PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

78 / 131
閲覧ありがとうございます。ぺるクマ!です。

かぐや様は告らせたいが面白過ぎる。"何でそうなった!?"とか、"石上、ブレーキブレーキ!!"などとツッコミながら毎週腹を抱えて笑っています。

改めてお気に入り登録して下さった方・感想を書いてくれた方・誤字脱字報告をして下さった方々、本当にありがとうございます!皆さんの応援が自分の励みになっています。

短期バイトと部活動の新人勧誘の準備が佳境に入って執筆にあまり時間が取れなくなりつつありますが、皆さんが楽しめる作品になるように精進していくつもりなので、これからも応援よろしくお願いします。

それでは、本編をどうぞ!


#70「Bond Dancers VS μ‘s.」

 あの騒動から数日後………

 

 

「ジュネスの感謝祭セール?」

 

「ああ、今年もやるんだよ」

 

 

 河川敷での絆フェスに向けての練習が一段落したところで、陽介からそんな言葉が発せられた。

 ジュネス感謝祭セールとは、いつもお客様感謝デーと豪語するジュネスが夏終盤に更にお得な価格でのセールするという一大イベントのことだ。昨年このイベントで陽介は店員同士のジャンケンに負けて責任者をやらされたという苦い思い出がある。

 

「えっ?花村、またジャンケンに負けて責任者になったとかそういうの?」

 

「ちげえよ!まあ何と言うか…そのセールでやるイベントのことで、親父がな」

 

「「「???」」」

 

 陽介の父親曰く、今年の感謝祭セールは今まで仲違いしていた商店街と合同で行う最初のセールなので、去年よりも盛り上げて行きたいところ。それで、去年の秋ごろに行った悠たちのライブイベントを思い出して、是非とも今年は感謝際セールのイベントとしてやってもらいたいと陽介にオファーしたらしい。

 これを受けて戸惑った陽介は念のためにりせのマネージャーである井上にその旨を報告したところ、別に良いとの返事をもらった。出来るなら絆フェスのことも宣伝してほしいとも言われたようだ。

 

 

「ということで、無理を承知でお願いします!!来週の感謝祭セールでライブを一緒にやっていただけないでしょうか!?」

 

 

 断られるかもしれないと思ったのか、陽介は流れるように腰を90度下げてそうお願いした。

 

「ま、まあ……陽介くん、顔を上げて。別に私たちは構わないわよ。ちょうどどこかでライブらしいことやって本番さながらも雰囲気に慣れさせたいって思ってたから」

 

「俺も賛成だ。みんなもそれで良いか?」

 

 絵里と悠の言葉に穂乃果たちは何も言うことなく首を縦に振った。それを見て、陽介は文句ひとつ言わずにイエスと言ってくれた仲間たちに思わず涙が出てしまいそうになった。これで、感謝祭セールのイベントに出演することは決定した。しかし、

 

「でも、私たちが本番でやるダンスはダメだよ。ネタバレになるし、色々と問題になるから」

 

「ああ…それは井上さんにも言われたよ。だけどよ、うちの屋上にステージ作るとしても穂乃果ちゃんたちのライブが出来るくらいの広さしかねえから、俺ら全員でダンスなんてできないぞ」

 

 そう言われて、何か他の手はないのかと思案する一同。すると、顎に手を当てて考え込んでいた直斗がふと思いついたようにこんなことを提案した。

 

「なら、"対バン形式"でやれば良いんじゃないですか?」

 

「対バン形式?」

 

 説明しよう。対バンライブ式とはミュージシャンやバンド、アイドルなどの歌手がライブを行う時に、単独名義ではなく複数のグループと共演することをいう。語源についてはバンド同士の対決などからきたと見られているが、実際には対決や競い合うという意味合いは薄く、単に一緒にライブを行うための共演という意味で使われることが多い。共演ではあるが、基本的に各グループにそれぞれ時間が割り当てられ、一緒に演奏をするセッションなどが行われる事は少ないという。

 

「ああ、いいクマねえ~対バンって響き!この間だって、キュートでプリティなガールズちゃんたちがバンドでこう」

 

「へえ、対バン形式ってそういう意味だったのか。知らなかったなあ」

 

 直斗からの解説を受けて納得する陽介たち。確かに、直斗の言う通りこの対バン形式は今の状況に最適と言えるだろう。すると、

 

「はあ……全くヨースケはボーっと生きてるクマねぇ」

 

「あん?」

 

「対バンの意味も知らずに、やれ"ギターと間違ってベースを買っちゃった"だの、やれ"俺のギターテクにあの子も俺に惚れるんじゃね?"だの、やれ"あのバンドのベースの子の胸デカすぎだろ"っていうヨースケのなんと多いことクマ」

 

「「「「うわああ………」」」」

 

