気恥ずかしくなった。

 

「それにしても、そんな貴方がうちの真姫とどういう風に知り合ったのかしら?」

 

 とりあえず早紀には真姫と知り合った経緯について説明した。

 

 

「ふーん、真姫に作曲をね」

 

「すみません、うちの後輩が娘さんにご迷惑をお掛けして」

 

「良いのよ、むしろ私は嬉しいって思ったから」

 

「え?」

 

 意外な返答に悠は驚いた。正直怒られるかと思ったからだ。すると、そんな悠の表情を見たのか早紀はこう語り出した。

 

 

「あの子…真姫はね、小さい時からあんな性格だから友達があんまりいなくてね。いじめられてないか心配だったの。でも、少なくとも今は貴方みたいな良い人と関りを持っているから安心したわ」

 

 なるほどと悠は思った。最初に真姫と出会った時ははじめから罵倒だったし、あんな言い方をしていれば友達はあまり出来ないだろう。前から思っていたが、真姫は八十稲羽で出会った『海老原あい』に似ている。彼女も他者に対しては突っぱねた態度を取っていたので、みんなから誤解され距離を置かれていたのだから。

 そんなことを思っていると不意に早紀がこう告げた。

 

 

「まぁあの子があんな風になったのは私たちにも原因があるのかもしれないけど」

 

 

「え?」

 

 そう言うと早紀は目を伏せて自嘲気味に語った。

 

「この病院は名前の通り私たち夫婦が切り盛りしてるの。夫がかなりの家族思いで家を大きくしたり真姫にピアノを習わせたり色々してくれたんだけど……医者って忙しいから中々真姫に構ってられなくてね。全てが裏目に出てしまったわ」

 

「裏目?」

 

「私たちが帰りが遅いから夜遅くまで大きな家で一人。それは寂しい思いをさせてきたわ。それであの子、笑わなくなったの」

 

「笑わなくなった?」

 

「私たちが医者だからあの子も自分も医者にならなきゃって思っているらしくて、高校生活が始まったばかりなのに勉強に精を出してるのよ。それも頑張りすぎなくらい」

 

「それは良いことなのでは?」

 

「私としてはあの子には勉強だらけの生活じゃなくて、この高校生の時くらいは自分の好きなことをさせてあげたいの。でもそれを伝えたところで、今まで構ってくれなかった親のいうことをあの子が聞くかしらね?」

 

 早紀はそう語り終えると虚し気に虚空を見つめ始めた。

 この人は相当娘のことを想っていると悠は思った。足立もこんな母親を持っていればあんな風にならなかっただろうと思ってしまう。そんなことはともかく、この人は長らく娘と十分なコミュニケーションが取れてないせいか娘に対して弱腰になっている。悠はこの家族を八十稲羽にいる堂島親子の以前の姿と重ねてみえてほっとけなくなった。

 

 

「今からでも遅くないと思いますよ」

 

 

「え?」

 

「あなたが娘さんに対してそう思っているのは、何を言っても分かってもらえないと思い込んでるだけです。すぐには無理かもしれませんが、これから少しずつでも自分の思いを伝えていけば分かってもらえると思いますよ」

 

「でも」

 

「少なくともあなたたちが習わせたピアノを、西木野はすごく大切にしていると俺は思いますよ」

 

 悠はあの時の真姫の演奏を思い出していた。あの素晴らしい演奏は余程好きでなければ成しえない。悠の勝手な憶測だが、それは真姫が両親が勧めてくれたものであり唯一家族とつながりがあるものだから。

 それを聞いた早紀は少し呆然としていたが、しばらくすると何か吹っ切れたような表情になった。

 

 

「そうか....フフフ、あなたの言う通り、私は分かってもらえないって思い込んでただけかもしれないわね」

 

 

 そういうと早紀は立ち上がった。

 

「そろそろ休憩時間が終わるから、私は仕事に戻るわ。ありがとうね、こんなおばさんの話に付き合ってくれて」

 

「いえ、こちらこそ何も知らないのにズケズケと偉そうなこと言って」

 

「そんなことないわ。少なくとも私にとっては有意義な時間になったから」

 

「そう言ってもらえると、嬉しいです」

 

「また機会があればお話ししたいわ。それじゃあお大事にね、鳴上くん」

 

 そういい残して、早紀は踵を返し職場へ戻っていった。

 

 

 

ー早紀との絆が芽生えた気がした

 

 

 

 早紀を見送っていると突然ポケットの中の携帯が震え始めた。携帯を開くと、画面に『園田海未』と表示されてあった。

 

「もしもし、どうした?」

 

 

『な、鳴上先輩!体調は大丈夫ですか?』

 

 

 携帯から海未の緊迫した声が聞こえてきた。何かあったのだろうか。

 