 某放送番組のフレーズで陽介の秘密をカミングアウトしたクマ。それに穂乃果たちは本気でドン引いてしまった。ほとんどはクマの捏造だろうが、陽介の性格上何となく信憑性があるし、ギターの話は本人から聞いた事実なのでフォローのしようがない。

 

「知ってましたよ…俺がそう言われんのは知ってたよ………ちくしょう!俺は悠みたいにモテねえんだよ!何やってんだよ!このままでいいのかよ俺!うおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

「暑いのか?陽介」

 

「ちげえよ!苦しんでんだよ!!俺はお前みたいに初対面の女の子から連絡先とか聞かれねえんだよ………しかもその子もアイドルってどういうことなんだよ………」

 

「嗚呼……」

 

「「「………………」」」

 

 相棒の悲痛な叫びに気まずくなる悠。おそらく陽介は先日の騒動の際、悠が何故か興味を持たれた少女からいきなり連絡先を交換されたことを言っているのだろう。突然のことに困惑してしまい、向こう側のメガネ少女に結構頭を下げられた。その件でことりたちに白い目で睨まれた上に、自分だけ練習を少し厳しめにされたので、もう散々としか言いようがなかった。今でもあの娘からメールで姉に会ってくれという内容が毎日のように送られてくるのだが……

 

「ま、まあ…あの件はともかく、直斗くんが言った対バン形式でライブをやるの訳だけど、悠たちは大丈夫なのよね?」

 

「ああ、それはまあ」

 

「……私も出る」

 

「うおっ!マリーちゃん!?」

 

 絵里の問いに答えようとしたと同時に、いつの間にか陽介の背後に天気予報が終わったらしいマリーが立っていた。何故か去年使っていたギターを手に持っているのは分からないが。

 

「さっき中継終わったとこ。それより、そのたいばんってやつに私も出る。」

 

「おおっ!マリーちゃんも一緒だなんて久しぶりじゃない?」

 

「マリーちゃんが居れば百人力クマ~!」

 

「うん!何かとっても楽しそう!やっぱりマリーも一緒で特捜隊って感じだね」

 

 マリーの参戦に千枝と雪子は歓喜した。やはりマリーも特捜隊の仲間であるので、再び一緒に行動するのが嬉しいらしい。

 

「よーし!穂乃果たちも負けないぞぉ!!」

 

「アンタたち、覚悟しておきなさい!可愛いにこちゃんがけちょんけちょんにしてあげるわ!」

 

「だから、対決するんじゃないんだって……」

 

「絵里ちゃん、もう手遅れだ」

 

 何故か対決するような雰囲気になっているが、こうして一週間後のジュネス感謝祭セールのイベントで特捜隊&μ‘sの対バン形式ライブが開催されることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ジュネス フードコート>

 

「っで、どうする?」

 

「どうするじゃねえよ。実際」

 

 ところ変わって、作戦会議と言ったらやっぱりここということでジュネスのフードコートに集まったマリーを含めた特捜隊組。しかし、さっき穂乃果たちにあんな啖呵を切っておいたにも関わらず、いまいち具体的な案が思い浮かばなかった。

 

「そうだね。このメンバーでライブやったのって、去年のイベントと音ノ木坂学院の学園祭でバンドしたくらいだし」

 

「じゃあ、バンドしようよ。私がボーカルで悠センパイが隣でベースを弾くの」

 

「待て待て!本番ダンスやるって言ってんのに、ここでバンドはダメだろ!つか、ほぼお前の欲望が見え見えじゃねえか!」

 

「ああ、そう言えば俺最近三刀流ドラムできるようになったんすよ。今度は四刀流や鬼○九刀流に挑戦しようかと」

 

「何で4から一気に9に上がってんだよ!?お前はどっかの侍か!?」

 

「じゃあ、クマはDJをやるクマ。陽介は歯ギターをやるクマね」

 

「出来ねえよ!出来てもやんねえよ!!てか、何でお前がDJなんだよ!」

 

「なにって、クマと言ったらDJ!DJと言ったらクマクマよ~!」

 

「意味がわからん……」

 

 何故かバンドする路線で話が進んで行くが、陽介は仕方なくこうやっていくつかのボケを処理していく。結局、今回はダンスで勝負することが趣旨なのでバンド路線は却下となった。その際、最近は踊るバンドもあるとクマは食い下がってきたが、そこまでレベルの高いことは出来ないと一蹴した。このクマはどれだけバンドで踊りたいのだろうか。

 

「とりあえず、まずはセンターを決めようよ。穂乃果ちゃんたちは皆がセンターってスタンスらしいけど、ウチらでそれやったら大変なことになりそうだし」

 

「じゃあ、ここは順当に私と悠センパイで」

 

「はあ?何言ってんの?私と悠がセンターでしょ。そっちはバックにでも行ってれば?」

 

「ちょっ!?何でそうなるのよ!!マリーちゃんこそバックに行ったらいいんじゃない?」

 

 せっかく千枝が軌道修正してくれたのに、またもりせとマリーが悠のことで喧嘩を始めてしまった。どっちも悠に隠しきれない好意を持っているので、諍いは必然かもしれない。まあセンター云々は置いておいて、

 

「やっぱり折角ライブをやるんだから、お客さんと一緒に楽しめることをやればいいんじゃないか?」

 

「確かに。どこかのバンドでは格付けクイズとかそんな余興とかやってるらしいですし、僕たちもそういうのもやった方が良いかもしれないですね」

 

「じゃあさ、お客さんと盛り上がるために怪談でもする?きっと盛り上がるよ」

 

「いや、盛り上がるどころか盛り下がるわ!!」

 

「それよりも、アメをバラまいたりするのはどうっすか?この間ラジオで言ってたっすよ」

 

「おおっ!それいいねぇ!じゃあさ、アメの代わりにビフテキ串をバラまくっていうのはどう?絶対良いよ!」

 

「良くねえよ!それで喜ぶのはお前だけだっつの!!てか、そんなもん投げたらお客さんがあぶねえだろ!!」

 

 次々と余計な案を出していく特捜隊組の面々だが、どれも己の趣味趣向に走っていて碌なものがない。それに対しても陽介は職人のようにツッコんでいくが、

 

「花村さあ、アンタ文句ばっかり言ってないで代案でも出したら?」

 

「はあ!?」

 

「いますよね、文句だけ言って自分の意見を出さない人って」

 

「いるいる。結局そういう人って限って口だけで大したことないんだよねえ」

 

「何で俺が悪いみたいになってんだよ!お前らが変なこと言うからだろうが!少し真剣にやれええええええええ!」

 

 ツッコミに専念しすぎたのか理不尽にも飛び火してしまった陽介。こんな仲間たちの様子を見て悠は思った。この調子で本番大丈夫なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<鮫川 河川敷>

 

「悠さんたち…大丈夫かな?」

 

「確かに……何かと荒れている現場が目に浮かびます」

 

「でも、私たちも人の心配をしてる場合じゃないでしょ」

 

 こちらはμ‘s組。若干悠たち特捜隊組のことが心配になったが、こちらもこちらで準備しなくてはならない。だが、既にそちらの方は海未と真姫、ことりが準備していた。

 

「一応真姫と協力して使えそうな曲は用意していますし、ことりも新しい衣装を手掛けいたらしいので、あとは練習の密度を高めていけば問題はないですね」

 

「へえ、ことりちゃんもう新しい衣装作ってたんだ」

 

「うん!この間完二くんから色々教えてもらったし、菜々子ちゃんと一緒に考えてたら色んなイメージが湧いてきたから」

 

 これでライブの大まかな部分は万全だ。あと考えるべきなのは……

 あのラブライブ出場がかかった学園祭ライブは佐々木竜次の事件があったとはいえ、謎の女性エリザベスやりせたちのお陰でやり切ることが出来た。しかし、それでも出場には届かなった。それは一体何故なのか。その原因を追究していかなければ、この先へ進めないだろう。少しの沈黙が続いた中、凛が思いついたようにこう言った。

 

「んん~…やっぱりインパクトのあるキャッチコピーで攻めた方が良いんじゃないかにゃ?実際かなみんキッチンのライブに行った時も、かなみんたちのキャッチコピーはインパクトあったにゃ」

 

 言われてみれば、これまで自分たちはキャッチコピーを考えていなかった。というか、そもそも自分たちはかなみんキッチンのようにどんなアイドルなのかを明確化していなかったので、今後もスクールアイドル活動を続けて行くならば、そういうキャラの設定というのも考えなきゃいけないだろう。

 

「キャッチコピーかあ………」

 

「確かに、キャッチコピーは重要ですね。私たちも何か考えた方が良いのでしょうか?」

 

 キャッチコピーの重要性を理解した海未たちは何かないかと思案する。だが何故だろう。キャッチコピーと聞くと、すぐにあの忌々しい出来事を脳裏に過るのは。

 

「う~ん……私たちのキャッチコピーと言えば……あっ」

 

「でもさ、穂乃果たちってキャッチコピーってやるよね」

 

「えっ?そうなの?」

 

「うち、そんなの聞いたことなかったけど………って、まさか」

 

「「「………………………」」」

 

 何も知らない絵里と希はそう首を傾げるが、思わず察した海未たちは引きつった表情を見せる。そんなことを露知らず穂乃果は意気揚々と絵里と希にキャッチコピーを披露した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライバル…それは、強敵と書いて[とも]と呼ぶ!

 

 

今新たな伝説が今幕を開ける!9人の女神にによる恋愛大戦!!