「ああ、今、病院に行ってきたところだ」

 

『あの!今から学校のほうに戻れませんか?ちょっと私には手に負えないことが起こりまして、どうすればいいのか』

 

 どうやらビンゴのようだ。何が起こったのかは分からないが、海未の声から結構焦っているのが伝わってくる。

 

「園田、落ち着け。何が起こったかは知らないが、今から学校のほうに行くから場所を教えてくれ」

 

『わ、わかりました!場所は中庭にある飼育小屋です』

 

「飼育小屋?」

 

 飼育小屋と聞いて、雛乃から音乃木坂ではアルパカを飼っていると聞いたことを思い出した。

 

『は、早くお願いします!もうすでに、ことりが』

 

 

「5分で着くから待ってろ」

 

 

 妹の危機を察したのか海未が言い終わる前に、そう言い残して通話を切り音乃木坂学院まで全速力で走っていった。断っておくが、菜々子同様ことりも実の妹ではなく従兄妹であるのでご注意を。

 

 

 

「あれ?今の人って鳴上さん?」

 

 

 

 全速力で走ったせいか病院の入り口ですれ違った少女が、件の真姫であることに気づけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<音乃木坂学院 アルパカ小屋>

 

 宣告通りの5分には少し遅れたが、何とかアルパカの飼育小屋に到着した。しかし着いたはいいが、想像しなかった現場の状態に悠は困惑した。何故なら

 

 

「うええ~ん!お兄ちゃーん!!」

 

「な、鳴上せんぱーい!ヘルプ!ヘルプ!」

 

「ううっ」

 

 

 制服が動物のヨダレだらけになっていることりが泣きながら抱き着いてきて、見るからにアルパカにビビってる穂乃果と海未が悠の後ろに隠れている状態でアルパカと対峙していのだから。アルパカも興奮してるのかうなり声を出しながらこちらをみていた。このカオスな状況をどうすればいいのやら。とりあえず何かしないと何も始まらないので、泣きじゃくることりを頭を撫でてあやしながらこう言った。

 

 

「なあ園田、アルパカってどう鳴くんだっけ?」

 

 

「わ、私に聞かれても………って何言ってるんですか!」

 

「いや、同じ鳴き声で対話して落ち着けようかなと思って」

 

「あ~その発想はなかった。さっすが鳴上先輩!」

 

「小学生ですか!!そんなの無理に決まってるでしょ!!」

 

 悠の発案になぜか穂乃果は同意するが、海未は鋭いツッコミを入れる。海未のいう通りさすがにそれは無理がある。

 

「なんだと………キツネとは意思疎通できたのにアルパカは無理だと……」

 

「何を言ってるんですか?」

 

「くそっ。対話が無理なら、ことりを泣かせた償いとして丸焼きに」

 

「どういう発想ですか!!」

 

 発想が突然過激になっていく。そんなコントのような会話をしていると、そこに救世主が現れる。

 

 

 

「ほらほら、アルパカさん。落ち着いてください」

 

 

 

 飼育小屋の奥からとある女子生徒が慣れた手つきでアルパカの背中を撫で始めた。すると、アルパカは落ち着きを取り戻して、女子生徒になついた後に小屋の奥に引っ込んでいった。

 

「みなさん、大丈夫ですか?って鳴上先輩!それにμ’sのみなさんまで!」

 

「きみは...小泉か?」

 

 アルパカを手懐けて悠たちを救ってくれた救世主の正体は悠たちもよく知っている花陽だった。飼育小屋で立ち往生している人物たちが悠たちだと知ると、先ほどの落ち着きようが嘘のように花陽はオロオロし始めた。

 

「だ、大丈夫でしたか!?アルパカさんが皆さんに何かしましたか!?」

 

「お、落ち着け!ちょっとことりが何かされたみたいだが、大丈夫だから」

 

 

「こ、ことりは大丈夫じゃないよ...うええ~ん!!」

 

 

 ことりはまだ引きずっているのか、高校生であるにも関わらずまた悠の胸の中で泣き始めた。それを見て花陽はさらに慌て始めた。

 

「あわわわわわ、どどどうしよう!!」

 

「ちょっ、ことりちゃん!泣かないで~!」

 

 事態はどんどん収拾がつかない状況になっていく。それを見て悠はこうつぶやいた。

 

 

「CHAOSだな」

 

 

「鳴上先輩!そんなカッコよさげなこと言ってないで何とかしてください!」

 

「そっとしておこう」

 

「そっとしない!!」

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

 なんとかあの手この手でカオスな状況を収拾することができた。事態の収拾に貢献した悠と海未はげっそりした顔になっていた。どこか聞こえるはずのない虚し気なトランペットの音色が聞こえてきた気がする。幻聴だろうか。

 