 

 

 

 

『乙女の中の乙女たち!出てこいクマぁぁ!!』

 

 

 

 

今日も元気に食い気MAX!

"常時腹ペコ和菓子屋イーター"高坂穂乃果

―――う~ん!やっぱりパンは美味しい!

 

 

破廉恥なものには正射必中!

"純情ラブアローシューター"園田海未

―――ラブアローシュート!バンバンバーーン☆

 

 

 

お兄ちゃんさえいればいい!

"鋼のブラコンエンジェル"南ことり

―――お兄ちゃんに手を出す人はことりのおやつにしちゃうぞ☆

 

 

 

アイドルのためなら何でもやります!

"シャイな巨乳お米っ娘"小泉花陽

―――ご飯おかわり!特盛りで!

 

 

 

運動スキルはA⁺、勉強スキルはE⁻!

"核弾頭猫娘"星空凛

―――んん~~!テンション上がるにゃああっ!!

 

 

 

私は全てにおいてNo.1!

"小悪魔ツンデレプリンセス"西木野真姫

―――い、イミワカンナイッ!!

 

 

あなたのハートににっこにっこにー!

"夢みるナルシストアイドル"矢澤にこ

―――にっこにっこに~♡

 

 

 

見なさい!これがK(かしこい)K(かわいい)E(エリーチカ)よ!

"女王気質のホワイトスワン"絢瀬絵里

―――ハラショー☆

 

 

 

貴方を一途に一万年!

"自称正妻最胸スピリチュアル巫女"東條希

―――うふふ♪スピリチュアルやねえ♪

 

 

 

 

 

 

 

戦え!たった一つの王座を懸けて!!

 

 

 

 

スクールアイドル【μ‘s】。ここに降臨!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「……………………」」」」

 

 その時、何とも言えない気まずい雰囲気が辺りを支配した。

 

「あ、あれ?みんな、どうしたの?」

 

「だから………そう言うのダメだって!!」

 

「結局P-1Grand Prixじゃないですか!!」

 

「というか何よ!この恋愛大戦って!趣旨が全然違うじゃない!!」

 

「で、でもさ、穂乃果とことりちゃんはテレビで出た訳じゃないし……」

 

「それはあの時お2人はまだペルソナを持っていませんでしたからね!!」

 

 穂乃果が持ち出したのはあろうことか、一番思い出したくもないP-1Grand Prixのキャッチコピーだった。確かにインパクトはあるが、それを公表したら世間にどんな風に思われるのか想像がつくだろう。インパクトがあってもこれを公式で使うのは満場一致でNGだ。それに何故今回はPV風に紹介したのかが謎だ。

 

「というか…何でウチらのキャッチコピーまであるん?」

 

「えっ?この間、悠さんと陽介さんがせっかくだからって、ジュネスで一緒に考えてたよ。その時のメモ帳をこっそり見たら、そんなこと書いてあった」

 

「「……………………」」

 

 まさか、自分たちのキャッチコピーまで考えていたとは。とりあえず、明日詳しく話を聞こうと絵里と希はそう誓った。特捜隊組ほどではないが、こちらも少し心配になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

 

 感謝祭セールまであと数日。再びジュネスのフードコートに集まって勉強会を開く特捜隊&μ‘s。いつものテント席で受験勉強や宿題に励んでいるのだが、その中で悠や陽介たちの顔はやつれていた。着々と手は動かしているのだが、目に生気が宿っていない。

 そんな悠たちが心配になったのか、ことりはそっと話しかけてみた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?結構疲れてるように見えるけど」

 

「ああ……家でも言ったが問題ないぞ。今度の本番も大丈夫だ」

 

 嘘である。

 あれから数日、特捜隊組は全くもって何も進展していなかった。辛うじて本番で使う曲はりせに選んでもらった【Reach out to the truth】にしたものの、とある者が好き勝手に問題を起こすので事が思うように進まない。悠はそれを悟られまいとポーカーフェイスを保つ。陽介たちも穂乃果たちに心配をかけまいと必死に同じようにするが、日々悠を振り向かせようと観察に勤しむ彼女たちにとってそれは無意味に等しかった。

 

「そっちこそ、大丈夫なのか?家でことりが色々と悩んでいるから心配したぞ」

 

「う~ん、キャッチコピーがどうたらこうたらって揉めたけど、それ以外は……」

 

「うんうん!順調だよ!曲も振り付けも衣装も決まってるし、あとは練習の密度を詰めるだけだから大丈夫だよ!」

 

 嘘である。

 あれから数日、μ‘s組はキャッチコピーをどうするかに時間をかけてしまい、結局肝心の練習がまだ満足に出来ていなかった。いつもストッパーになる海未や絵里も今回は暴走する穂乃果たちを制止することが出来ず、結局乗せられたまま無駄な時間を使ってしまったのだ。穂乃果がことりの発言を遮ったのもこのことを隠匿するためであるが、焦った顔がそれを物語っている。

 

 結論、両者ともあんまり進展していない。だが、それでもμ‘s組の方が一歩先を行っていた。何故なら

 

「マジか…ことりちゃんたちはもうそこまで進んでんのかよ……どうすんだよ俺ら……」

 

「てか、そもそも俺ら全然息会ってないじゃないっすか………どっかのクマのせいで」

 

「ああ、確かに」

 

「…今度本当にクマ鍋にしちゃう?」

 

「ちょっ!クマは無実クマよ!ヨースケが全然クマたちに合わせてくれないからこうなるクマ~~~~!!」

 

「ちげえだろ!お前が好き勝手動くからこっちが釣られるんだろうが!?」

 

 もう無意味な駆け引きなど無用と悟った陽介たちの愚痴から察する通り、先ほど言ったとある者とはクマのことである。このクマ、練習の最中に勝手な振り付けをアドリブで付けてくるので自然と溜まったものじゃない。特捜隊組のそのやり取りを見て、穂乃果たちはやっぱりかと思ってしまった。先日のことといい、大抵トラブルの原因はこのクマに違いない。

 

「ヤングでナウなオーディエンスたちは音楽に意外性を求めてるんだクマ!こんなんじゃ、クマのなりすましに勝てないクマよ~~!」

 

「はあ?なりすまし?」

 

「クマくん、なりすましってどういうことなん?」

 

 クマの申し開きに思わず首を傾げてしまった。クマのなりすましとはどういうことか?どうせ下らないことだろうが、一応聞いてみることにしよう。

 

「最近、どこぞの商店街にクマのなりすましが現れたクマよ。聞くところによると、そやつはハローでハッピーなバンドでDJをやってて、プリティなベイビーちゃんたちに人気で囲まれて……完全にクマとキャラが被ってるクマ~~~!こんなの許せないクマ~~!」

 

「………お前」

 

「クマさん……」

 

「ああ、それってミッシェルですよね。確か、そのミッシェルが所属するバンドも新しく絆フェスに出演するって公式サイトに載ってましたよ」

 

 クマの話を聞いて花陽は思い出したかのように携帯を操作してとある画面を開いた。そこには絆フェスの最新情報で新たなグループの追加参加のことが書かれていた。【トリプルブッキング】・【ハロー、ハッピーワールド!】・【Guitar*Green】など耳に聞いたことがあるグループがいっぱいだった。しかし、

 

「それって結局お前の妬み僻みだろうが!よく見てみりゃお前と全然キャラちげえし、なりすましでも何でもないだろ!!そんなんで他所様にそんなこというんじゃねよ!!」

 

「クマキャラやふさふさしてるってという時点でもう被ってるクマ!あの忌々しいクマも絆フェスに出るっちゅーならそこで白黒ハッキリしてやるクマ!絶対に倒してやるクマああっ!!待ってろよおおお!ミッシェルゥゥゥ!!」

 

「……ダメだコイツ。早くなんとかしないと」

 

「もう手遅れでしょ」

 

「……ふさふさ」

 

 なるほど、やけにDJをやりたがっていたのはそういうことだったのかと今更納得する。というか、そんなことを言ってる時点で既に負けているということを本人は気付いていないのだろうか。それに、"ふさふさ"というワードに反応して完二がそのミッシェルというキャラクターの画像をマジマジと見始めたのだがそっとしておこう。

 

 それはともかく、話がそれてしまったので事態は全く進展していない。このままでは特捜隊組だけ未完成のまま出演、もしくは特捜隊抜きで出演などの事態になってしまうかもしれない。進まない事態に頭を抱える特捜隊組とそれを宥めようとオロオロとするμ‘s組。泥沼となりつつ状況が皆を支配するその時、この事態を打破する言葉が放たれた。

 

 

 

 

 

「ああもう!こうもバラバラだったら話になんないし。いっそのこと、ウチら()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

ー!!-

 

 

 

 

「「「「それだ!」」」」

 

 

 

「えっ?」

 

 この千枝が思わず口にした言葉で特捜隊組にこの事態を解決する閃きが走った。去年の事件同様、この千枝の何気ない発言が突破口となったようだ。

 

 

「そうだよ……最初からそうすれば良かったんだよ!さっすが千枝センパイ!」

 

「えっ?えっ?ちょっ、どういうこと?」

 

「よし!こうしちゃいられねえ!お前ら!今から作戦会議だ!」

 

「「「おおっ!」」」

 

「ええっ!?ちょっ、一体どういうことなのさ―――!」

 

 

 本人もどういうことなのか全く理解しておらず、流されるようにして引っ張られていってしまった。あまりのことに穂乃果たちは思わずポカンとしてしまったが、まあ何か掴めたようなのでいいやと思った。

 