「...病院行ったあとにこんな目に遭うとは」

 

「すみません..鳴上先輩」

 

「ところで、何であんな状況になったんだ?」

 

「それは……言いたくありません……」

 

 口ぶりからして海未が何かしたようだ。これ以上追及したら、海未のHPが0になりそうなので聞かないことにした。

 

「そっとしておく」

 

「お願いします」

 

 

 そんな貢献者2人を尻目に穂乃果と花陽はさっきのことはなかったかのように仲良く談笑していた。

 

 

「へええ~花陽ちゃんって飼育係なんだ~。すごいね!」

 

「そんなことないですよ。みんな動物の世話が苦手らしくて...私が好きでやってるだけですから」

 

「ううん、それでもすごいよ。さっきのアルパカを操ってたのはすごかったよ」

 

「別に操ったわけじゃないんですけど」

 

 ちなみにことりは汚れた制服では帰れないので練習着に着替えに行っている。その際悠も一緒に来てほしいと言っていたが、海未と一緒に一蹴しておいた。悠のシスコンも大概だが、ことりのブラコンもそろそろ危険な気がする。

 

 

「あ!そうだ、花陽ちゃん!聞きたいことがあるんだけど」

 

「は、はい。何でしょうか?」

 

 そういうと、穂乃果は意味ありげな笑みを浮かべてこう言った。

 

 

「花陽ちゃん、良かったら私たちと一緒にスクールアイドルやらない?」

 

 

「え?……ええええええええ!!」

 

 

 穂乃果の突然の誘いに花陽は大声を上げて仰天した。その声は中庭中に響いたので、離れていた悠と海未にもよく聞こえた。

 

「ええ!どど、どうしたの?私何か変なこと言った?」

 

「い、いえ……それで…何で私なんかを?」

 

「えっとね……花陽ちゃんって可愛いから、アイドルに向いてるかなって思って」

 

「そんな……私は別に可愛いわけじゃ」

 

「あと鳴上先輩に聞いたけど、アイドルとかに詳しいんでしょ?穂乃果たちアイドルとかに詳しくないから花陽ちゃんみたいな人がいると助かるなあ」

 

「…………」

 

 穂乃果がそういうと、花陽は俯き黙り込んでしまった。その様子に穂乃果は何かまずいことを言ってしまったのではないかと困惑する。そうしていると、先ほどまでげっそりしていた悠と海未が何事かと思い、2人のもとにやってきた。

 

 

「2人とも、どうしたんだ?小泉の大声がこっちまで聞こえたぞ」

 

「どうせ穂乃果が小泉さんに何かしたんじゃないですか?」

 

「ち、違うよ!ただ花陽ちゃんをスクールアイドルに誘っただけだよ!決めつけはよくないよ!海未ちゃん!!」

 

 あらぬ疑いをかけられて穂乃果は懸命に弁明するが、この手に関して海未からの信用は無いので無意味に終わった。

 

「また貴女はそうやって………すみません小泉さん。うちの穂乃果が変なことを」

 

「ちょ、ちょっと!何で海未ちゃんがお母さんみたいになってるの!?」

 

「申し訳ございません。うちの娘は普段良い子なんですが、時折暴走することがありまして」

 

「何か穂乃果が悪いことしたみたいになってるんだけど!!鳴上先輩も乗らなくていいから!!」

 

 そんな親子コントのようなやり取りをしていると、花陽が口を開き小さな声でこう言った。

 

 

「私は……アイドルが好きってだけで…詳しくありません」

 

 

「「「え?」」」

 

 

「それに私は…鈍くさくておっちょこちょいで……食べることだけが取り柄で……才能もなにもありません」

 

 

「そんなこと」

 

 

「だから、こんな私にアイドルなんて無理です………私なんかより…西木野さんを誘ったほうが…いいと思います」

 

 

 

 突然の花陽の独白に悠たちは困惑した。とりあえず話さなければと思い、悠は事情を聴くことにした。

 

「小泉、何で西木野なんだ?」

 

「それは……西木野さんは歌が上手いし綺麗だし……私なんかより才能もあってアイドル向きです」

 

「……西木野のことは分かった。でも、何で小泉はアイドルをやることに抵抗があるんだ?」

 

 これはさっき花陽自身の独白で聞いたことだが、悠はこのことにどうも納得がいかなかった。

 

「それはさっきも言いました。私は鈍くさくて、才能もないって」

 

 

「才能は関係ないだろ?世の中には才能があってもそれができない人だってたくさんいるし、才能がなくても努力して成功してる人だっているんだ」

 

 

「………確かにそうかもしれません。でも!私は」

 

 と、花陽が何か言いかけたその時

 

 

 

「かよち~ん!!一緒に帰ろう!!」

 

 

 