 

 

 その日から、特捜隊組の練習は順調に進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<稲羽商店街 辰姫神社>

 

 

「………………ん」

 

 ジュネス感謝祭セールイベント本番当日。眩く差し込む朝日の中、悠は何故か辰姫神社の境内で居眠りをしていた。

 しばらく朝が早かったせいか、いつも通りに目が覚めてしまってので、ことりや菜々子を起こさないように朝の散歩に出かけたら、朝ランをしていた千枝と海未と遭遇してしまった。せっかくだから一緒に汗を流そうと2人に押し切られてしまい、限界まで身体を追い込んでしまって今に至るわけである。

 ここまでの経緯を思い出していると、ふと何かの気配を感じた。ゆっくりとそちらの方を見てみると、

 

「……久しぶりだな」

 

「コンコン!」

 

 見ると、身体をゆすったのはこの神社に住みついているキツネだった。鋭い目つきと、刃物で切りつけられたような傷跡が特徴。赤地にハート柄の前掛けをしている。去年の夏にバイトのことで色々と助けられてから随分と懐かれている。GWでは神社に行けずに会えなかったので、こうして会うとどこか嬉しくなる。

 すると、キツネは何かの気配を察したようにどこかへ行ってしまった。どうしたのかと思って見てみると、

 

「あれ?もしかして、絵里か?」

 

「悠……?」

 

 神社の鴨居に偶然通りかかったらしい絵里の姿があった。どうやら絵里も今日の本番に寝付けず、朝の散歩に来たと言ったところだろう。

 

「さっき千枝と海未とすれ違ったけど、もしかして?」

 

「まあな。さっきまで海未と里中のランニングに付き合ってたらここで寝てた」

 

「……災難ね。ちょっと飲み物買ってくるわ。ちょうどすぐそこに自販機があるし」

 

「……ああ、頼む」

 

 

 

 

 

 

 神社の近くにある自販機に行き、今の悠の状態にあった飲み物を選ぶ絵里。"盆ジュース"や"胡椒博士NEO"など色々あるが、どれが悠に見合っているのかと悩んでしまう。すると、絵里の脳裏に何か過った。

 今までのことを振り返ってみると、自分は悠にからかわれてばかりではないだろうか。この間の王様ゲームではこっちは決死の覚悟で抱き着いたのに、平然と抱き返された上に頭をポンと撫でられたのだ。相手が場酔いだったとはいえ、今思うと何か腹立たしい。

 

「偶には……やんちゃしてみようかしら?」

 

 日頃溜まったストレスがここで引き金を引いたのか、絵里は口角をニヤッと上げて自販機のボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、缶コーヒー。一応目が覚めるように苦めのを買ってきたわよ」

 

「すまないな……」

 

 絵里から手渡された缶を受け取った。やはりこういうとこは気が利くなと改めて絵里に感謝して悠は缶コーヒーを開けた。

 

「うおっ!」

 

 一口飲んだら口に広がったのは苦みではなく全く違う甘味だった。言われたこととは違う味覚が襲ってきたので、悠は思わずリアクションを取ってしまう。

 

「うふふふ♪引っかかったわね。実はそれ微糖だったのよ♪目は覚めたかしら?」

 

 そんな悠の様子を見た絵里はいたずら成功と言わんばかりに笑みを浮かべた。そう、これが絵里が考えた悪戯だ。いかにも古典的なドッキリだが、悠の反応に満足したのかとても嬉しそうだった。だが、

 

「………………」

 

「あれ?」

 

 いたずら成功と言わんばかりに笑ったのが気に障ったのか、悠はそっぽを向いてしまい、そのまま絵里を無視して立ち去ろうとしていた。これには絵里も慌てて悠を引き留めてしまう。

 

「ご、ごめんなさい!…ちょっといたずらのつもりだったの。ゆ、悠をバカにするつもりはなかったのよ……だ、だから………気を悪くしちゃったのなら………ごめんなさい……」

 

 予想外の反応にオロオロとしてしまい、思わず涙目になってしまう絵里。

 しかし、これに対して悠は内心やばいと思っていた。実は悠もいたずら心が芽生えて、仕返しにあえて冷たくするという逆ドッキリを瞬時に思いついて仕掛けたのだが、予想以上に絵里の反応が重い。これは流石にやりすぎだと思ったので、ここでネタ晴らしをしよう。

 

「なんて冗談だ。騙される絵里も()()()()

 

「!!っ」

 

 突然の胸にズキュンと来る言霊を受けて絵里は心が乱れてしまった。不意打ちにそんな言葉を聞いたせいで、身体の体温が一気に上昇する。

 

「お、おい絵里…どうしたんだ?熱でも」

 

「い、いやああああああああっ!」

 

「あぶしっ!」

 

 絵里の気持ちに気づかずに不用意な行動に出てしまった悠はお賽銭箱の前まで吹っ飛ばされてしまった。

 

「え……エリチカ、おうちに帰る!!」

 

 絵里はそう声を上げて脱兎の如く走ってその場を去っていった。その現場を近くで見ていた神社のキツネは悠に寄り添ってこうコメントした。

 

 

「コンコン(特別意訳:王は人の心が分からない)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、神社でそんなやり取りがあった数時間後、いよいよイベント本番の時間になった。

 

「おいおい、マジかよ……去年のライブより多いじゃねえか!?」

 

 舞台裏から覗いてみると、陽介が言った通り去年のライブイベントよりも多い、否μ‘sのライブと同じくらいの観客がジュネスの屋上に詰め寄っていた。菜々子や堂島、雛乃はもちろんのこと、一条や長瀬、海老原と言った八高の友人や商店街の方々、更には視察のために来たらしい井上までいる。傍らには以前オープンキャンパスで出会った井上の姪っ子さんもいて、今は雛乃や堂島たちと話をしている。

 

「ききき緊張します」

 

「ああ、もう駄目かも………」

 

 あまりに多い観客たちを目の前にして、皆の緊張度はピークに達しようとしていた。

 

「あ、あれ?穂乃果ちゃんたちは慣れてるんじゃないの?」

 

「い、いや!全然だよ!まだ心臓がバクバクしてるもん!」

 

「やっぱり慣れてないものですね……これならテレビの世界でシャドウと戦う方がずっと良いわ……」

 

「まあ確かに……」

 

 特捜隊組はともかく、何度もこの場面を経験しているμ‘s組でさえまだ慣れていないのか、緊張している。シャドウと戦った方がマシと言っている者もいるからに、尋常じゃない。

 

「ねえ、みんな。ちょっと集まって」

 

 すると、今日はプラチナ色の髪のツインテールにエメラルド色のカラーコンタクトで変装変装しているりせが皆にそう言った。まるでこのことを予期していたかのように。特捜隊&μ‘sで円陣を組むと、りせは皆の顔を見渡して透き通った声でこう言った。

 

 

「心臓バクバクでしょ?私もだよ。穂乃果ちゃんや絵里センパイたちだって、何度もステージに立ってるのに何で緊張してるんだろうって思ってるでしょ?それはね、ライブにはそれだけエネルギーがあるからだよ」

 

「え、エネルギー……」

 

 

 緊張しているはずなのに、不思議とりせの声はスッと耳に入ってきた。

 

 

「もちろん絆フェスはこれ以上のお客さんが入るし、凄くプレッシャーがかかって、そのエネルギーに押しつぶされそうになってと思う。でもね、お客さんたちは私たちのパフォーマンスを楽しみにきてくれたんだよ。だから、まずは私達が楽しまなきゃ。そして、音に乗せてお客さんに伝えるんだよ。"私たちも楽しいです。だから、皆さんも楽しんでください"って」

 

「りせちゃん………」

 

 

 忘れてはいたが、自分たちの目の前にいる久慈川りせという少女は曲がりなりにもトップアイドルだ。その発せられた言葉からは紛れもない真実の心があった。それ故か、さっきまで感じていた緊張や震えが嘘のように止まっていた。

 

 

「じゃあここで気合いれよっか。今回は穂乃果ちゃんたちにあやかって、私が"せーの"っていったら、μ`sic STARTで返してね」

 

 

 りせの言葉に頷き返して手を合わせる一同。そして、

 

 

 

 

「ファンと!仲間と!自分に感謝!!完全燃焼、一本勝負!!せーの!」

 

 

 

 

 

 

――――μ`sic START!!

 

 

 

 

 

 

 心を一つにした彼女たちはステージへ士気は回復したのみならず、最高潮にまで上がっていった。

 

 

 

「よーし!頑張るぞおっ!!」

 

「いいか?練習通りだぞ!去年みたいに勝手にダイブなんかは」

 

「も~~分かってるクマよ~~♪」

 

「気合注入よし!いっちょやってやろう!」

 

 そして、ステージの幕が上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どへ~~~、つ、疲れた……」

 

「もう…動けない」

 

「みんな、お疲れ」

 

「いや~、すっごく盛り上がったねえ!」

 

 何もトラブルもなくイベントは終了した。ライブは大成功は観客からのアンコールがあって戸惑ったことはあったが、感謝祭セールの盛り上げに一躍買ったようであった。陽介のお父さんから今日のお礼ということで、お菓子やジュースを差し入れしてもらったり、商店街の人たちからもビフテキ串やコロッケなどをこれでもかというほど貰ったりしたことがそれが物語っている。

 

「今日の悠たちのダンスはとっても良かったわ。まさしくあなたたちらしいパフォーマンスだったわよ」

 

「ありがとう。でも、今回は里中のお陰だ」

 