 運が悪いことに、遠くから花陽の友人と思わしき女子生徒が大きな声で花陽を呼んだ。

 

「すみません、もう帰ります。凛ちゃ……友達が呼んでるんで。鳴上先輩、失礼します」

 

 花陽は逃げるようにその場を去ろうとしたが

 

「小泉」

 

 と、悠が花陽を呼び止めた。

 

 

「小泉が何でそう頑なになるかは分からない。でも、俺には小泉はまだ迷っているように見える」

 

「………そんなことは」

 

「もし後悔したくなかったら、本当に自分がしたいことを見つめなおすんだ」

 

「本当にどうしたいか……」

 

「ああ。そして、それを決めるのは俺たち他人じゃない。小泉自身が決めるんだ」

 

「………ありがとうございます。鳴上先輩」

 

 悠の言葉に頷いて、花陽は今度こそ去っていった。

 

 

 

「あ〜あ、残念だったなぁ。西木野さんはともかく花陽ちゃんならやってくれると思ってたのに」

 

 穂乃果は花陽を誘えなかったことに残念がっていた。

 

「穂乃果はいつも突然すぎるんですよ。急に勧誘されてすぐにやりますって言う人がいると思いますか?」

 

「でも………鳴上先輩はどう思う?」

 

 海未の言うことが正論過ぎて何も言えなかったため、穂乃果はさらっと悠に話をふった。

 

 

「正直何とも言えないな。さっきはああは言ったが、今は何を言っても無駄だろうな」

 

 

 悠は正直にそう言った。今の花陽の様子ではだれが何を言っても首を縦に振らせるのは難しいだろう。

 

「そんな~、鳴上先輩でも駄目だなんて………」

 

「穂乃果、鳴上先輩だって万能じゃないんですよ」

 

「そうだぞ。いつまでもお父さんとお母さんに頼ってばかりじゃ成長しないぞ、娘よ」

 

「私は娘じゃないから!」

 

「もうそのネタは止めましょうよ、鳴上先輩……」

 

「ダメか」

 

 そんなやり取りをしているうちに練習着に着替えたことりが帰ってきたので、今日はここで解散となった。その際、雛乃から電話で『今日は仕事で遅くなるから出来ればことりの夕飯を作ってほしい』と頼まれたので、南家でことりと仲良く夕飯を共にしてから帰宅した。ちなみに、そこでまたひと悶着あったことは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<夜 鳴上宅>

 

 夕方まで晴れていたのに夜になってから激しい雨が降っていた。今日の受験勉強を終えて時計を見ると、もうすぐ午前0時になるところだった。穂乃果たちがテレビの世界に放り込まれて以来、天気に問わずマヨナカテレビ(?)をチェックするのが日課になりつつあった。

 

「雨か………あの時以来映ってないからといって、油断はできないな」

 

 そういって机から腰を上げてテレビの画面を見つめる。時計が午前0時を示したその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビに2人の人影が映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!!」

 

 悠は驚きながらも映っている人物が誰なのかを見極めるため画面に顔を近づける。今回のマヨナカテレビ(?)はいつも通り画面が荒れているが、少し絵がカラーになっていた。

 

 

 性別は見た目から女子、それも2人とも髪はセミロングだった。顔はさすがに見られなかったが2人とも特徴的な動きをしていた。一人は腕を組んでツンとした態度を取っているようなポーズを取っており、もう一人は自信なさげにオドオドしている。それを確認した瞬間、マヨナカテレビ(?)は消えてしまった。

 

 

 あの映像を見た悠は映った人物に見覚えがあると思った。

 

 

「あれは……小泉と西木野か」

 

 

 まだ確証はないが、映っていたのは花陽と真姫で間違いない。悠は早速穂乃果たちにマヨナカテレビが映ったと連絡を入れ、明日は朝練は無しで花陽と真姫に警告しに行くように頼んだ。気休めにもならないかもしれないがやらないよりマシだ。とりあえず、明日は忙しくなると思い、悠は布団に入った。

 

 

 

 

 

しかし………

 

 

 

 

 

 

<翌日 音乃木坂学院>

 

 学校に着き、急いで花陽と真姫のもとに向かおうとすると

 

「な、鳴上先輩!!大変!!」

 

 突然教室に穂乃果が焦った顔をして飛び込んできた。その焦りようが尋常ではなかったので、嫌な予感がした。

 

「どうした、そんなに慌てて」

 

 

「大変だよ!!花陽ちゃんと西木野さんが行方不明になったって!」

 

 

「え?」

 

 

ーto be continuded




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「必ず救いだしてみせる」

「私もペルソナ出したいなぁ」

「これは....」

「かよち~ん!」

『ふふふふふふふ、あははははははは』

「いくぞ!みんな!!」


「「「「ペルソナ!!」」」」


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