「い、いや~……私は適当に言っただけで何もしてないんだけどさ」

 

 悠たち特捜隊は皆で一緒に合わせるのではなく、曲を数個のパートに分けてメンバー各々に担当するパート割り振ったのだ。最初はどうしたものかと思ったが、これがキッチリはまった。最初は完二と直斗の息の合ったコンビネーションで客を惹きつけ、次に千枝と雪子の幼馴染コンビで魅了。そして、陽介とクマの凸凹コンビが更に観客を熱狂させてから、りせとマリーが普段敵対しているとは思えないほどの巧みなダンスでボルテージを最高潮に上げる。最後に悠の類い稀なる表現力が炸裂して巧みなテクニックでそれぞれの個性がしっかりと生かされていて、見る人を全て惹きつけていた。

 

「………またあのクマ公がダイブしたけどな」

 

「「「嗚呼………」」」

 

 そう、結果としてそのパフォーマンスが響いたのか、大喝采を浴びた。しかし、何故かまたもアンコールコールが出てしまい、今回は終了してそのままμ‘s組に交代といこうとしたタイミングで調子に乗ったクマが観客に向かってダイブしたのだ。これに対して、このままじゃ引き下がれないのでと悠と陽介、完二もダイブしたのだが、予想通り観客から避けられてしまい、またも微妙な雰囲気が会場を包んでしまった。

 そんな微妙な空気の中でμ‘s組のパフォーマンスが始まってしまったので、悠たちは申し訳なさでいっぱいだった。まあ、それでも穂乃果はそんな状況から一気に盛り上げて最高のパフォーマンスを見せてくれたので、流石としか言いようがない。

 

「クマくんたちのせいで一時はどうなるもんかと思ったけどな」

 

「まあ、この先一週間は罰としてバイト中のホームランバーは全額自腹で払わすから」

 

「ぎょえええええええっ!!それだけはご勘弁を~~~~~~!!」

 

 調子に乗った罰の内容を聞いて思わず青ざめて許しを請うクマ。陽介は鬱陶しそうにしているが、思わずそんなジュネスコンビの光景に皆は笑みを浮かべてしまった。

 

 

 

 

 

 今日のライブの話題で盛り上がって差し入れのお菓子や総菜を食しながら談笑している仲間たち。その様子を悠と希は一歩離れたところから微笑ましそうに見つめていた。

 

「悠くんは今日は楽しかった?」

 

「ああ、当然だ」

 

 色々とトラブルはあったがなんだかんだでとても楽しかったと思う。こんな特捜隊&μ‘sのみんなでライブをやる機会など滅多にないし、何よりみんなと心が一つになれて今までより距離がグッと縮まったからだ。この調子なら絆フェスも乗り越えられることだろう。

 

「絆フェスはりせちゃんのバックダンサーとして出演するけど、いつか特捜隊&μ‘sとしてワンマンライブをしてみたいわね」

 

「おお!それいいねえ!!」

 

「悠さんと陽介さんたちと一緒に踊るなんて面白そう!絶対やりたーい!!」

 

 あっちもかなり盛り上がっているようだ。そんな話題が上がった故か、りせがニヤリと笑って茶々を入れた。

 

「え~いいの?私たちが穂乃果ちゃんたちを食っちゃうかもよ?」

 

「ぐっ、確かに……よく考えたらりせちゃんって、現役のアイドルだった」

 

「なっ!?今まで私のことなんて思ってたのよ!?」

 

「りせちー、元アイドル」

 

「ムリキライハッチャケスギ」

 

「恋が報われない後輩系キャラ」

 

「ひ、ヒドイ………もう!悠センパ~イ♡助けて~~~!!って、げっ!希センパイ……」

 

「うふふ♪りせちゃん、ワシワシやね♪」

 

 夕焼けに染まるジュネスの屋上で今日の疲れを忘れるかのようにそう語り尽くす一同。夏もそろそろ終盤に差し掛かり、近づいていく絆フェス。この先の自分たちの未来に不安と期待を抱きながら、悠たちは日が暮れるまで屋上での一時を過ごしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<東京都 シャドウワーカー 対策本部>

 

 

「ああ、私だ………何?まただと……分かった」

 

いつものようにデスクワークに勤しんでいた美鶴は一通の電話を貰ってしかめっ面になると、すぐに休暇中のメンバーの携帯に電話をかけた。

 

『美鶴さん?どうしたのですか?』

 

「……まただ、再び原因不明の無気力症患者が出たらしい」

 

『えっ?って、ことは……』

 

「ああ、これはおそらく……シャドウ案件だ」

 

 

 

 

 

 そして、また新たな事件の影が徐々に近づきつつもあった。そのことはまだ悠たちの知る由はない。

 

 

 

 

 

ーto be continuded




Next #71「Last Summer Memory in High School.」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。